(資料2)地層観察記録(PDF形式:15KB)

参 考 資 料 -2
(仮称)健康こどもの森整備区域主園路切土部法面観察記録
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実施日時
平 成 26 年 6 月 3 日 ( 火 ) 午 後 1 時 30 分 か ら
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観察場所
(仮称)健康こどもの森整備区域
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観察結果
主園路切土部法面
◆ 園路1号入口ではAT(姶良−丹沢)火山灰層が見られる。
A T は 約 3 万 年 前 に 鹿 児 島 湾 の 姶 良 カ ル デ ラ か ら 飛 来 し た も の で 、南 九 州 で シ ラ ス
台地を作っているものと同じもの。
名前の由来:旧東京都立大学名誉教授の町田洋先生が道志川の河岸段丘中(丹沢)
で見つけ追跡した結果、姶良にたどり着いたことにより命名。
火 山 灰 層 の 中 に は ガ ラ ス 質 の 成 分 が 含 ま れ 、キ ラ キ ラ 光 っ て 見 え る 。( マ グ マ が 空
中に噴出したとき急激に圧力が下がるため発泡、石けんの泡状になってから壊れて
できたもの。拡大すると球面の一部に見える)
火 山 灰 の 噴 出 降 下 し た 年 代 は 、現 在 は 湖 沼 の よ う に 静 か な 環 境 の 堆 積 物 か ら 年 単 位
で精密に数えることができるようになっている。
現 在 A T が 見 ら れ る の は 、富 士 山 の 噴 火 に よ る 立 川 ロ ー ム 層 に よ っ て 上 を 固 め ら れ
たため。
◆ ATの上は立川ローム層である。
立川ローム層は主に∼1万年前に富士山から飛来した火山灰が堆積してできてい
る。
火 山 灰 の 中 に 、富 士 山 を 造 る 岩 体 が 破 砕 さ れ た 1 ∼ 2 ㎝ の 粒 が 混 ざ っ て い る 。堆 積
物の間に見られる模様は、堆積後に溶け出た水酸化鉄がペーパークロマトグラフィ
ーのようにしてたまったもの。(リモナイトバンド)
◆ 奥に向かって左側の法面に、横に大きくTP(東京軽石層)が見られる。
T P は 箱 根 の 6 .6 万 年 前 の 中 央 火 口 丘 の 噴 火 に 伴 い 起 き た 大 規 模 な 火 砕 流 の 堆 積
物。
T P( 正 し く は
H k − T P: 箱 根 − 東 京 パ ミ ス 、( パ ミ ス = 軽 石 ))は 東 京 で 見
つかり、追跡したら箱根に達したことからの命名)
・TPの特徴
灰色
開鑿した時に出た堆積物を観察材料にすると良い。
オレンジ色
拡大すると、含まれる鉱物がきれいに見える。
紫色
粗い
細かい
粗い
細かい
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◆ T P の 下 に は 三 浦 軽 石 層 が よ く 見 ら れ る が 、こ こ で は 見 え な い 。更 に 下 に は 、丹 沢
起源の母岩らしいものが見えるがはっきりしない。
ま た 、峠 付 近 の 上 部 に 2 つ の 黒 い 筋 が 見 え る が 、原 当 麻 へ と 続 く 相 模 野 第 1 ス コ リ
ア、相模野第2スコリアである可能性がある。
関 東 ロ ー ム 層 は 、立 川 、武 蔵 野 、下 末 吉 、多 摩 の 順 に 古 く な る 。段 丘 地 形 は 、海 進 、
海退にともなって、堆積が進む時期と浸食が進む時期があることによってできる。
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今後の対応を考えるために。
◆ 地層はいわば生き物であり、永久的に残すことはできないし、風化するものであ
り 、何 年 か は こ の ま ま で も い い の で は な い か 。ま た 、館 山 広 域 農 道 で は 、地 層 に 樹
脂を吹き付け保存しているが、あまり例はない。
◆ 子 ど も に も わ か り や す い 地 層 で あ り 、先 生 向 け の 講 習 や 教 育 の ツ ー ル と し た ら ど う
か。また、なぜ切土のままで、あえて地層が確認できる状態で残しているのか、明
確にしていく必要がある。
◆ 大 井 町 で は 、メ ガ ソ ー ラ ー の 工 事 現 場 で 8m の 地 層 が 発 見 さ れ 、大 人 向 け の 観 察 会
を行った実績がある。現場観察会等も実施したらどうか。
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その他
◆ ATをもたらした姶良カルデラの活動は現在その一部が桜島火山として続いてい
る。もし、大きな活動が再び起これば、日本はおろか、朝鮮半島まで大きな影響が
ある。
◆ カ ル デ ラ を 造 る 火 山 の 活 動 は す さ ま じ く 、そ れ に 比 べ れ ば 恐 れ ら れ て い る 富 士 山 噴
火は静かなものと言える。
◆ 今世界で一番怖いのはアメリカのイエローストーンで噴火すると北米全体に多大
な被害が出ると想定される。
以上
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