Yakugyo Jiho 薬業時報 平成 25 年 11 月 10 日発行(毎月 10・25 日発行) ISSN 1883-5678 2013 11/10 NO.111 訪問規制強化 と MR 10 特集 訪問規制強化とMR 2013 11.10 医師の多忙化やセキュリティー強化、MR に対する苦情などを理由 NO.111 に大学病院などが MR の訪問規制を強化している。 実態や今後の MR 活動の在り方を探った。 3 Director's voice 折原 祐治 ギリアド・サイエンシズ社長 6 TREND ・中医協に日医・中川氏が復帰 新薬創出加算論議への影響は? ・ 「強調」や「誹謗」を防止へ 5年ぶりに記載要領を改定 ・競合新薬の出現と後発品侵食抑え 売り上げ堅持できるかエパデール 22 ベテランアナリストが読む海外情報 三島茂 アクテリオンの肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬 Opsumit を FDA が承認[10/18]ほか 23 営業活動とコンプライアンス〈15〉 白神誠 「市販後調査や臨床研究への金銭提供」 24 くすりの現場から〈109〉 小諸東のぞみ薬局(長野県小諸市) ドライブスルーで利便性を向上 処方箋患者の3分の1が利用 26 エビデンス Up To Date 耳より学会トピック 第 27 回日本臨床内科医学会 「SGLT―2」新たな治療選択肢に 6成分が申請中、来年にも承認・発売 28 医師のつぶやきで学ぶ MR 活動 竹中洋介 事例7「各種調査に対する医師と MR の温度差を埋めるには」 29 パートナーの常識〈87〉 織田龍喜 「競合他社品との比較情報」 29 知ってナットク医薬品名の由来 笠原英城 「トービイ/サルタノールインヘラー」 30 News Summary & Topics 31 職場の流儀〈114〉 「おもてなしの工夫」 32 プロフェッショナル目指して〈57〉 近澤洋平 「 『第四惑星の悪夢』」 5 Yakugyo Jiho 2013.11.10 本誌内容の無断転写・転載は著作権法上で禁じられています。 本誌に掲載された著作物の複製・翻訳・上映・譲渡・公衆送 信(データベースへの取込および送信可能化権を含む)に関 する許諾権は、小社が保有しています。 本誌の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられてい ます。複写される場合は、そのつど事前に、(社)出版者 著作権管理機構(電話 03-3513-6969、FAX 03-35136979、 e-mail:info@jcopy.or.jp)の許諾を得てください。 特集 訪問規制強化 と MR 医師の多忙化やセキュリティー強化、MR に対する苦情などを理由に医療機関が MR の訪問規制を強化している。特に私立大学病院では完全アポイント制を導入 する動きが目立っている。日本私立医科大学協会に加盟する大学の附属病院を対 象に行ったアンケート調査、訪問規制を強化した病院や現場 MR の取材を通じて 実態を浮き彫りにするとともに、今後の MR 活動の在り方を探った。 (編集部) Yakugyo Jiho 2013.11.10 10 化は見られない。ただ規制内容別 でみると、時間規制︵曜日や時間 26.0% ・完全アポイント制 23.6% 22.1% 26.3% 21.8% 24.5% 20.0% 0.8% 0.6% 0% 0.6% 1.0% 2.2% 28.6% 49.2% 41.3% 19.0% 26.1% 51.8% ・ 6 %、 ・0%で、HPの方が導入 イ ン ト 制 の 割 合 はH P GP が進んでいた。 HPについてさらに細かく見る と、訪問規制の導入割合は、国立・ ・ ・ 0 %、 一 般︵ 民 間 ︶ ・8 % 、 私 立 大 学 病 院 公立病院 病院 6%、国公立大学病院 ・9%の 院 ・1%、国立・公立病院 ・8% と、 私立大学病院がトップだった。 22 年 月時点と比べて最も大き な変化があったのは私立大学病 (エム・シー・アイの資料を基にじほうが作成) [出典]c Medical Collective Intelligence Co., Ltd. All Rights Reserved. ・1% ↓ ・ 6 %︶ 、完 ・4%↓ ・3%︶と 医科大学協会に加盟する 大学の 実態や理由を探るため、日本私立 こで本誌は私立大学病院の規制の 化している状況がうかがえた。