節点座標系による傾斜支持の処理

2014/06/11
技術者のための構造力学
資料② 節点座標系による傾斜支持節点
節点座標系による傾斜支持節点の処理
節点の処理
三好崇夫
加藤久人
1.はじめに
1.はじめに
従来,マトリックス変位法に基づく骨組解析を紹介する教科書においては,全体座標系に対して傾斜
した斜面上の支持条件を考慮する処理方法として,一旦,傾斜支持を無視した全体座標系に関する構造
全体の剛性マトリックスを組み立てた後に,傾斜支持する節点に関して対応する剛性成分を座標変換に
よって傾斜方向に回転処理し,その後は通常の全体座標系に対して傾斜していない支持点に対するのと
同じ方法で境界条件の処理を行う手法が紹介されている.本資料では,この手法を従来法と称すること
にする.
本資料では,上記の従来法とは異なり,いきなり傾斜支持を考慮した剛性マトリックスを作成する考
え方を紹介する.この方法によれば節点の自由度に関して,より一般的に解釈でき,プログラミング上
も手戻りが少なく,円滑にコーディングができる.なお,本資料では簡潔に説明を行うため,2 次元骨
組問題を考える.また,本資料では,図-2.1 に示すように,3 つの座標系を取り扱う.その 1 つ目は全
ての要素に共通な全体座標系(X-Y 座標系)である.2 つ目は各要素に対して定義される要素座標系(xmym 座標系)であり,要素の i 端から j 端を結んだ方向に xm 軸を,これと直角方向に ym 軸を定義する.そ
して,3 つ目は各節点にて定義される節点座標系(図-2.1 に示す xi-yi 座標系と xj-yj 座標系)であり,そ
の xi,xj 軸は全体座標系の X 軸とそれぞれ反時計回りに αi,αj の角度をなすものとして定義する.
いま,図-2.1 に示すように,要素座標系 xm 軸と全体座標系 X 軸とのなす角度を α,節点座標系 xi,
xj 軸と要素座標系 xm 軸のなす角度をそれぞれ α’i,α’j と表すことにすれば,α’i,α’j は αi,αj と α を用い
てそれぞれ次式で表される.
α '= α − α, α '= α − α
i
i
j
(1)1,2
j
従来法では,大略次のような手続きによって傾斜支持節点の処理を行っている.
①
要素(xm- ym)座標系に関する要素剛性マトリックスを作成する.
②
これに対して回転角 α で要素(xm- ym)座標系から全体(X-Y)座標系への座標変換を行い,全体座
剛性マトリックスに組み込む.このときの全体剛性マトリックスの要素は,全ての節点について全体
座標系に沿うものである.
③
全体剛性マトリックスのうち,傾斜支持される自由度に対して,全体座標系から傾斜座標系への座
標変換を行う.なお,傾斜座標系とは傾斜支持面に沿った座標系である.
xj
yj
ym
xi
yi
j
α xm
αj’
αj
節点座標系 (j 端)
αi’
要素座標系
Y
i
αi
節点座標系 (i 端)
X
全体座標系
図-2.1 座標系の定義
1
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xi
yi
ym
xi
j 節点
ui1=1
ym
xm
αi’
yi
m 要素
vmi1=1sinαi
αi’
xm
m 要素
umi2=-1sinαi’
umi1=1cosαi
i 節点
(a) xi 方向単位変位の xm,ym 方向への変換
図-2.2
vi2=1
αi’
j 節点
vmi2=1cosαi’
i 節点
(b) yi 方向単位変位の xm,ym 方向への変換
i 節点座標,第 1 自由度の単位変位を要素座標へ変換
以上の従来法に対して,本資料で紹介する方法(以下では,紹介法と呼ぶ)では,次のような手続き
によって節点座標系に関する全体剛性マトリックスを得るものである.
①
要素(xm- ym)座標系に関する要素剛性マトリックスを作成する.
②
この要素剛性マトリックスを式(1)で表される α’i,α’j を用いて節点座標系に座標変換し,全体座剛
性マトリックスに組み込む.このときの全体剛性マトリックスの要素は,各節点自由度の節点座標
系に沿うものである.また,傾斜支持節点に関しては,節点座標系を傾斜座標系と一致させて定義
するものとする.
以下に,このような考え方に基づく,直接法による要素 m に関する要素剛性マトリックスの求め方に
ついて示す.
2.第1自由度に関する剛性
2.第1自由度に関する剛性
要素 m は,両端 2 節点の 2 次元骨組要素であるから,その変位ベクトル{dm}は次のように表される.
{d m } = {umi
vmi θ mi
umj
vmj θ mj }
T
(2)
ここに,umi,umj:それぞれ要素 m の i,j 端における xi,xj 軸方向の変位,vmi,vmj:それぞれ要素 m
の i,j 端における yi,yj 軸方向の変位,および θmi,θmj:それぞれ要素 m の i,j 端における反時計回り
の回転変位である.これらは要素座標系(xm-ym)に沿う変位である.
本資料では,式(2)右辺における,umi を第 1 自由度,vmi を第 2 自由度,そして θmj を第 6 自由度という
ように呼ぶことにする.
従来法において,直接法による要素の剛性行列の作成方法を要約すると,対象とする要素が関与する
変位自由度のうち 1 つの自由度のみに要素(xm- ym)座標系に沿った単位の強制変位を与え,残り 5 つ
の自由度は全て固定する.そして,この強制変位に伴い生じる各自由度方向の反力を求め,節点力ベク
トルとする.この処理を各自由度に対して繰り返せば,合計 6 個の節点力ベクトルが得られることにな
る.さらに,これらのベクトルを第 1 自由度については第 1 列,第 2 自由度については第 2 列というよ
うに並べてマトリックス表示すると,6 行 6 列のマトリックスが得られ,これがその要素の要素(xm-ym)
座標系に関する剛性マトリックスとなる.即ち,従来法では各節点の自由度を要素(xm- ym)座標系に
沿って求めていることになる.
紹介法によれば,変位自由度を要素 i 端の節点(xi-yi)座標系と,要素 j 端の節点(xj-yj)座標系に沿
うものとすることになる.図-2.2(a)に示すように,第 1 自由度について単位変位を与え,第 2~6 自由
度を拘束した場合の変位ベクトル{dij1}を次のように表すことにする.
{d } = {u
ij 1
i1
v i1 θ i1
u j1
v j1 θ j 1 } = {1 0 0 0 0 0}
T
2
T
(3)
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ここに,左辺{dij1}の右下符号の ij は節点座標系に関する諸量であることを意味する.さらに各要素の
右下符号の 1 は第 1 自由度に単位変位を与えることを意味する.
また,央辺について,要素 m の i 端の節点座標系(xi-yi)における変位を ui1,vi1,θi1,j 端の節点座標
系(xj-yj)における変位を uj1,vj1,θj1 としている.
この節点座標系に沿う変位を図-2.2(a)を参照して,要素座標系に変換し,ベクトル.表示すると,
u mi1 = 1 cos α i ' , vmi1 = 1 sin α i ' , θ mi1 = u mj1 = v mj1 = θ mj 1 = 0
{d } = {u
m1
vmi1 θ mi1 umj1 vmj1 θ mj1 } = {cos α i ' sin α i ' 0 0 0 0}
T
mi 1
(4)1~6
T
(5)
一般に要素座標系(xm-ym)における要素剛性方程式は,次のように表される.
 EA
 L

