183

平成 25 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号: 183
RoboCup 中型リーグにおけるボール保持機構の製作
C-05
Production of Ball Handling Mechanism in RoboCup MSL
松田 治 1
Osamu Matsuda
八十原 良隆 1
Yoshitaka Yasohara
清水 孝成 1
Kousei Shimizu
鈴木 秀和 1
Hidekazu Suzuki
1
東京工芸大学 工学部
Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University
1
緒言
RoboCup とは,
“ 西暦 2050 年,サッカーの世界チャ
ンピオンチームに勝つ自律型ロボットのチームを作る ”
という夢に向かって,人工知能やロボット工学などの研
究を推進し,様々な基礎技術として波及させることを目
的としたプロジェクトであり,サッカーを題材に行われ
る国際的ロボット競技大会である.東京工芸大学チーム
KOOGEI-RV では中型サッカーリーグ(RoboCup MSL)
に 5 年連続出場している.キック機構はサッカーロボッ
ト唯一の攻撃手段であり,保持機構はボールのドリブル
やキャッチ等,ボール操作をスムーズに行うための重要
な構成要素のひとつである.決定打となる強力なキック
力が必要になるとともに,どの角度,どの状況において
もボールを取り込み,しっかりと保持を行える保持機構
の開発が必要となる.
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図2
キック機構製作
以前の研究 [1] では,最適化したソレノイド式キック
機構を製作した.24[V] の入力電源から,DC/DC コン
バータで約 100[V] へ昇圧し,10000[uF] のコンデンサを
5 個を使用した 50000[uF] でコンデンサバンクを構成し
ている.これを瞬間的に開放し,電磁誘導によって可動
鉄芯(表面無処理 SS 材:φ 24,長さ 110[mm] +樹脂
丸棒:ポリアセタール,φ 20,長さ 80[mm],先端部分
丸加工)を射出することによりキック動作を行う.ソレ
ノイドの銅線は,ポリエステルエナメルワイヤー(線径
2[mm])を重量 1[Kg] で製作を行った.製作したキック
機構をを図 1 に示す.
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図 1 キック機構
保持機構製作
十分な威力のキック機構を製作することができたが,
キック機構のキック動作はボールとキック機構が密着し
ていることを前提としているため,ドリブルや旋回動
作を行ったとき,ボールが離れてしまうと十分な威力の
キックを行うことができない.効率よく使用するために
は,ボール保持機構が必要となってくる.保持機構を構
成するための要件として,ボール直径の三分の一以上を
保持してはならない,自然の回転速度よりわずかに遅く
てもボールが連続的に回転していなければならない,こ
れらが RoboCup ルールにより定義されている.このた
め,自然な回転を作り出すためのモータ,ボールから受
ける力を逃がすダンパが必要となる.これらを考慮し,
試作した保持機構を図 2 に示す.しかし,試作した保持
機構はボールに密着し辛かったため,ボールに横回転を
保持機構
図 3 改良した保持機構
与えても回転せず,取りこぼしが多かった.そのため,
基本構成を維持しつつ,ボールの中心方向に保持機構を
傾け,横回転が行える様に改良し,さらにボールからの
力を逃がし易くするためにダンパの取り付け方向を変更
する改良も行った.改良した保持機構を図 3 に示す.
保持機構検証
改良した保持機構を使用し,ボールの回転に合わせて
マシンを旋回させ,ボール保持状態を維持出来ているか
確認を行う.手順として,ボール確保のため保持機構を
逆回転させ,ボール取り込み動作を行う.その後,ボー
ルを横回転させた状態でマシンを一周させ,ボールを保
持出来ているかを検証した.検証の結果,自然な回転を
行うことができ,ボール保持の可能な回転数に一定の法
則性を発見した.
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結言
強力なキック機構を製作し,効率的に使用するための
保持機構の製作を行った.また,試作保持機構の改良を
行った結果,自然なボールの回転が可能になった.今後
は検証結果の法則性を関数化し,センサで回転数を自動
調整できる保持機構の製作を目指す.
5
参考文献
[1] 松田 治, 谷山 直将, 中野 翔吾, 松下 健嗣, 鈴木 秀和,
-183-
”ロボカップ中型リーグにおけるキック機構の開発”, 第 18 回電
子情報通信学会東京支部学生会研究発表会講演論文集, pp. 152
(2013.3)
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