2014/10/30 実施分問題 1 空洞輻射、光電効果、Compton 効果 2 2.1 光子のエネルギー 光が連続的にエネルギーを放射するものと仮定しよう。100W の電球から 5m の位置にある金属 から電子を飛び出させるのに必要なエネルギーを与えるには、どれだけの時間がかかるか計算せ よ。金属原子の半径は 10−10 m、7 × 10−19 J のエネルギーをもらうと電子が飛び出すことができる とする。 2.2 空洞エネルギーの揺らぎ 大きな体積 V の外からのエネルギーの出入りがない温度 T の熱浴の中に、小窓がついた小さな 体積 v の箱がある状況を考える。小さな箱の中で ν と ν + dν の間の振動数をもつ輻射が有するエ ネルギーは、Rayleigh-Jeans の公式 U (ν)vdν = 8πv kT ν 2 dν c3 (2.1) で書けるとする。これから、エネルギーの揺らぎの式 2 ⟨ ⟩ c3 ⟨E⟩ ∆E 2 = hν ⟨E⟩ + 2 8πν v dν (2.2) の第二項が導出されることを示せ。(ヒント:式 (2.1) のエネルギーの期待値を −β = −1/kT で微 分すると揺らぎになります。) 2.3 粒子数の揺らぎ 前問と同じ状況を考える。大きな室 V の中に分子が N 個あるとして、ρ = N/V と書く。一つ の分子に着目すると、その中の小さな室 v ≪ V に入っている確率は w = v/V = ρv/N 、入ってい ない確率は 1 − w である。このような状況で、どの粒子も小室に入っているどうかが独立である場 合、数の分布は二項分布 ( ) N wn (1 − w)N −n P (n) = n で書くことができる。この確率分布を Poisson 分布で近似できる場合はどのような場合か?Poisson ⟨ ⟩ 分布の式を書き、これを使って粒子数 n の ⟨n⟩ および n2 を求めなさい。 2.4 光電効果 オゾンを生成する際、 O2 = 2O − 117kcal の光化学反応が起きる必要がある。オゾン反応は紫外線によってはじめて起こるということを用い て、Planck 定数の値をおよそ求めよ。紫外線の波長は 200nm 程度とする。 2014/10/30 実施分問題 2.5 2 仕事関数 アルミニウムの仕事関数 (1 個の電子を無限遠まで取り出すのに必要なエネルギー) を 4.28eV と する。このとき、アルミニウムの限界波長 (光電子は一定の波長以下の光を照射したときだけ発生 する。その限界の波長) を求めよ。 2.6 コンプトン散乱 光がエネルギー hν を持つ粒子であるとして、コンプトン散乱の式、および電子のコンプトン波 長の値を求めよ。この現象が可視光や軟 X 線では観測されず、X 線で観測される理由を述べよ。 2.7 水素原子の不安定性 水素原子について、陽子の周りを電子が回っているという古典的な描像(Rutherford 模型)を 仮定しよう。水素の半径として Bohr 半径 a0 = 0.53 × 10−8 cm をとる。古典電磁気学によれば、 加速度運動をする電子は電磁場を放射し、単位時間あたりのエネルギーの放出は、 S= 2 e2 2 |v| ˙ 3 c3 で与えられる 1 。(ここで、v˙ は電子の加速度である。)水素の寿命を求めよ。 1 cgs である。MKSA を用いると係数分だけ異なった式になる。 (2.3)
© Copyright 2024 ExpyDoc