平成25年 SSメールについて

資料4
平成25年 SSメールについて
国土交通省 水管理・国土保全局 防災課
1
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
(1)目 的
『災害査定通信(SSメール)』は、査定官(検査官)の「査定技術の向上」、「査定水準の均一
化」等のため、全国の査定事例を各地方整備局等の査定官(検査官)へ配信して情報の共有化を図り、
もって災害査定業務の厳正かつ公平な実施に資することを目的とするものである。
(2)内 容
全国の査定実施情報を提供するもので、配信内容は①失格・欠格になった事例、②大幅な工法変更
となった事例、③合意形成に時間を費やした事例、④判断に迷った事例、⑤その他情報提供すべき
事例 等。 ただし、情報は内部資料扱いとする。
(3)情報の流れ
・配信方法:電子メール ・配信頻度:毎月末
【査定から提出まで】
・査定を行った査定官(検査官)は査定毎に毎回、所定様式により速やかに各地方整備局等へ提出
・各地方整備局等にて取りまとめ、概ね1週間を目途に省防災課へ提出(取捨選択不要)
【災害査定通信の配信まで】
・本省防災課内で内容を確認し、事例を抽出後、各地方整備局等へ配信(毎月、月末に配信)
・各地方整備局等は、各査定官(検査官)へ配信
(4)H26 実施要領・記入様式の送付
・全国災害査定官会議終了後 各地整の担当窓口へ送付
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H25合計 137件
H25 提出率=約0.9%(査定件数 約14,900件)
H24 提出率=約0.9%(査定件数 約13,500件)
地方別
H19
H20
H21
H23
H24
H25
提出率=
整備局SSメール
提出件数
査定件数
H22
合計
300
70
60
250
50
200
40
265
150
30
121
105
137
100
20
10
50
0
0
北海道 東北
11
17
関東
北陸
中部
近畿
中国
四国
25
25
8
19
25
1
九州
5
沖縄
45
58
32
H19H20H21H22H23H24H25
1
3
H25
件数
80
60
40
20
0
河川
ダム
海岸
砂防
地すべり 急傾斜
道路
橋梁
下水
応急
昨年同様、道路が一番多く、次いで河川が多い
H24
70
60
50
40
30
20
10
0
河川
ダム
海岸
砂防
地すべり 急傾斜
道路
橋梁
下水
応急
4
論点、論点詳細
記入様式(記入例)より
工法・構造
河川災 議論のポイント
30件
25
21
20
13
15
10
6
7
5
3
3
1
0
死に体
根入れ
根継ぎ
護床工
工法・構造
14
土羽護岸
天然河岸
兼用護岸
その他
復旧範囲
被災程度
調査不足
調整不足
対象外施設
5
0
0
0
維持管理
維持工事
応急工事
改良要素
その他
道路災 議論のポイント
37件
13
11
12
9
10
8
6
6
8
7
4
4
2
2
2
1
1
応急工事
改良要素
0
擁壁
兼用護岸
法面対策
排水処理
その他
復旧範囲
被災程度
調査不足
調整不足
対象外施設
維持管理
維持工事
その他
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事例① 大型ブロック積擁壁の適用の可否
工事の概要
【申請】
・ブロック積工
・大型ブロック積工
・As舗装工,路盤工
・構造物取壊し工
・Gr及びGr基礎
申請金額
=70㎡
=48㎡
=45㎡
= 7m3
=25m 他
9,136千円
【決定】
・ブロック積工
・大型ブロック積工
・As舗装工,路盤工
・構造物取壊し工
・Gr及びGr基礎
決定金額
6,369千円
=116㎡
= 0㎡
= 43㎡
= 7m3
= 25m 他
査定の経緯
○議論のポイント
・当該箇所は、被災前、道路から谷側へ、高さ1m程度のL型擁壁と土羽の構造となっていた。
・今回、復旧工法として、起終点の両サイドはブロック積工、中央部は直高5m以上となるため大型ブロック積工で申請。
・しかしながら、根入れを確認すると、ブロック積工:0.5mに対し、大型ブロック積工:1.3mとやや深すぎる状況。
大型ブロック積工の直高は、ガードレール基礎を除くと概ね5m前後であり、精査すればブロック積工でも良い可能性あり。
【申請者の主張】
・当該箇所は、被災前、道路から谷側へ、高さ1m程度のL型擁壁と土羽の構造となっていた。
・今回、復旧工法としては、起終点の両サイドをブロック積工、中央部は直高5m以上となるため、大型ブロック積工で申請した。
【立会官の主張】
【検査官の主張】
・ブロック積工と大型ブロック積工で、明らかに根入れが違うのはおかしい。何か説明できる理由は?
・起点部付近は被災していないので多少カットする必要あり。
・大型ブロック積工の直高は、ガードレール基礎を除く高さであり、概ね5m前後となる。
・根入れを確認すると、ブロック積工に比べ、大型ブロック積工は1.3mとやや深すぎる状況にある。
大型ブロック積工の基礎部の地質状況を十分確認したうえで、大型ブロック積工をブロック積工に変更出来ないか検討する必要がある。
【査定結果】
・大型ブロック積工の基礎部の地質状況等を現地確認したうえで、根入れを適切な位置に変更し、大型ブロック積工をブロック積工に変更。
・起点2mカット。
【本査定に関する検査官の考察・感想】
・申請者として、大型ブロック積工を採用する際の直高は、ガードレール基礎を除く高さで判断すべきとの認識がなかった。
・大型ブロック積工の根入れについても、申請者として基礎部の地質状況の確認が行われておらず、両サイドのブロック積工より根入れを深くした理由が説明さ
れなかった。
【防災課から】
・経験に基づく「ブロック積工」の直高はガードレール基礎を除くこととしており、妥当な判断である。
・擁壁のすべり出し、沈下、転倒などその変状の多くは基礎に起因しているので、単に根入れ深さを確保するだけでなく、良質な支持層に基礎を設けるなどするこ
とが重要。【災害手帳P426 6)参照】本事例では現地の地質状況等を確認して根入れ1mを決定しており、妥当な判断である。
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事例① 大型ブロック積擁壁の適用の可否
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事例② 応急工事 仮工事 or 本工事
基本情報
道路の状況
道路規格
第3種3級
日交通量
11,259台/日
道路幅員
6.0(9.5~9.9)m
決定金額
3,149
工事の概要
【申請】
申請金額
復旧延長 L=21.0m
道路幅員 W=6.0(9.5~9.9)m
掘削工 V=340m3
植生基材吹付工(t=5cm) A=150m2
植生マット工 A=180m2
用地費 A=58m2
補償費 1式
3,260
【決定】
復旧延長 L=21.0m
道路幅員 W=6.0(9.5~9.9)m
掘削工 V=340m3
植生基材吹付工(t=5cm) A=150m2
植生マット工 A=180m2
用地費 A=58m2
補償費 1式
査定の経緯
・切土法面の崩壊により道路上に崩土が流出したため、交通確保するため応急工事として崩土を除去し道路全幅を確保した。
・その後、斜面上に残った崩土の流出を防止するため、道路上に大型土のうを設置して待ち受けの状態でいた。
・この大型土のうの設置費用を「要綱第9・(一)・イ」の応急仮工事費として申請したが、この要綱に合致するかが議論となった。
【申請者の主張】
【立会官の主張】
【検査官の主張】
・交通上重要な路線で、斜面上の崩土をこのまま放置すると交通に著しい支障となり、近くに適当な迂回路がないため設置したもので
「要綱第9・(一)・イ」に合致すると判断した。
・応急工事で道路上の崩土を除去しているので、大型土のうの設置は「要綱第9・(一)・イ」に該当する緊急的に交通を確保する行為で
はない。交通の安全確保のための県単で行う工事にしか見えない。
・この他の申請工事でも大型土のうを使って交通確保しているものもあるので、再度申請者に全体を通しての見解を確認してから判
断することとした。(事際のところ、本件は「要綱第9・(一)・イ」で申請することは難しいと感じる)
【査定結果】
・申請者からの再説明で大型土のうの設置を本体工事の斜面崩土等切り落としの際の仮設として申請したいとのこと。
・三者合意のもと、応急仮工事を取り下げ、仮設工として必要最小限の大型土のうを認めることとした。
【本査定に関する検査官の考察・感想】
【防災課から】
・本工事の仮設工(仮設防護柵)として活用できれば、応急仮工事ではなく本工事の一部として認めたことは妥当な判断である。
・応急仮工事の仮道は迂回路がない場合等に必要最小限の幅員確保を認めるもので、写真のような状況では仮道とは判断しづらい。
・大型土のうを仮道として認める場合は、仮道が構造的に大型どのう無しには構築出来ない場合等が考えられる。
・本事例のような仮設工を応急仮工事として申請された場合には、同様の申請が繰り返されないよう災害申請の責任者に伝わるよう講評で話をするようお願
いします。
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事例② 応急工事 仮工事 or 本工事
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事例③ 用地を有効利用した復旧となっているか?
