電磁気学 II (14年度) 期末レポート問題(改定版)

 電磁気学 II (14 年度) 期末レポート問題(改定版)
(レポート提出: 1 月 14 日の授業時)
1. 講義でたびたび登場した, 地上に静止した慣性系 Σ と, これに対して u の速度で直線上を運動
する電車の中の別の慣性系 Σ0 を考える. 相対性理論では, Σ0 から見て同時に, しかし距離 L0 だけ
離れた 2 点で起きた二つの事象は, Σ から見るともはや同時ではない. Σ から見た時の二つの事象
の時刻の差を求めなさい. 講義で述べた様な電車の真ん中で左右に向け発せられた閃光 (flush) を
用いて考えても良いし, あるいはローレンツ変換の式を用いても良い.
2. 相対性理論における「動いている時計の遅れ」とはどの様な事か述べなさい. 速さ u で運動
する時計は, 静止していた時に比べどれ位遅れるか(事象の間の時間間隔が何倍になるか)求めな
さい. 結果だけでなく, そうなる理由を説明しなさい. 説明には, 講義で用いた様な閃光が上下の
鏡の間を往復しながら時を刻む時計を用いても良いし, ローレンツ変換の式を用いても良い.
3. 地上に静止した慣性系 Σ から, これに対して u の速度で直線上を運動する電車の中の別の慣
性系 Σ0 へのローレンツ変換は x − ut
x0 = √
2
1 − uc2
t0 =
t−
√
1
ux
c2
2
− uc2
.
で与えられる. これに関する以下の小問に答えなさい. (1) ローレンツ変換の関係式から x0 = 0 は x = ut に相当する. これは考えてみると当然の事と言
えるが, その理由を簡潔に述べなさい.
(2) 慣性系 Σ からみて x 軸の方向に光速度 c で直線的に運動している粒子があるとする. この粒
子の事象を表す時空座標 (t, x) は x = ct を満たす. この時, 上記のローレンツ変換の関係式を
用いて, 慣性系 Σ0 から見ても粒子はやはり光速度で運動することを示しなさい.
(3) 世界間隔の 2 乗 (Σ においては S 2 = −(ct)2 + x2 ) はローレンツ変換しても不変であること, 即
ち S 02 = S 2 を示しなさい.
4.
講義で導いた相対論における「速度の合成則」
v1 + v2
v=
1 + v1c2v2
に関する以下の小問に答えなさい。
(1) v1 = v2 = 0.7c であるとする. この時, (a) 古典論における速度の合成則, (b) 上の相対論にお
ける速度の合成則を用いて, 合成された速度 v をそれぞれ求めなさい.
(2) v2 = c の場合に v を求めなさい.
(3) 0 < v1 < c, 0 < v2 < c の時 0 < v < c であることを証明しなさい.
5. 相対論では, 物体の質量 m は(あたかも)その速さ v と共に大きくなる: m = √m0
2
1− v2
c
静止質量). また, 物体の運動量とエネルギーは, この m を用いて
p~ = m~v , E = mc2
(m0 :
と与えられる (v = |~v |). 以下の小問に答えなさい.
(1) 上の関係式から, E と p = |~
p|, m0 の間の関係式 E =
√
c2 p2 + m20 c4 を導きなさい. (2) (1) で導いた関係式から
, 古典論に帰着する
cp ¿ m0 c2 の場合について E の近似式を求めなさ
√
√
cp 2
cp 2
2
2
い (E = m0 c 1 + ( m0 c2 ) とし, 1 + ( m0 c2 ) を ( mcp
2 ) ¿ 1 についてテーラー展開し, 最初
0c
の 2 項だけを残す).
6. 講義で解説した時空ダイアグラムについて考えてみよう. 下図 (Figure 1) において, 直交座
標系と斜交座標系では 1 目盛の長さが違う. この違いについて考えてみよう. x0 軸上の目盛 1 の点
P の直交座標系からみた時刻 tP を求めなさい (ヒント: 原点 O と点 P はいずれも x0 軸上にある
ので, Σ0 から見ると同時に, しかし距離 1 だけ離れた 2 点で起きた二つの事象を表す). また, この
結果から斜交座標系における1目盛の長さを直交座標系から見た時の長さ (つまり直交座標系から
見た線分 OP の長さ) を求めなさい. なお講義で述べた様に, 直交座標系, 斜交座標系は, それぞれ
静止した慣性系 Σ とこれに対して u の速度で運動する慣性系 Σ0 の時空座標 (t, x), (t0 , x0 ) を表し
ている.
Figure 1: