1 記号法 文字の使い方 基本ルールを以下に示す.問題に依存する場合はより一般的な場合に従う. a, α, · · · アルファベットとギリシャ文字 (表 0.0) の小文字をスカ ラー,ベクトル,関数を表す. a, α, · · · アルファベットとギリシャ文字の太い小文字を有限次元の ベクトルとそれを値域にもつ関数を表す. A, A, Γ, · · · アルファベットとギリシャ文字の大文字やその飾り文字を 集合を表す. A, Γ, · · · アルファベットとギリシャ文字の太い大文字を有限次元の 行列とそれを値域にもつ関数を表す. L Lagrange 関数の意味をもつ関数を表す. aA ローマン体の添え字は用語の頭文字を表す. 集合 以下,m, n, d を自然数とする. N, Z, Q, R, C それぞれ自然数 (正整数), 整数, 有理数, 実数, 複素数の全 体集合を表す. A = {a1 , · · · , am } 集合 A は a1 , · · · , am の要素あるいは点からなることを 表す. |A| 有限集合 A の要素の数を表す. a∈A {0} {ak }k∈N a は集合 A の要素であることを表す. 0 だけからなる集合を表す. 無限点列 {a1 , a2 , · · · } を表す. 記号法 2 表 0.0 ギリシア文字 大文字 小文字 よみ 大文字 小文字 よみ A B Γ ∆ E Z H Θ I K Λ M α β γ δ ϵ ε ζ η θ ϑ ι κ λ µ alpha beta gamma delta epsilon zeta eta theta iota kappa lambda mu N Ξ o Π P Σ T Υ Φ X Ψ Ω ν ξ O π ϖ ρ ϱ σ ς τ υ ϕ φ χ ψ ω nu xi omicron pi rho sigma tau upsilon phi chi psi omega A⊂B A ∪ B, A ∩ B, A \ C 集合 A が集合 B の部分集合であることを表す. 集合 A と集合 B の和集合,積集合,差集合を表す. (0, 1), [0, 1], (0, 1] {x ∈ R | 0 < x < 1}, {x ∈ R | 0 ≤ x ≤ 1}, {x ∈ R | 0 < x ≤ 1} を表す. ベクトルと行列 以下,Rd , Rm , Rn のベクトルと行列を考える. T x = (x1 , · · · , xd ) ∈ Rd d 次元の縦実ベクトルを表す.xi は x の i 番目の要素を 表す.xT は x の転置を表す. 0Rd Rd の零元を表す. x ≥ 0Rd xi ≥ 0, i ∈ {1, · · · , d}, を表す. ∥x∥Rd ,p p ∈ [1, ∞) のとき,x ∈ Rd の p 乗ノルム √ p p p |x1 | + · · · + |xd | p p を表す.p = ∞ のとき,最大値ノルム max {|x1 | , · · · , |xd | } を表す.混乱がなければ ∥x∥p とかく. ∥x∥Rd x ∈ Rd の Euclid ノルム √ x · x を表す.混乱がなければ ∥x∥ とかく. A = (Aij )ij ∈ Rm×n m 行 n 列の実行列を表す.A = (Aij )(i,j)∈{1,··· ,m}×{1,··· ,n} ともかく. 3 a · b, A · B δij I Rm×m a, b ∈ Rm および A, B ∈ Rm×m に対して,スカラー積 ∑ ∑ i∈{1,··· ,m} ai bi , (i,j)∈{1,··· ,m}2 Aij Bij を表す. 1 (i = j) Kronecker デルタ δij = を表す. 0 (i ̸= j) 単位行列 (δij )ij ∈ Rm×m を表す.混乱がなければ I と かく. 領域と関数 以下,Rd 上の領域と関数を考える. Ω ⊂ Rd ¯ Ω Rd の領域 (単連結開集合) を表す. Ω の閉包を表す. ¯ \ Ω を表す. ∂Ω Ω の境界 Ω ∫ |Ω| Ω dx を表す. ν τ 1 , · · · , τ d−1 境界 ∂Ω で定義された外向き単位法線を表す. 