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事例③ 用地を有効利用した復旧となっているか?
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事例④ 民地法面の被災
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事例④ 民地法面の被災
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事例⑤ 二重対策になっているのでは?
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事例⑤ 二重対策になっているのでは?
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事例⑥ ガードレールは必要である
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事例⑥ ガードレールは必要である
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事例⑦ ガードレールは基礎だけ?
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事例⑦ ガードレールは基礎だけ?
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事例⑧ 事前打合せの結果は尊重
道路の状況
道路規格
日交通量
約10台
道路幅員
2.6m
工事の概要
【申請】
申請金額
○上部工 L=7.2m W=2.6m PC単純床版橋
○下部工 重力式橋台(直接基礎)
○防護柵 L=14m
○取り付け護岸 93m2
12,275千円
【決定】
決定金額
○場所打ちRCボックスカルバート L=6.1m
○取り付け護岸 53m2
5,609千円
査定の経緯
○議論のポイント
(小規模な橋梁の復旧工法)
被災
した橋梁は橋長5.5m、復員2.6mで、空石積み護岸の上にRC床版をのせた構造であり、日当たりの交通量もごく僅か。床版橋として復旧する場合、設
計荷重を道路構造令等の基準に準拠すべきか。また、橋梁形式以外の施設での復旧が考えられないか。
【申請者の主張】
上部工形式の選定にあたっては、PC単純床版桁橋、RC床版桁橋、単純H鋼桁橋、門形カルバート橋 について経済性、施工性等
を比較し決定した。設計荷重は最低となる林道規定のTL=9tを適用した。事前打ち合わせ済み。
【立会官の主張】
小規模な橋梁の設計荷重は、道路構造令等の基準に準拠する必要はない。(関係図書のコピーを提示)
ボックスカルバートでも可能と考えられる。
既設の橋梁には防護柵は設置されておらず、認められない。
【検査官の主張】
立会官の主張とほぼ同じ。
が行われていたが、採択は査定にて決定することを申請者に説明、理解を求めた。
【査定結果】
済性で優位となった場所打ちRCボックスカルバートに決定。防護柵はカット。
事前打ち合わせ
経
【本査定に関する検査官の考察・感想】
「小規模な橋梁の設計荷重の考え方」について、立会官の主張が正解なのか確認をしておく必要がある。
【防災課から】
・現地の状況から判断して、三者合意に至ったものと思われる。
・全橋被災の場合の小規模な橋梁の設計荷重の最低値は定めていません。現橋が道路橋示方書の規程以下の場合、示方書の最低値A活荷重を原則とし
ていますが、明らかに不合理の場合は農道基準のTL-10荷重を参考にするケースが多い。
・ボックスカルバートの場合、管理上の問題や次のような設置に不適当な箇所がありますので、選定の際には注意すること。
(1)河床の変動が大きい河道又は河床が低下傾向にある河道、(2)狭窄部、水衝部、支派川の分合流部、(3)基礎地盤が軟弱な箇所、(4)堤防又は基礎地盤
が漏水の恐れがある箇所
出典:「鉄道・道路等が河川を渡河するために設置する函渠(樋門・樋管を除く。)の構造上の基準」について
・事前打ち合わせ済みの場合、安易に変更しないで、指導した方の見解も確認して判断してください。
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事例⑧ 事前打合せの結果は尊重
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事例⑨ 条件護岸はどこまで? BOX構造でいいのか?
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事例⑨ 条件護岸はどこまで?? BOX構造でいいのか?
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事例⑩ 次期出水での影響範囲のシミュレーションは不要
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事例⑩ 次期出水での影響範囲のシミュレーションは不要
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事例⑪ 最大洗掘深と護岸根入れ
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事例⑪ 最大洗掘深と護岸根入れ
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事例⑫ 死に体が増破!
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事例⑫ 死に体が増破!
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事例⑬ 死に体はしっかりと見ること
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事例⑬ 死に体はしっかりと見ること
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事例⑭ D.H.W.Lと護岸高さ 最近の降雨状況を考慮
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事例⑭ D.H.W.Lと護岸高さ 最近の降雨状況を考慮
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事例⑮ 小規模施設に該当するか
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事例⑮ 小規模施設に該当するか
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事例⑯ 被災原因の見極めをしっかりと
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事例⑯ 被災原因の見極めをしっかりと
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