そ エ ム・ シ ー・ ア イ の 調 査 で は、 特に私立大学病院で訪問規制を強 それぞれ上昇していた。 イント︵ 全アポイント制の割合は ・9ポ ン ト︵ 院。 訪 問 規 制 の 割 合 は5・5 ポ イ 10 医師調査 帯︶が若干減り、代わりに完全ア ポイント制が増えている︻図︼。 私大病院で規制強化の動き 48.3% ﹁MR訪問規制あり﹂は ・7% 完全アポイント制の増加目立つ 58.6% 変わっていないが、完全アポイン 32.3% 薬企業のマーケティング支 勤務先の施設形態別の訪問規制 の状況は︻表︼の通り。 28.2% ト制の割合は増加しており、規制 47.1% 援 を 手 掛 け る エ ム・ シ ー・ ・時間規制 (曜日や時間帯) 製 ただ完全アポイント制の割合 は、 私立大学病院 ・3%、 一般 ︵民 順に高かった。 ・5 %、GP︵医院・診療所・ 48.2% 内容が強化されている状況がうか 23 50 間︶病院 ・5%、国公立大学病 今 年 6 月 時 点 で は、 訪 問 規 制 の 導 入 割 合 は、H P︵ 病 院 全 体 ︶ 58 81 ・2%、完全アポ 73.8% クリニック︶ 81.0% アイが全国各地の医師約3000 同 社 は、 全 国 各 地 の 医 師 約 3000人を対象にマルチメディ 58.6% がえる。 状 況 に 関 す るアンケート調査﹂に アの活用状況やニーズなどに関す 50.9% 人 を 対 象 に 定期的に実施している よ る と 、 直 近 の デ ー タ︵ 今 年 6 るアンケート調査を定期的に行 71.5% ﹁ 勤 務 先 医 療 機 関 のM R 訪 問 規 制 月 ︶ で は ﹁ 訪問規制がある﹂と回 822 人 26 58 26 勤務先医療機関のMR訪問規制状 1268 人 24 15 況についても調査を行っている。 直近のデータ︵今年6月、回答 3 2 9 7 人 ︶ で は、 ﹁訪問規制が ある﹂は ・7%。規制内容別で 見 る と、﹁ 時 間 規 制︵ 曜 日 や 時 間 帯︶﹂は全体の ・9%、 ﹁完全ア 20 73 12 53 GP(医院・ 診療所・ク リニック) 一般 (民間) 病院 21 10 降で紹介する。 ︵佐藤慎也︶ 取材を行った。その結果を次頁以 を行うとともに、個別医療機関に 附属病院を対象にアンケート調査 29 ・7 % だ っ た。 678 人 訪問規制なし ポイント制﹂は 167 人 ・完全面会禁止 数 は 少 な い が、﹁ 完 全 面 会 禁 止 ﹂ 月、 年6月、 362 人 訪問規制あり 1.1 65.7 国立・ 公立 病院 い、その分析結果を基に﹁マルチ 66.2 48 2475 人 回答件数 も1・1%あった。 過去数回︵ 年 %前 年6月︶の調査結果と比較する 11 私立大学 病院 答した医師の割合は ・7%だっ 64.3 71 【表】施設形態別のMR訪問規制状況(2013 年6月) 65 22 12 国公立 大学 病院 HP (病院全体) 65 1.6 メ デ ィ ア 白 書 ﹂ を ま と め て い る。 2013/06 41 10 34.4 22.7 41.9 (回答3297人) 33.8 (回答3062人) 1.8 た 。 過 去 数 回の調査と比べると訪 2011/06 20.7 43.9 2012/06 35.6 20.1 42.4 (回答3105人) 35.5 19.2 43.9 (回答3237人) 65 と、﹁ 訪 問 規 制 が あ る ﹂ は 65 時間規制 (曜日や時間帯) 完全アポイント制 完全面会禁止 訪問規制あり 1.4 (単位:%) 64.5 2010/12 訪問規制なし そ の 一 環 と し て 20 10 年 か ら、 【図】MR 訪問規制状況の推移 問 規 制 全 体 の導入割合は大きくは (エム・シー・アイの資料を基にじほうが作成) [出典]c Medical Collective Intelligence Co., Ltd. All Rights Reserved. 12 後で推移しており、特に大きな変 Yakugyo Jiho 2013.11.10 11 訪問規制強化と MR 特集 されているにもかかわらず徹底さ の付くところでの営業活動が禁止 か っ た。 具 体 的 に は、 ﹁患者の目 田保健衛生大学病院では﹁従来か 確認・徹底﹂を行う方針。また藤 行の完全アポイント制の順守状況 ち大阪医科大学附属病院では﹁現 設置していた。