 N mi   0
P  
 mi  
0
M 
{Fm } =  mi  =  EA
 N mj  −
 Pmj   L

 
M mj   0

 0

−
0
0
12 EI
L3
6 EI
L2
6 EI
L2
4 EI
L
0
−
12 EI
L3
6 EI
L2
EA
L
0
0
6 EI
L2
2 EI
L
−
0
0
0
12 EI
L3
6 EI
− 2
L
−
EA
L
0


6 EI  u 
 mi
L2  v 
2 EI   mi 
 
L  θ mi  = [S ]{d }
m
m
 u 
0   mj 
 v 
6 EI   mj 
− 2 θ mj 
L 
4 EI 

L 
0
0
12 EI
L3
6 EI
− 2
L
(6)
式(6)において,{Fm}は要素座標系における節点力ベクトル,[Sm]は要素座標系における要素剛性マト
リックスであり,Nmi,Nmj:それぞれ要素 i,j 端の軸力,Pmi,Pmj:それぞれ要素 i,j 端のせん断力,な
らびに Mmi,Mmj:それぞれ要素 i,j 端の曲げモーメントである.
式(5)の単位強制変位ベクトル{dm1}を式(6)の{dm}に代入すると,{dm1}による要素座標系に沿った節点
力ベクトル{Fm1}は,次のように表される.
{Fm1} = {N mi1
Pmi1
M mi1
N mj1
Pmj1
EA
L
0
M mj1} = [S m ]{d m1}
T
(7)
要素を具体的に示せば,
 EA
0
 L

12 EI
 0
L3

6 EI
 0
L2
{Fm1} =  EA
0
−
L

12 EI
 0
− 3

L
6 EI

 0
L2
0
6 EI
L2
4 EI
L
0
6 EI
L2
2 EI
L
−
−
0
0
EA
L
0
0
12 EI
L3
6 EI
− 2
L
−
0
12 EI
L3
6 EI
− 2
L


6 EI  1cos α ′
i

L2  1sin α ′ 
i
2 EI  


0
L 



0  0 
 0 
6 EI  
− 2  0 
L 
4 EI 
L 
0
(8)
次に,図-2.3 に示すように,要素座標系に沿った節点力ベクトル{Fm1}を節点座標系に沿った節点力
3
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xi
yi
j 節点
m 要素
Nmi1cosαi’
ym
i 節点
ym
j 節点
yi
xm
αi’
xi
Pmi1sinαi’
xm
Pmi1
αi’
Nmi1
Pmi1cosαi’
-Nmi1sinαi’
m 要素
i 節点
(b) 節点 i の ym 方向力 Pmi1 の xi,yi 方向への変換
(a) 節点 i の xm 方向力 Nmi1 の xi,yi 方向への変換
図-2.3 力の要素座標系から節点座標系へ変換
ベクトル{Fij1}に変換することを考える.図中の(a)と(b)の足し算から,i 点側で
N i1 = N mi1 cos α i '+ Pmi1 sin α i ' , Pi1 = N mi1 sin α i '− Pmi1 cos α i ' , M i1 = M mi1
(9)1~3
N j1 = N mj1 cos α j '+ Pmj1 sin α j ' , Pj1 = N mj1 sin α j '− Pmj1 cos α j ' , M j 1 = M mj1
(9)4~6
j 点側で
各要素の添え字 1 は節点座標系の第 1 自由度に単位の強制変位を与えた場合を示す.また,
Ni1,Nj1:i 点における xi 方向の力,j 点における xj 方向の力
Pi1,Pj1:i 点における yi 方向の力,j 点における yj 方向の力
Nmi1,Nmj1:i 点における xm 方向の力,j 点における xm 方向の力
Pmi1,Pmj1:i 点における ym 方向の力,j 点における ym 方向の力
Mi1,Mj1:i 点における節点座標系のモーメント,j 点における節点座標系のモーメント
Mmi1,Mmj1:i 点における要素座標系のモーメント,j 点における要素座標系のモーメント
である.
これらをマトリックス表示して,
 N i1 
P 
 i1 
M 
{Fij1} =  N i1  =
 j1 
 Pj1 
 
M j 1 
 cos α i′ sin α i′
− sin α ′ cos α ′
i
i

 0
0

0
 0
 0
0

0
 0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0 cos α ′j sin α ′j
0 − sin α ′j cos α ′j
0
0
0
0  N mi1 


