「かかりつけ歯科医」機能の議論が始まる

第798号(第三種郵便物認可)
2015年8月10日(8)
歯 科 の ペ ー ジ
お問い合わせは
2016年診療報酬改定(歯科)
TEL(086)277-3307
FAX(086)277-3371
中医協(7/22)歯科医療についての課題と論点を提示
「かかりつけ歯科医」機能の議論が始まる
中医協(2015.7.22)資料より抜粋
7月22日に開催された中医協(中央社会
保険医療協議会)の総会で、2016年度診療
%
報酬改定に向けた歯科医療についての課
歯科における年齢別(4区分)患者数の割合
100
80
題と論点が提示された。概要を紹介する。
10.5%
30.4%
12.3%
32.1%
13.4%
33.8%
15.9%
35.8%
60
主な議題
40
1)歯科医療を取り巻く現状等について
20.6%
23.9%
36.7%
35.2%
44.2%
41.4%
38.8%
0
おける歯科の対応
①周術期口腔機能管理等の医科歯科連携
14.2%
S59年 S62年
33.8%
65歳以上
35.9%
33.6%
31.7%
45〜64歳
14.1%
11.1%
9.0%
H2年
H5年
H8年
31.2%
29.2%
27.7%
9.1%
8.1%
9.4%
15〜44歳
25.7%
23.3%
8.6%
8.0%
0〜14歳
H11年 H14年 H17年 H20年 H23年
◆レセプト1件あたりの診療行為の構成割合
の推移では、各年齢層で「歯冠修復及び欠損
の推進
補綴」が減少し、
「処置」が増加。
②主治の歯科医師機能の評価
中医協(2015.7.22)資料より抜粋
3)口腔疾患、口腔機能低下への対応
歯科治療の需要の将来予想(イメージ)
②う蝕や歯周疾患の重症化予防の推進
従来の需要
健常者型
う触
2次う触
歯の形態の回復
修復治療
抜髄
>口腔機能の回復
う触
減少
現在と今後の需要
抜髄
2次う触
の割合は年々減少し、H24年度で約7%。
総義歯
治
低下
度の
自立
の
齢者
高
◆この1年間に医療機関を受診した者の割合
な疾患
全身的 ・副作用含む)
症
(合併
腔内の変化
加齢による口
歯の喪失のリスク増加
は81.0%。受診した際の傷病名で最も多い
超高齢社会の進展
のは「歯の病気(むし歯を含む)」で41.0%。
※歯科医療サービスの提供体制の変化と
今後の展望
医療機関を受診した際の傷病名(上位5つ)
①歯の病気
41.0% ②高血圧
③急性鼻咽頭炎 19.5%
⑤花粉症
④目の病気
外来患者
化
スク容も変
・リ の内
難度科治療
の
歯
療
部分床義歯
在宅・入院患者
◆国民医療費に占める歯科医療費(約2.7兆円)
>歯の形態の回復
加
の増
歯の形態回復を主体とした医療機関完結型
の歯科医療
20.0%
18.5%
12.5%
歯の形態回復に加え、口腔機能の維持・回復
の視点も含めた地域包括ケア(地域完結型
医療)における歯科医療提供体制の構築へ
◆3歳時のう触歯数は平成元年の2.90本から
平成25年度の0.63本へと減少。12歳児のう
触歯数も4.30本から1.05本へと減少。
中医協(2015.7.22)資料より抜粋
◆1人平均現在歯数は全ての年齢階級で増加
傾向。特に高齢者における増加が顕著。
歯科医療サービスの提供体制(2025年のイメージ)
◆歯周病罹患率は64歳までは減少傾向だが高
地域住民を主体として
各関係機関が連携を強化
齢者では増加傾向にあり、75歳以上で顕著。
◆1人平均DMF歯数は全ての年齢階級で減少
歯科診療所
(歯学部附属病院等と
適宜連携)
傾向。特に30歳未満の減少が顕著。
◆1人平均処置歯(F歯)数の割合は45歳以上
にあり、特に45歳以上で顕著。
◆歯科受診患者の年齢傾向は若年者が年々減
少し高齢者の割合が増加。H23年では歯科
受診患者の3人に1人以上が65歳以上。
参加者募集
歯科医院スタッフのための
受け入れ体制が確保できていない」43.1%
約8割が「効果があった」と回答。
◆患者のかかりつけ歯科医院と連携していな
い歯科を有する病院の約80%が「今後連携
(リハビリテーション病院における連携)
◆リハビリテーション病院において、退院時カ
ンファレンスへの歯科医師、歯科衛生士の参
加がない病院は約70%。約90%の病院が歯
科医師等へ参加を呼びかけていない。
◆歯科治療の必要性や医科歯科連携の必要性
については90%以上の病院が必要と回答。
(参考・介護保険施設における歯科との連携)
◆4割の介護保険施設が歯科医師に行って貰
いたい業務があると回答。うち約4割が定
期的なカンファレンスへの参加を希望。
協力歯科医療機関に行って貰いたいが
