Title 課金による交通環境問題の解決 Author(s) - HERMES-IR

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課金による交通環境問題の解決
根本, 敏則
道路広報センター, 2007(11): 1-4
2007
Journal Article
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/18894
Right
Hitotsubashi University Repository
教
解
根
決
通 ではGDP成長率以上 に交 通が増加 し て いること が明ら
者 の切-離し に成功したことがわか った。しか し、貨物交
交通では交
ユー (
EC
通 量 増加率 がGDP成長率を 下回 っており'両
2006)を実施 したO そ の結 果、交 通 のうち旅客
変動 )、 騒音 '交 通事故 など) は対象 とな って いな い。 そ
影響 であ る外部不経済 (
混雑、、
大気汚染 (
局地汚染、気候
新 設、維持管 理費用 の計測'課金方法を定 めたも ので'悪
通有料道路課金指針 (
ビ イ こエッ-課金指針)は'道路 の
通ネ ツー ワーク の整備 はう たわれ て いたが、現行 の欧州共
含むす べての費用を レビ ューLt課金 シナリオを考え '同
か にな った。 二〇〇四年 に欧州 は 一五 カ国から 二五カ国 に
れてお-、
輸 送距経 の長 い貨物交 通も増え て いる のであ る。
シナリオ の影響を計測す るため のモデルを 開発す る」と宣
言す ることとな った。
ー モーダ ル輸 送サービ スが普 及しな いこと に関し て、 いく
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)を行う 必要 があると主張 し て いるo 近年
者 へ課金をす るためには'情報通信技術を 用 いて賢 い課金
さ ら に'混 雑 など の外 部 不経済 に応 じ てイ ン フラ利 用
つか の原因が考え られるわけだが、そ のひと つに資金 不足
ドン混雑課金、ドイ ツ高速道路対距離課金 ' スイ ス
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対距離課金など の成功例 の刺激を受 け、情報通信技術を括
用し、場所 や時間帯 に応 じ てき め細か-課金す る方法を検
討す ることとな った のであ る。
交通外部不経済内部化政策調査 日課金 シナリオ代替案
前述したよう に、す べての交 通手段 のす べての外部不経済
交通外部 不経済 内部化政策調査 は野 心的 な調査 であ る。
の実現」 の大義 に抵触 しな いo Lかも、自動車'航空機 な
を対象と して いるOさらに道路交 通 に関し ては欧州 のす べ
「
悪影 響」 を 正確 に計測す る こと が必 要 にな った。交 通自
し か し 、 同 日 標 を 掲 げ る こと にな った た め 、 新 た に
が不可能 ではな いと 田い
われた。
ど の輸送機材単体 の環境性能 は向 上し てお-'目標 の達成
い」 ことを掲げ ること にした。 これなら 「
持続 可能 な交 通
目標とし て 「
経済成長以上 に交 通 に伴う悪影響を増 やさな
な い」 目標 は撤 回せざ るを得な-な ったわけだが'新 し い
貨物交 通 の増加をう け、 「
経済成 長以 上 に交 通は増 やさ
れた。
道網など) の整備 が思う よう に進 んで いな いこと が指摘 さ
から汎欧州交通ネ ツー ワーク の優先プ ロジ エクー (
越境鉄
モーダ ル輸送 の利活用が進まなか った こと であ る。 イ ンタ
増加を支え た のがト ラ ックであ-、鉄道を用 いたイ ンター
明 らか にな った より 深刻 な 問題 は 、 それ ら貨 物交 通 の
のため、中間 レビ ュー では踏 み込 ん で' 「二〇〇八年 六月
の の
拡大 し てお-' 二〇〇七年 にはブ ルガリ ア、 ルー マニアも
蘇
1)〇日ま でに、す べての輸 送手段 に関し て、外部不経済を
通
加わ った。広 い範囲で生産 ・流通 システム の再編が進 めら
父
書 にお いても'課金 によ るーラ ック輸送 の抑制'汎欧州交
ての道路 です べての車種 の利用者 に課金す ることを検 討し
て いるD最近発表 された同調査中間報告書 にもとづき へそ
の概要を説明した い (
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同調査 は欧州委 員会 エネ ルギ ー .運輸結 局が、他部局、
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通行 セ 2007.
