日本人英語学習者の シャドーイングとリピーティングの比較 -異なる英語学習法による効果の違い- 【Program 8】 大友 一央 長門 亜沙 清野 貴文 佐藤 智幸 (中西ゼミ 4班) Repeat after me. CD音声を使った学習 シャドーイング (言語音声) Mr. Nakanishi plays baseball very well. 終わり! スタート! (学習者の発声) ………Mr. Nakanishi plays baseball very well. ちょっと遅れてスタート! ちょっと遅れて終わり! リピーティング (言語音声) (学習者の発声) Mr. Nakanishi ~ well. (小休止) Mr. Nakanishi ~ well. 定義 シャドーイングとリピーティングとは… ・シャドーイング: 「『耳から聞こえてくる音声に遅れないようにできるだけ 即座に声に出して繰り返しながらそっとついていく』 という学習法」 =聞きながら話す ・リピーティング:「一定量の言語音声 (e.g. 文など)を聞いてもらい、 その後十分なポーズ(pause)をあけ、その間に学習者に聴取した 言語音を繰り返す(repeat)ことを求める活動」 =聞き終わってから話す と定義される。(門田 2007) 5 先行研究①(玉井 2009) 期間:5日間 集中的指導 5日間 両群up! 短期的 なシャドーイング で、リズム/イントネーショ ンが効果的に学習される 短期的なシャドーイング訓練が グラフ1. シャドーイングスキルテストの結果 効果的であることが分かった 先行研究②(阿栄、林 2009) 期間:9日間 中国語、モンゴル語を用いた シャドーイング・リピーティング共に…. 回数を重ねる ↓ 流暢に読めるように なる 発音速度に効果があるのではないか 目的 ① ② Q1.短期的 英語シャドーイング,リピーティング ② 訓練で、学習者の発音技術(音の高さ)が 向上するのではないか Q2.また、シャドーイングとリピーティングで ② 技術の向上の様子に差があるのではないか 理由 ・潜時の長さの違い→どんな影響あるのか。 ・似ている活動(音声を聞く→発音)の比較をしたら どうなるのか。 潜時とは・・刺激→反応までの時間のこと。 実験手順1 英検2級程度のリスニング問題を使用し 被験者を等質な2班に分ける。 シャドーイング班 テキストを用いず 7回シャドーイング リピーティング班 同一の英文 テキストを用いず 7回リピーティング 実験手順2 両班の1~7回の録音された音声を聞き、 発音できている語数を回数ごとにカウントする。 単語を音節ごとに区切り採点 また、1つ1つの単語について回数ごとに言えてるか言えてないかをグラ フにして回数ごとの比較 シャドーイングとリピーティングの 両活動の伸長度、類似点、相違点を明示 振り分けテストの結果 ・東北学院大学学生15名 シャドーイング班8名 平均 標準偏差 最小 最大 リピーティング班7名 シャドーインググループ リピーティンググループ 10.5 10.85714 2.56348 2.794553 6 7 13 14 分析の観点 Ⅰ.本文を音節ごとに分けて分析 Ⅱ.本文を単語ごとに分け、品詞ごとに分析 Ⅲ.被験者の発音のPitch幅(抑揚)を分析 Ⅰ.本文を音節ごとに分けて分析 120 110 100 90 80 70 有意に上昇! 60 1回目 2回目 3回目 4回目 シャドー シャドー 本文100単語 132音節=132点満点 平均 リピート 平均 1回目 87.75 5回目 6回目 7回目 リピート 2回目 104.75 3回目 106.13 4回目 107.00 5回目 109.25 6回目 111.00 7回目 114.38 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 76.57 89.57 95.14 101.43 105.86 110.71 111.71 考察 Ⅰ.本文を音節ごとに分けて分析 シャドーイング班の音節毎の発音箇所の有意な上昇は1回目のみ ↓ 短期的なシャドーイングの反復練習の効果は薄い 一方、リピーティング班では後半(4→5,5→6)でも有意に上昇した ↓ リピーティングの反復練習はリピーティング技術の向上に効果的 Ⅱ.本文を単語ごとに分け、品詞ごとに分析 個数 シャドー平均(%) リピート平均(%) 名詞 31個 79.63 80.78 動詞 10個 79.6 68.46 前置詞 15個 73.3 71.27 冠詞 12個 71.6 59.01 代名詞 12個 72.2 59.34 形容詞 9個 88.5 80.73 副詞 7個 85.0 60.31 接続詞 2個 73.2 36.75 間投詞 1個 98.2 100 助詞 1個 98.2 73.4 考察 Ⅱ.本文を単語ごとに分け、品詞ごとに分析 ほとんどの品詞の再生率においてシャドーイング班が上回った ↓ シャドーイングの方が1単語を正確に発音できることが分かった リピーティングは潜時が長く、1単語を正確に記憶することが難しいが、 シャドーイングは潜時が短く、聞いた単語をすぐに発音したからではないか 考察 さらに、本文中の接続詞(or,so)において リピーティング班は50%を下回りシャドーイング班は70%以上 発音できている 100 90 80 シャドーイングは聞き逃しがちな短い単語も 発音することが出来た 70 60 50 40 30 20 10 0 Ⅲ.被験者の発音のPitch幅(抑揚)を分析 最大Pitch-最小Pitch 300 250 200 150 100 50 0 1回目 2回目 3回目 シャドー 最大-最小 シャドー リピート オリジナル 1回目 2回目 60.0 165.8 262.9 4回目 リピート 3回目 70.7 82.8 262.9 6回目 7回目 オリジナル 4回目 53.9 99.6 262.9 5回目 5回目 97.8 63.2 262.9 6回目 103.2 92.9 262.9 7回目 94.8 66.2 262.9 85.1 76.2 262.9 Ⅲ’.被験者(女子のみ)の発音のPitch幅を分析 最大Pitch-最小Pitch(女子のみ) 300.0 250.0 200.0 150.0 100.0 50.0 0.0 1回目 2回目 3回目 シャドー 最大-最小 1回目 シャドー(3名) リピート(4名) オリジナル 2回目 85.2 164.6 262.9 4回目 リピート 3回目 101.3 106.4 262.9 5回目 7回目 オリジナル 4回目 65.6 134.2 262.9 6回目 5回目 176.8 87.4 262.9 6回目 122.5 123.9 262.9 7回目 145.6 83.2 262.9 137.3 98.0 262.9 考察 • Ⅲ.被験者の発音のPitch幅(抑揚)を分析 両班共に、練習を重ねることでオリジナルの音声の抑揚に 近づくことはなかった シャドーイング、リピーティング共に短期的な反復練習で 発音の抑揚をネイティブに近づけることは出来なかった 短期的なシャドーイング,リピーティング訓練は 発音の抑揚の矯正には効果がなかった まとめ ・シャドーイングの利点 聞いた音声の単語をより正確に発音することが出来る! ・リピーティングの利点 反復練習で技術を向上させることが出来る! 両活動に共通する点 発音の抑揚の矯正には効果がなかった…… 反省と課題 ・被験者不足が否めなかった ⇒ より多くの被験者を集めることが出来れば違う結果になった かもしれない ・教材の難易度が被験者の発音に影響を与えたかもしれない ⇒教材が簡単すぎたため、有意な伸長があまり見られなかった かもしれない 御清聴ありがとうございました!!
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