電気情報工学科 C 課程 3 年 2014 年 5 月 8 日 確率・統計 第 4 回 来嶋 秀治 (Shuji Kijima) 注意: 参照した文献等の情報を必ず記載すること. 今日の話題 確率不等式 定理. (マルコフの不等式; Markov’s inequality) 非負 の確率変数 X は, 任意の a > 0 に対して Pr[X ≥ a] ≤ E[X] a を満たす. 定理. (チェビシェフの不等式; Chebyshev’s inequality) 確率変数 X は任意の a > 0 に対して Pr[|X − E[X]| ≥ a] ≤ Var[X] a2 を満たす. 大数の法則 定義 (確率収束; converge in probability) {Yn } は Y に確率収束するとは ∀ε > 0, lim Pr [|Yn − Y | < ε] = 1 n→+∞ p. ことを言い, Yn → Y と記す. 定理 (大数の法則; law of large numbers) X1 , X2 , . . . , Xn は独立同一分布に従う確率変数とし, 有界の期 待値 µ と有界の分散をもつとする. このとき, (X1 + · · · + Xn )/n は µ に確率収束する. すなわち, ] [ X1 + · · · + Xn − µ < ε = 1 lim Pr n→+∞ n 中心極限定理 定義 (分布収束, 法則収束; converge in distribution, converge in law) 確率変数 Xn は分布関数 Fn で定 義される分布に従い, 確率変数 X は分布関数 F で定義される分布に従うとき, {Xn } が X に分布収束す るとは lim Fn (x) = F (x) n→+∞ d. d. d. ことを言い, Xn → X, Xn → F , Fn → F などと記す. 定理 (中心極限定理; central limit theorem) X1 , X2 , . . . , Xn は独立同一分布に従う確率変数とし, 有界 n ∑ Xi − µ def. 1 2 の期待値 µ と有界の分散 σ をもつとする. このとき, Zn = √ は N(0, 1) に分布収束する. σ n すなわち, lim Pr[Zn ≤ z] = n→+∞ i=1 ∫ z −∞ 1 2 √ e−x /2 dx 2π 1 おまけ 定義 (概収束; almost sure convergence) {Xn } は X に概収束するとは [ ] Pr lim Xn = X = 1 n→+∞ a.s. ことを言い, Xn → X と記す. 演習 (*は基礎的な問題. † は発展的な課題) *演習 1. X1 , . . . , Xn は独立同一分布に従い, 期待値 E[Xi ] = µ, 分散 Var[Xi ] = σ 2 を持つとする. ∑ (i) X n = n1 ni=1 Xi とする. E[X n ] と Var[X n ] を求めよ. ∑ (ii) Sn2 = n1 ni=1 (Xi − X n )2 とする. E[Sn2 ] を求めよ. *演習 2. 確率変数 X は 2 項分布 B(n; p) に従うものとする. (*i) 実定数 z (−1 < z < 1 を満たすとする) に対し, E[z X ] を求めよ. (ii) 実定数 θ に対し, E[eθX ] を求めよ. (iii) 実定数 t に対し, E[eitX ] を求めよ. ただし i は虚数単位を表す. 演習 3. 確率変数 X は正規分布 N(0, 1) に従うものとする. (i) 実定数 z (0 < z < 1 を満たすとする) に対し, E[z X ] を求めよ. (ii) 実定数 θ に対し, E[eθX ] を求めよ. (iii) 実定数 t に対し, E[eitX ] を求めよ. ただし i は虚数単位を表す. † 演習 4. 確率収束するが, 概収束しないような確率変数の列 {Xn } を示せ. 2
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