0  Pmi1 
0 M mi1 


0  N mj 1 
0  Pmj1 


1 M mj1 
(10)
これを書き改めて,以下と表記する.
{F } = [T ] {F }
T
ij 1
ij
m1
(11)
右辺第 1 項のマトリックスが[Tij]の転置マトリックスであることは3章で説明する.
3.第2~6
.第2~6自由度に関する剛性
2~6自由度に関する剛性
2章では,節点座標系の第 1 自由度に単位強制変位を与えた場合の節点座標系に沿った節点力につい
て求めたが,第 2~6 自由度に単位強制変位を与えた場合についても,同様の手続きによって節点座標
系に沿った反力が求められる.第 2~6 自由度に単位強制変位を与えた場合の節点座標系における強制
変位ベクトル{dijk},要素座標系における強制変位ベクトル{dmk}について,結果のみを示せば以下のよう
4
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になる.
① 第 2 自由度に単位強制変位を与えた場合,図-2.2(b)を参照して
{d } = {u
ij 2
θ
vi 2
i2
u j2
i2
θ
v j2
} = {0
1 0 0 0 0}
T
j2
T
(12)1
umi 2 = −1sin α i ' , vmi 2 = 1 cos α i ' , θ mi 2 = u mj 2 = v mj 2 = θ mj 2 = 0
{d } = {u
m2
mi 2
θ
v mi 2
u mj 2
mi 2
θ
v mj 2
} = {− sin α ′
cos α i′ 0 0 0 0}
T
mj 2
(13)1~6
T
i
(14)1
② 第 3 自由度に単位強制変位を与えた場合,回転変位に変換は不要であるから
{d } = {u
ij 3
vi3 θ i3
i3
{d } = {u
m3
v mi 3 θ mi 3
mi 3
v j 3 θ j 3 } = {0 0 1 0 0 0}
T
u j3
T
(12)2
v mj 3 θ mj 3 } = {0 0 1 0 0 0}
T
u mj 3
T
(14)2
③ 第 4 自由度に単位強制変位を与えた場合,第 1 自由度と同様に
{d } = {u
ij 4
{d } = {u
m4
mi 4
θ
v mi 4
θ
vi 4
i4
u mj 4
mi 4
u j4
v j4
v mj 4
θ
i4
θ
} = {0
T
j4
} = {0
T
0 0 cos α ′j
T
mj 4
0 0 1 0 0}
sin α ′j
(12)3
0}
T
(14)3
④ 第 5 自由度に単位強制変位を与えた場合,第 2 自由度と同様に
{d } = {u
ij 5
{d } = {u
m5
mi 5
θ
v mi 5
θ
vi5
i5
u mj 5
mi 5
u j5
v j5
v mj 5
θ
i5
θ
} = {0
T
j5
} = {0
T
0 0 − sin α ′j
T
mj 5
0 0 0 1 0}
(12)4
0}
cos α ′j
T
(14)4
⑤ 第 6 自由度に単位強制変位を与えた場合,第 3 自由度と同様に
{d } = {u
ij 6
{d } = {u
m6
θ
vi6
i6
v mi 6
mi 6
u j6
i6
θ
mi 6
θ
v j6
u mj 6
v mj 6
} = {0
T
j6
θ
} = {0
T
mj 6
0 0 0 0 1}
T
(12)5
0 0 0 0 1}
T
(14)5
式(3)および(12)1~5 より,それぞれ第 1~6 自由度に与えた,節点座標系における単位強制変位ベクト
ル{dijk} (k=1,2,…,6)を並べて次のようにマトリックス表示する.
[d ] = [{d } {d } {d } {d } {d } {d }]
ij
ij 1
 u i1 u i 2
v
 i1 v i 2
θ i1 θ i 2
=
u j1 u j 2
 v j1 v j 2

θ j1 θ j 2
ij 2
ij 3
ij 4
ui3
ui4
ui5
vi3
vi4
vi5
θ
θ
θ
i3
i4
i5
u j3
u j4
u j5
v j3
v j4
v j5
θ
θ
θ
j3
j4
j5
ij 5
ij 6
u i 6  1
0
0 0 0 0


vi6 
1
0 0 0 0

θ i6  
1 0 0 0
=
 = [I ]
u j6  
1 0 0
v j 6   sym.
1 0
 

θ j 6  
1
(16)
また,式(5)および(14)1~5 より,それぞれ第 1~6 自由度に与えた,要素座標系における単位強制変位
5
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ベクトル{dmk} (k=1,2,…,6)を並べて次のようにマトリックス表示する.
[d ] = [{d } {d } {d } {d } {d } {d }]
m
m1
m2
m3
m4
m5
m6
u mi1 u mi 2 u mi 3 u mi 4 u mi 5 u mi 6  cos α i′ − sin α i′
v
 
 mi1 v mi 2 v mi 3 v mi 4 v mi 5 v mi 6   sin α i′ cos α i′
θ mi1 θ mi 2 θ mi 3 θ mi 4 θ mi 5 θ mi 6   0
0
=
=
0
u mj1 u mj 2 u mj 3 u mj 4 u mj 5 u mj 6   0
 v mj1 v mj 2 v mj 3 v mj 4 v mj 5 v mj 6   0
0

 
0
θ mj1 θ mj 2 θ mj 3 θ mj 4 θ mj 5 θ mj 6   0
0
0
0
0
1
0
0 cos α ′j
0 sin α ′j
0
0
0
0
0
− sin α ′j
cos α ′j
0
0
0
0
 = [Tij ]
0
0

