ロボットのサッカー大会「RoboCup」に参戦

ロボットのサッカー大会「RoboCup」に参戦
実生活に役立つロボット知能の研究・開発
東京大学工学部システム創成学科 教授
大学院工学系研究科精密機械工学専攻
新井民夫
知能システム学研究室では、ロボットサッカーの世界大会であるRoboCup(Robot Soccer
World Cup)に、「Team
ARAIBO」として 1999 年大会から毎年参戦しています。「ARA
IBO」は、数あるRoboCupのリーグの中で、四足ロボットリーグに所属しています。この
リーグでは、SONY製のAIBOが競技に使用されていますが、AIBOそのものの改造は厳禁
です。競うのはソフトウエアであり、人工知能です。各チームは年1回ずつある世界大会と国内大
会に向けて、AIBOに搭載するソフトウエアを独自に開発しています。
RoboCupの参加チームは、その多くが大学の研究室を母体としています。各研究室の参加
動機はさまざまですが、私の研究室は、チーム名の由来「Advanced Robotics with Artificial
Intelligence for Ball Operation」(ARAI+AIBOではない)が示すように、サッカーとい
う単純な課題を通して、実生活でも人の役に立つようなロボット知能の研究・開発をしようとして
います。
一般にロボットは、自分自身のカメラやセンサーから情報を取り込んで、それに基づいて自分自
身が何をすべきかを判断し、判断したとおりに体を動かすことを繰り返します。この一連のプロセ
スには、現在の技術水準をもってしても困難な問題が数多くあります。これらを解決することは、
単にサッカーに勝つためだけでなく、今後ロボットが人間社会で活躍するうえで非常に役立ちます。
現在のARAIBOの研究対象には、カメラの画像から自分がどの場所にいるか、ボールなどの
物がどこにあるかを推定(位置推定)するための手法や、自分の位置からボールまで、どのように
歩くと最短時間で行けるのかを計算する方法(最適制御)などがあります。これらの研究を一般の
ロボットに広く適用できる方法として、ARAIBOを国際学会・学術雑誌などで発表しています。
http://www.arai.pe.u-tokyo.ac.jp/RoboCup/index_j.htm(ARAIBOホームページ)
図1:試合風景
図2:開発のためのシミュレーター