第 17 回日本在宅医学会大会 シンポジウムテーマ 開催日 シンポジスト 英国と日本の在宅ケアシステムの対比~日本でもマネしたい海外の在宅医療~ 2015 年 4 月 25 日(土) ふりがな ご芳名 講師情報 抄録集・ホームページ掲載用原稿 ご所属 姓 時間 15:20-16:50 いちはら 収容人数 名 市原 500 名 としあき 利晃 秋田往診クリニック 部署 役職 理事長 演題名(80 字以内) 在宅ケアの英国との比較 ご略歴(300 字以内) 1994 年 3 月 秋田大学医学部医学科 1994 年 5 月~1994 年 9 月 秋田大学医学部附属病院第一外科 卒業 1994 年 10 月~1995 年 3 月 大曲中通病院外科 1998 年 3 月 秋田大学医学部大学院 卒業 医学博士号取得 1998 年 4 月~2000 年 3 月 本荘第一病院外科 2000 年 4 月~2005 年 3 月 雄勝中央病院外科 2005 年 4 月~2007 年 9 月 秋田大学医学部附属病院第一外科 2007 年 10 月~ 秋田往診クリニック 理事長 資格等 医学博士 日本外科学会専門医,指導医 会専門医,指導医 日本消化器外科学会専門医,指導医 日本在宅医学 プライマリケア認定医,指導医 など 講演概要(1000 字以内) [はじめに] 2012 年 4 月の医師法改正から「5 疾病 5 事業及び在宅医療」の医療体制構築が進め られている.そこで,先に高齢化社会を経験し医療福祉体制の再構築を成し遂げた英国の在宅 ケアを視察した. [目的]日本では近年の地域包括ケアを軸とした医療福祉体制再構築はさらに高齢化が進む社会 への対策の一つであり,英国の体制における在宅ケアを検討する. [方法] 2013.10 月に英国の家庭医,澤医師を訪ね英国の医療福祉体制の実際と,福祉施設およ びホスピスの見学を通して,英国におけるケアの現状を確認した. [結果]英国の医療福祉は国民医療サービス(NHS: national health service)により国の税金で運営さ れている.国民はほぼ全員が家庭医(GP: general practitioner)に登録しており,新生児から高齢者 までの健康問題すべてを相談している.病院は GP の紹介がなければ受診できない.また英国 の福祉施設は日本の特養に当たるナーシングホームのほか,介護士がいる老人ホーム,グルー プホーム,管理人のみのシェルタードハウジング,シェアードハウスなど様々な形態があるが, 日本のように厳密な分類は無く,医療はほぼ GP が受け持っている.介護は「できないことを できるように支援する」という考えで,日本的な「できないことをやってあげる」とは違いが ある.また,「自力で食事をとれなくなったら寿命」という考え方が一般的であった. [考察]医学が進歩するについて症状コントロールの可能な疾患が増え生活の質(QOL)も改善し たが,近年は福祉や看護・介護との連携も注目されている.日本でも高齢化社会が進み,社会 が成熟するにつれて国民の価値観は多様化した.生活の質を決めるそれぞれの価値観は多様な 生活と密着しており,個々の生活に根ざした地域包括ケアが効果的である. 「生活を中心とした 医療」への変化を目指した地域包括ケアを軸とした医療福祉体制再構築は緩和ケアのみならず, さらに高齢化が進む社会への対策の一つとなり得ると思われる. [まとめ] 個人の自立した生活を基本にした在宅ケアには,日本と英国の価値観の違いが反映さ れているように思われた.多様化した価値観を支えるには,在宅ケアが効率的だとも考えられ る.
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