行われていない業務(上位5つ)
②定期的なカンファレンスへの参加 42.5%
③歯科健診 31.7%
④入所者の食事に関する相談 26.7%
⑤歯科に関する情報提供 11.8%
介護保険施設
各ライフステージや
様々な身体の状況な
ど、患者像に応じた、
きめ細やかな歯科保
健サービスへの転換
理由の1位は「連携を行う際の歯科医師の
①摂食嚥下障害の治療 43.5%
医科医療機関
で増加傾向。
◆1人平均喪失歯(M歯)数の割合は減少傾向
◆病院(医科)が歯科医師と連携していない
回答がそれぞれ約6割を占める。
口腔機能の回復
ブリッジ
歯科医師と連携している。
問題であり、歯科診療所も行うべき」との
高齢者型
抜歯
◆約40%の病院において、院内または院外の
ではマンパワーが足りない」、
「歯科全体の
減少
クラウン
1)歯科医療を取り巻く現状
いるが、病院併設歯科が大部分を占める。
したい」と回答。理由としては「病院歯科
う触なし
修復治療
・・・
歯科治療の需要
①口腔機能に着目した評価
(周術期口腔機能管理を巡る医科歯科連携)
◆歯科との連携を行っている病院(医科)の
75歳以上では「在宅医療」の伸びが顕著。
③全身的な疾患を有する患者等への対応
①周術期口腔機能管理等の医科歯科連携の
推進
◆周術期口腔機能管理の算定回数は増加して
32.3%
37.2%
33.6%
14.9%
28.9%
35.5%
20
2)地域完結型医療(地域包括ケア)に
27.3%
2)地域完結型医療(地域包括ケア)
における歯科の対応
②主治の歯科医師機能の評価
◆20歳以上において「かかりつけ歯科医」を
地域包括支援センター
(高齢者の地域ケアの
中核拠点)
保険点数基礎講座
アドバンスコース のご案内
上級講座
全 1 回
保険ルールと患者さんを守りつつ、なるべく「効率よく・たくさん」
診療しよう。個別指導や監査による破滅から身を守ろう。
決めている人は70.2%。
注)調査票には「かかりつけ歯科医」の定義なし。
7ページに続きます ▼
日
とき:8月23日 午後2時∼午後4時30分
ところ:第一セントラルビル2号館(岡山市北区本町6-36)
講師:暮石 智英 歯科医師(協会理事/指導・監査対策室長)
参加費無料(会員医療機関限定) 定員:50名(先着)
※ 保険点数基礎講座(5回コース)を未受講の方もご参加頂けます。
※ 詳しくは本紙折込の案内チラシをご覧下さい。
(7)2015年8月10日
(第三種郵便物認可)第798号
歯 科 の ペ ー ジ
2016年診療報酬改定(歯科)
「かかりつけ歯科医」機能の
議論が始まる
8ページからの続き▼
◆「歯や歯肉の健康を保つために行っている
こと」の質問項目に「歯科医院で定期的に健
診を受けている」、
「歯科医院で歯石除去や
歯のクリーニングを受けている」との回答
がそれぞれ約28%を占める。
お問い合わせは
TEL(086)277-3307
特別対応に係る診療報酬項目と算定状況
◉診療内容に関する評価
(レセ10万件あたりの回数)
1)歯科診療特別対応加算
・初診料算定時に加算 130.3回
・再診料算定時に加算 894.0回
・歯科訪問診療料算定時に加算 1,662.2回
2)初診時歯科診療導入加算 85.1回
3)歯科衛生実地指導料2 131.3回
◉連携に関する評価 注)診療情報提供料(Ⅰ)への加算
4)歯科診療特別対応連携加算 1.2回
5)歯科診療特別対応地域支援加算 0.05回
(全身的な疾患を有する者への対応)
歯や歯肉の健康を保つために行っていること
◆歯科治療総合医療管理料の算定はH24年に
①1日1回は十分な時間(10分間程度)を掛けて
(歯科医療の総合的な環境整備に関する評価)
(上位5つ)
丁寧に歯みがきをしている 35.1%
②デンタルフロス(糸ようじなど)や歯間ブラシを
使っている 34.3%
③フッ素(フッ化物)入りの歯みがき剤を使って
いる 28.3%
④歯科医院で定期的に健診を受けている 28.1%
⑤歯科医院で歯石除去や歯のクリーニングを受
けている 27.8%
◆「かかりつけの歯科医」の選択理由と歯科
医師・歯科医院への期待、要望(下表参照)
かかりつけ医を選んだ理由理由(上位5つ) ①近所や通勤・通学の途中など、通院に便利な
場所にあるから 35.1%
②歯科医師の治療技術に満足しているから
一度減少したが、近年は増加傾向にある。
◆歯科外来診療環境体制加算の届出数は増加
しているが、全体の約12%に留まる。
地域包括ケア(地域完結型医療)への
対応の課題と論点(要旨)
①チーム医療の推進や歯科医療の機能分化の
観点から、周術期口腔機能管理における医
療機関間の連携をどう考えるか。
