7.気体 (2)気体の性質 均一に混ざる 気体中の分子同士が離ればなれ 圧縮できる 分子間力がほとんどない 圧力がある 気体分子が飛び回り,容器の壁にぶつかっている. 気体分子自身の体積は, 気体の体積の0.1%以下 99.9%以上が空っぽ 固体や液体では, 体積の約70%が 分子自身の体積 (1)空気 地球の大気 現在の地表の大気 成分 体積% N2 78.08 O2 20.95 Ar 0.93 CO2 0.0385 Ne 0.00182 He 0.00052424 CH4 0.00017 Kr シアノバクテリアの 光合成(酸素の発生) 葉緑体の起源 葉緑体 植物細胞 0.000114 H2O 40K 40Ar (EC壊変) 40K 40Ca(β-壊変) EC(電子捕獲) p + e- n + ν 細胞膜 細胞壁 CO2は海洋に吸収され Caと反応して炭酸塩となった. 0~4% 39K : 40K : 41K= 93.2581 : 0.0117 : 6.7302 36Ar : 38Ar : 40Ar= 0.3365 : 0.0632 : 99.6003 (3)大気圧 圧力=単位面積当たりに働く力 1 Pa(パスカル)= 10.2mg / 1 cm2 指先にのせた1円硬貨 ≒ 100 Pa = 1 hPa 1atm = 1013 hPa = 760 mmHg (気圧) (ヘクトパスカル) (mm水銀柱) 100 m 高度が上がると 12 hPa 下がる. ほぼ真空 トリチェリの水銀柱 片方を閉じたガラス管に水銀を詰め, 水銀を満たした皿の上でひっくり返す. 760 mm ここまで 下がる 大気圧 水だと 約10 m 大気圧と水銀柱による圧力がつり合っている. (4)気体の圧力と分子運動 気体 大気圧と気体の 圧力の差 マノメーター 気体 モル質量 平均速度 H2 2.0 1960 He 4.0 1360 H 2O 18.0 650 N2 28.0 520 O2 32.0 490 CO2 44.0 415 25℃での平均速度(m/s) Xe Ar Ne He Maxwellの速度分布 気体の分子運動論 気体分子1個の質量 m 分子の速さ v 分子の総数 N まず,X軸に沿った速度 vx の運動を考える 容器内を往復して同じ壁に衝突するまで, 分子は 2L の距離を進む。 一辺の長さ L の立方体の容器 体積 V = L3 2L / vx 時間ごとに1回,同じ壁に衝突している。 衝突の前後の運動量の変化は mvx - (-mvx)= 2mvx 圧力 P = N・F / L2 (単位面積当たりの力) 単位時間当たりの運動量の変化が力になる = N・1/3 ・m<v2> / L ・L2 F = m (dv/ dt) = dp / dt = N・1/3 ・m<v2> / V (ニュートン方程式) F = 2mvx / (2L / vx ) = mvx2 / L X軸方向での衝突による力 N個の粒子が様々な速度で運動しているので平均を考える。 <vx2> = <vy2> = <vz2> = 1/3 <v2> <v2> = 3PV / Nm = 3P / d 密度 d = Nm / V 気体の圧力と密度から 分子運動の速さが分かる。 (5)気液平衡と蒸気圧 低 温 蒸発 この気体の圧力を飽和蒸気圧という 高 温 温度が高いほど 飽和蒸気圧も高い 蒸発する分子の数=凝縮する分子の数 平衡状態 見かけ上蒸発しない 液体がわずかに残る 程度のエタノールを入れる. エタノールの 飽和蒸気圧 (6)沸騰 加熱 液体の一部分 液面からだけでなく,液体内部からも蒸発が起こる現象 液体内部の蒸発で できた微小な泡 この泡が大気圧で 潰されないための条件 蒸気圧が 大気圧以上 大気圧が低ければ, 低い温度で沸騰する. 大気圧が高ければ, 圧力鍋 高い温度で沸騰する. 核沸騰 膜沸騰 ライデンフロスト点 過熱温度 (加熱体の温度と沸点の差) (7)気体の法則 Tとnが一定のとき 体積は圧力に反比例する. (ボイルの法則) 体積 例えば 固体や液体とは異なり,気体は,その化学的組成とは関係なく 非常に類似した物理的性質を示す. Pとnが一定のとき 体積は温度に比例する. (シャルルの法則) TとPが一定のとき 体積は物質量に比例する. (アボガドロの法則) 温度に比例して体積は減少していくが, -273℃でゼロになる. 到達可能な温度の最小値が存在する. シャルルの法則 絶対零度 絶対零度を0にした 温度がケルビン温度 0 ℃=273.15 K 圧力(P),温度(T) 体積(V),物質量(n) の4つの変数の間の関係 R:気体定数 全ての気体で同じ値 8.3145 J/(K・mol) 気体の法則 PV=nRT この法則に厳密に従う 気体を「理想気体」と呼ぶ. (8)実在気体 実在気体の振舞いは,理想気体と少しだけ異なる.(特に高温の場合) これは,気体分子は,小さいといえども有限の大きさがあるため. 原因 気体分子自身の体積 気体分子間に働く引力 (Van der Waals力) ファンデルワールスの方程式 an 2 P + 2 (V − nb ) = nRT V 引力により圧力が 小さくなる分を足す 体積が大きく なる分を差し引く a と b :気体によって決まる補正因子(Van der Waals定数) Van der Waals力に関係する定数 分子の大きさに関係する定数 これらは,臨界定数(臨界温度や臨界圧力など)から算出できる。 (9)気体の拡散 気体同士が接触すると混じり合う 小さな穴から真空中へ出て行く(噴散) グラハムの法則 1 軽い分子ほど 速度 ∝ m より速く噴散する 拡散(diffusion) 気体の平均運動エネルギー 1/2 m<v2> = 3/2 R/NA T 温度で決まる <v2> = 3PV / Nm PV=nRT 天然ウラン 235U:238U=0.72:99.28 n = N/NA 235Uを3%まで濃縮 UF6(六フッ化ウラン, bp 56℃)にして噴散 235UF の方が 6 238UF よりも1.0043倍速い. 6 Fの安定同位体は19Fのみ この差を 利用する. 減圧 速いほど細孔を通る 確率が高い 細孔(80~100Å)隔壁 大気中オゾンの垂直分布 O3 ozone スペースシャトルは、高度300km位を飛行 語源は,ギリシャ語の 「οζειν」臭うもの 酸素に無声放電や紫外線の 照射を行なうことにより発生 (コピー機の生臭い匂い もオゾンが原因) 高い反応性により, 消毒や脱臭に利用されている. 熱圏 温度 オーロラの発生 高 度 (km) 大気はここまで 中間圏 オゾンの濃度 成層圏 オゾン層 対流圏 温度 (K) オゾンの生成 hν (< 240nm) O2 O3 2O O2 + O3 O オゾンの分解 O3 hν (< 330nm) O2 + 破壊のメカニズム フロンは成層圏で壊れ、塩素原子を放出する. CCl3F CCl2F + Cl 塩素原子はオゾンを連鎖反応的に分解する O3 + O Cl + O2 O Cl + Cl O Cl + O2 O 2 O2 O オゾンの働きは、生成と分解を通して 有害な紫外線を吸収すること hν + 紫外線の影響:DNAの損傷(チミン2量体の生成) この部分が くっつく O NH N O O P O O H H O H H O P O O 紫外線 NH H O N O O NH - H H O N N 修復酵素 OH HN H H O O O O O HN O - O N H O O N N これらの構造はDNAの複製の妨げとなるが, それぞれを修復してもとに戻す酵素がある!
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