プレスリリース (PDF) - ARATANIURANO

多田友充「ぼくは描くことができる」
2015年 1月17日(土) - 2月14日(土)
厳寒の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ARATANIURANO では 1 月 17 日から 2 月 14 日まで多田友充 個展「ぼくは描くことができる」
を開催致します。
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
Tokyo 108-0072 Japan
Tel +81-(0)3-5422-8320
[email protected]
www.arataniurano.com
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多田友充は 1979 年広島県生まれ、2005 年に名古屋造形芸術大学(現:名古屋造形大学)大学院を
修了後、CCA 北九州リサーチプログラムに 2007 年まで参加、国内外でのレジデンス、展覧会参
加といった経験を重ねてきました。近年では 「VOCA 展 2014 現代美術の展望—新しい平面の作
家たち」
(上野の森美術館、2014 年)にて 3m を超える大作「ぜんりょうなるものはそうぞうしない」
を発表しました。ARATANIURANO ではグループ展「夏と画家」(2014年)に参加し、本展は初
の個展開催となります。
多田の作品においてまず印象的なのが、何層にも描き重ねられた画面です。水性の色鉛筆やパ
ステル、油彩、アクリルなど、様々な画材を重ねても、下層をけして打ち消すことなく、描線や多
様な色彩一つひとつの存在が分かるほどに、透明性を保持し続けています。特に白亜地では、透
明性の下に伺えるその明るさと独特な質感によって、色の重なりが深く、より浮かび上がるかの
ように見え方が変化します。またボールペンなどによってもたらされる細やかな線は、確かな筆
致でモチーフを捉え、極端なまでに簡素に、時にその繊細さとは真逆の力強い塗りで紙上を占領
します。
こうした画面の特性によって支えられるモチーフは、具象物でありながら、ある種の写実性か
らは距離を置いて描かれます。例えば果物や動物、木や山といった自然、ありふれた身の周りの
品、さらには言葉などが、大胆にあるいは記号的に描き配されることで、圧倒的な存在感を放っ
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多田 友充
ています。その背景にはアニミズムを思わせる一方で、現実とも非現実ともつかない、どこか不
「たくさんのたましい」
気味な情景や日常の一片、そして概念の形象化に至るまで、前者と変わらぬ手法で描き出されま
2014年
す。ともすれば複雑にも思えるモチーフの数々、そこに向けられた感情や眼差しは多田ひとりに
h.230.0 × w.360.0 cm
よるものだとするにはためらいを覚える不整合さが常にあり、しかしながら完全なよそ者によ
る表象ではないのです。
パネルに白亜地、油彩、アクリル、顔料
多 田 友 充 「ぼくは描くことができる 」
ではその作品たちを何と考えればよいのでしょうか。いずれもが純粋に、彼のなかにある無数
のことば/イメージ/できごとがひしめき合って、こぼれだすように描き出されているだけだ
とすれば、とても率直にその意味において、多田は“器”として存在していると言えます。その前
提として、中にあるものは自らが一から生育したものではなく、多田を通過するために滞在して
いく何かであり、作品はその“何か”の視覚的な現れだと考えられるのです。
多田のことばが物語るように“できる”ことというのは、個々の事柄も意味も概念も多様です。
「ぼくは描くことができる」。多田にとって「描くこと」は職能ではなく、普遍的でできることの
ひとつとして存在し、かつ特別なことです。日々寡黙に続けられるその行為は、喜びでもあり苦
しみでもある、そして彼を飽きさせることなく動かし、多田を待つまだ“わからない”何かにとっ
ても、彼自身にとっても失くすことのできない行為であり続けるでしょう。
ギャラリーの空間を埋め尽くす大作 4 点をはじめとする新作を発表致します。
つきましては、本展の広報にご協力賜りたく、ここにご案内申し上げます。
○ 展覧会概要
展覧会タイトル 多田友充「ぼくは描くことができる」
会期 2015年1月17日(土)- 2月14日(土)