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道行 セ
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シナリオ 3
シナリオ 4
(
全道蕗、
全車両対象)
(
インフラ、
宅経も限界鼻用で)
欧州 ジ ョイ ンー ・リサ ー チ セ ンタ ー、外 部 コンサ ルタ ント
の協 力を 得 て進 め て いる。 理論 的 な整 理、 デー タ の収 集 は
外 部 コンサ ルタ ンーが担 って いる。 課金 のシナ リオ作 成 は
新 た に設置 さ れた 局間調整委 員会 が行う こと にな った。 シ
のひと つであ る未 来技 術 研究 所 が開 発 した交 通ネ ット ワー
ナリオ の影 響 評価 は、 欧州ジ ョイ ント ・リサ ーチ セ ンター
ク モデ ル、環境 総局 が 開発 した交 通環 境 モデ ルを 周 いる こ
と と な った 。 こ のう ち交 通ネ ッー ワー ク モデ ルは道路 へ鉄
道 、航 空 、内 陸水 運を カ バ ーす る モデ ルで、旅客 ・貨 物交
通量 ー交 通費 用 t G D P、環境負 荷 など を 出力 す ること が
でき るO
興味 探 いのは 課 金 シナ リ オ代 替 案 であ る (
図参 照 )O 欧
州委 員 会 が導 入 した い施 策 を う か が い知 る こと が でき る。
課金
金 方式 の変 更 が検 討さ れ
な声 を 上 げ て い る D 既 得 権 で は な
て いる が 、 そ の 中 で 負 担 が こ れ ま
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に 期 待 し た いも の で あ る 。
でより 増え る主 体 が大き
ひるがえ って 、 わ が 国 でも 課
課金
シナリオ 2
シナ リオ Ⅰでは'車 両購 入税 を廃 止す ると とも に、大 型車
定 額 課金 を 対 距 離 課 金 に変更 し て いる。 シ ナ リオ 2 では へ
大 気 汚染 、交 通事 故 、 騒音 '混雑 に対応 す る外 部不経済を
燃 料 税 で徴収 し て いるo シ ナリ オ 3では、高速 道 路 だけ で
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課金
燃料税
及 し て いく も のと 思 わ れ る 。
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R稚謀
- '庶則論 に立 脚 した談 論
シナリオ
(
乗用車は
シナリオ1と同じ)
僻料税
課金
(
全モ-ド
、
全外部1用対魚)
地利税
課金
シナリオ 1
(
大型車対距群a金)
な-す べて の道 路を 対象 に、都 市間、都 市内 で差 別化 した
対 距離 課金 を導 入す るO シナ リオ 4は '環境 費 用 に混 維費
用を加え るとと も に' イ ンフラ費用 に関 し ても道 路 別、車
種 別 に限界 費 用を 課す も のであ るo シナ リオ 5は、 シ ナリ
オ 4と 同じ 設定 だ が 、乗 用車 に関 し ては シナ リオ 1 のタイ
大型車
(
都市臥 都市内)
現状
プ に簡 略化 す るも のであ る。
な お 、 課 金 収 入 の使途 に関 し ても ' 「一般 財 源 への組 み
入 れ」 「
交 通 目 的 財 源 」 「所得 税 減 税 」 の三 つの代 替案 が
考 え ら れた が、 最初 に 「1般 財 源 への繰- 入れ」 を前 提 に
シ ミ ュレ ー シ ョンを 実 施 す る こと にな った。 逆 に言え ば 、
l般 財源 化 され た交 通利 用者 の負 担 の目的 財源 化 が検 討 の
狙上 に上 って いると いう こと であ る。 ど のよう な結 果 が出
るか '近 日 甲に出 さ れる最 終 報告 書 が禁 し み であ る。
おわ り に
欧 州 で検 討 さ れ て いる対 距 離 課 金 は 道 路 別 に課 金 水 埠
を 変え よう と す るも のであ る。 そ れ ぞれ の道 路利 用者 に道
路損 傷 、 環境 費 用 の程度 に応 じ て負 担 を 求 め るも ので、単
純 明 快 な 原 則 に の っと って いる。 運 用 上 の技 術 的 課 題も
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椎
課
金
昭和 28年 青森 県生 まれ。 昭和 51年 東京
工業大学社会工学科卒業。 昭和 57年 同大学
院社 会工 学専攻博 士課 程修 了。 同年 東 京 工
業 大 学 工 学 部 社 会工 字 利 助 手 。 昭和 59年
辿 設省 道 路 局 企 画 課 道路 経 済調 査 室 第 一係
長。昭和 61年 福 岡大学経済学部助教授 o平
成元 年 ス ウェ-デ ン道路 交通研 究所 客員研
究 員D平成 7年 フ ィリピン大 学交通研 究 セ
ン タ客員致授 C平成 9年 一橋大 学商学部教
授 。平 成 12年 一橋 大学 大 字 院 商学研 究科
教授 (
現在 に至 る)0
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一門分野 は公 共 システ ム論 、交通経 済学 、 ロ
ジステ ィクス ・マ ネジメン トO
王な著書 論文
rシテ ィロジステ ィクス」 (
森北 出版 ,2
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S、2007)、…中国 にお け る
新 た な アパ レル生 産 ・ロ ジステ ィクス体 制…
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本物流学会誌 、No】
5、2007)
徐 々に解決 され てお- 、今 後 、欧州各 国 に対 距離課 金 が普
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