1
(17)
これを書き改めて,
{d m } = [Tij ]
(18)
[Tij]は要素 m の i 端の節点座標系(xi-yi)と,j 端の節点座標系(xj-yj)に沿う変位を要素座標系(xm-ym)
に沿う変位へ変換するマトリックスである.この関係は変位のみならず座標値自体にも成立するので,
[Tij]は座標変換マトリックスと呼ばれる.
式(10)と式(17)の比較から式(11)の右辺のマトリックスが[Tij]の転置であることが認識される.
また,式(11)は第 2~6 自由度それぞれに単位強制変位を与えた場合についても同様であり,
{F } = [S ]{d } (k = 1,2,K,6)
mk
m
mk
(19)
これをマトリックスに並べて,
[Fm ] = [{Fm1} {Fm 2 } {Fm3 } {Fm 4 } {Fm5 } {Fm6 }]
 N mi1
P
 mi1
 M mi1
=
 N mj1
 Pmj1

 M mj1
N mi 2
N mi 3
Pmi 2
Pmi 3
M mi 2
M mi 3
N mj 2
N mj 3
Pmj 2
M mj 2
Pmj 3
M mj 3
= [[S m ]{d m1}
N mi 6 
Pmi 4
Pmi 5
Pmi 6 
M mi 4 M mi 5 M mi 6 

N mj 4 N mj 5 N mj 6 
Pmj 4
Pmj 5
Pmj 6 

M mj 4 M mj 5 M mj 6 
[S m ]{d m3 } [S m ]{d m 4 }
N mi 4
N mi 5
[S m ]{d m 2 }
[S m ]{d m5 } [S m ]{d m6 }]
= [S m ][{d m1} {d m 2 } {d m3 } {d m 4 } {d m 5 } {d m 6 }]
= [S m ][d m ]
(20)
式(20)の最右辺に式(18)を代入すると,次の関係が成立する.
[F ] = [S ][T ]
m
m
ij
(21)
また,式(9)の第 1~6 式に示した第 1 自由度に単位強制変位を与えた場合の,要素座標系の節点力を
節点座標系に変換する式を第 2~6 自由度にそれぞれ単位強制変位を与えた場合の式に拡張する.この
場合にも図-2.3 を参照し,k=1,2,…,6 として,i 点側で
N ik = N mik cos α i '+ Pmik sin α i ' , Pik = N mik sin α i '− Pmik cos α i ' , M ik = M mik
(22)1~3
j 点側で
N jk = N mjk cos α j '+ Pmjk sin α j ' , Pjk = N mjk sin α j '− Pmj1 cos α j ' , M jk = M mjk
6
(22)4~6
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技術者のための構造力学
各要素の添え字 k は節点座標系の第 k 自由度に単位の強制変位を与えた場合を示す.
その他の添え字は式(9)の第 1~6 式と同様である.
これをマトリックス表示して,
 N ik   cos α i′ sin α i′ 0
0
P  
0
 ik  − sin α i′ cos α i′ 0
M 
0
1
0
{Fijk } =  N ik  =  00
0
0 cos α ′j
 jk  
 Pjk   0
0
0 − sin α ′j

 
0
0
0
M jk   0
0
0
0
sin α ′j
cos α ′j
0
0  N mik 


0  Pmik 
0 M mik 


0  N mjk 
0  Pmjk 


1 M mjk 
(23)
書き改めると,
{F } = [T ] {F } (k = 1,2,K,6)
T
ijk
ij
(24)
mk
式(24)より,それぞれ第 1~6 自由度に与えた単位強制変位によって生ずる節点座標系に沿った節点力
ベクトル{Fijk} (k=1,2,…,6)を並べて次のようにマトリックス表示する.
[F ] = [{F } {F } {F } {F } {F } {F }]
ij
ij1
 N i1
P
 i1
 M i1
=
 N j1
 Pj1

 M j1
ij 2
[[ ] {F
Ni 2
Pi 2
M i2
N j2
Pj 2
M j2
ij 3
N i3
Pi 3
M i3
N j3
Pj 3
M j3
ij 4
ij 5
Ni 4
Pi 4
M i4
N j4
Pj 4
M j4
ij 6
Ni 6 
Pi 6 
M i6 