時間 11:00 - 19:00 / 日曜・月曜・祝日休み
会場
ARATANIURANO
東京都港区白金3-1-15-2F
Tel
03-5422-8320
e-mail [email protected]
URL
入場料
無料
www.arataniurano.com
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
Tokyo 108-0072 Japan
Tel +81-(0)3-5422-8320
[email protected]
www.arataniurano.com
多 田 友 充 「ぼくは描くことができる 」
ぼくは意味がないことができる、ぼくは役に立たないことができる、ぼくは大切なことができる
ぼくは描くことができる、ぼくは見ることができる、ぼくは聞くことができる、ぼくは声ができる、
ぼくは隠れることができる、ぼくは折ることができる
ぼくは昼寝ができる、ぼくはジャングルジムができる、ぼくはねこができる、ぼくは輪ができる、
ぼくは矛盾ができる、ぼくは踊りができる
ぼくは不協和音ができる、ぼくは綴ることができる、ぼくは移動することができる、ぼくは孤独がで
きる、ぼくは仲良しができる、ぼくは裏切ることができる
ぼくは最後ができる、ぼくは最初ができる、ぼくは探検ができる、ぼくは暗黒ができる、ぼくは色が
できる、ぼくは喜びができる
ぼくは郷愁ができる、ぼくは谷ができる、ぼくはひゅんひゅーんができる、ぼくは数えることができ
る、ぼくは不安ができる、ぼくは安心ができる
ぼくは叫ぶことができる、ぼくは燃えることができる、ぼくは燃やすことができる、ぼくは漂うこと
ができる、ぼくは痛むことができる、ぼくはらくちんができる
ぼくは埃ができる、ぼくは明るみができる、ぼくは線ができる、ぼくは二つができる、ぼくは宇宙が
できる、ぼくはみじんこができる
ぼくは戻ることができる、ぼくは壁ができる、ぼくは水たまりができる、ぼくは水を撒くことができ
る、ぼくはにじむことができる、ぼくはすべての暗く美しい紺色ができる
ぼくは崩れることができる、ぼくはぼんぼんやりやりができる、ぼくは広がることができる、ぼくは
晴れることができる、ぼくは桜の花びらの絨毯ができる、ぼくは祈ることができる
ぼくは空っぽの倉庫ができる、ぼくは枇杷の木ができる、ぼくはふわふわできる、ぼくはよれよれで
きる、ぼくはぽわぽわできる、ぼくはゆらゆらできる
ぼくは砂嵐ができる、ぼくは野原ができる、ぼくは煮しめができる、ぼくはこだぬきの囃子ができる、
ぼくは暗闇ができる、ぼくは鳥ができる
ぼくは潜ることができる、ぼくは降ろすことができる、ぼくは受けることができる、ぼくは溺れるこ
とができる、ぼくは乱気流ができる、ぼくはつぶつぶブドウのジュースができる
ぼくは秘密基地ができる、ぼくは守ることができる、ぼくは攻めることができる、ぼくはてきとうが
できる、ぼくは日なたぼっこができる、ぼくは分からなくなることができる
ぼくはひょこひょこできる、ぼくはうっかり八兵衛さんあーうっかりうっかりができる、ぼくはぬ
りかべができる、ぼくは裏山ができる、ぼくは縁側ができる、ぼくは花の蜜ができる
ぼくは呼ぶことができる、 ぼくは覚ますことができる、 ぼくは閉じることができる、ぼくはお化け
ができる、ぼくはピュッピュッができる、ぼくは夕焼けができる
ぼくはぼおっとできる、ぼくはいなくなることができる、ぼくは蜜柑入り牛乳かんができる、ぼくは
毛布ができる、ぼくは半分ができる、ぼくは畏れができる
ぼくは存在ができる、ぼくは仮定ができる、ぼくはるんるんできる、ぼくは泥鰌がいる透明な小川が
できる、ぼくはどぶができる、ぼくは一年で一日だけあるなんとも心地のよい曇りの灰色が美しい
素敵な日ができる
ぼくは音楽ができる、ぼくは魔法ができる、ぼくは世界ができる、ぼくは独りができる、ぼくは描く
ことができる、ぼくはつくることができる
ぼくは遊ぶことができる、ぼくは息を吸うことができる、ぼくは生くることができる、ぼくは死ぬる
ことができる、ぼくはそういうことができる
わからないということだけがわかっている
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東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
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