検 証

Yakugyo Jiho 薬業時報 平成 26 年 2 月 25 日発行(毎月 10・25 日発行)
ISSN 1883-5678
2014
2/25
NO.118
研究開発の
生産性低下
検証
11
特集
検証
研究開発の生産性低下
2014
2.25
NO.118
研究開発費が高騰する半面で、ブロックバスターの出現が期待できなくなった新薬市場。
上市後に製品から得る収益も、厳しい価格設定と後発品の侵食で従来ほどは期待できな
くなった。研究開発の現状を生産性の視点で分析する。
3
Director's voice
中山 健夫 京都大大学院医学研究科教授
6
TREND
・
「ブロプレス」AG が試金石に 薬価制度改革で弾みはつくか
・向精神薬の多剤投与規制を強化 改善見えず次期改定で再びメス
・突出する沢井製薬の営業利益率 Q3 で 25%、業界トップレベルに
・HPV ワクチン売上高が大幅減 長引く接種勧奨中止の影響で
20
リポート 奨学寄付金の未来
奨学寄付金はどうあるべきか ディオバン問題で新たな動きも
24
営業活動とコンプライアンス〈22〉
白神誠
「プロモーションコードを読み直す」
25
MR のための後発品講座〈11〉 菊地祐男
「14 年度のジェネリック使用促進策」
26
退屈しない診療報酬の話〈98〉 工藤高
逆紹介しても外来収入はアップ
27
パートナーの常識〈94〉 織田龍喜
「連載終了に向けて―困ったMR―」
27
知ってナットク医薬品名の由来 笠原英城
「アラベル/アサコール」
28
News Summary & Topics
31
職場の流儀〈121〉
「ポジティブに仕事ができる人へ」
32
おくすり通信簿〈35〉
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尋常性ざ瘡治療薬(にきび外用)
(アクアチム/ディフェリン)
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5
Yakugyo Jiho 2014.2.25
研究開発の
生産性低下
特集
検証
投資額に見合ったリターンが得られず、研究開発の生産性が低下していることに、多くの企業トップが
危機感を抱いている。その要因は安全性を中心とした規制の厳格化、医療費適正化の下での薬剤価格の抑
制、複雑な疾病への取り組みによる科学的なハードルの高まりなどにある。
1品目当たりの開発費が高騰する一方で、ブロックバスターの数は伸び悩む。研究開発における“成功
確率”も落ちて、上市後に開発費を十分回収できる製品は全体の2∼3割にとどまるという。
生産性低下を示す各指標から現状を把握し、効率化へのヒントを探る。
(穴迫励二・岩﨑知行)
11
Yakugyo Jiho 2014.2.25
4
2000
2
17
(総務省・科学技術研究調査)
【図2】研究費比率の他産業比較
10
全産業平均
8
6
で、
売上高に対する割合は3・3%
を占めている。
年度
﹁医薬品製造業﹂に
こ の う ち、
ついて 年からの推移を取り上げ
た︻ 図 1︼。 そ の 合 計 額 は
で1兆3061億円となり、前年
%と
・ %となり、2000
た︻ 図3︼
。
年度からの集計調
査対象は製薬協加盟の東京証券取
業別では﹁輸送用機械器具
全産業とほぼ同じ傾向。産
後は横ばいという変化で、これは
過去を振り返ると、研究費は
年度まで右肩上がりを続け、その
との比較で見てみたい。
引 所 一 部 上 場 企 業 だ が、 年 度 に
次に日本製薬工業協会の決算概
況から、売上高と研究開発費を見
負担大きい海外開発
確だ。
年代に入ってからの膨張ぶりが明
81
るなど集計対象から外れる企業が
あるため加盟全社の推移とは異な
るが、全体的な傾向として見るこ
とは可能だろう。
研究開発費の総額は、 年度の
約7 2 0 0 億 円 か ら 年 度 に は
1兆4800 億円と2倍強に増
加。ちなみに1社当たりの額を算
年度の231億
円︵
社︶となり、8 年で約2・
社︶が
年度には550億
円︵
4倍に膨らんでいる。この間、合
併 に よ っ て ア ス テ ラ ス 製 薬、 第
一三共、大日本住友製薬などが誕
生しており、1社の投資規模が拡
大する要因となっている。
製薬協のシンクタンクである医
薬産業政策研究所がまとめたリ
サーチペーパーによると、新薬1
品目の上市には自社品の国内開
12
︻特集︼検証
下下下下下下下
研 究 開 発 の 生 産性低下
4000
Yakugyo Jiho 2014.2.25
データで見る研究開発
6
時に発表されるいわゆる研究開発
度 か ら6・2 % 伸 び た。 こ の 調 査
6000
費とは集計方法が異なるため、金
性の視点から研究開発の現状を把
突出する売上高比率
薬企業の経営課題となって
8
よって不祥事で協会を自主退会す
は対象となる企業とともに、決算
8000
額そのものよりトレンドや他産業
握してみた。
2
いる研究開発の生産性低
下 。 増 え 続 ける投資に見合った新
薬承認数や売り上げが得られな
い 、 と い っ た懸念が近年強く指摘
10
04
総 務 省 が ま と め て い る﹁ 科 学
技 術 研 究 調 査 ﹂ に よ る と、 全
10000
11
円︶、﹁情報通信機械器具製
製 造 業 ﹂︵ 2 兆 2 7 1 1 億
12
さ れ 始 め た 。ただ、それを端的に
12
27
出してみると、
に拡大させていることが分
