修 士 論 文 の 和 文 要 旨 修 士 論 文 の 和 文 要 旨

修 士 論 文 の 和 文 要 旨
大学院
電気通信学研究科
氏
論
博士前期課程
名
文
題
小幡
目
電子物性工学専攻
進
学籍番号 0234008
新規光機能性π共役系分子の合成及び物性評価
【序論】芳香族
π共 役系 化 合物 は、その広 く共役したπ電 子系の特 性を利用し導電 性材 料
【序論】
や光 機能 性材 料 、有 機EL発光 材料 として広 く応 用されている。化 学的 にも様々な機 能性 置
換基 を導 入する事 で分 子 に特定 の物 性を付与 できる特徴が有る。オワンクラゲなどの発 光生
物の発 光 基質 であるイミダゾピラジノン環 構造 は高いHOMOと低いLUMO準 位を持ち、分 子
内で大きく分 極した特 異なπ電 子系 を有 する。このために生 物 化学 発光 性を持 つとともに水
素結 合による超 分 子構 造 形成 、さらに長 波 長吸 収、蛍光 性など多 様な物性 を示す。このこと
からイミダゾピラジノン誘導 体は光 機能 性分 子 及び分 子、イオン認 識センサー化 合物 として
様々な応 用が期 待される。このイミダゾピラジノン環を複数 個連 結した新 規誘 導 体では環の持
つ特 徴が倍 増され、さらなる新しい物性 発 現が期 待される。例えば化 学 発光 では発光 色の異
なる二 段階 発 光が期 待される。以 上の観点 から本研 究ではこれまで確 立されていなかった
8,8’直結 型ビスイミダゾピラジノン誘 導 体と6,6’直結 型 ビスイミダゾピラジノンの合 成経 路を確
立し、それらの物性 及 び化 学発 光特 性の評価 を行 った。
【本論】直結型
ビス イ ミダ ゾピ ラジ ノ ン誘 導体 合 成 では 前駆 体 とな る直 結 型 ビス アミ
【本論】
ノピ ラジ ン 誘導 体の 合 成 が重 要で あ る。こ の ビス アミ ノピ ラ ジノ ン誘 導 体 合成 のキ ー
ステ ップ で あるStilleカ ップ リン グ 反応 や鈴 木 カ ップ リン グ 反応 にお い て 、必要 とさ
れる アミ ノ ピラ ジン の ス ズ化 合物 や ボロ ン酸 エ ス テル の合 成 を試 みた が 困 難で あっ
た。この 合成 上 困難 であ る原 因を 検 討し て問 題 点 を明 らか に し、カッ プリ ング 反応 条
件を 種々 検 討す る事 に よ って 新規 な ホモ カッ プ リ ング 反応 条 件を 見い だ し 直結 型ビ
スア ミノ ピ ラジ ン誘 導 体 の合 成を 成 功し た。これ によ り 1ab,2ab
4ab,5ab
1ab 2ab及び
2ab
4ab 5ab、さらに
5ab
ビス アセ ト アミ ド体 3 ,6ab
6abの合成を
達
成し
た。
合
成し
た誘
導
体の
各種
溶
液
中で のソ ル
6ab
バト クロ ミ ズム 特性 及 び 2-メチル ビ ス体 の化 学 発 光に つい て 検討 した 。ビ ス体 の吸 収
スペ クト ル はモ ノ誘 導 体 と比 較し て 吸収 極大 波 長 の600 nm以上へ の大 き な 長波 長化
及び 、溶 媒の 極 性に 依存 した 特有 の 吸収 波長 シ フ トを 示し た。2-メチ ルビ ス体 は明 確
な二 段階 化 学発 光を 示 し 、5aの化学発
5a
光で は 特有 の発 光体 の 励起 分子 構 造 から の発 光
を観 測し た 。ま た、 半 経 験的 分子 軌 道計 算(MOPAC AM1 COSMO法)により ビ ス体 のπ 電
子系 ではLUMO準 位が モ ノ 体よ り大 き く低 下し て お り、特 異 なπ 電子 系 構造 であ る事 を
見い だし た 。
O
R1
H
N
N
N
R2
R2
N
O
N
N
N
N R1
H
HN
O
Me
1a : R1 = Me, R2 = H
1b : R1 = Ph , R2 = H
2a : R1 = Me, R2 = 4-tert-BuPh
2b : R1 = Ph , R2 = 4-tert-BuPh
N
N
O
O
Me
NH
N
R1
N
H
R2
3
O
R2
N
N
N
H
N R1
R
Me
NH
N
N
HN
N
O
4a : R1 = Me, R1 = Hexyl
4b : R1 = Ph , R1 = Hexyl
5a : R1 = Me, R1 = 4-tert-BuPh
5b : R1 = Me, R1 = 4-tert-BuPh
Me
R
N
O
6a : R = Hexyl
6b : R =
4-tert-BuPh