②地域包括ケアにおいて適切な歯科医療の提
供のため、主治の歯科医師の機能や役割を
どう考えるか。
③患者にとってより安全で安心な歯科医療の
提供のため、特別な対応が必要な患者や全
④昔から通っているから 16.8%
⑤歯科医師の対応や人柄が良いから 15.2%
歯科医師・歯科医院に期待すること(上位5つ)
①治療技術が高いこと 59.7%
②治療費の負担が低いこと 54.9%
③治療が痛くないこと 47.3%
④治療にかかる期間や回数が短いこと 38.5%
⑤治療内容についてわかりやすく説明してくれ
ること 36.9%
(かかりつけ歯科医の効果について)
◆2∼18歳の患者では、フォローアップ回数
が10回を超えると、1回に比較して有意に
新しいう蝕が出来にくくなっていた。
◆65歳以上では、3年以上同じ「かかりつけ
環境の整備をどう考えるか。
満となるリスクが高くなっていた。
③全身的な疾患を有する患者等への対応
(特別な対応が必要な患者への対応)
◆連携に対する評価である歯科診療特別対応
連携加算と、歯科診療特別対応地域加算は
ほとんど算定されていない。
歯科診療特別対応連携加算の届出数は全体
の約1%に留まる。
◆40∼44歳までは、う蝕により抜歯に至った
ケースが歯周病よりも多い。50∼54歳以降
では、歯周病が原因の方が多い。
◆メインテナンス移行後の患者の抜歯要因は
歯周病によるものが最も多く43.9%。
抜歯と関連する要因では「不定期来院」が
高いオッズ比を示している。
◆現在のSPTは中等度以上の歯周病に限定。
◆未処置の根面う蝕は、有意に歯の喪失リス
クになることが示されている。
※初期う蝕に対する新たな考え方
(これまでの考え方)う蝕は非可逆的に進行:
う蝕になったら回復は困難。
(これまでの考え方に加えた新しい考え方)
初期う蝕は可逆的変化:適切な管理による
再石灰化で健全な状態に回復する可能性。
口腔疾患、口腔機能低下への対応
の課題と論点(要旨)
①口腔機能の評価、口腔機能の獲得・成長発
育、維持・向上(回復)の観点に着目した歯
科治療について、どのような対応が考えら
れるか。
②口腔疾患に対する重症化予防の観点から、
歯周病、う
等に対する歯科治療について、
どのような対応が考えられるか。
中医協(7/22)での主な議論
3)口腔疾患、口腔機能低下への対応
▷医科は前回改定で主治医機能が導入された
が、厳しい要件設定がされた。かかりつけ
歯科医の要件や基準を議論すべき。次回改
①口腔機能に着目した評価
◆70歳以上では、噛んで食べることができな
い者ほど低栄養傾向にある。施設入所高齢
者の48.4%に唾液分泌量の低下が認められる。
◆薬剤全体の約1/4(約600品目)に口渇、口
内乾燥、唾液分泌減少の副作用や、高血糖、
脱水など口腔乾燥症状を引き起こす可能性
のある副作用がある。
先進医療に導入されている口腔機能の評価方法
※有床義歯補綴治療における総合的
合・咀
嚼機能検査…咬合や咀嚼機能の状態を3次
元的かつ定量的に評価し、より的確な有床
義歯治療を行うことができる検査法
口腔機能の
総合的な評価
歯科医」がいない者は、現在歯数が20本未
②う蝕や歯周疾患の重症化予防の推進
身疾患を有する患者等への対応、歯科外来
22.6%
③歯科医師が信頼できるから 17.3%
FAX(086)277-3371
中医協(2015.7.22)資料より抜粋
定は在宅での医科歯科連携や訪問看護との
連携が焦点(白川委員/支払側/健保連副会長)
▶かかりつけ歯科医機能は、在宅や口腔機能
改善が介護予防に繋がることなども含めて
検討すべき。特定健診等もかかりつけ歯科
医機能の中で活用してはどうか(遠藤委員/
診療側/日歯常務理事)
▶周術期口腔機能管理の依頼は手術1週間の
ケースが多い。回復期∼慢性期に歯科との
関係が途切れてしまうケースもある。かか
りつけ歯科医機能と絡めた制度設計にすべ
き。現状では歯科のある病院への訪問診療
が認められていないことも含め、病院歯科
との連携には工夫が必要(遠藤委員)
▶歯周病について、SPTは有効だが、算定に制
限がある。高齢の患者は歯周外科を選択し
ないこともあるため、患者にあった維持管
咀嚼運動の記録・分析
咀嚼能力の測定
◆特養の要介護高齢者にお
▷口腔機能低下への対応については医科歯科
他職種連携の視点で総合的な検討を (鈴木
いて、むせや食べこぼし、
委員/診療側/日歯常務理事)
低栄養状態のリスクがあ
▷口腔乾燥症については医歯薬の連携でしっ
る者の舌圧は、そうでな
い者より有意に低い。
理のあり方を検討すべき。(遠藤委員)
かり取り組みたい (安部委員/診療側/日薬
舌圧測定
常務理事)