N j6 
Pj 6 

M j 6 
Ni5
Pi 5
M i5
N j5
Pj 5
M j5
} [Tij ]T {Fm 2 } [Tij ]T {Fm3 } [Tij ]T {Fm 4 } [Tij ]T {Fm5 }
T
= [Tij ] [{Fm1} {Fm 2 } {Fm3 } {Fm 4 } {Fm5 } {Fm 6 }]
T
= [Tij ] [Fm ]
= Tij
T
m1
[T ] {F }]
T
ij
m6
(25)
式(25)に式(21)を代入すると次の関係を得る.
[F ] = [T ] [S ][T ]
T
ij
ij
m
ij
(26)
式(26)の[Fij]は,要素 m について節点座標系に沿った単位の変形を個別に与えた時,要素に生じる節
点座標系に沿った節点力を示すものであり,節点座標系における要素剛性マトリックスを表している.
よって,[Fij]を改めて節点座標系における要素剛性マトリックスとして[kij]と表すことにする.
[F ] = [k ]
ij
(27)
ij
これより,節点座標系における要素剛性方程式は次式で表される.
{F } = [k ]{d }
ij
ij
ij
(28)
式(28)の[kij]を全体構造の剛性マトリックスにアセンブルすると,構造全体に関する剛性も節点座標系
におけるものになる.
7
2014/06/11
技術者のための構造力学
4.まとめ
従来法では要素剛性を全体座標系に変換する時,やはり座標変換マトリックスを用いるがその場合は,
要素 i 点側と j 点側とで共通な要素座標系 xm 軸と全体座標系 X 軸のなす角度 α を用いる.
紹介法では i 点側と j 点側でそれぞれ個別に節点座標系 xi,xj 軸と全体座標系 X 軸のなす角度 αi ',αj '
を用いることになる.したがってプログラムの大筋の流れについては従来法に対して大きな変更はない.
この方法によれば任意の節点に対して任意の方向の拘束を付与できる.従来法では構造全体の節点の自
由度を全体座標系に固定化して考えるため,傾斜支持処理について煩雑さを感じるが,紹介法では節点
ごとに任意方向に自由度をとることが基本となるため迷いが少ない.
3 次元骨組では i 点,j 点でそれぞれ全体座標系に対する節点座標系の方向余弦を定義することにより,
ここまでと同じ考え方で傾斜支持の問題が処理できる.ただし,回転変位について 2 次元では変換が必
要なかったが 3 次元ではベクトルの考え方を用いて座標変換の必要が生じる.3 次元において 1 つの節
点に対する拘束の組み合わせは 26 = 64 通りあるが,紹介法によればいずれの組み合わせに対しても共
通の考え方で容易にプログラミングができる.
5.数値計算例
提案法について,図-2.4 に示すような 2 次元ラーメン構造物の例題を通して説明するとともに,そ
の妥当性についても示す.この構造物は,節点 1 がピン支持,節点 3 が X 軸方向から反時計回りに 45°
回転した斜面上でローラー支持されており,節点 2 には X 軸方向の集中荷重 P が作用しているものとす
る.なお,同図中の()内は,要素番号を表している.
本構造物に対する,構造力学による支点反力と各節点の変位の理論解は次のようになる.
図-2.4 に示すように,支点反力 R1H,R1V および R3 を定義すると,これらは力のつり合い条件により,
それぞれ次のように求められる.
R1V = −
P
P
2
, R1 H = − , R 3 =
P
2
2
2
(29)1~3
節点 1 における X,Y 軸方向変位 δ1X,δ1Y,および反時計回りを正とする回転変位 θ1 は,それぞれ次
のように求められる.
Y
L
(2)
EA,EI
2
P
L
x3
φ=45°
3
項目
1 x1
R1V
支点反力
3
1
弾性係数:E=200000 N/mm2
断面積:A=1000 mm2
4
X 断面二次モーメント:I=100000000 mm
部材長:L=10 m
集中荷重の大きさ:P=100 kN
図-2.4
節点番号
1
R3
(1)
EA,EI
y1
R1H
表-2.1 ラーメン構造物の理論解
y3
変位
2
3
2 次元ラーメン構造物
8
成分
R 1H (kN)
理論解
-5.000E+01
R 1V (kN)
R 3 (kN)
δ 1X (mm)
δ 1Y (mm)
θ 1 (rad.)
δ 2X (mm)
δ 2Y (mm)
θ 2 (rad.)
δ 3X (mm)
δ 3Y (mm)
θ 3 (rad.)
-5.000E+01
7.071E+01
0.000E+00
0.000E+00
-1.253E-01
8.358E+02
2.500E+00
-2.500E-04
8.333E+02
8.333E+02
1.248E-01
2014/06/11
技術者のための構造力学
δ
1X
PL2
P
= 0, δ 1Y = 0, θ 1 = −
−
4 EI 2 EA
(30)1~3
また,節点 2 における X,Y 軸方向変位 δ2X,δ2Y,および反時計回りを正とする回転変位 θ2 は,それ
ぞれ次のように求められる.
δ
2X
PL3
PL
PL
P
=
+
, δ 2Y =
, θ2 = −
6 EI 2 EA
2 EA
2 EA
(31)1~3
さらに,節点 3 における X,Y 軸方向変位 δ3X,δ3Y,および反時計回りを正とする回転変位 θ3 は,そ
れぞれ次のように求められる.
δ
3X
PL3
PL3
PL2
P
=
, δ 3Y =
, θ3 =
−
6 EI
6 EI
4 EI 2 EA
(32)1~3
図-2.4 に示す諸元を以上の支点反力,節点変位の代数式に代入すると,理論解は表-2.1 のように表
される.
次に,提案法によって変位と支点反力を求める.なお,数値計算には,Microsoft 社の Excel を用いる
ことにする.以下に計算過程を示す.
(1) 節点座標系表示の要素剛性マトリックスの計算
節点座標系表示の要素剛性マトリックスの計算
要素座標系表示の要素剛性マトリックス[Sm]は,式(6)で与えられる.要素 1 については,式(6)に図-
2.4 に与えられている諸元を代入することにより,次のように表される.ただし,要素 1 の要素座標系
の x 軸は,式(6)における i=1,j=2 として,節点 1 から 2 の向きに定義する.
um1
1
[S m ]=
θm1
v m1
u m2
2.000E+04 0.000E+00 0.000E+00 -2.000E+04
0.000E+00 2.400E+02 1.200E+06 0.000E+00
0.000E+00 1.200E+06 8.000E+09 0.000E+00
-2.000E+04 0.000E+00 0.000E+00 2.000E+04
0.000E+00 -2.400E+02 -1.200E+06 0.000E+00
0.000E+00 1.200E+06 4.000E+09 0.000E+00
Nm1
Pm1
M m1
Nm2
Pm2
M m2
v m2
θm2
0.000E+00 0.000E+00
-2.400E+02 1.200E+06
-1.200E+06 4.000E+09
0.000E+00 0.000E+00
2.400E+02 -1.200E+06
-1.200E+06 8.000E+09
要素 1 に関して,式(17)で表される要素座標系から節点座標系への座標変換マトリックス[Tij1]を求め
るため,節点 1,2 における節点座標系を定義する.節点 1 については全体座標系に沿った座標系で支
持されていることから,節点 1 は全体座標系と節点座標系を平行に定義する.また,節点 2 についても
節点座標系は全体座標系と平行に定義する.即ち,α1=0°,α2=0°とする.一方,要素 1 の要素座標系
x 軸は全体座標系 X 軸から反時計回りに 90°回転しているから α=0°である.よって,式(1)より,要素
座標系 x 軸と節点 1,2 における節点座標系 x1,x2 軸とのなす角度はそれぞれ次のように表される.
α ' = α − α = 0 − 90 = −90°, α ' = α − α = 0 − 90 = −90°
1
式(33)より,要素 1
1
2
2
(33)1,2
に関する節点座標系から要素座標系への座標変換マトリックス[Tij1]は次のように
求められる.
9
2014/06/11
技術者のための構造力学
N1
Nm1
Pm1
M m1
Nm2
Pm2
M m2
1
[T ij ]=
P1
6.126E-17 1.000E+00
-1.000E+00 6.126E-17
0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00
