FX 業者のリスクマネジメントに関する考察(1時間で考察し てみたシリーズ) @gausy 2015/01/17 1 レポートの背景 2015 年 1 月 15 日に「 スイスフラン上昇、対ユーロで最高値−中銀がフラン上限撤廃」というニュース [1] が飛び込んできた。この影響から、一時 CHF/JPY が 157 円をつける場面があった。 [3] これは16日には スイスショックとして報道されるようになり [2]、その記事の中では 『米最大の個人向け外為ブローカー、FXCMは時間外取引で一時 90 %超下落。日中取引で売買停止と なった。同社は顧客に大規模な損失が生じたと説明していた。』 と述べられていた。このことから、私はどうすればこのような事態が防げたか、金融派生商品を用いたリス クマネジメントができないかということに興味を持った。 2 FX 業者の形態に関して 私は今まで、FX を株式取引などと同様に市場が存在して、かならず取引成立には FX 業者を通じた取引相 手が存在するということをイメージしていた。実際にインターバンクという仲介を行うための銀行が存在して いるため、取引相手が存在する場合もあるにはあるのだが、存在しない場合もある。というより、ぱっとグー グルで調べた限りソッチのほうが多いようである。どういうことかというと、FX 業者が発注者の注文を他の 取引相手に流すのではなく、自分がそのカウンターパートになるいわゆるノミ行為を行っているということで ある。無論これは違法ではない。なぜならば、 1998 年(平成 10)より取引所集中義務が廃止されていることから、2004 年(平成 16)に証券取引法 (現、金融商品取引法)を改正し、「最良執行義務」を課すことにより、のみ行為の禁止が削除された。 ためである。[4] これから、今回の様な為替市場の急変動が起きた場合、FX 業者はどのようなことになるか 思考実験を行う。 3 思考実験1 簡単のため、登場人物を支払い能力10万円をもった売り方(S さん)、おなじく10万円が支払い能力買 い方(L さん) 、ブローカー(B)の三人を想定する。先ほどの Yahoo!ファイナンスの情報 [3] から15日の日 1 中に 115 円程度で取引されていたスイスフランを S さんが 114.99 円で1万通貨分売り、L さんが 115.01 円 で同様に1万通貨分買っているものとする。この時 B は双方に決済時点での CHF のレートで日本円を払い 戻す義務を負って、200円を儲けた状態である。さてここで、急激な変動が発生して、スイスフランが 155 円になった状態を考える。S さんはおよそ 40 万円の損失を、L さんは40万円の評価利益を得ているわけで あるが S さんの支払い能力は10万円であるため、30万円は回収できない。一方で L さんがこの時点で決 済を行えば B は L さんに40万円を払わなければならないため、差し引き30万円の損失である。今回、FX 業者が損失を出した背景はこのような感じであると予想されるが、次は金融派生商品を用いたリスクマネジメ ント方法について考察してみたい。(思考実験2に続く) 4 思考実験2 5 結論 参考文献 [1] http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NI7R1V6JIJV201.html [2] http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIAGOO6VDKHU01.html [3] http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/history/?code=CHFJPY=X [4] https://kotobank.jp/word/のみ行為-1576215 2
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