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3G41p08
温州ミカン果皮配合ヨーグルトのアレルギー症状緩和効果の検討
安永 翔1, 原 裕子2, 白石 敦2, 坂根由梨2, 鎌尾知行2, 竹澤由起2, 大橋裕一2, 菊池泰三3, 窪 千明3, 門田 歩4, 菅原卓也1 1愛媛大農, 2愛媛大医眼科, 3四国乳業㈱, 4伊方サービス㈱
1. 研究の背景
3. 結膜抗原誘発試験による症状緩和効果の検証
抗原
● 被験者
IgE
β-ラクトグロブリン
好塩基球
マスト細胞
FcεRI
P
Fyn
P
Lyn
P
P
PLCɤ
Syk
P
PI3K
● フローチャート
顆粒の放出
(脱顆粒)
PKC
Ca2+
ü スギ花粉アレルギー既往者26名
(男性13名、女性13名)
ü 平均年齢:25.3±5.3歳
それぞれ作用点が異なる
そこで、本研究ではノビレチンを含有する温州ミカン果皮をヨーグルト
に配合し、そのアレルギー症状緩和効果を検証することを目的とした。
2. スギ花粉症モデルマウスに対する症状緩和効果の検証
BALB/cマウスにスギ花粉アレルゲン(Cry j1)を鼻腔内感作すること
でスギ花粉症を誘導し、温州ミカン果皮とヨーグルト試料をそれぞれ単独あ
るいは同時に摂取させることでアレルギー症状の緩和効果を評価した。
Cry j1 1.0 µg
0
7
21
28
CAC試験②
Ø OSTを用いて結膜表面温度を測定
Ø 至適濃度のスギ花粉抗原を点眼30分後に自覚症状の評
価、他覚的検査を行い、結膜表面温度を測定
CAC試験③
Ø OSTを用いて結膜表面温度を測定
Ø 至適濃度のスギ花粉抗原を点眼30分後に自覚症状の評
価、他覚的検査を行い、結膜表面温度を測定
被験者の自覚症状(症状スコア)
温州ミカン果皮配合ヨーグルト
摂取前
摂取後
有意差
掻痒感
4.34 ± 3.05
1.39 ± 2.12
p <0.001
異物感
2.84 ± 2.27
0.81 ± 1.11
p <0.001
充血
3.07 ± 3.03
1.05 ± 1.70
p <0.001
痛み
1.91 ± 2.43
0.16 ± 0.34
p <0.001
結膜表面のスリット写真
温州ミカン果皮配合ヨーグルト
摂取前
温州ミカン果皮配合ヨーグルト
摂取後
抗原点眼前
Cry j1 0.2 µg
14
Ø アレルギー性結膜炎を発症するスギ花粉抗原量の決定
温州ミカン果皮配合
ヨーグルト摂取期間 (14日間 )
複合的なアレルギー症状緩和効果の検証
これまでに、我々は温州ミカン果皮に含まれるポリメトキシフラボノイ
ドであるノビレチンがマスト細胞の脱顆粒を抑制することでアレルギー症状
を 緩 和 す る こ と を 確 認 し 、 そ の 作 用 機 構 が P h o s p h o i n o s i t i d e - 3 kinase(PI3K)活性化の下方制御であることを明らかにした。また、牛乳
に含まれるβ-ラクトグロブリンにも脱顆粒抑制効果があり、その作用機構
がノビレチンと異なることを明らかにした。
CAC試験①
7日間
ノビレチン
抗アレルギー成分 ・ノビレチン(温州ミカン果皮成分)
(脱顆粒抑制効果) ・β-ラクトグロブリン(牛乳成分)
温州ミカン果皮配合ヨーグルト
35 36 (Days)
症状評価
抗原点眼後
採 血
動物 : BALB/c CrSlc (雌性, 7週齢, 1群6匹)
・非感作群 : 5 mM リン酸ナトリウム緩衝液
・対照群 : 5 mM リン酸ナトリウム緩衝液
・ヨーグルト投与群 : 20 mg (総タンパク質量)/kg/day
・混合投与群 : 温州ミカン果皮 (100 mg/kg/day)+ ヨーグルト (20 mg/kg/day)
アレルギー症状
血中IgE濃度
*p<0.05, **p<0.01 vs. Control group
40
群
血中IgE濃度 (ng/mL)
*
20
**
10
非感作
219.8 ± 109.3
対照
549.5 ± 163.5
温州ミカン果皮
453.0 ± 186.0
ヨーグルト
406.4 ± 183.8
混合
474.8 ± 150.0
Ocular Surface Thermographer
(OST)
p<0.001
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
摂取前
摂取後
温州ミカン果皮配合ヨーグルト
アレルギー性結膜炎の諸症状、および結膜表面温度の上昇が、温
州ミカン果皮配合ヨーグルトの摂取により有意に軽減された。
4. 総括
混
合
ト
ル
皮
グ
ン
果
カ
ミ
温
州
ヨ
ー
対
照
作
0
非
感
くしゃみ回数 / 30分
p<0.05
30
抗原点眼による結膜表面温度の上昇 (℃)
結膜表面温度の測定(サーモグラフィー検査)
・温州ミカン果皮投与群 : 100 mg/kg/day
単独投与と比較して、温州ミカン果皮とヨーグルトの混合投与に
より、Cry j1感作により誘発されるくしゃみの回数が有意に減少し、
温州ミカン果皮とヨーグルトの同時摂取はスギ花粉症の症状緩和に
有効であることが明らかになった。
温州ミカン果皮とヨーグルトの同時摂取によりスギ花粉症モデルマ
ウスのアレルギー症状が大きく緩和され、これらの食品素材の同時
摂取はスギ花粉症の症状緩和に有効であることが明らかになった。
温州ミカン果皮配合ヨーグルトの摂取により、アレルギー性結膜炎
を誘発したスギ花粉アレルギー罹患者の自覚症状(掻痒感、異物感、
充血、痛み)、および抗原点眼による結膜表面温度の上昇が有意に
軽減され、ヒトに対するスギ花粉症の緩和効果が確認された。