よくある誤り

2014 年度後期 有機化学1 第15回 「有機金属化合物の反応・多段階合成」復習問題
(R)
Br
Li
CN
O
Br
Br
Br
(ラセミ体) (ラセミ体)
CH3OCH3 CH3CH2NH2
SCH3
O
よくある誤りについて解説します。
(2) Br
ONa は E2 反応が優先するため不可。Br
+
+
OH の SN1 なら一
応よしとする。これでも E1 は競争すると思うが
(4)
H2
Lindlar
C C
は誤り。Lindlar 触媒による部分水素添加は cis-アルケ
ンを選択的に生成する。
Br
Br2
((3)と(4)を同時に答えたつもり)という解答は
+
Br
Br
Br
二重に誤っている。まず、Br2 の付加は立体選択的なので、左の化合物しか得られない。さら
に、仮に2つの化合物が両方生成したとしたら、それは(3), (4)の化合物をそれぞれ合成する
経路としては適切とは言えない。選択的に合成する手段がないか考えること。
(6) CH3S–(または CH3SH, CH3SNa)を説明無しに使う人が多い。これは「無機試薬」では
ないので、決められた制約を守っていない。また、TsCl も有機試薬なので、この課題では使
うことはできない。
(7)
C C
の水和は 3-ペンタノンを副生するので不可。
–
(9) CH3CH2Br + NH2 という解答がたいへん多かった。間違いとは言えないが、この場合は
NH3 で十分反応するので、必要以上に強い求核剤を使うことは望ましくない。また、生成し
た CH3CH2NH2 がさらに CH3CH2Br と反応することを避けるため、過剰量の NH3 を使う必要
がある。
(そういう意味では、この合成経路も「適切」とは言えない。一級アミンを選択的に合成す
るには Gabriel 合成など工夫された経路が本来必要である。しかしながら、ここでは過剰量
の NH3 との反応でもよしとする。)