KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL 13. ZrO_Sの合成と生成物の特性(大阪大学基礎工学研究科 物理系専攻物性学分野,修士論文題目・アブストラクト (1986年度),その2) 服部, 圭 物性研究 (1987), 48(5): 628-628 1987-08-20 http://hdl.handle.net/2433/92713 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 大阪大学基礎 工学研 究科物理 系 専攻物性学分野 13. Zr OSの合成 と生成物 の特性 服 部 圭 ・ MOx・ Syの組成 を持つ化合物 には特徴 のある性 質 を示す ものが多 く,例 えば Y 202S の様 に 既 に蛍光母 休 として実用化 された もの もある 。 ここに と りあげた M-Zrの組成 を持つ ZrOS には立 方晶 ( C-ZrOS)及 び正 方晶 (t-ZrOS)の二相 の存在が知 られてい る 。 この内, C- zrosの構造は決定 されてい るが物性については情報 も乏 しく, 卜 ZrOSは生成条件,結晶 構造 も明確でない部分が多い。そ こで我 々は, C-ZrOSに関 しては光学 測定 を通 してその蛍 光母 体- の可能性 を検討 し, t -ZrOSに関 しては合成法及 び精密な結晶構造 にっ いて の実験 を行 った。 発表では, この内 C-ZrOSに Euを ドープ した ものの光学特性 について報告す る。 Eu3+は [Kr]4dlO4f65S25p6 の電子配置 を持 ち, 固有 の光学遷移は 5S,5p に シール ドされた内殻 の 4卜 4f間で起 こる。 卜 f遷移は自由イオ ンに対 して紘,偶奇性選択則 によ り 禁制であるが, 反転対称 のない結晶場 の中におかれ るか,奇 の偶奇性 の振動モー ドが結合す る こ とによって許容 になる。 C-ZrOS格子内の Zrのサイ トは反転対称性 を持たない。 このた めその吸収 ・発光は固 体内にお いて も周囲の環境の影響 をあま り受 けず ア トミックな線状スペ ク トル を示す こと, また内殻 であるために格子 との相互作用が弱 くかな り高温 まで温度消光 を 受 け難 いことが期待 され た。 ところが,今回観測 した C-乞ros: Euでは発光は液 体 He温度 か ら室温 にかけて形状 に変 化 な く Eu3十によるア トミックなスペ ク トル を与 えるが, 吸収はブ ロー ドであ り, また 100K 以上 とい う低温か ら温度消光によ り発光強度,発光寿命共 に減少す る とい う結果が得 られた。 吸収がブ ロー ドな理 由 としては,吸収が Eu3 ナその ものによるのではな く, 4価の Zrの位 置に 3価の Euが 置換す るこ とによ り,必然的 に導入 された欠陥による ものであることかが一 つ の可能性 として考え られ る。発光寿命の温度変化 の解析 か ら, 温度消光- の活性化 エネル ギ ーは 60meV と求 め られ た。 また 100K と言 う低温で温度消光 を起 こす にも拘わ らず発光スペ ク トルの形状 が変化 しないこ とを説明す る適 当な理 由は,通常考 え られ る発光 の始状態 と,終 状態 のポテ ンシャルが交わ って いる ものでは説明できないので,現在検討中である 。 -628-
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