プレスリリース - ARATANIURANO

磯邉 一郎 × 尾竹 隆一郎
「 カ イ ゾ ウ ニ ン ゲ ン」
2016年 6月14日(火) - 6月21日(火)
向暑の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ARATANIURANO では、6 月 14 日から 6 月 21 日まで、 島林秀行キュレーション展、磯邉一
郎 × 尾竹隆一郎による 「カイゾウニンゲン」 を開催いたします。
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
Tokyo 108-0072 Japan
Tel +81-(0)3-5422-8320
[email protected]
www.arataniurano.com
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磯邉一郎はこれまで、精密に描かれた鉛筆画や世界地図を使った立体を制作してきました。 近
年ではシリトリやジャンケンなど子供の遊戯的行為の意味をずらし、 脱臼させるような映像作
品を発表しています。 その作品はどれも両義的な解釈をできる幅を残し、あるようでいてない、
ないようでいてあるものを見つけようとする不思議な感覚を見ている側に与えます。
尾竹隆一郎は、 映画や本の挿絵にインスピレーションを受け、 立体や絵画、映像、パフォーマ
ンスなど幅広い形で作品を発表してきました。 その多くは終末世界や魔術を感じさせるオカル
ティックなイメージを用い、ナルシストの絶望とでも言うような耽美な雰囲気を漂わせます。 そ
れは人間が普遍的に持つ恐怖や不安、 それに伴う美しさを表現しているように見えます。
二人はこれまで 『くへ V』というアートグループで共同で作品を展示してきました。 そこでは
グループという形をとるとはどういうことなのか?を考え作品を制作し、その中で生まれた「異
物同士の結合」というテーマを押し進め、 今回の展示 『カイゾウニンゲン』 に至りました。
今回の展示では、二人の編み出した「テカザシ」というバグを用いた技法で作品を制作します。
磯邉の絵は線の中にイメージが浮かんでは消え、色と光、細部と全部が目紛しく移ろいます。 尾
竹は不規則に画面を飛び回る線と規則正しい線が混在するモノクロームの作品と、それとは対照
に色とりどりのパイプが重なり合う構造物のような物体を描きます。 人為的に作り出した制御
不可能なルールの中から生まれる 「異物同士の結合」が、これまで見たことのない新しい世界へ
と私たちを導いてくれるでしょう。
1.
尾竹隆一郎
「1251」
2016年
アクリルにインクジェットプリント
磯邉 一郎 × 尾竹 隆一郎 「 カ イ ゾ ウ ニ ン ゲ ン」
「カイゾウニンゲン」 の手
磯邉一郎 × 尾竹隆一郎
今回の展示「カイゾウニンゲン」を構成している絵のほとんどは ipad などのデジタル端末
機器でアプリやソフトを使い描かれています。 ipad やパソコンで使うお絵描きアプリ、画像
処理ソフトは所詮道具に過ぎませんし、誰でも買えますし、使えます。 僕らの使っているもの
もそのひとつです。 それ自体は特別新しいものではありません。 しかし、そこから新しいも
のが生まれることもあるはずです。
デトロイトテクノは全く人気のでなかった TB-303 というシンセサイザーが中古で大量に
デトロイトに流れ着いたことにより、独自に進化しました。 誰でも手に出来、遊べたのです。
印象派の画家たちは工業と商業の発展によって生まれたチューブ絵の具を手にアトリエから
野外に飛び出し、自然の光を描きました。 近年ホックニーも ipad で絵を描いていますが僕は
彼の絵にはこの印象派の流れを感じます。
僕たちの開発した技法に『テカザシ』というものがあります。 手のひらをタッチパネルに
べったりと押し付けるのですが、それだけで線が画面上で動き回り、拡大、縮小を急激に繰り
返し、さながら瞬間移動を繰り返します。 また僕自身もそれを必死に制御しながらイメージ
を描きます。 僕たちはこれを『テカザシ』と呼んでいます。 おそらくはタッチパネルの位置入
力装置の入力位置が多点になることによってバグのようなものが起きているのでしょう。 そ
のイメージは自分の意志の範疇を飛び越え、僕を驚かせます。 サイ・トゥオンブリはその感
覚を得る為に暗闇の中で描き、白髪一雄は足で描いたのだと思います。 そこでは明かりを点
け、キャンバスから降り、 液晶から手を離すまで、つまり行為のすべてが終わるまで、全体像
がどうなっているかは確認が出来ないのです。
僕はラスコーの洞窟に最初に絵を描いた人に思いを馳せます。 洞窟の中で一番古い壁画は
手形だそうで、壁に手を当て、口に含んだ顔料を砕き、唾液と混ぜ合わせスプレーのように吹
き付けて描かれたそうです。これは僕の推測ですが、手を離したときに現れる自分の手の形を
みて魔法のように感じたのではないでしょうか。そして自分という存在を確認したのではな
いかと思います。
しかし『テカザシ』で描いた絵には自分という存在にバグが生じます。 それはまるで虫と人
間の間の子(虫人間)が描いたようでこちらを不安にさせるのです。 展示タイトルの 『カイゾ
ウニンゲン』 はそんな思いから付けましたが、そこからは仮面ライダーをイメージする人も
多いと思います。 仮面ライダーはバッタと人間の間の子です。 そして歪んだ技術文明の象徴
としてのショッカーにさらわれ改造手術をされ、バッタ人間になります。 石ノ森はバッタを
自然の象徴と言っています。(バッタは西洋では悪魔や破滅の王として描かれます)つまり
ショッカーを倒すのは人間だけでも自然だけでもない、技術文明と自然の間に産み落とされ
たバッタ男なのです。
石ノ森章太郎は公害の深刻な問題が広がる1971年に『仮面ライダー』を発表しました。
(同年のゴジラは 『ゴジラ対ヘドラ』でした。) 対立するのでは無く、その間に漂うものこそが
新しい世界を創れると思っていたのかもしれません。
そしてデジタルと融合されたカイゾウニンゲンの僕たちも新しい世界を創るのです。
「カイゾウニンゲン」 によせて
島林秀行 ( キュレーター )
磯邉一郎と尾竹隆一郎の 2 人展では、iPad を使ったデジタルペインティングの共同研究の
成果が発表されます。 デジタルらしい偶発性を出発点とした試みがなされているといえるで
しょう。
「カイゾウニンゲン」 という異種の接合のイメージで束ねられた空間では、iPad と手のひ
ら・指、デジタルな偶発性とアナログな制御という接合だけではなく、 彼らのステートメン
トにおいて主張的な 「僕」 と協調的な「僕ら」 が混在させられているように、磯邉と尾竹の意
図せざる接合も果たされているはずです。 そして、作品と鑑賞者との接合において、スリリン
グなイメージが生起することを期待しています。
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
Tokyo 108-0072 Japan
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www.arataniurano.com
磯邉 一郎 × 尾竹 隆一郎 「 カ イ ゾ ウ ニ ン ゲ ン」
つきましては、本展の広報にご協力賜りたく、ここにご案内申し上げます。
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
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Tel +81-(0)3-5422-8320
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2.
○展覧会概要
磯邉 一郎
「おお1」
展覧会タイトル 磯邉一郎 × 尾竹隆一郎 「カイゾウニンゲン」
会期 2016年 6月14日(火) - 6月21日(火)
時間
11:00 - 19:00 / 日曜・月曜・祝日休み
会場
ARATANIURANO
Tel 03-5422-8320
e-mail [email protected]
URL www.arataniurano.com
入場料
無料
h.48.7 x w.51.5 cm
アクリルにインクジェットプリント
3.
東京都港区白金3-1-15-2F
2016年
尾竹 隆一郎
「0735」
2016年
h.28.0 x w.21.0 cm
シルクスクリーンにインク