PRE-20-02

PRE-20-02
橈骨遠位端骨折術後例に対するセラピィのQOL評価の成績
―SF-8とQuick DASHを用いて―
Quality of life assessment in distal radius fracture patients undergoing
postoperative therapy using SF-8 and Quick Dash
○林 寛敏 (OT) 1),田崎和幸 (OT) 1),野中信宏 (OT) 1),貝田英二 (Dr.) 2),宮﨑洋一 (Dr.) 2)
1)
愛野記念病院リハビリテーション部, 2)愛野記念病院整形外科
Key words: Quality of life,Distal radius fracture, Hand therapy
【はじめに】
橈骨遠位端骨折例の経時的成績として,QOLなどの患者立脚型評価の報告は少ない.そこで今回,橈
骨遠位端骨折術後例に対するセラピィのQOL評価の成績をSF-8とQuick DASH(以下Q-D)を用い
調査した.
【方法】
橈骨遠位端骨折術後例の内,本研究に同意した12例(男性3例,女性9例,平均年齢65歳)に対し,
手術によるQOLへの影響が少なくなった術後約1ヵ月と,それと比較するため約3ヵ月にSF-8,Q-D
を行い,SF-8はPCSとMCSに分け,各時期に差がみられるか調査した.統計学的処理は,Wilcoxon
の符号付順位和検定(p<0.01)を用いた.
【結果】
12例の平均は,1ヵ月時PCS:34.77,MCS:42.06,Q-D:52.16,3ヵ月時PCS:41.86,
MCS:47.95,Q-D:18.75と有意に改善した.しかし,個別でみるとPCSが3例,MCSが2例で改
善がみられなかった.
【結論・考察】
PCSの改善がなかった例の特徴として,2例に手指に拘縮が生じていた.橈骨遠位端骨折術後例への
アンケートを用いた他の報告でも,手指に拘縮が生じていた例の成績が悪かったと述べられており,
本調査からも手指の拘縮がQOL低下に影響すると思われた.本調査から,セラピィ介入による経過に
て概ね改善することが分かり,手指の拘縮を予防することが肝要と思われたが,改善後もPCS,MCS
は国民標準値より低く,改善しなかった例もあり,今後の課題である.