M1
N2
P2
0.000E+00
0.000E+00
1.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
6.126E-17
M2
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.000E+00
-1.000E+00 6.126E-17
0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.000E+00
要素 1 について,逆に要素座標系から節点座標系への座標変換マトリックス[Tij1]T は,次のように表
される.
Nm1
N1
P1
M1
N2
P2
M2
1 T
[T ij ] =
Pm1
6.126E-17
1.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
M m1
Nm2
Pm2
M m2
-1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
6.126E-17
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
6.126E-17
1.000E+00
0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00
-1.000E+00 0.000E+00
6.126E-17 0.000E+00
0.000E+00 1.000E+00
式(26),(27)より,要素 1 の要素剛性マトリックス[Sm1]を節点座標系の要素剛性マトリックス[kij1]に変
換すると,次のように表される.マトリックス積の計算には,Excel の MMULT 関数を使用した.
u1
1
1 T
1
1
[k ij ]=[T ij ] [S m ][T ij ]=
N1
P1
M1
N2
P2
M2
θ1
v1
u2
θ2
v2
2.400E+02 1.210E-12 -1.200E+06 -2.400E+02 -1.210E-12 -1.200E+06
1.210E-12 2.000E+04 7.351E-11 -1.210E-12 -2.000E+04 7.351E-11
-1.200E+06 7.351E-11 8.000E+09 1.200E+06 -7.351E-11 4.000E+09
-2.400E+02 -1.210E-12 1.200E+06 2.400E+02 1.210E-12 1.200E+06
-1.210E-12 -2.000E+04 -7.351E-11 1.210E-12 2.000E+04 -7.351E-11
-1.200E+06 7.351E-11 4.000E+09 1.200E+06 -7.351E-11 8.000E+09
要素 2 の要素座標系表示の要素剛性マトリックス[Sm2]は,式(8)に図-2.4 に与えられている諸元を代
入することにより,次のように表される.ただし,要素 2 の要素座標系の x 軸は,式(8)における i=2,
j=3 として,節点 2 から 3 の向きに定義する.
um2
2
[S m ]=
Nm2
Pm2
M m2
Nm3
Pm3
M m3
θm2
v m2
u m3
2.000E+04 0.000E+00 0.000E+00 -2.000E+04
0.000E+00 2.400E+02 1.200E+06 0.000E+00
0.000E+00 1.200E+06 8.000E+09 0.000E+00
-2.000E+04 0.000E+00 0.000E+00 2.000E+04
0.000E+00 -2.400E+02 -1.200E+06 0.000E+00
0.000E+00 1.200E+06 4.000E+09 0.000E+00
10
v m3
θm3
0.000E+00 0.000E+00
-2.400E+02 1.200E+06
-1.200E+06 4.000E+09
0.000E+00 0.000E+00
2.400E+02 -1.200E+06
-1.200E+06 8.000E+09
2014/06/11
技術者のための構造力学
要素 2 に関して,式(17)で表される要素座標系から節点座標系への座標変換マトリックス[Tij2]を求め
るため,節点 2,3 における節点座標系を定義する.要素 1 と同様に節点 2 については全体座標系と節
点座標系を平行に定義する.即ち,α1=0°とする.一方,節点 3 は全体座標系の X 軸から反時計回りに
45°傾斜した斜面上でローラー支持されていることから,節点座標系の x3 軸を全体座標系の X 軸から反
時計回りに 45°回転した方向に定義する.即ち,α3=45°とする.また,要素 2 の要素座標系 x 軸は全
体座標系 X 軸と平行であるため α=0°である.よって,式(1)より,要素座標系 x 軸と節点 2,3 におけ
る節点座標系 x2,x3 軸とのなす角度はそれぞれ次のように表される.
α ' = α − α = 0 − 0 = 0°, α ' = α − α = 45 − 0 = 45°
2
式(28)より,要素 2
2
3
(34)1,2
3
に関する節点座標系から要素座標系への座標変換マトリックス[Tij2]は次のように
求められる.
N2
2
[T ij ]=
P2
M2
N3
P3
M3
Nm2
Pm2
1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
M m2
0.000E+00 0.000E+00 1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
Nm3
Pm3
M m3
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 7.071E-01 -7.071E-01 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 7.071E-01 7.071E-01 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.000E+00
要素 2 について,要素座標系から節点座標系への座標変換マトリックス[Tij2]T は,次のように表され
る.
N2
P2
M2
N3
P3
M3
2 T
[T ij ] =
Nm2
Pm2
M m2
Nm3
Pm3
M m3
1.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
7.071E-01
-7.071E-01
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
7.071E-01
7.071E-01
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.000E+00
式(26),(27)より,要素 2 の要素剛性マトリックス[Sm2]を節点座標系の要素剛性マトリックス[kij2]に変
換すると,次のように表される.
u2
2
2 T
2
2
[k ij ]=[T ij ] [S m ][T ij ]=
v2
θ2
u3
v3
θ3
N2
P2
M2
2.000E+04 0.000E+00 0.000E+00 -1.414E+04 1.414E+04 0.000E+00
0.000E+00 2.400E+02 1.200E+06 -1.697E+02 -1.697E+02 1.200E+06
0.000E+00 1.200E+06 8.000E+09 -8.485E+05 -8.485E+05 4.000E+09
N3
P3
M3
-1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 1.012E+04 -9.880E+03 -8.485E+05
1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 -9.880E+03 1.012E+04 -8.485E+05
0.000E+00 1.200E+06 4.000E+09 -8.485E+05 -8.485E+05 8.000E+09
(2) 全体剛性マトリックスの計算
要素 1 と 2 の要素剛性マトリックス成分を重ね合わせること(アセンブリ)により,全体剛性マトリ
ックスは,次のように表される.
11
2014/06/11
技術者のための構造力学
i
[K ]=Σ[K ]=
N1
P1
M1
N2
u1
v1
θ1
u2
v2
θ2
u3
