2014年9月の試験の問題と解答

科目名:力学A 教員名:斎藤晴雄 9 月 3 日(水)2 時限(10:55-12:25) 試験時間90分
対象者:S23-12,13,15 解答用紙1枚 計算用紙1枚 持込不可
途中経過は簡潔に示して下さい。答えだけでも構いません。
問題1、問題2は表面に、問題3、問題4は裏面に解答して下さい。
問題1
(1.1) loge (2 + 4x) の x = 0 を中心とするテーラー展開を x の 4 次の項まで求めよ。
(1.2) 以下の f (x) の x = 0 を中心とするテーラー展開を x の 3 次の項まで求めよ。
f (x) =
1
1
−
x sin x
(1)
(1.3) 以下の微分方程式の解を不定定数を含んだ形で求めよ。f は t の関数である。
d2 f
df
−
− 6f = −6t − 7
(2)
dt2
dt
(1.4) 自転車 (車輪2つ) が速度 V で走行している時の運動エネルギーを求めよ。車輪1つの質量が m、その慣性
モーメントが I 、半径 a、車輪を除いた自転車の質量を M とする。
(1.5) 重力加速度 g の地表付近に質量 m の質点を質量の無視できる長さ l の紐でつるした振り子がある。この振
り子を鉛直線を含む平面内で微少振動させた時の周期を求めよ。
問題2
(2.1) 上図のように、重力(重力加速度 g )は y 軸の負の方向に作用しており、質量 m1 + m2 の物体(剛体)が、
下端を壁につけた状態で静止している。物体は、2つの部品から出来ており、質量 m1 の一様な棒の上端に m2 の
重りを固定したものである。棒の長さは l であり、重りの大きさは無視できる。物体の上端は壁につけた糸により
支えられている。棒と壁のなす角度は θ、糸と壁のなす角度は ϕ である。糸の張力 T 、壁からの抗力の x 成分 Rx 、
壁からの抗力の y 成分 Ry を求めよ。
(2.2) θ = ϕ = π/3 の時、T 、Rx 、Ry を求めよ。
問題3
(3.1) 上図のように、半径 a の円板が xy 平面内で x 軸に接しながらすべることなく一定角速度 ω で時計まわりに
回転するとする。上図の P 点は t = 0 の時原点にあった。時刻 t での P 点の位置、速度ベクトル、その大きさ(速
さ)、加速度ベクトル、加速度ベクトルの大きさ、をそれぞれ求めよ。
問題4
(4.1) 上図 (1) のように、質量 m、半径 a、慣性モーメント I の円板がある。円板の中心を通り x 軸に平行な直線
から距離 h 離れた点に、短時間に x 軸方向に力積 F ∆t を加える。力積を加えた後の円板の速度ベクトルと角速度
を求めよ。なお、円板は最初は静止しており、自由に動けるものとする。
(4.2) 上図 (2) のように、質量 m、半径 a、慣性モーメント I の円板がある。円板の中心を通り x 軸に平行な直線
から距離 h1 離れた点に、短時間に x 軸の正方向に力積 F ∆t を加える。同時に直線から距離 h2 離れた点に、短時
間に x 軸の負方向に力積 F ∆t を加える。力積を加えた後の円板の速度ベクトルと角速度を求めよ。なお、円板は
最初は静止しており、自由に動けるものとする。
(4.3) 上図 (3) のように、円板は床に載っており、すべらずに転がるものとする。円板の質量は m、半径は a、慣
性モーメントは I である。床からの高さ a + h の点に力 F が常に働くとする。円板の加速度を求めよ。
第1章
解答
問題1
(1.1) loge (2 + 4x) の x = 0 を中心とするテーラー展開を x の 4 次の項まで求めよ。
1
1
1
loge (2 + 4x) = loge 2 + loge (1 + 2x) = loge 2 + (2x) − (2x)2 + (2x)3 − (2x)4
2
3
4
(1.2) 以下の f (x) の x = 0 を中心とするテーラー展開を x の 3 次の項まで求めよ。
1
1
−
x sin x
(1.2)
1
1
sin x − x
−x3 /6 + x5 /120
−x/6 + x3 /120
−
=
=
=
x sin x
x sin x
x(x − x3 /6)
1 − x2 /6
(1.3)
f (x) =
f (x) =
(1.1)
f (x) = (−
x
x3
x2
x x3
x3
x 7x3
+
)(1 + ) = − −
+
=− −
6 120
6
6
36 120
6
360
(1.4)
意外に発散しない。
(1.3) 以下の微分方程式の解を不定定数を含んだ形で求めよ。f は t の関数である。
d2 f
df
−
− 6f = −6t − 7
2
dt
dt
f (t) = t + 1 + exp(3t) + exp(−2t)
(1.5)
(1.6)
(1.4) 自転車 (車輪2つ) が速度 V で走行している時の運動エネルギーを求めよ。車輪1つの質量が m、その慣性
