7.1 未定係数法

7.1 未定係数法
1
7.1 未定係数法
¶
未定係数法
³
L(y) = an y (n) + an−1 y (n−1) + · · · + a1 y ′ + a0 y = f (x)
は
L(D)y = (an Dn + an−1 Dn−1 + · · · + a1 D + a0 )y = f (x)
と表せる.ここで f (x) が同次線形微分方程式の解の形をしているとすると,H(D)f (x) = 0 を満たす D の
多項式 H(D) が存在する.そこでこの方程式の特殊解を yp とすると
H(D)L(D)yp = H(D)f (x) = 0
より特殊解 yp を見つけるには同次方程式
H(D)L(D)y = 0
の解の中から
L(D)y = f (x)
を満たすものを見つければよい.この解法のことを未定係数法 (method of undetermind coefficient)
という.
よく用いられる H(D) をあげておく.
f (x) = xm =⇒ H(D)f (x) = Dm+1 xm = 0
f (x) = eax =⇒ H(D)f (x) = (D − a)eax = 0
f (x) = eax cos bx =⇒ H(D)f (x) = (D2 − 2aD + a2 + b2 )eax cos bx = 0
µ
f (x) = eax sin bx =⇒ H(D)f (x) = (D2 − 2aD + a2 + b2 )eax sin bx = 0
例題 7.1 L(y) = y ′′ − y ′ − 2y = 2e3x を解け.
解 補助方程式 L(y) = 0 の特性方程式は m2 − m − 2 = 0 より特性根 m = −1, 2 を得る.よって余関数 yc は
yc = c1 e−x + c2 e2x
となる.次に特殊解 yp を未定係数法を用いて求める.D =
d
dx , H(D)
= D − 3 とおくと,H(D)2e3x =
2(D − 3)e3x = 0 より求める特殊解 yp は
(H(D)L(D))y = 2(D − 3)(D2 − D − 2)y = 0
の解である.この方程式の特性方程式は 2(m − 3)(m2 − m − 2) = 0 より基本解は e3x , e−x , e2x である.よって
yp = Ae3x + Be−x + Ce2x
と表わせる.しかし,yp は L(D)yp = f (x) を満たさなければならないので L(D)y = 0 を満たす Be−x + Ce2x
は省いてもよい.したがって特殊解 yp の形を
yp = Ae3x
とおく.これを L(D)y = 2e3x に代入すると
L(D)Ae3x = (Ae3x )′′ − (Ae3x )′ − 2(Ae3x ) = 4Ae3x = 2e3x
´
2
となる.よって A = 12 .これより特殊解 yp = 12 e3x を得る.したがって一般解は
1
y = yc + yp = c1 e−x + c2 e2x + e3x
2
で与えられる. ¥
7.2 定数変化法
¶
定数変化法
³
y1 と y2 は L(y) = 0 の基本解だとする.ここで L(y) = f (x) の特殊解を
yp = u1 y1 + u2 y2
とおく.ただし u1 (x), u2 (x) は後で定める未定関数.2 つの関数を決めなければならないので,2 つの条件が
必要となる.最初の条件は yp = u1 y1 + u2 y2 が L(y) = f (x) の解であることである.2 つめの条件は計算を
簡単にするために設けた条件
である.最初の条件より,
u′1 y1 + u′2 y2 = 0.
y ′ = u′1 y1 + u1 y1′ + u′2 y2 + u2 y2′ .
2 つめの条件より
y ′ = u1 y1′ + u2 y2′ .
これより y ′′ を求めると
y ′′ = u′1 y1′ + u1 y1′′ + u′2 y2′ + u2 y2′′ .
これらを L(y) = y ′′ + a1 y ′ + a0 y = f (x) に代入すると
(u′1 y1′ + u1 y1′′ + u′2 y2′ + u2 y2′′ ) + a1 (u1 y1′ + u2 y2′ ) + a0 (u1 y1 + u2 y2 ) = f (x).
整理すると
(u′1 y1′ + u′2 y2′ ) + u1 (y1′′ + a1 y1′ + a0 y1 ) + u2 (y2′′ + a1 y2′ + a0 y2 ) = f (x).
ここで,y1 と y2 は L(y) = 0 の解より u1 と u2 の係数は 0.したがって u′1 と u′1 は連立方程式
u′1 y1 + u′2 y2 = 0
u′1 y1′ + u′2 y2′ = f (x)
を満たす.そこで Cramer の公式を用いると
−y2 f (x)
y f (x)
¯ , u′2 = ¯ 1
u′1 = ¯¯
¯
¯
y
y
2 ¯
¯ 1′
¯ y1′ y2′
¯ y1 y2′ ¯
¯ y1 y2
¯.
¯
¯
¯
ここで分母は y1 と y2 の Wronski の行列式.また y1 ,y2 は一次独立なので Wronski の行列式は 0 になら
ない.よって u′1 , u′2 を求めることができ,これより u1 , u2 .ひいては yp = u1 y1 + u2 y2 を求めることがで
きる.
µ
例題 7.2 L(y) = y ′′ + y = sec x を求めてみよう.
´
7.2 定数変化法
3
解 補助方程式 L(y) = 0 の特性方程式は m2 + 1 = 0 より特性根 m = ±i を得る.よって余関数は
yc = c1 cos x + c2 sin x
で与えられる.次に特殊解 yp を求める.定数変化法より
yp = u1 cos x + u2 sin x
とおくと,
− sin x sec x
u′1 = ¯¯
¯ cos x sin x
¯ − sin x cos x
よって
u′1 = − sin x
cos x sec x
¯ , u′2 = ¯
¯
¯ cos x sin x
¯
¯
¯
¯ − sin x cos x
¯.
¯
¯
¯
1
1
= − tan x, u′2 = cos x
=1
cos x
cos x
となる.積分すると
u1 = log | cos x|, u2 = x (定数無視)
となるので,これより一般解
y = yc + yp = c1 cos x + c2 sin x + (log | cos x|) cos x + x sin x
を得る. ¥
y (n) + an−1 (x)y (n−1) + · · · + a1 (x)y ′ + a0 (x)y = f (x)
の余関数が
yc = c1 y1 + c2 y2 + · · · + cn yn
のとき,定数 c1 , c2 , . . . , cn を変数 u1 , u2 , . . . , un で置き換えると特殊解
yp = u1 y1 + u2 y2 + · · · + un yn
を得ます.ただし u′1 , u′2 , . . . , u′n は連立方程式
 ′
u1 y1 + · · · + u′n yn



 u′1 y1′ + · · · + u′n yn′
..

.


 ′ (n−1)
(n−1)
u 1 y1
+ · · · + u′n yn
を満たす.
問 7.1 y ′′′ − y ′ =
1
1+ex
を解きなさい.
=0
=0
..
.
= f (x)