氏 名：岩本千佳 論 文 題 名 ： TheBALB/c-specificpolymorphicSIRPAenhancesi t sa f f i n i t yf o rhuman CD47 ,i n h i b i t i n gphagocytosisa g a i n s thumanc e l l st opromotexenogeneic engraftment (BALB/cマ ウ ス 特 異 的 SIPRA多 型 は ヒ ト CD47 と の 結 合 を 強 化 し ヒ ト 細 胞に対する貧食を抑制することで異種移植におけるヒト造血細胞の生着 効率を上げる） 区分：甲 論 文 内 容 の 要 ヒ2 日 免疫不全マウスを用いたヒト細胞の異種移植において、マウスストレインのパックグ ラ ウ ン ド が そ の 生 着 効 率 に 重 要 で あ る こ と が 示 さ れ て き た 。 例 え ば 、 NODス ト レ イ ン に お い て ヒ ト 細 胞 は 最 も 高 い 生 着 率 を 示 し 、 BALB/cで は NODに は 及 ば な い が ヒ ト 細 胞 の 生 着 が 見 ら れ る 一 方 、 C57BL/6で は ヒ ト 細 胞 の 生 着 は 得 ら れ な い 。 マ ク ロ フ ァ ー ジ 上 に 発 現 す る 分 子 SIRPAは 細 胞 上 の CD47を 指 標 に 自 己 認 識 し て い る が 、 SIRPA・CD47結 合 は 種 特 異 性 が あ り 、 通 常 マ ウ ス SIRPAとヒト CD47は 結 合 し な い 。 我 々 は NODパ ッ ク グ ラ ウ ン ド の 免 疫 不 全 マ ウ ス に ヒ ト 細 胞 を 移 植 し た 場 合 、 NOD特 異 的 な SIRPA多 型 が ヒト CD47 との結合を許容することで、＂ don’ teatme” シ グ ナ ル が 入 り 、 ホ ス ト 側 の マ ク ロファージによるヒト細胞の貧食が阻害されることで生着が得られるということを見出 した。ここで、我々は BALB/cス ト レ イ ン に お け る 異 種 移 植 の 生 着 効 率 も SIRPA と CD47 による自己認識システムに依存するのかということについて検討した。まず、マウス SIRPAとヒト CD47の 結 合 を 検 討 し た 結 果 、 BALB/cの SIRPAとヒト C047 と の 結 合 能 は C57BL/6SIRPAとヒト CD47と の 結 合 能 と NODSIRPAとヒト CD47と の 結 合 能 の 中 nv i t r oで 長 期 共 培 養 す 間であった。マウス由来のマクロファージとヒト造血幹細胞を i ると、培養細胞中のヒトコロニー形成細胞数は抑制を受ける。結合能の実験結果と同様 に、 i nv i t r oで の BALB/cマ ク ロ フ ァ ー ジ と ヒ ト 細 胞 の 長 期 共 培 養 に お け る ヒ ト 細 胞 の 抑 制 効 果 は NODマ ク ロ フ ァ ー ジ と C57BL/6マ ク ロ フ ァ ー ジ の 中 間 を 示 し 、 マ ウ ス マ ク ロファージとヒト造血細胞との共培養による貧食実験でも、ヒト造血幹細胞に対して中 間 の 貧 食 能 を 示 し た 。 SIRPA は lgV 領 域 で CD47 と結合しており、 BALB/c マ ウ ス の SIRPA lgV領 域 の 塩 基 配 列 を 決 定 し た 。 そ の 結 果 、 BALB/cで は lgV ド メ イ ン に ス ト レ イ ン 特 異 的 な SNP (L29V）があり、この SNP が BALB/c とヒト CD47 と の 結 合 を 担 っ て いることを明らかにした。このように、マウスストレインにより異種移植における生着 効 率 に 差 が 生 じ る の は 、 主 と し て ス ト レ イ ン 特 異 的 な SIRPA とヒト CD47 と の 結 合 能 に 起因していると考えられる。この実験結果は、異種移植モデノレにおいてより高率なヒト 細胞の生着が得られる新規免疫不全マウスストレインの開発に応用可能である。
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