離島・へき地医療 最前線 - 徳洲会グループ

いつでも・どこでも・誰でもが最善の医療を
と病院を開設し、積極的に最新医療設備・機器を投入、離島・へき地の医療水準
離島・へき地医療は徳洲会の原点――。徳洲会グループは国内の離島・へき地に次々
たり、聴診や触診を行っ
ドを訪れ、呼吸数を数え
の一端を紹介する。
若手3人で“3本の矢”診療
奄美のドクターGたち
民の健康を支え
るのが加計呂麻
して一番嬉しい。それに
はやはり、患者さんに向
き合い、診察を丁寧に行
いながら治していく“人
院から約 ㎞離れた名瀬
病院まで移動し診療を行
の常勤医は2人のみで、
を診る”姿勢が大切です。
これが“手当て”の基本
床の入院
患者さんや外来・訪問診
医師により、
平島所長を含めた3人の
平島所長がこうした診
島所長)
だと考えています」
(平
う──というスケジュー
ルだ。
総合内科専門医として
ず、幅広い疾患の患者さ
徳 洲 会 診 療 所 だ。 特定の診療科にとらわれ
今年5月に着任
長がその若手医師だ。平
島所長が医学生向けに離
島医療の実状や、そこで
医師として得られる貴重
な経験などについて熱く
講演している様子に触発
され、2人は瀬戸内病院
への入職を決意したのだ
徳洲会グループの研修
計呂麻診療所の所長に就
これにより平島所長が加
るのは稀有なことだが、
医が短期間のうちに集ま
離島の病院に3人の常勤
る診療がスタートした。
入 職、
“3本の矢”によ
澤・ 副 医 局 長 が 同 院 に
年4月に平島所長と朴
戸 内 病 院 に 入 職 し、 今
伊東医局長が昨年、瀬
離島医療や総合診療、身
の大学で医学生を相手に、
実際、平島所長は全国
ります」と打ち明ける。
広めたいという思いもあ
外にもっていき、全国に
視の医療のノウハウを島
離島で培った身体診察重
自分なりに行っています。
ている研修医への指導を
続けて「離島研修で来
という。
指定病院は、後期研修1
体診察をテーマとした講
総合的な診療能力を
身に付ける必要痛感
年目に3カ月間の離島・
き、名瀬病院など複数の
演活動を継続。昨年は年
う
へき地研修を受けること
施設を飛び回って診療を
け
になっている。だが、平
間 回、今年は
までですでに
回に達し
の診療だけではなく教育
てきた活動が実り、瀬戸
離島研修の魅力を伝え
たという。
かせてほしい』とかなり
にも注力している。
「離島
内病院での研修を希望す
平島所長は目下、日々
なった。
月上旬
行うことができるように
と力を付けたいという一
の無理を言って、後期研
医療では救急、外来、手
心から、
「
『せめて半年行
修2年目に再び瀬戸内病
か ら 伊 東 医 局 長 や 朴 澤・
療にあたった。
術、リハビリテーション、 る若い医師が増え、今年
療に対する心構えや考え
院で半年の離島研修を受
方を身に付け、さらに総
んに対応。
平島所長が大切にして
した平島修所長
実践的な研修内容のもと、
は、 奄 美 大 島 に
「初期研修2年目の
験することができます。
副医局長が中心となり、
から2カ月を瀬戸内病院
計8カ月の離島研修を通
徳洲会以外の研修医の受
慢性疾患の管理、訪問診
合内科の道に進み、離島
で過ごし、初めて主治医
離島研修中に先輩の医師
療などあらゆる医療を経
いるのは、検査や画像診
医療に深くかかわるよう
じて平島所長は、総合的
初期研修から合わせて
ある名瀬徳洲会
断に依存しない身体診察
として患者さんの診療を
けました」と述懐する。
病院や瀬戸内徳
になったきっかけは、研
自分ひとりで診断や治療
意気込みを語っている。
療を守っていきたい」と
に、これからも離島の医
きます。患者さんのため
させていただくこともで
もって頑張れるし、勉強
こそ、私たちは使命感を
た、患者さんがいるから
は徳洲会の原点です。ま
平島所長は「離島医療
や問診、病歴聴取を重視
洲会病院にも出
方針の決定、処置、患者
けんさん
市立堺病院で研鑽。そこ
で出会ったのが、のちに
平島所長が自身を含めて
ものです」と平島所長。
け入れを開始。大勢の学
さんへの説明、そして看
と『ここに教育が整った
学部を卒業後、福岡
平島所長は熊本大学医
取りまでを経験しました。 にしている大阪府堺市の
行いました。そのなかで、 な診療能力を身に付ける
した診療だ。