2.400E+02 1.210E-12 -1.200E+06 -2.400E+02 -1.210E-12 -1.200E+06 0.000E+00
1.210E-12 2.000E+04 7.351E-11 -1.210E-12 -2.000E+04 7.351E-11 0.000E+00
-1.200E+06 7.351E-11 8.000E+09 1.200E+06 -7.351E-11 4.000E+09 0.000E+00
-2.400E+02 -1.210E-12 1.200E+06 2.024E+04 1.210E-12 1.200E+06 -1.414E+04
P2
-1.210E-12 -2.000E+04 -7.351E-11 1.210E-12 2.024E+04 1.200E+06 -1.697E+02 -1.697E+02 1.200E+06
M2
N3
P3
M3
-1.200E+06 7.351E-11 4.000E+09 1.200E+06 1.200E+06 1.600E+10 -8.485E+05 -8.485E+05 4.000E+09
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 -1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 1.012E+04 -9.880E+03 -8.485E+05
v3
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.414E+04
θ3
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 -9.880E+03 1.012E+04 -8.485E+05
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.200E+06 4.000E+09 -8.485E+05 -8.485E+05 8.000E+09
(3) 荷重条件と境界条件の導入
(2)の全体剛性方程式に,荷重条件 M1=P2=M2=N3=M3=0,N2=P,および境界条件 u1=v1=0,v3=0 を代入
すると,次のようになる.以下の剛性マトリックスにおいて,薄桃色のシェーディングは,荷重が既知,
変位が未知の成分を意味している.
u 1=0
[K ]=
N1
P1
M 1=0
N 2=P
P 2=0
M 2=0
N 3=0
P3
M 3=0
θ1
v 1=0
u2
2.400E+02 1.210E-12 -1.200E+06
1.210E-12 2.000E+04 7.351E-11
-1.200E+06 7.351E-11 8.000E+09
-2.400E+02 -1.210E-12 1.200E+06
-1.210E-12 -2.000E+04 -7.351E-11
-1.200E+06 7.351E-11 4.000E+09
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
θ2
v2
u3
θ3
v 3=0
-2.400E+02 -1.210E-12 -1.200E+06 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
-1.210E-12
1.200E+06
2.024E+04
1.210E-12
1.200E+06
-2.000E+04 7.351E-11 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
-7.351E-11
1.210E-12
2.024E+04
1.200E+06
4.000E+09
1.200E+06
1.200E+06
1.600E+10
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
-1.414E+04 1.414E+04 0.000E+00
-1.697E+02 -1.697E+02 1.200E+06
-8.485E+05 -8.485E+05 4.000E+09
-1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 1.012E+04 -9.880E+03 -8.485E+05
1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 -9.880E+03 1.012E+04 -8.485E+05
0.000E+00 1.200E+06 4.000E+09 -8.485E+05 -8.485E+05 8.000E+09
以上の剛性マトリックスにおいて,薄桃色のシェーディングが施された成分のみを抜き出して,剛性
マトリックスのサイズを縮小するとともに,荷重の値を具体的に記入すると,次のようになる.
θ1
u2
v2
θ2
8.000E+09
1.200E+06
-7.351E-11
4.000E+09
0.000E+00
0.000E+00
1.200E+06
2.024E+04
1.210E-12
1.200E+06
-7.351E-11
1.210E-12
2.024E+04
1.200E+06
4.000E+09
1.200E+06
1.200E+06
1.600E+10
荷重 (N) or (Nmm )
[K ]=
M1
N2
P2
M2
N3
M3
0.000E+00
1.000E+05
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
θ3
u3
0.000E+00 0.000E+00
-1.414E+04 0.000E+00
-1.697E+02 1.200E+06
-8.485E+05 4.000E+09
-1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 1.012E+04 -8.485E+05
0.000E+00 1.200E+06 4.000E+09 -8.485E+05 8.000E+09
(4) 剛性マトリックスの逆マトリックスの計算
Excel の minverse 関数を用いて,(3)にて縮小された剛性マトリックスの逆マトリックス[K]-1 を求めれ
ば,以下のようになる.
-1
[K ] =
θ1
u2
v2
θ2
u3
θ3
M1
N2
P2
M2
N3
M3
3.336E-10
-1.253E-06
-2.500E-09
-4.142E-11
-1.768E-06
-1.664E-10
-1.253E-06
8.358E-03
2.500E-05
-2.500E-09
1.179E-02
1.248E-06
-2.500E-09
2.500E-05
5.000E-05
-2.500E-09
3.536E-05
-2.500E-09
-4.142E-11
-2.500E-09
-2.500E-09
8.358E-11
4.866E-20
-4.142E-11
-1.768E-06
1.179E-02
3.536E-05
-8.516E-23
1.672E-02
1.768E-06
-1.664E-10
1.248E-06
-2.500E-09
-4.142E-11
1.768E-06
3.336E-10
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2014/06/11
技術者のための構造力学
(5) 未知変位の計算
(4)にて計算された剛性マトリックスの逆マトリックスと,既知荷重ベクトルとの積を計算することに
より,節点座標系における未知変位は次のように求められる.
変位 (mm ) or (rad.)
θ1
u2
v2
θ2
u3
θ3
-1
{u ij }=[K ] {F ij }=
-1.253E-01
8.358E+02
2.500E+00
-2.500E-04
1.179E+03
1.248E-01
なお,節点 1,2 については節点座標系と全体座標系を平行に定義したため,節点座標系の変位は全
体座標系の変位に等しい.しかし,節点 3 については,節点座標系と全体座標系が平行でないため,節
点座標系の変位を座標変換マトリックス[Tij]によって一旦要素座標系に変換する.この変換は次のよう
に求められる.
変位 (mm ) or (rad.)
2
2
2
{d m }=[T ij ]{d ij }=
u m2
v m2
8.358E+02
2.500E+00
θm2
-2.500E-04
u m3
v m3
θm3
8.333E+02
8.333E+02
1.248E-01
ここで,要素座標系から全体座標系への座標変換マトリックスは次式で表される.
cos α
 sin α