モーメントが I 、半径 a、車輪を除いた自転車の質量を M とする。
M + 2m 2 2I V 2
V + ( )
2
2 a
(1.7)
(1.5) 重力加速度 g の地表付近に質量 m の質点を質量の無視できる長さ l の紐でつるした振り子がある。この振
り子を鉛直線を含む平面内で微少振動させた時の周期を求めよ。
√
E = 2π
3
l
g
(1.8)
問題2
(2.1) 上図のように、重力(重力加速度 g )は y 軸の負の方向に作用しており、質量 m1 + m2 の物体(剛体)が、
下端を壁につけた状態で静止している。物体は、2つの部品から出来ており、質量 m1 の一様な棒の上端に m2 の
重りを固定したものである。棒の長さは l であり、重りの大きさは無視できる。物体の上端は壁につけた糸により
支えられている。棒と壁のなす角度は θ、糸と壁のなす角度は ϕ である。糸の張力 T 、壁からの抗力の x 成分 Rx 、
壁からの抗力の y 成分 Ry を求めよ。
y 方向、x 方向、回転のつりあいはそれぞれ
T cos ϕ + Ry = (m1 + m2 )g
(1.9)
T sin ϕ = Rx
(1.10)
T sin(ϕ + θ) =
1
m1 g sin θ + m2 g sin θ
2
(1.11)
これより、
(m1 + 2m2 )g sin θ
2 sin(ϕ + θ)
(1.12)
(m1 + 2m2 )g sin θ sin(ϕ)
2 sin(ϕ + θ)
(1.13)
T =
Rx =
Ry = (m1 + m2 )g −
(m1 + 2m2 )g sin θ cos ϕ
2 sin(ϕ + θ)
(1.14)
(2.2) θ = ϕ = π/3 の時、T 、Rx 、Ry を求めよ。
T = (m1 /2 + m2 )g
√
3
Rx = T sin ϕ =
(m1 /2 + m2 )g
2
m1
m2
3m1
m2
T
+
)g = (
+
)g
Ry = (m1 + m2 )g − = (m1 + m2 )g − (
2
4
2
4
2
(1.15)
(1.16)
(1.17)
問題3
(3.1) 上図のように、半径 a の円板が xy 平面内で x 軸に接しながらすべることなく一定角速度 ω で時計まわりに
回転するとする。上図の P 点は t = 0 の時原点にあった。時刻 t での P 点の位置、速度ベクトル、その大きさ(速
さ)、加速度ベクトル、加速度ベクトルの大きさ、をそれぞれ求めよ。
x = aωt − a sin ωt
(1.18)
y = a − a cos ωt
(1.19)
Vx = aω − aω cos ωt
(1.20)
Vy = aω sin ωt
(1.21)
⃗ |2 = 2a2 ω 2 − 2a2 ω 2 cos ωt
|V
(1.22)
ax = aω 2 sin ωt
(1.23)
ay = aω 2 cos ωt
(1.24)
|⃗a|2 = a2 ω 4
(1.25)
問題4
(4.1) 上図 (1) のように、質量 m、半径 a、慣性モーメント I の円板がある。円板の中心を通り x 軸に平行な直線
から距離 h 離れた点に、短時間に x 軸方向に力積 F ∆t を加える。力積を加えた後の円板の速度ベクトルと角速度
を求めよ。なお、円板は最初は静止しており、自由に動けるものとする。
F ∆t = mVx
(1.26)
hF ∆t = Iω
(1.27)
Vy はゼロ。
(4.2) 上図 (2) のように、質量 m、半径 a、慣性モーメント I の円板がある。円板の中心を通り x 軸に平行な直線
から距離 h1 離れた点に、短時間に x 軸の正方向に力積 F ∆t を加える。同時に直線から距離 h2 離れた点に、短時
間に x 軸の負方向に力積 F ∆t を加える。力積を加えた後の円板の速度ベクトルと角速度を求めよ。なお、円板は
最初は静止しており、自由に動けるものとする。
⃗ =0
V
(1.28)
(h2 − h1 )F ∆t = Iω
(1.29)
(4.3) 上図 (3) のように、円板は床に載っており、すべらずに転がるものとする。円板の質量は m、半径は a、慣
性モーメントは I である。床からの高さ a + h の点に力 F が常に働くとする。円板の加速度を求めよ。
接触点において左向きに R の摩擦力が働くとする。並進と回転の運動方程式はそれぞれ、
d2 x
=F −R
dt2
(1.30)
d2 θ
= hF + aR
dt2
(1.31)
m
I
すべらないので aθ = x。これにより上の式は、
ma2
d2 θ
= aF − Ra
dt2
これらから R を消せば、
(ma2 + I)
加速度は、
d2 θ
= (h + a)F
dt2
d2 x
(h + a)F
=a
dt2
ma2 + I
(1.32)
(1.33)
(1.34)