二軸スクリュー押出機内未充満 状態の可視化実験と理論検証 金沢大学 瀧健太郎,杉山武雅 本研究は二軸押出研究会の成果です. 1 発表内容 • 充満率測定法の確立 • HASL TSSとの比較 • 解析結果の詳細 • まとめと今後の予定 2 二軸押出機 同方向かみ合い型 二軸押出機 テクノベル社製 仕様 L/D = 90, D = 15 最大600 rpm 重量フィーダー付 3 材料,スクリュー構成,押出条件 • 材料 – ホモポリプロピレン F-300SP プライムポリマー製 – MFR 3.0,密度 900 kg/m3, • 解析対象のスクリュー構成 流れ方向→ • 押出条件 – 300 rpm, 1 kg/h – C1~C2はSV30℃,C3~ダイスまではSV200℃ 4 粘度データとCrossモデル 1.E+05 T 160 複素粘度 [Pa s] T 180 T 200 1.E+04 T 220 T 240 T 160 T 180 1.E+03 T 200 PP 25Φ, Gap 1.0 mm γ=1%, MCR302 PTD650で測定 T 220 T 240 1.E+02 0.1 1 10 100 角周波数 [rad/s] 1000 5 実験手順 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 押出機ヒーター電源投入 スクリュー回転,試料フィード 定常待ち スクリュー,フィーダー,ダイスヒーター停止 スクリューを1cmほど抜き出す スクリュー先端部のねじを外す. SV 40℃に設定 8. 最先端のエレメントが十分に冷えたら,そのエレメントだけ 取り外す. 6 実験手順(つづき) 1. PVが100℃以下になったら, 2. スクリュー抜き出し用の治具を取り付け,ウインチでテン ションを懸ける. 3. SVを200℃に設定する. 4. スクリューがテンションにより,自動的に抜き出されて来た ら,ウインチで一気に引き抜く. 5. スクリューをバーナーで慎重に加熱し,2本に分割する. 6. 一本ずつ重量を測定し,エレメントごとに樹脂をかきとること で,スクリューに付着した樹脂量を測定した. 7. スクリューに付着した樹脂量,バレル容積,スクリューと軸 の体積から充満率を計算した. 7 実験の様子 8 スクリュー全景とかきとり操作 スクリュエレメントごと 樹脂をかきとり,スクリュの 重量を測定 9 充満率の計算式(実験) 樹脂重量/溶融樹脂密度 f バレル容積 エレメント体積 軸体積 e 10 引抜時のバレル温度の影響 ・引抜時のバレル温度が高いと樹脂が引抜方向とは反対の 上流側にずれてしまう ・一度バレルを冷却してから温度をあげて引き抜くことで,バレ ルと樹脂の接触部分だけを溶融させて,樹脂が上流にずれる ことを回避できるのではないかと考えた. ・10/30の実験では冷却をSV30にして行った. 実施日 引抜条件 10/27 SV30℃まで冷却し,その後昇温して引き抜いた.温度記録なし. 10/28 SV100℃まで冷却し,その後昇温して引き抜いた. 10/29 SV100℃まで冷却し,その後昇温して引き抜いた. 10/30 SV30℃まで冷却し,その後昇温して引き抜いた.温度記録あり. 11 引抜時のバレル温度 250 解析対象 バレルヒーター温度 [℃] 流れ方向 ⇒ 200 150 引抜 10月30日 引抜 10月29日 100 引抜 10月28日 50 0 0 500 1000 スクリュー末端からの距離 [mm] 1500 12 計測区間上流側からの距離 [mm] 0.7 0.6 250 15/15. 15/15. 樹脂がずれている 20/20 20/10. 20/20 200 KD515L 15/7.5L 150 20/20 KD515R 100 20/20 流れ方向 ⇒ 20/20 50 20/20 15/15 15/15 KD515R KD515L 15/7.5L 20/20 0 20/20 20/20 20/20 充満率 [-] 引抜時バレル温度と充満率の関係 0.8 10月30日 10月29日 10月28日 10月27日 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 300 350 13 解析結果の詳細 充満率 ニュートン 100 Pa・s ニュートン 1,000 Pa・s ニュートン 10,000 Pa・s Cross 流れ方向 ⇒ 14 フライトの充満状態 流れ方向 ⇒ 15 流れ方向 ⇒ 1 計測区間上流側からの距離 [mm] 20/10. 15/15. 15/15. 250 20/20 200 KD515L 15/7.5L 20/20 20/20 KD515R 150 20/20 100 KD515R KD515L 15/7.5L 20/20 50 15/15 15/15 1.2 20/20 20/20 0 20/20 20/20 20/20 充満率 [-] 実験と解析の比較 100 1000 10000 10月30日 cross 0.8 0.6 0.4 0.2 0 300 350 16 フルフライト20/20の充満状態 10月27日 10月29日 17 解析結果の妥当性評価方法 • 充満率の絶対値の差異 – 0 mm(解析領域の最上流)における解析結果と実験 結果の充満率の差を計算 • グラフの形状の差異 1. 実験値との差の絶対値を解析領域全体で平均 (MSE) 2. 実験値との差の標準偏差を解析領域全体で計算 3. 標準偏差を平均で割ったCV値を求める *CV値がより小さいほうが実験結果に近いのではないか 18 0 mmにおける実測値と解析値の充満率の差 0.8 0.7 充満率の差 [-] 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 100 ニュートン 1000 ニュートン 10000 ニュートン cross 非ニュートン 19 各解析のCV値比較 0.6 0.5 CV値 [-] 0.4 0.3 0.2 0.1 0 100 ニュートン 1000 ニュートン 10000 ニュートン cross 非ニュートン20 解析結果の詳細 温度・圧力・粘度 cross 温度 圧力 粘度 21 まとめ • 二軸押出機内の充満率の測定方法を確立し た. • HASL社製Twin Screw Simulatorとの比較を 行った.その結果, 定性 – フライト部分で樹脂の充満率分布が訂正的に一 致した. – スクリュー全域にわたる充満率の比較では, Crossモデルが良好な結果が得られた. – 今後,充満率の絶対値を一致させるためにさらな るモデルの改良が必要である. 22
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