徳 洲 会 病 院 で 初 期・
とても重い責任を感じま
修医時代にさかのぼる。
向き診療にあた
後期研修を行った。
したが、患者さんが自分
生の見学・実習も受け入
初期研修中には2カ
の説明に納得してくれた
れている。
月間、瀬戸内病院で
伝統的に身体診察を大切
離島研修を経験。「大
ら、医師が学ぶ環境とし
「患者さんのベッドサイ
移動を繰り返しながら診
時や感謝していただいた “ 3 本 の 矢 ” と 称 す る 2
ことの大切さを痛感。そ
月
離島医療や総合診療をテーマに医学生向けに
参加型の講演を行う平島所長
こで後期研修修了後には、 て完璧だ』と話し合った
っ て い る。 離 島
医療に全精力を
療を行っている。加計呂
きな病院では得るこ
時など、とても嬉しくて、 人の若手医師だった。
現在、瀬戸内病院の常
ほうざわ
勤医を務める伊東直哉医
局長と朴澤憲和・副医局
加計呂麻診療所へは奄美大島から小型船を使
って渡る
傾ける平島所長
で対岸に位置
南端から大島海峡を挟 ん
麻診療所で午前診・午後
とのできない衝撃的
こうした患者さんの支え
した」
(平島所長)
が大きな原動力になりま
な経験でした」と振
当時、瀬戸内病院
り返る。
奄美には離島ならではの美しい風景が広がる
らを追った。
す る 加計 呂 麻
訪問診療を行い、診療所
平島所長は、たびたび
島 ――。 同 島
休診日は小型船で対岸に
ま
30
ているからだ。そこで今号は、徳洲会が注力している離島・へき地医療“最前線” たね』と言えたら医師と
い の ち
たりして、結果的に『症
第 4 回
の向上に大きな役割を果たしてきた。これは徳洲会が「生命だけは平等だ」の理
発行:一般社団法人徳洲会
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状が安定したね。良かっ
❷島々を飛び回る精神科医・孤立感解消が最優先/奄美大島
から産科医を!・小中高生に魅力を伝える
❸医師として大きく成長・研修医インタビュー/奄美群島日本
復帰 60 周年で記念式典・徳洲会も祝福
❹科学に立脚した漢方処方を・地域医療のなかで実践/地域
の救急医療システム・庄内余目病院が貢献/褥瘡対応やリハ
ビリなど・医師に頼らない医療
念の下、
「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指し
グループ内の結束を図ると同時に自浄能力を示す時
唯一の医療機
ろ
10
30
30
大河は波立ち逆巻こうと底流は粛々と流れ続ける
徳洲会の理念の下で患者さん本位の医療の継続を
渡り瀬戸内病院で診療。
け
12
H E A D L I N E
また週に一回、瀬戸内病
か
60
直 言
関として約1
鹿児島県・奄美大島 の
平島所長(中央)
、伊東医局長(その右)
、朴澤・副医局長の“三本の矢”の
面々
島所長は離島研修でもっ
当院は患者さんのための医療、地域社会への貢
献を目指しており、そのためには地域特性の理解が
欠かせません。
当地の疾患の特徴は食べ物がおいしいせいか肥
満が多く、生活習慣病でも2型糖尿病、脂質異常症、
脂肪肝、高血圧が多いこと。糖尿病患者さんは、春
から夏にかけては農作業などが忙しくコントロール
も良好ですが、イモやカボチャの収穫時期の秋には
収穫物を食べ過ぎて悪化。冬は作業もなく飲食が増
え、病状がさらに悪化する傾向が見られます。地元
の糖尿病専門医は「十勝型糖尿病」と称しています。
また、 濃い味付けを好むためか、 慢性腎臓病
(CKD)も多く、外科領域では肥満を反映して胆石
症が多い印象です。初夏から秋にはスズメバチなど
の蜂刺傷も多く、とくに
今年は湘南鎌倉総合病院
(神奈川県)から研修医
が赴任した日に4、5人の
患者さんが来院、強いア
レルギー反応が出た方も
「食べ物がおいし過ぎるせいか糖
尿病も…」と苦笑する棟方院長
いて驚いていました。
加計呂麻島で訪問診療を行う平島所長
棟方隆
帯広徳洲会病院院長
地域特性の理解が重要
月曜日
10 月 21日
900
21/OCT.2013 No.
500人の島
総 力 特 集
離島・へき地医療
生 命だけは平等だ
い の ち
聞
新
洲
徳
❶ 平成 25 年 10 月 21日 月曜日│No.900
徳洲会の原点を追う―
離島・へき地医療 最前線