栃木県農業試験場
研究成果集第31号
いちごの空中採苗後の挿し苗方法と遮光方法の違いが
苗の活着に及ぼす影響
丁.試験のねらい
いちごは、採苗仮植後に高温が続くと根の活着が不良になる。近年は猛暑傾向であり、特に空中
採苗では活着不良や灌水過多による苗質の低下が問題になりやすい。そこで、空中採苗した苗の挿
し苗方法および遮光方法が仮植後の苗の活着に及ぼす影響にっいて検討する。
2.試
験方法
品種はとちおとめを用い、処理は挿し苗方法2水
準と遮光方法4水
準を組み合わせた8処理とし
た。挿し苗方法は慣行のランナーピンでクラウン部を押さえる「ピン挿し」と、親株方向のランナ
ーを2cm程度残して培地中に差し込むfへそ挿Ljと
した(図一
一1)
。仮植後の遮光方法は下表の
とおり、猛暑対策として遮光率の比較的低い資材で育苗期間中継続して遮光する処理を設けた。平
成23年7月15日
に鹿沼土とくん炭の混合培地(容
積比2:1)を
ぞれの挿し苗方法で採苗仮植した。雨よけ資材は農POと
の施肥は錠剤型肥料を用い、窒素成分で7月22日
詰めた24穴すくすくトレイにそれ
し、遮光資材で二重被覆とした。育苗中
に株当たり4◎mg、8月3日
に20mgを施用した。育
蔵期間中の葉数は3枚程度に適時整理した。
処理内容
遮光方法
挿し苗方法
採苗後1週間
Aメ
ピン挿し
ガクールネット(4e%)一
Bワ
×Cワ
へそ挿し
注2.「
行]遮
メガクールネッNお
2.活
3.0内
3.試
D[慣
採苗後1週間以降
メガクールネット(4◎%)
ワリフ開演(2㈱
リフ明涼(2◎%)
一
リフ明涼(30%)
一・ワリフ明涼(30%)
一
光ネット(6◎%)
難遮光
よび「ワリフ明涼」は熱線を選択的に遮蔽する資材。
着後のメガクールネットの被覆は8月
中旬以降とし、それまでは無遮光とする。
の数字は遮光率を示す。
験結果および考察
(1)平成23年度の育苗期間中の平均気温は概ね平年値よりも高かったが、7月
活着不良等の影響は出にくい状況であった(表
一1)。
下旬は気温が低く、
各遮光資材下での気温・培地温度は、慣
行の6◎%遮光が最も低く、遮光率2◎%∼40°/・
の資材では大きな差は見られなかった(図一2、3)。
(2)採
苗1週
間後の発根数は、挿し苗方法で比較するとへそ挿Lが
が最も多く、採苗後に最も重要な初期の活着が優れた(表一2)。
、遮光処理で比較すると慣行
なお、供試した苗の活着率は全
ての処理で1◎磯であった。
(3)育苗終了時の苗質は、育苗期間中に継続して遮光した処理B、Cでは、葉柄長がやや長くなる
傾向がみられ、他は処理間で大きな差は見られなかった(表一3)。
4.成
果の要約
試験年は採苗後に気温が下がり、育苗初期の発根数に関わらず全ての株が活着したが、夏季猛暑
下における空中線苗苗の活着促進には、仮植後の初期の発根が優れるへそ挿し法と慣行の遮光方法
の組み合わせが有効と考えられた。
(担当者
いちご研究所開発研究室
小林泰弘、植木正明)
いちごの空中採苗後の挿し苗方法と遮光資材の違いが苗の活着に及ぼす影響
一1'去3のHの'":H
−
中旬下旬上旬中旬下旬
上旬中旬
27.923.4
26.3
28.023.525.725.9
平成23年
26.227.9
28.0
27.628.727.623.6
平成22年
25.1
25.923.922.720.9
26.225.◎
平成21年
24.125.526.025.825.224.022.0
平年値
注.宇都宮気象台データ
ー
℃
無遮光
恒
。… ・・慣行{傷
一粥フ明涼{3eSS)豆
〕"●V`」
一
フ明激2《駒
豆憎メガクール{4σS6)
℃
36
… …
慣行`60%}■"ワIJフ
朝涼{2(殉
メガクール{4◎%}
36
34
鱗
A∧
ノへ^^
卓 ∼」 ∨
・
∨v＼
32
3◎
磁"三
琴ン
・
一
碑
紅、
‥
、
子
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…"…
ノ ※'
培30
地18
温26
＼
潔三焦
ノ
へ!ぺ
32
∠〆.〆"ノ:、.気
気28
温26
24
無遮光
一ーワ1力朝涼{3e%}一
、
〃F
ダ
一
鴫
24
22
22
2奪
`,±
び`連.び
概
・`・
・
20
啄`§.xw.`01`遣
8:◎09:001e:6011:◎012:001ヨ:◎Oi4:eOl§:OO16:0017:0018:00工9:eo2e:◎
◎
8:009:001ぴOO1t:◎
◎12:GOユ3:0◎
図一37月25日
の気温の推移
表・-2採
苗後1週
8
9 8 0
1
- ρ
0 0 0∨
ρ
◎ ◎ ∨8
QO 9臼 τO
rO 5
表一3育
苗終了時の生育
葉身長
だひ r
◎ 亡O 5
ρ
◎ F◎ ◎V 農U 7
0∨ 戸
◎
↑◎ 戸◎ ζり
5
4ム
ρ0 ハ
b
9
ρ
◎ 7
4 入4
房分化期4:ガ
葉幅
5
丞ムづ
1 7・ 2
7
7
2
ーム8
7` Q∨ Q︾ 7
ウ" 0
Qσ 7
7` 7
8
ワ匂ウ翻ウ錫ひ
δ 3
4︿3
化期3:花
葉柄長
8
2
7 0 ◎ 百
δ ◎V 71 ◎ 0
ρ
0 ハ
◎ '
O CU CU ↑◎
7 7 7 7` ρ0 6 ρ0 7
◎0 7
0
ρ
◎ 5
ア0
ρ
◎ 0 6 6
7
ワ白 2 1 1
ー
1
QO 戸
◎
百◎ 3
1:肥厚期2:分
7
イ上 9ρ 1
A B CD
芽分化指数は、0:未分化
5:ガク形成期とする。
戸
◎ 8
A"RμC D
へそ挿し
クラウ
ン笹
7● 7蓼 7
ピン挿し
花芽分化
地上重根重
指数(9)(9)(㎜)(cm)(cm)(cm)
◎∨ nO F
◎ 5
遮光方法
7● 7` 7
挿し苗方法
注1.花
地内3cm)の
発根数
(本/株)
A B C D AB C D
へそ挿し
の培地温度(培
間の発根数
挿し苗方法遮光方法
ピン挿し
エフ:0◎18:◎0乏9:0020:00
時刻
時刻
図一27月25日
工4:00茎5:00ユ6:0◎
ク成初期
推移

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