2014/12/3 SD法とは, 人間計測の方法 8.感性的指標の計測(1) セマンティック・ディファレンシャル法 による印象の測定 • 多種多様な概念の内包的・情緒的意味の間 には,どのような違いや関係があるのだろう か(Osgoodら,1957) • 客観的・定量的に表現するための方法 – 多数の形容詞対(評定尺度)を用いて評定する – 各尺度を座標軸とする多次元空間(意味空間)内 に位置づける 測定例1 • 言語やシンボルの研究の他にも用いられる – 感覚刺激(色・形・音など)の感情的効果の測定 – 人物・団体・商品などのイメージの測定 – 僧侶に対する印象を調べる • 12個の尺度について5段階評定を行う 1.立派なーひどい 2.役立つー役立たない 3.よいーわるい 4.大きいー小さい 5.力のあるー力のない 6.強いー弱い 7.速いー遅い 8.騒がしいー静かな 9.若いー老いた 10.誠実なー不誠実な 11.かたいーやわらかい 12.忙しいーひまな プロフィール分析 • 僧侶を対象とするプロ フィール分析 – 13名の評定者が,20通りの職業を評定 • 評定値の(評定者間)平均 – 対象の印象を全体的に 把握 – 複数の対象間で比較 1 2014/12/3 • 尺度間の相関⇒意味空間を集約・整理 • 意味空間を構成する尺度は,数個の基本的尺度に 整理できる(Osgoodら,1957) • 概念・形容詞対を様々に変化させても,必ず次の尺度は 大きく寄与する Evaluation 評価 a. b. c. Potency 力量 評価 Evaluation 例:よいーわるい 力量 Potency 例:大きいー小さい 活動 Activity 例:早いー遅い • 人間にとって普遍的な情緒的意味体系があること を示す Activity 活動 SD法により得られるデータ 因子分析 • 対象,評定者,形容詞対の3次元データ行列 変数間の相関行列に基づいて、それらの関係 を規定している潜在因子を抽出するための方法 全部の形容詞対を軸とする空間 因子分析 形容詞対 評定者 主たる要因を軸とする空間 因子負荷量:もとの尺度における評定値と因子軸を用いた 空間の座標値の対応関係をあらわす 因子得点:各被験者の各因子について計算された評価値 Σ(因子負荷量×評定値) 説明率(寄与率):因子負荷量の二乗和/意味尺度数 対象 測定例2 因子分析の結果 – 因子負荷量から,各因子を解釈する 責任感の無い モーツァルト 親しみやすい 軽率な 不親切な 人なつっこい なまいきでない 堂々とした 無分別な うきうきした 2 2014/12/3 非社交的な ベートーベン – 因子得点から,評定者の分布を検討する 短気な 人のよい 第2因子(近づき 易さ)の因子得点 分別のある 第1因子(軽々しさ)の因子得点 測定例3:複数の対象を共通の因子 空間内で比較 – 3種類の香水名を共通 の意味空間内で比較す る • クール • リフレッシュ • エスコート – 因子分析の結果: • 第1因子 冷淡さ • 第2因子 重厚さ 因子得点の分布 重厚さ – 25形容詞対×81(27評 定者×3対象)のデータ 行列 – 香水名の印象は同じ意 味空間に位置づけられ ると仮定する 冷淡さ これら香水の名前から導出された因子負荷行列 計測例4(応用例) • 性質の異なる物どうしの印象が一致するか • ある香水の印象の評定結果 軽快さ 落ち着き 女性的な あたたかみ 3 2014/12/3 A SD法による印象測定の原理 B 外界 対象 無意識 意識 全体的印象 (様々な物理的性質) 複数の感覚 特定の行動 評定 形容詞対 表現型 感性 落ち着き 軽快さ クールで冷たい 感じ 軽快さ 強さ あたたかみ と情熱 その人の過去の経験 その時の状況 SD法を用いる際の注意点 1)適切な形容詞対の選定 その刺激に対する連想語を調べ、似た語や反対語をまとめる 2)尺度の段階数(7段階まで) 3)因子分析によるまとめ上げ(因子数、因子名) a)評価性の因子:美しさや好みのような価値の良し悪しに関係 好き―嫌い、良い―悪い、美しい―醜い、等 b)活動性の因子:対象そのものの変動に関係 動的な―静的な、速い―遅い、積極的な―消極的な、等 c)力量性の因子:そのものがそのまま持っている特性に関係 大きい―小さい、広い―狭い、強い―弱い、等 4)SD法は、全体的印象を細分化して分析し、因子分析 によってまとめ上げる手法であるが、科学的根拠に乏し い。→因子を断定的に考えてはならない。何らかの形で 妥当性の検証が必要。 4
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