 0
[T ] = 
 0
 0

 0
− sin α
0
0
0
cos α
0
0
0
0
1
0
0
0
0 cos α
0
0 sin α
0
0
0
− sin α
cos α ′
0
0
0
0

0
0

1 
(35)
要素 2 については,要素座標系 x 軸と全体座標系 X 軸とのなす角度が 0°,即ち,α=0°であるから,
式(35)は次のように表される.
um2
2
[T ]=
θm2
v m2
u m3
v m3
θm3
U2
V2
1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
Θ2
0.000E+00 0.000E+00 1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
U3
V3
Θ3
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.000E+00
よって,節点 2,3 の全体座標系における変位は次のように表される.
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2014/06/11
技術者のための構造力学
変位 (mm ) or (rad.)
2
2
2
{D }=[T ]{d m }=
U2
V2
8.358E+02
2.500E+00
Θ2
-2.500E-04
U3
V3
Θ3
8.333E+02
8.333E+02
1.248E-01
(6) 支点反力の計算
支点反力は,(4)にて求めた全体剛性マトリックスのうち,未知節点力に関する成分と,(7)にて求めた
未知変位との掛け算によって求めることができる.(4)にて求めた全体剛性マトリックスのうち,未知節
点力に関する成分を薄桃色のシェーディングで以下に示す.あわせて,以下には,(5)にて計算した変位
の値も示してある.
u1
[K ]=
N1
P1
M 1=0
N 2=P
P 2=0
M 2=0
N 3=0
P3
M 3=0
θ1
v1
u2
θ2
v2
u3
θ3
v3
2.400E+02 1.210E-12 -1.200E+06 -2.400E+02 -1.210E-12 -1.200E+06 0.000E+00 0.000E+00
1.210E-12 2.000E+04 7.351E-11 -1.210E-12 -2.000E+04 7.351E-11 0.000E+00 0.000E+00
-1.200E+06 7.351E-11 8.000E+09 1.200E+06 -7.351E-11 4.000E+09 0.000E+00 0.000E+00
-2.400E+02 -1.210E-12 1.200E+06 2.024E+04 1.210E-12 1.200E+06 -1.414E+04 1.414E+04
-1.210E-12 -2.000E+04 -7.351E-11 1.210E-12 2.024E+04 1.200E+06 -1.697E+02 -1.697E+02
-1.200E+06 7.351E-11 4.000E+09 1.200E+06 1.200E+06 1.600E+10 -8.485E+05 -8.485E+05
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 -1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 1.012E+04 -9.880E+03
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 -9.880E+03 1.012E+04
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.200E+06 4.000E+09 -8.485E+05 -8.485E+05
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
0.000E+00
1.200E+06
4.000E+09
-8.485E+05
-8.485E+05
8.000E+09
変位 (m m) or (rad.)
u1
v1
θ1
u2
v2
θ2
u3
v3
θ3
0.000E+00
0.000E+00
-1.253E-01
8.358E+02
2.500E+00
-2.500E-04
1.179E+03
0.000E+00
1.248E-01
以上の剛性マトリックスのうち,薄桃色シェーディング部のみを書き出すと次のようになる.
u1
[K ]=
N1
P1
P3
v1
θ1
u2
v2
θ2
u3
v3
θ3
2.400E+02 1.210E-12 -1.200E+06 -2.400E+02 -1.210E-12 -1.200E+06 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
1.210E-12 2.000E+04 7.351E-11 -1.210E-12 -2.000E+04 7.351E-11 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00 1.414E+04 -1.697E+02 -8.485E+05 -9.880E+03 1.012E+04 -8.485E+05
以上の剛性マトリックスと変位ベクトルとの掛け算によって,節点力はそれぞれ次のように求められ
る.
節点力 (N) or (Nmm)
N1
P1
P3
{F }=[K ]{U }=
-5.000E+04
-5.000E+04
7.071E+04
節点力は節点座標系で求められるため,図-2.4 に示す支点反力 R1H,R1V,R3 との対応関係は,両者
の正の向きに注意すると,N1=R1H,P1=R1V,P3=R3 となる.
以上の手続きで求められた,図-2.4 に示す 2 次元ラーメン構造物の支点反力と節点変位の数値解析
結果について,理論解と比較して表-1.2 に示す.
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2014/06/11
技術者のための構造力学
表-1.2 ラーメン構造物の理論解と数値解析結果
項目
節点番号
1
支点反力
3
1
変位
2
3
成分
R 1H (kN)
理論解
数値解析結果
-5.000E+01
-5.000E+01
R 1V (kN)
R 3 (kN)
δ 1X (mm)
δ 1Y (mm)
θ 1 (rad.)
δ 2X (mm)
δ 2Y (mm)
θ 2 (rad.)
δ 3X (mm)
δ 3Y (mm)
θ 3 (rad.)
-5.000E+01
7.071E+01
0.000E+00
0.000E+00
-1.253E-01
8.358E+02
2.500E+00
-2.500E-04
8.333E+02
8.333E+02
1.248E-01
15
-5.000E+01
7.071E+01
0.000E+00
0.000E+00
-1.253E-01
8.358E+02
2.500E+00
-2.500E-04
8.333E+02
8.333E+02
1.248E-01