(1)自由振動・減衰

内 容
振動工学
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演習の解答
演習
解答
1質点系の運動方程式とその解
1質点系の自由振動
構造物のモデル化
減衰自由振動
第4回 1質点系の自由振動
減衰自由振動
演習(3)
演習
(3)の解答
の解答
• 問題:
問題
o 時速72kmで走っていた車が壁に衝突し、衝突後0.5秒後に止
まったとすると 乗っていた人に働く加速度は 重力の加速度
まったとすると、乗っていた人に働く加速度は、重力の加速度
の何倍か。
• 解答:
o 時速72kmは
1000  m 
 km 
m 
72 
 72 
 20  



3600  s 
 hr 
s
o これが0.5秒かかって0になったのであるから、作用した加速度
(速度の変化率)は、
速度 変 率
20  0  m s 
m 
 40  2  


05  s 
0.5
s 
40
 4.08 g
98
9.8
1質点系の運動方程式とその解
(復習)
剛体と構造物((弾性体
剛体と構造物
弾性体))
• 剛体
1質点系(1
1質点系(
1自由度系)モデル
• 質点
o 変位しても形が変わらない(変形しない)
• 構造物
o 変位すると形が変わる(変形する)
o 力と変形の関係が比例する(Hookの法則が成り立つ)時、これ
力と変形の関係が比例する(H kの法則が成り立つ)時 これ
を弾性体と呼ぶ
剛体
構造物
1質点系の運動方程式
• D’Alembertの原理:
原理
m   P  0
ここに、 m  は慣性力、Pは外力
• 質点に作用する力を総和すると、力の釣り合いは、
mu˙˙  ku  0
• 運動方程式は
運動方程式は、
mu˙˙  ku  0
物体の重心に全質量mが集まっているとし、重心の位置・運動に
よって物体の位置 運動を代表させる ここでは 水平方向の運
よって物体の位置・運動を代表させる。ここでは、水平方向の運
動uのみ考える。
質点はばね を介して固定端に結ばれて る。 のばねは、物体
質点はばねkを介して固定端に結ばれている。このばねは、物体
の変形しやすさを表し、Hookの法則に従う。
運動方程式の解 (1)
両辺を で割 て
両辺をmで割って、
u˙˙  2 u  0
ここに、  
k
m
 N m 
  kg  m/s2 /m  1 
  

 
kg
g
g
kg



 
 s 
上の方程式は、「2階の同次線形常微分方程式」と呼ばれ、
次のような性質を持っている
次のような性質を持っている。
o2つの「1次独立」な解を持つ
o一般解はその1次結合で表される
上の方程式の1次独立な解は、
方程式
次独 な解 、
u1  cos t, u2  sin t
運動方程式の解 (2)
従
従って、運動方程式の一般解は、
運動方程式
般解は
u  Acost  Bsin t
上式を微分すると、速度・加速度は、
u˙   Asin t  Bcos t
u˙˙   A cos t  B sin t
2
2
ここに、A、Bは積分定数(未定係数)と言う
˙ t 0 )により定
この値は
値は t  0 における初期条件(
おける初期条件( ut 0 , u
) より定
まる
初期条件(1)
初期条件
(1)
初期条件①
ut 00  u0 , u˙ t 00  0
(質点に変位 u0 を与え、 t  0 で放した場合)
前ページの式より、未定積分定数A、Bは
A  u0 , B  0
従って、運動方程式の解は、
u  u0 cost
初期条件(2)
初期条件
(2)
初期条件②
ut 0  u0 , u˙ t 0  u˙ 0
˙ 0 でもって投げ
(質点に変位 u0 を与え、その状態で初速度 u
出した場合)
未定積分定数A、Bは
A  u0 , B  u˙ 0
従って 運動方程式の解は
従って、運動方程式の解は、
u  u0 cost 
u˙ 0

sint
整理すると
u  U cost   
U  u02   u˙ 0 
2
  tan 1  u˙ 0 u0 
1質点系の自由振動
質点系の自由振動
1質点系の自由振動
運動方程式の解を再記すると、
u  U cost   
U  u   u˙ 0 
2
0
振幅と位相
u  U cost   
  tan  u˙ 0 u0 
2
1
U  u02   u˙ 0 
で表される運動を1質点系の自由振動という。
• u0 は時刻 t  0 における縦軸の値、 u
˙ 0 はその点における
接線の傾きを表す
ú
0
u
ここで、 U を振幅、t
2
  tan 11  u˙ 0 u0 
  を位相という
は位相速度、  は位相ずれ(位相差)という
u
u
U
U
0
位相差:φ
振幅:U
t
0
t
-U
-U
固有振動数と固有周期
• 位相速度 を固有円振動数とも言う。(単振動において、1
を固有 振動数とも言う (単振動 お
秒あたり何ラジアン回転するか)
• 今、
今 u  U cos t   において、
において t  t  2 とすると、
とすると