また院内活動の適 崎医科大学附属病院など7施設が MR専用の待合室あるいは面会 室は、大阪医科大学附属病院、川 数など制限する必要がある﹂ ︵聖 できていない。医師に面談する回 病院︶ 、 ﹁中立で公正な情報提供が た活動が激しい﹂ ︵獨協医科大学 が 訪 問 規 制 を導入。 年以上前か ら 導 入 し て い る 施 設 も あ っ た が、 ﹁ 規 制 な し ﹂ は3 施 設 だ が、 こ のうち関西医科大学附属枚方病院 付属病院︶だった。 17 くの施設が﹁なし﹂だったものの、 のための情報提供・収集・伝達な ど社会的な使命を果たすこと。単 12 特集 訪問規制強化とMR れ て い な い ﹂﹁ ア ポ な し でM R か らある院内通行証に加え、院長秘 2施設は﹁ある﹂と回答。そのう ら話し掛けられる。居室等・規制 書室で許可証をもらわないと面会 施設が最も多 区 域 にM R が 入 る ﹂ ﹁女性トイレ できないような仕組みを導入する Rに対する苦情﹂ 全アポイント制﹂を導入。うち昭 前に長時間立っている﹂などと 私立大学病院調査 本私立医科大学協会に加盟 和大学病院と東邦大学医療セン ことを検討している﹂という。 8割以上が訪問規制を導入 理由は﹁MRへの苦情﹂がトップ 大学の附属病院を対 いった苦情が寄せられたという。 師 の 多 忙 化 ﹂ は 3 施 設、 ﹁ 病 院・ 調査では、MRに対する注文や 要 望 も 尋 ね た。 ﹁医薬品の情報提 する ター大森病院は時間・曜日規制も ﹁ 時 間・ 曜 日 規 制 ﹂ の み を 導 入 しているのは4施設。このうち埼 研究棟の建て替え﹂は2施設だっ 供者としての資質に疑問を感じる 日 象にMRの訪問規制状況に関する 組み合わせていた。 以 上 が 訪 問 規 制 を 導 入 し て お り、 玉医科大学病院では﹁若手の医師 た。回答にはないが、病院の経営 MRが散見される。節度ある対応 存在価値や意義の証明を ア ン ケ ー ト 調査を本誌が行ったと う ち 半 数 以 上が完全アポイント制 や非常勤の医師との連絡体制が確 者サイドには、MRの営業攻勢に を望む﹂︵川崎医科大学附属病院︶ 、 2番目に多かったのは﹁院内セ キュリティー強化﹂6施設で、﹁医 だ っ た 。 規 制 を 導 入 し た 理 由 は、 立できればアポイント制としてい よって、価格の高い新薬の採用が ﹁M R と し て の 知 識、 常 識 が な い ころ、回答施設︵ 施設︶の8割 ﹁M R に 対 す る 苦 情 ﹂ が 断 ト ツ で きたい﹂としている。 必要以上に増え、薬剤購入費が高 方が増えている﹂ ︵東海大学医学 多かった。 騰するのを防ぎたいという考えも ﹁時間の ﹁その他﹂は2施設で、 規制はしていないが待機場所を制 部付属病院︶ 、 ﹁医薬品の適正使用 限 ﹂︵ 獨 協 医 科 大 学 病 院 ︶ 、 ﹁診療 正化に向けたその他の取り組みを マリアンナ医科大学病院︶などM の情報が少ない。新規採用に向け 従う。新棟での活動、薬剤部へは 尋ねたところ、 慶應義塾大学病院、 Rのレベルや情報提供の内容を問 科への訪問は各診療科のルールに 時 ﹂︵ 東 海 大 学 医 学 部 獨協医科大学病院、東海大学医学 題視する意見が目立った。 もあった。 時から では﹁警備よりMRに対して時間・ 部付属病院など複数の施設が﹁M 調 査 は 今 年 月中旬に実施。回 答結果は ︻表︼ の通り。回答があっ 昭 和 大 学 病 院、東京女子医科大学 曜日規制をしてほしいとの要望が R会﹂ の設置や取り組みを挙げた。 施設のうち 施設︵ ・4%︶ 病 院 、 慶 應 義塾大学病院、藤田保 あ る ﹂ と い う。 な お、﹁ 完 全 面 会 た 健 衛 生 大 学 病院などのように最近 禁止﹂としている施設はなかった。 82 13 規制を導入している 施設に複 数回答で理由を尋ねたところ、﹁M 17 14 8施設が﹁完 規 制 内 容 を見ると、 14 また﹁︵MRに求められるのは︶ 訪問規制の順守・医薬品適正使用 ︵3年以内︶、規制を強化した施設 訪問規制をさらに強化する予定 や計画︵ 施設︶については、多 10 Yakugyo Jiho 2013.11.10 11 少なからずあるとみられる。 29 昭和大、東邦大など 8施設が完全アポ制 17 10 17
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