か る︻ 図 2︼
。1985 年
時点では全産業平均の研究
費比率は2・ %、対して
医薬品産業は7・ %だっ
たが、2012年度では3・
04
産業の2012年度研究費は
12000
04
12
表 す 指 標 は なく、厳密な数字に裏
08
造業﹂︵1兆6623億円︶
・8%に達
に次いで多く、売上高比率
では断トツの
している。
11
31
27 31
膨張続けてきた研究開発投資額
リスク・コストは外部と共有を
00
過去からの伸びを他産業
と比べると、その差をさら
(総務省・科学技術研究調査)
兆3246億円だった。 年度
14
07
3.27%
4
12(年度)
05
00
95
製
12
04
医薬品産業
12
90
85
11.81%
(%)14
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
(年度)
0
売上高比率(右軸)(%)
研究費
(億円)
前後をピークにここ数年は横ばい
0
打ちされたものではない。そこで、
14000
さ ま ざ ま な データを使って、生産
【図1】医薬品製造業の研究費と売上高比率
発 で 4 8 4 億 円、 海 外 開 発 で は
年 度 ま で6 2 1 億 円 ↓7 47 億
る の は5 年 先 な の か
年先なの
か、判断は難しいところだ。
割を担うのは外資系企業だ。
∼
年の承認品目数を企業別に見る
めている。生産性の低下は外資・
円 ↓85 8 億 円 ↓1 1 25 億 円
∼ 年度に国内で承認された
新有効成分の数を︻図4︼に示し
内資間の差も指摘されており、承
17 6 4 億 円 か か る と さ れ て い
と、
上位にはずらりと外資が並ぶ。
1190億円に落ち着いた。言い
た。ブロックバスターモデルの終
認数に如実に表れている。
↓ 1 3 3 3 億 円 と 急 上 昇。 し か
︻左表︼にトップ 社を示したが、
方を換えれば、高いレベルをキー
焉とともに、新薬そのものが出づ
海外でも新薬承認の状況は日本
と 大 差 な い。
︻ 次 頁 図5 ︼ は 米 国
る。海外ではフェーズ3の被験者
伸びない新薬売り上げ
床 試 験 の コ スト上昇を招いている
プしているということでもある。
2000年代前半に比べて高いレ
における生産性の低下について
し、 そ の 後 は 1 2 7 4 億 円 ↓
と 言 え そ う だ。
こうした費用の抑制が今後の新
薬承認数や業績にどう影響する
ベルを維持している。これは、ド
示 し た も の で、 1 9 9 6 年 か ら
数 が 増 え る こ と が 大 き な 要 因 だ。
て き た 。 科 学技術研究調査で見て
か、現時点では不明だ。新薬開発
ラッグ・ラグ解消に向けた各社の
2002年にかけて新薬の承認数
15
6000
10
3000
5
品目
マ や ブ リ ス ト ル・ マ
ノバルティス ファー
た と も 受 け 取 れ る。 参 考 ま で に、
ものの、低下傾向は落ち着いてき
のような ∼
品目には及ばない
イヤーズなど、この時
年の承認数が 品目を超えてい
20
期にいわゆる新薬ラッ
40
50
ファイザー
30
2
GSK
24
3
MSD
23
4
ノバルティス
22
5
バイエル
13
6
サノフィ
12
6
中外
12
6
ヤンセン
12
11
10
第一三共
11
12
アストラゼネカ
10
13
大日本住友
9
13
協和発酵キリン
9
15
日本リリー
8
のだ。
12
田辺三菱
理したために一時的に上昇したも
るのは、前年までの積み残しを処
96
1
た だ 、 投 資額は 年度までは伸
び 続 け た が 、このところ落ち着い
9000
ヤンセンファーマまでを外資が占
も 年 度 以 降は横ばい傾向を示し
のリードタイムを何年と見るかに
動きが活発化してきたこととも関
20
年度は
て お り 、 一 見して頭打ちにも見え
よって、投資時期と新薬承認や売
12000
らくなったと言われるが、近年は
る 。 製 薬 協 の﹁データブック﹂に
は大きく減少。ここ数年は
1262億円と減少し
00
係がありそうで、実際に大手の武
15
上高・利益が発生する時期を調整
米国FDAの審査厳格化なども臨
12
社の1社当
0
よ る と、 国 内 大 手
34
強で安定している。ただ、かつて
50
田薬品工業や第一三共、外資でも
【図3】研究開発費総額と売上高比率
11
10
シュに入った企業は少
(2000 ∼ 2012.9.28 承認分)
08
25
年度から
【図4】新有効成分含有医薬品の承認数
09
たり研究開発費は
(製薬協調査を基にじほうが作成)
する必要がある。投資の結果を得
12
なくない。
【表】企業別新有効成分承認品目数
ただ、その中心的役
(製薬協データブックを基にじほうが作成)
00
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
(年度)
(製薬協データブックを基にじほうが作成)
Yakugyo Jiho 2014.2.25
13
品目数
企業名
順位
16
23
20
0
0
08
04 10
15000
30
アステラス
10
6
15
10
27
19
22
24
30
33
35
12
11
10
09
08
07
06
04
05
(年度)
売上高比率(右軸)(%)
研究開発費総額
(億円)
38 39
39
40
検証 研究開発の生産性低下
特集