境界 ∂Ω で定義された接線を表す. κ 境界 ∂Ω で定義された ∇ · ν (平均曲率の d − 1 倍) を表す. ∆u 関数 u : Rd → R の Laplace 作用素 ∆ = ∇ · ∇ を表す. ∂ν u 関数 u : Ω → R に対して,境界 ∂Ω で定義された (ν · ∇) u を表す. ∂ν u dx, dγ, dς 関 数 u : Ω → Rd に 対 し て ,境 界 ∂Ω で 定 義 さ れ た ( )T (ν · ∇) u = ∇uT ν を表す. 領域 Ω ⊂ Rd 上の積分, 境界 Γ ⊂ ∂Ω 上の積分,境界の境 界 ∂Γ 上の積分で使われる測度を表す. Banach 空間 以下,V をノルム空間, X を Banach 空間とする. ∥x∥V X ′ ⟨y, x⟩X ′ ×X x ∈ V のノルムを表す.混乱がなければ ∥x∥ とかく. X の双対空間を表す. x ∈ X と y ∈ X ′ の双対積を表す.混乱がなければ ⟨y, x⟩ とかく. 記号法 4 関数と微分 以下,X, Y, Z を Banach 空間とする. f :X→Y f (x) : X ∋ x 7→ f ∈ Y f ◦g X から Y への写像 (関数) を表す. 要素を明示した写像を表す. 合成写像 (合成関数) f (g) を表す. L (X; Y ) X から Y への有界線形作用素の全体集合を表す. ∇f (x) x ∈ Rd における f : Rd → R の微分 ∂f (x) /∂x ∈ Rd を 表す. ∆f (x) x ∈ Rd における ∇ · ∇f (x) を表す. f ′ (x) [y] f : X → R のとき,f の x ∈ X における任意変動 y ∈ X に対する Fr´ echet 微分 ⟨f ′ (x) , y⟩X ′ ×X を表す. fx (x, y) [z], ∂X f (x, y) [z] f : X × Y → R の と き ,f の (x, y) ∈ X × Y に お け る 任 意 変 動 z ∈ X に 対 す る Fr´ echet 偏 微 分 ⟨∂f (x, y) /∂x, z⟩X ′ ×X を 表 す .f (x, y) /∂x ∈ X ′ を fx (x, y) とかく. T ∂f /∂x , f xT f : Rd → Rm のとき,Jacobi 行列 (∂fi /∂xj )ij : Rd → Rm × Rd を表す. ∂ν f Ω ⊂ Rd に対して ν を ∂Ω 上の外向き単位法線とし, f : Rd → R とするとき,ν · ∇f を表す. 関数空間 C (Ω; Rn ), C 0 (Ω; Rn ) Ω ⊂ Rd 上で定義された連続関数 f : Ω → Rn の全体集合 を表す. C0 (Ω; R ) f ∈ C (Ω; Rn ) で,f の台の閉包が開集合 Ω に含まれ,か n つ有界な f の全体集合を表す. C (Ω; R ) s ∈ [0, 1, · · · ] 階までの導関数が C (Ω; Rn ) に属する関数の s n 全体集合を表す. C C0s s,α (Ω; R ) C s (Ω; Rn ) ∩ C0 (Ω; Rn ) を表す. n (Ω; Rn ) H¨ older 指数 α ∈ (0, 1], に対して,s 階までの導関数が H¨ older 連続な関数の全体集合を表す.α = 1 のとき,その 関数を Lipschitz 連続という. 5 Lp (Ω; Rn ) p ∈ [1, ∞) のとき,p 乗 Lebesgue 可積分な関数の全体集 合を表す.p = ∞ に対して本質的有界な関数の全体集合を 表す. W s,p (Ω; R ) s ∈ [0, 1, · · · ] 階までの導関数が Lp (Ω; Rn ) に属する関数 n の全体集合を表す. W0s,p s (Ω; R ) W s,p (Ω; R) における C0∞ (Ω; R) の閉包を表す. n H (Ω; Rn ) W s,2 (Ω; Rn ) を表す. H0s (Ω; Rn ) W0s,2 (Ω; Rn ) を表す. その他 x := x + y x + y を x に代入することを表す.
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