ラグランジュの未定乗数法(Lagrange-Multiplier Method

ラグランジュの未定乗数法(Lagrange-Multiplier Method)
ラグランジェの未定乗数法とはなにか
制約条件がある関数の極値を求める問題
f-λg
極値を求めたい関数 任意の定数 “=0”となる形の制約条件
f と g という関数で表すと
制約条件:g=0
一般式:f-λg
この一般式が極値にある、という問題を考える。
(λをラグランジュ未定乗数と呼ぶ)
極値ということは…?
→ 傾きが 0 →各変数による偏微分が全て 0 である!
そして
・各変数による偏微分=0 (この式の個数は変数の個数による)
・制約条件 g=0
を連立方程式として解けばよい。
関数が x,y,z からなる 3 次元関数であった場合
L=f(x,y,z)-λ・g(x,y,z)
という式を考える
連立方程式は
L

0

x

L

0

y


L

0
z


g  x, y, z   0 次ページ以降に“簡単な例題”と“もう尐し実用性のある問題”の例を示す
簡単な例題.
x+y=a
(1)
の条件のもとで
f(x,y)=(x2+y2)/2
(2)
の極値を求めよ
※x=a-y を(2)に代入すれば x の 2 次関数式になるので解けるが、例のためしない
ラグランジュの未定乗数法を用いて解く
ここで(1)を=0 の形に直し、g とする
g(x,y)=x+y-a=0
f(x,y)=(x2+y2)/2
ラグランジュの未定乗数法を利用
L={(x2+y2)/2}-λ(x+y-a)
※x+y-a=0 なので、L の極値を求めることは、f(x,y)の極値を求めることと等しい
実は=0 じゃなくても微分すれば 0 になる定数なら良い!ex, x+y-a=1 の場合
2 変数関数の極値なので
∂L/∂x=x+λ=0
(3)
∂L/∂y=y+λ=0
(4)
よって連立方程式は(1)(3)(4)の 3 式となって x=y=a/2 となる。
ここが極値となる。
今回は直接解く方が簡単だが、束縛条件が複雑 or 変数や条件が多ければ大変
また原理的に消去困難な場合もある
例.等周問題
xy 平面上の閉曲線 f(x,y)=0 があり、条件として 1 周の長さを指定する
制約条件として 1 周の長さを指定する
囲む面積が最大になるのはどんな f(x,y)か?
直観的に答えは円だということがわかるが証明は尐々厄介
【f(x,y)から面積を求める積分】を一番小さく(?)なるようにする
条件は【f(x,y)から周長を求める積分】=一定
しかし f(x,y)がわからないのから直接これを示すことができない、お手上げ
こういうときがラグランジュの未定乗数法が使える!
もう尐し実用性のある例題
『直径 2a、短径 2b の楕円に内接する長方形の面積の最大値を求めよ』
四角形の面積を f(x,y)
楕円に内接するという制約条件を g(x,y)とすると
f x, y   4 xy
g  x, y  
x2 y2

1
a2 b2
ラグランジュの未定乗数λを用いると
L=f-λg より
 x2 y2

L  4 xy    2  2  1
b
a

2
2
x
y
L  4 xy   2   2  
a
b
そしてこのときの連立方程式は下記のようになる
※この 3 式を x,y,λを独立変数のようにみなして計算を行う






2
2

x
y
2  2  1  0 
a
b

L
2x
 4 y   2 0
x
a
L
2y
 4 x   2 0
y
b
その結果
x
a
2
, y 
b
2
,   2ab  S max  2ab
というわけで直径 2a、短径 2b の楕円に内接する長方形の面積の最大値は 2ab となる
(面積の極値を考えたので、じゃあどこに線を引けばいいの?ということは別の話)
またラグランジュの未定乗数法を用いて計算したのは単に「極値」にすぎない
つまり「最大値」なのか「最小値」なのかはわからない!
今回の場合は…
楕円に内接する長方形が極値をもつとしたら最大値だけだと直感的に分かる
直観的にわからない場合は二次導関数も調べて最大か最小かを確認すること!