cost     cos t  2    
 cost    2 
 cost   
• 従って、時間 2
o 固有周期:
o 固有振動数:
後に同じ値が現れる
T  2  その時間間隔(単位:s)
f 1 T
同一位相が単位時間に何回
現れるか(単位 H )
現れるか(単位:Hz)
t
固有値
• 固有円振動数、固有周期、固有振動数間の関係
固有 振動数 固有周期 固有振動数間 関係
T
1 2
m

 2
f

k
[s]
f 
1 
1


T 2 2
[Hz]

2
k
 2 f 
m
T
k
m
[rad/s]
片持梁(Cantilever
片持梁(
Cantilever)
)
• 構造物が、梁とその先端に取り付いた質量からなっている場
合
質量 m = 30 t
構造物のモデル化
構造物の デル化
δ
質点
h=4m
P
E = 206 GPa = 206 × 10 9 N m 2
I = 0.001 m 4
h
梁の剛性をEIとすると
k=
P 3 EI
= 3
δ
h
片持梁の変形の公式より、
3E I
剛性 k = 3 = 4.94 × 10 6 N m
h
両端固定梁
フレーム(柱・梁)構造
フレ ム(柱 梁)構造
• 建物が柱と剛な梁からなっている場合
m = 30 t
δ
P
剛な梁
h=4m
柱:
0.5 x 0.5 m
コンクリート:
E
Ec = 20.6
20 6 GP
GPa
h
梁の剛性をEIとすると
k=
P 12 EI
= 3
δ
h
柔な梁 0.3 x 0.6 m
h=4m
柱:
柱
0.5 x 0.5 m
コンクリート:
Ec = 20.6 GPa
固定法を使うと δ=11 m に対して、P=30.6
固定法を使うと、
に対して P 30 6 MN となる
2本あるので、
k = 4.02 × 10 7 N m
T = 2π
m
30 × 1000
= 2π
= 0.17 s
k
4.02 × 10 7
P = 30.6
30 6 MN
分布荷重
ab 3 0.5 4
=
= 0.00521 m 4
12
12
12 E I 12 × 20.6 × 10 9 × 0.00521
k= 3 =
= 2.01 × 10 7 N m
h
43
I=
• 柱・梁からなるフレーム構造をラーメン構造という。構造力学
の固定法やたわみ角法などを用いると 力 変位関係が計
の固定法やたわみ角法などを用いると、力・変位関係が計
算できる。
従って、
P
= 30.6 MN m
δ
30 × 1000
T = 2π
= 0.20 s
30.6 × 10 6
k=
構造が「柔らかく」なると
固有周期が「伸びる」
自由振動
減衰自由振動
• 時刻
時刻t=0において変位と速度の初期条件を与えた時の1質点
お
変位と速度 初期条件を与えた時
質点
系の振動を「自由振動」という。
• 現実には、時間とともに振幅が減少し、ある時間経過すると
現実には 時間とともに振幅が減少し ある時間経過すると
質点の運動は停止する。このような現象を「減衰」と呼ぶ。
減衰の要因
ダッシュポット
• 構造物における減衰の要因には次のようなものがある。
構造物 おける減衰 要
は次 ようなも がある
空気の抵抗
材料が持 粘性
材料が持つ粘性
部材接合部などの摩擦
地盤へのエネルギ の
地盤へのエネルギーの
逸散
o その他
o
o
o
o
• 速度
速度に比例した抵抗を与え
例
抵抗
る装置をダッシュポットとい
う。
• この比例係数を(粘性)減衰
係数という また このよう
係数という。また、このよう
な減衰を粘性減衰と呼ぶ。
• 粘性減衰により、減衰をか
なりの程度まで説明できる。
1質点減衰モデル
1質点減衰系の運動方程式
• ばねとダ
ばねとダッシュポットによって支持される質点を1質点減衰モ
シ ポ
よ
支持される質点を 質点減衰
デルという。
• 質点の質量をm、ばね定数をk、減衰係数をcで表す。
質点の質量を ばね定数をk 減衰係数を で表す
• 質点
質点に作用する力の釣り合い(1)式より、運動方程式は(2)式
作 する力 釣り合
式より 運動方程式は 式
のように表される。
• 両辺をmで割ると(3)式となる。ここに、
両辺を で割ると(3)式となる ここに  は(無減衰)固有円
振動数、hは減衰定数である。
m
muu  cu
cu  ku  0
m
u  cu  ku  0
(1)
(2)
u  2h u   2 u  0 (3)
2 
k
m
2h 
運動方程式の解 (1)
• 解を
解を(4)式のように仮定し、(3)式に代入すると(5)式が得られ
式 よう 仮定
式 代 すると 式が得られ
る。
• (5)式が成り立つためには(6)式が成り立つ必要がある。
(5)式が成り立つためには(6)式が成り立つ必要がある
• (6)式を特性方程式という。(6)式はpに関する2次方程式であ
り (7)式に示す2つの解が存在する
り、(7)式に示す2つの解が存在する。
u  De p t
(4)
De p t  p 2  2hp  2   0 (5)
p 2  2hp  2  0
((6))
p1, 2  h   h 2  1
(7)
c
c
c
h

