2015年度大学入試 受験生の傾向 ~高校教員アンケート結果より - Kei-Net

2015年度入試情報
2015年度大学入試 受験生の傾向
~高校教員アンケート結果より
2015/1/13
河合塾では進路担当の高等学校教員を対象に今年の受験生の志望校や進路選択における傾向についてアン
ケート調査を実施した。下記にその結果をまとめた。
■推薦・AOを積極利用したい受験生は増加傾向、新課程入試初年度でリスク敬遠
河合塾では、昨年の 10 月はじめから 12 月中旬にかけて、全国 60 会場で進路指導に携わる高等学校の先生
を対象とした入試動向説明会を実施、その会場で受験生の進路選択の意識変化についてアンケート調査(文末※
参照)を行った。
<グラフ1>は、今年の受験生の志望校選定に関する傾向などについて質問した結果である。「①推薦・A
O入試を積極的に利用したがる志向」では、
「強まっている」
「やや強まっている」を合わせた「強まる」傾向
が6割を占めた。今春入試は新課程初年度であり、変化に伴うリスクを敬遠し、できることなら一般入試まで
待たずに早く進学先を決めたいと考える傾向が例年以上に強まっている感がある。
「②チャレンジ志向(目標を高く設定する傾向)」では、
「変化なし」が 40%で最多であるものの、「弱まっ
ている」
「やや弱まっている」が合わせて 38%、
「強まっている」
「やや強まっている」が 22%と回答は割れて
いる。
「弱まる」傾向が「強まる」傾向を上回っていることから、
「無理をしない」受験生の増加をうかがわせ
るものの、一方で逆の動きを感じる先生も2割に上ることから一概に安全志向が強まっているとはいえないだ
ろう。なかでも首都圏は「強まる」傾向は合わせて 34%と他地区と比べて高くなっている。
<グラフ1>志望校・受験校選定における受験生の傾向について
-1©Kawaijuku Educational Institution.
「③就職を意識した学部系統選びをする傾向」では、
「強まっている」
「やや強まっている」の回答が合わせ
て 60%を占める。前年の同調査と比較すると「強まる」傾向は 5%ダウンし、「変化なし」が増加している。
河合塾が実施している模擬試験の志望校調査においても、医療系を中心に資格を取得できる学部の人気は相変
わらず根強いが、一方で文系の一部学部で人気回復の兆しが見られるなど、系統人気にやや変化が見られ、こ
れも影響していそうだ。
「④通学可能な範囲の大学を選ぶ志向」は「強まっている」「やや強まっている」の「強まる」傾向が6割
近くを占める。下宿代など学費以外にお金のかかる遠方の大学を敬遠する動きはまだ根強い。ただし、全国的
には「強まる」傾向の回答が多いが、北海道、北陸、中国地方などでは昨年より数値がダウンしており、地元
に大学が少ない地方では通学圏外の大学に目を向ける受験生が出始めている様子がうかがえる。なお、首都圏
(64%)、東海地区(65%)、近畿地区(63%)では他地区より「強まる」傾向が強い。都市部では「通学のし
やすさ」が大学選択においてより重視されていることがわかる。
「⑤大学・短大より専門学校を選ぶ傾向」は「変化なし」が6割を占めており、先生が大きな変化を感じて
いない様子がうかがえた。ただし、この項目は地区によって回答状況に差がある。
「弱まっている」
「やや弱ま
っている」の「弱まる」傾向が首都圏(44%)、近畿(33%)では高く、短大を含めた「大学」への進学志向
が強い状況がうかがえる。一方、北陸、九州など地区によっては「強まる」傾向が「弱まる」傾向を上回ると
ころもみられた。
「⑥外部英語試験の活用」は受験生の傾向ではなく、今春は一般入試で英検や TOEFL など外部英語試験を利
用する大学が広がっていることから高等学校での取り組みについて聞いたものである。活用を「指導している」
「指導していない」はほぼ半々に分かれた。外部英語試験の活用が注目されてきたのは最近であり、それが回
答が分かれた要因であろう。なお、外部英語試験を大学入試に活用する動きは今後も広がりを見せそうである
ことからも、高等学校での指導は拡大していくものと思われる。
■「奨学金の活用を考える生徒」の増加は7割以上の先生が実感
<グラフ2>は進路選択や奨学金の活用についてである。
「⑦進路選択・決定における保護者の意向」は「変
化なし」が 51%、
「強まっている」
「やや強まっている」を合わせた「強まる」傾向が 46%で、
「弱まっている」
「やや弱まっている」の「弱まる」傾向はほとんど見られなかった。子どもの進路決定に深くかかわる保護者
が増えていることをうかがわせる。
「⑧奨学金・奨学金制度の活用を考える生徒」では、
「増えている」
「やや増えている」を合わせた「増える」
傾向が 73%を占める。また、「⑨家庭の事情で大学への進学自体を見直す生徒」は6割以上が「変化なし」と
なっているものの、
「増えている」
「やや増えている」の「増える」傾向も合わせて3割を占めており、依然と
して経済環境の厳しさが高校生の進学に影響を与えている様子がうかがえる。
<グラフ2>就職環境・家庭環境による進路選択の変化と奨学金の活用について
※アンケート概要
実施期間:2014 年 10 月~12 月
対象:高等学校教員
回答者数:2,821 名(文中のグラフはこのうち未回答者を除いて集計)
-2©Kawaijuku Educational Institution.