第3回公衆衛生研修会抄録

平成 27 年 1 月 29 日
公益社団法人東京都品川歯科医師会
高齢者に対する“かかりつけ歯科医”が実施する治療とリハビリテーションの在り方
日本大学歯学部
摂食機能療法学講座
植田耕一郎
平成 18 年度介護保険改訂にあたって「口腔機能の向上支援」という高齢者の健康維持・
増進および介護予防施策が導入されました.高齢者健康施策に「口腔」という文言が明記
されたことは画期的なことでした.
最近の医療改訂のたびに,「かかりつけ歯科医による在宅医療の推進」が提唱され,高齢
者に対して「重篤な歯科疾患と摂食・嚥下障害の対応を歯科医療の業務となす」ことが記
されています.
「介護予防」
「口腔機能向上支援」
「かかりつけ歯科医」
「在宅診療」
「摂食機能障害」は,
超高齢社会となった日本の歯科医療においては,今後もキイワードとして,ますます重要
視されていくことと思います.
ここで,改めて認識していきたことは,地域住民に貢献する歯科医である以上,
「訪問診
療」「摂食機能療法」から始まるのではなく,あくまでも「診療所」が診療の主体であると
いうことです.かかりつけ歯科医としての認識がどのように浸透するかは,診療所での診
療にかかっており,その延長線上に,要介護高齢者歯科診療,口腔ケア,摂食・嚥下リハ
ビリテーションの必要性に遭遇し,それらを展開することになるのでしょう.
そこで今回は,以下について検討いたします.
1.診療室で実施する摂食機能療法
2.かかりつけ歯科医が訪問診療を始めるとき
3. 高齢者に対する治療,ケア,リハビリテーションの理念と手法
かかりつけ歯科医の“誇り”について言及したいと思います.地域で歯科医の責務を全
うするために,今,我々は何をすべきか,御参加の先生方と実践的な話し合いの場となれ
ば幸いです.