m
2m 2 mk
運動方程式の解 (2)
• 従って、(3)式の一般解は、
従
式
般解は
u  D1e p1 t  D2e p 2 t
(8)
• ここに、D1、D2は未定積分定数であり、初期条件により定め
られる。
• また、上記(8)式で表される解は、パラメータpに含まれる減
衰定数hの値によって大きく異なる。
p1, 2  h   h 2  1
(7)
解の性質 (1) h>1
解の性質 (2) h=1
1
• ルートの中が正、すなわち、hが1より大きい時、特性方程式
中が
すなわち が より大き 時 特性方程式
の根は2つとも負の実数となる。
 となり、uは振動しない。この状
• 従って、
従 て t 
となり は振動しない この状
 の時 e p t 
態を「過減衰」という。
• h  1の時は、p
時は 1、p2がともに
がとも  となる。
となる
• つまり、この場合も、pは負の実数であり、 t  の時 u
となる すなわち は振動しない この状態を「臨界減衰」と
となる。すなわち、uは振動しない。この状態を「臨界減衰」と
いう。
12
1.2
p1  p2    0
1.2
1
2
1.0
0.8
06
0.6
0.4
0.2
00
0.0
0.0
  6.28, u0 u0  5.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0 t (s)
解の性質 (3) h<1

u  D1e
p1 t
 D2e
 

 
u  u0 1  1 
 
u  t  
1.0
2.0
3.0
t (s)
解の性質 (3) h<1 (続き)
• 初期条件( ut 0  u0 , u˙ t 0  u˙ 0 )を導入すると、
• ルートの中が負、すなわち、hが1より小さい時、特性方程式
中が負 すなわち が より小さ 時 特性方程式
の根は共役な2つの複素数となる。
• この時、解はsineまたはcosine関数となる。すなわち、uは周
この時 解は i または
i 関数となる すなわち は周
期的に振動する関数となる。ただし、振幅は時間の経過とと
もに減少する。
p1, 2   h  i 1 h 2
  6.28, u0 u0  5.0
1.0
0.8
u 0.6
06
0.4
u˙ 0    t 0.2
00
0.0
t e
u0  
0.0
u  D1e p1 t  D2e p 2 t
ut 0  u0 , u˙ t 0  u˙ 0


u  Ue  h t cos 1  h 2  t     U  ue  uc


ue  e  h t , uc  cos 1  h 2  t   


 h  u0  u0  

h  u0  u0  

U  u0 1 
,   tan 1  
2




1 h
1  h2 



  6.28, u0 u0  5.0

u=U*u *u
p2t


u  e  h t Acos 1 h 2 t  Bsin 1 h 2 t

1.5
1.0
0.5
u
0.0
-0.5
-1 0
-1.0
-1.5
0.0
c
1.0
2.0
u
e
u
c
3.0
4.0
e
5.0 t (s)
4.0
5.0
減衰自由振動
• 減衰自由振動
u  Ue
h t

cos 1 h t  
2
1.5
u  U cost   
数・固有周期の変化は、
U Ue  t
 1 h   d

T
T  Td  d 
2
1 h 2
2
• 減衰固有周期は
減衰固有周期は、減衰定数hが小さい時には非減衰固有周
減衰定数 が小さ 時 は非減衰固有周
期にほぼ等しい値となる。
T /T
 h  1
d

• を非減衰自由振動
• と比べると、減衰の付加
による振幅・固有円振動
減衰固有周期
 Td 
減衰固有周期
10
1.0
0.5
振幅
u
T
1 h 2
10
T
8
6
0.0
4
T ≒T
-0.5
d
2
-1.0
-1.5
1.5
0.0
1.0
2.0
3.0
t (s)
4.0
5.0
0
0.0
0.2
0.4
0.6
h
0.8
1.0
1.2