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KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
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Involvement of myeloid dendritic cells in the development of
gastric secondary lymphoid follicles in Helicobacter pyloriinfected BALB/c mice with neonatal thymectomy( Abstract_要
旨)
Nishi, Toshiki
Kyoto University (京都大学)
2003-03-24
http://hdl.handle.net/2433/148737
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
【329】
氏
名
にし
とし
西
俊
き
希
学位(専攻分野)
博 士(医 学)
学位記番号
医 博 第2614号
学位授与の日付
平成15年 3 月 24 日
学位授与の要件
学位規則第 4 条第1項該当
研究科・専攻
医学研究科内科系専攻
学位論文題目
InvoIvement of Myeloid Dendritic Ce11sin the Development of Gas−
tric Secondary Lymphoid Folliclesin Helicobacter pylori−infected
BALB/c Mice with NeonatalThymectomy
(ヘリコバクターピロリ感染胸腺摘除マウスを用いた胃濾胞形成における樹
状細胞の関与)
(主 査)
論文調査委員 教 授 真 鍋 俊 明 教 授 光 山 正 雄 教 授 千葉 勉
三ム
剤相
文 内 容 の 要
主論文
(緒言)ヘリコバクターピロリ感染による濾胞性胃炎は胃MALTリンパ腫の発生母地であると考えられている。ヘリコ
バクターピロリと宿主間における免疫応答は元来リンパ装置の存在しない胃粘膜での濾胞形成機序に重要な役割を果たして
いると考えられているが,その胃粘膜におけるmicroenvironmentの成立機序の詳細については不明な点が多い。我々は新
生仔期の胸腺摘出により発症する自己免疫性胃炎マウスにヘリコバクターピロリを感染させることにより早期より濾胞が形
成され,さらに長期にわたるとMALTリンパ腫様病変が発症する事をすでに報告した。今回このモデルの濾胞形成過程に
おいて抗原提示細胞の中でもmicroenvironmentの形成に重要な役割を有する樹状細胞および関連するサイトカイン,ケモ
カインについて検討した。
(方法)生後三日目のBALB/cマウスに胸腺摘出を行い,6週日にヘリコバクターピロリを経口感染させた。また,同時
期の正常BALB/cマウスおよびヘリコバクターピロl)非感染自己免疫性胃炎マウス(AIG)との間で胃粘膜における樹状
細胞のサブセット(Myeloid DC:CDllc+,CDllb+,Lymphoid DC=CDllc+,CD8a+)の分布を蛍光免疫染色し共焦
点レーザー顕微鏡をて経時的に感染後3ケ月まで観察し比較検討した。更に樹状細胞および濾胞形成に関連すると考えられ
るケモカイン,サイトカイン(Eotaxin,TARC,MIP−3α,BLC,IFN−γ,IL−4)の産生をRealTime PCR法により定
量的に比較検討した。また樹状細胞誘導に深く関わるケモカインであるMIP.3αと濾胞性樹状細胞(FDC)の分布を免疫
染色により併せて検討した。
(成績)正常胃では樹状細胞の誘導は全く認められなかったが,AIGマウスの胃粘膜においては1ymphoid,myeloid系
共に粘膜筋板近傍にわずかに誘導されていた。一方ヘリコバクターピロリ感染群におけるIymphoid系の樹状細胞は,AIG
マウスと同様,粘膜筋板近傍に誘導されるにとどまったが,myelid系樹状細胞は粘膜固有層まで分布しておりその数も著
しく増加していた。また,CD80,86およびMHC classIIなどの共刺激分子を発現する成熟樹状細胞はヘリコバクターピ
ロリ感染マウスにおいてのみ認められた。サイトカイン,ケモカインの産生ではAIGマウスにおいてIFN−γの増強を認
めたが,ヘリコバクターピロリ感染マウスにおいては更にIL−4の増強も認めた。Th2ケモカインであるTARC,Eotaxin
およびDCの誘導に関与するMIP−3αとFDCの産生するBLCはヘリコバクターピロリ感染マウスにおいて有意な上昇を
認めた。免疫染色ではヘリコバクターピロリ感染マウスのみでMIP−3aとFDCが陽性であった。
(結論)以上より自己免疫性胃炎モデルマウスにおけるヘリコバクターピロリ感染によるリンパ濾胞形成にはThlの持続
炎症に加えてTh2を誘導するケモカインや樹状細胞(Myeloid DC)の関与が示唆された。
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論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
ヘリコバクターピロリ感染による濾胞性胃炎は胃MALTリンパ腫の発生母地であると考えられている。本研究で申請者
は新生仔期の胸腺摘出(nTx)により発症する自己免疫性胃炎マウスにヘリコバクターピロリを感染させることにより早期
より濾胞が形成されるモデルにおける樹状細胞および関連するサイトカイン,ケモカインの関与について検討した。
マウス正常胃の免疫染色では樹状細胞の誘導は全く認められなかったが,nTxマウスの胃粘膜においては1ymphoid,
myeloid系樹状細胞共に粘膜筋板近傍にわずかに誘導されていた。一方ヘリコバクターピロリ感染nTxマウスにおける
Iymphoid系の樹状細胞はnTxマウスと同様,粘膜筋板近傍に誘導されるにとどまったが,myelid系樹状細胞は粘膜固有
層まで分布しておりその数も著しく増加していた。サイトカイン,ケモカインのmRNAの発現ではnTxマウスにおいて
IFN−γの増強を認めたが,ヘリコバクターピロリ感染nTxマウスにおいては更にIL−4の増強も認めた。Th2ケモカイン
であるTARC,Eotaxinおよび樹状細胞の誘導に関与するMIP−3αとFDCの産生するBLCはヘリコバクターピロリ感染
nTxマウスにおいて有意な上昇を認めた。
以上の研究は胃粘膜における濾胞形成に関する新たな機構の解明に貢献し消化器病学に寄与するところが多い。従って,
本論文は博士(医学)の学位論文として価値あるものと認める。なお,本学位授与申請者は,平成15年2月24日実施の論文
内容とそれに関連した試問を受け,合格と認められたものである。
ー785 岬