小さな工務店 ここが強み - 「住まいのウチイケ」。

小さな工務店
ここが強み
住まいのウチイケ [北海道室蘭市]
事例
2
光熱費計算
全棟で1年分の暖房費8万円を負担
同社の家のエネルギー消費量とコスト
(39坪吹抜有、延床129.18㎡、主たる居室52.99㎡、その他の居室36.44㎡)
オピニオン
省エネシミュレーション
一般住宅
同社の住宅
事 例
暖房設備1次エネルギー消費量
58,108MJ
24,872MJ
冷房設備1次エネルギー消費量
570MJ
909MJ
換気設備1次エネルギー消費量
4,842MJ
3,280MJ
照明設備1次エネルギー消費量
14,381MJ
8,647MJ
給湯設備1次エネルギー消費量
30,746MJ
20,948MJ
その他1次エネルギー消費量
21,211MJ
21,211MJ
太陽光発電等の創エネ量
設計・施工
合 計
63,320MJ
129,858MJ
16,547MJ
エネルギー量から算出した金額
一般住宅
同社の住宅
経 営
暖 房
178,611 円
76,451 円
冷 房
1,752 円
2,794 円
換 気
14,883 円
10,082 円
照 明
44,204 円
26,579 円
給 湯
94,506 円
64,389 円
上記の合計
333,956 円
180,295 円
集客・営業
同社の施工事例。どの家でも強固な断熱性能が標準仕様
※北海道同社エリアで計算
住まいのウチイケ(北海道室蘭市、内池秀光社長)は、6月より1年分の暖房費を
住宅の半分程度に抑えられる」と内池さ
負担するサービスを始めている。7月31日には、北海道電力が電気料金の再値上
んがいう暖房費は、年間8万円前後と計
げを申請し、平均17.2%の料金上昇の可能性が浮上する中、同社社長の内池秀光
算している。
さんは「むしろ私たちの家とサービスが注目される良い機会」と意気込みを語る。
こうした計算ができるようになったの
も、北海道大学大学院の羽山広文教授と
の共同研究によるもの。羽山さんは光熱
住宅性能に自信
ルと充てん断熱をともに用いる「ダブル
費が性能の高い住宅でどの程度抑えられ
断熱」を標準装備とし、家づくりの強み
るか、またそれが生活者の行動にどう影
「暖房費負担」は、同社が建てる住宅
にしてきた。長期優良住宅や低炭素住宅
響するかといった研究を行っている。
の断熱性をアピールするのがねらいで、
が一般的な認知を得つつある中で、今年
「暖房費8万円という数値は、決して
現在施工するすべての住宅が対象。「
『暖
さらなるアピールを図るため、三層ガラ
無理を強いるものではない。普通に生活
房費負担』を銘打ったことで、様々なメ
ス樹脂窓(エクセルシャノン)や外断熱
していただけるもの」という。
ディアから取材を受けるなど多くの反響
材にネオマフォーム厚66㎜(旭化成)を
があった」という。
標準採用とするなど、さらなる進化を図
同社では14 年前から外壁の断熱パネ
った。こうした努力で「道内の一般的な
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新建ハウジングプラス1 2014/09
地域への取り組み
また「北海道でも東日本大震災以降、
営業マンが
光熱費明示
会社概要
住まいのウチイケ
北海道室蘭市
内池 秀光 社長
地場ゼネコンである内池建設の下請工事を担当していた大
工部門の会社が独立し2000年に設立。内池さんは大学で
建設を学び、札幌市内の建設会社で現場監督の経験を積ん
だ後大手工務店で営業マンとして勤務、その後親会社であ
る内池建設の営業を経て前身会社を社長として引き継いだ。
社員19人。
TEL:0143・42・4118
エネルギー消費量など数値計算ができる営業マンがいるのも同社の
強み。営業部統括の成田智昭さんは「最初は戸惑ったが、お客様の前
で計算できることは住宅性能を知り尽くしていることの証明になり、
なにより自分たちの家に自信を持っていることが伝わる」と話す。内
池さんも「光熱費メリットの明示は絶対条件」といい、今では6人い
るすべての営業マンが計算できるという。
坪単価50~60万円、平均価格2200 万円という同社の住宅はエリ
アとしては高額だが「多少イニシャルコストがかかっても、光熱費が
チラシやホームページでも大々的にアピールした
安く済めば家計にやさしいのは明らかなメリット」と内池さんは話す。
数値計算できる
営業マンが顧客に明示
環境負荷を気にするユーザーが増え、断
約1300㎡の敷地に160枚の太陽光パネルを設置、公園として開放さ
れている
熱性の高さは数値以上の意味を持つ」と
いう。
ウチイケソーラーパーク」を室蘭市内に設
など、地元とのコミュニケーションを積極
加えて3年前、室蘭地域で起こった大
立。公園として住民の憩いの場に日常か
的にはかりながら、地場工務店として年
規模停電の際の出来事も記憶に残る。停
ら利用してもらいながら、売電料金など
間30 〜 40棟と好調なシェアを獲得して
電のため暖房が使えなくなった住宅が多
を表示することで、地域住民へソーラー
いる。暖房費が安く抑えられたと、施主
い中、同社の施工した住宅は熱効率のた
パネルの有用性をアピール。自然エネル
からの紹介率が高いのも同社の特徴だ。
めの蓄熱にも配慮していたため「停電に
ギーへの関心を呼び込みたいねらいだ。
今年の7月には新商品として「エコハ
なってからも、しばらく暖かくて助かっ
「売電料金を計算しても単体では元がと
ウスゼロ」を発売、ソーラーパネル設置
た」との声をもらったのだという。
れないが、太陽光発電に興味を持っても
で暖房費ゼロ以下を目指す住宅で、エリ
「自分たちのやってきたことが間違っ
らえれば、自然に省エネに直結する断熱
ア内では初めてとなる試みだ。
てなかったと改めて認識した。そこで、
性の高い住宅を選んでもらえる」という。
ただし内池さんは好調にも慎重な姿
こうしたメリットをもっと一般の方に広
さらに、地域住民がコミュニティスペー
勢。「いろいろやりつつも、結局はいい
げたいと考えた」と内池社長。
スとして利用可能な研修センターの設置、
家を真面目に建てることが地域の方に応
そこで同社では昨年5月に「住まいの
地元のイベントへの積極的な支援・参加
援してもらう秘訣なのでは」と話す。
2014/09 新建ハウジングプラス1
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