研究発表要旨 OE13 サービスデスクの効率化 効率化への仕組み作り 1. サービスデスクの現状と重要性 急速なIT市場の変化、IT 技術の進化において、企業間の競争は益々激しくなっている。 企業における IT の割合は増え、特に近年では、仮想化やクラウドの浸透によって、柔軟・ 迅速な IT リソースの調達、配備が可能となった半面、さらに管理が複雑化している。この ような中、IT サービス管理は必須となる。 IT サービス管理の標準規格である ITIL の普及が進んだ結果、サービスデスクは約 85% の企業で導入が進んでいると言われている。 サービスデスクは、コストセンターと捉えられ、十分な予算と人が割り当てられていな いケースが多い。これでは、システムが煩雑化するに伴い、日々のインシデントは増加し、 サービスデスクメンバが対処しきれず、利用者に不満を与え、重大なビジネス損失にも繋 がりかねない。 メンバは課題を多数認識しているにも関わらず、目先の業務を片付けることばかりとな ってしまい、プロアクティブな活動をなかなか起こすことができない。また、その業務内 容はストレスのたまりやすいものであることもあり、精神的にもモチベーションが下がり がちである。 まず、利用者の期待に応えるためには、サービスデスクの効率化が必然である。 2. 本研究の目的 私たちはサービスデスクリーダーに着目し、サービスデスクリーダーがどのように現場 をマネジメントすれば効率化がはかれるか、ひいては利用者の期待に応えられるのかその 手法を研究することとした。 3. 研究内容 以下のような流れで、研究を実施した。 (1) サービスデスクのあるべき姿と現状の把握 私たちは、サービスデスクとは、「お客様満足度の高い」「価値をうむ」「ビジネス に貢献できる」ポジションであり、全てのステークホルダー(ユーザ、業務担当者、 システム担当者、開発担当者、経営層など)が「Happyになる」ための「HUB」 となるべきと考えた。 サービスデスク利用者からのアンケートや、サービスデスクメンバからの意見収集 により、サービスデスクの現状を確認した。 2014 Beacon Users' Group 研究発表要旨 OE13 サービスデスクの効率化 (2) サービスデスクの課題形成、課題分類、解決策検討 あるべき姿と現状のギャップ分析を行い、問題を確認し、なぜなぜ分析や遠因分 析を行い、サービスデスクの課題を設定した。課題に対して、ITサービスマネジメ ントの 3 要素(Product、Process、People)に分類した。 (3) 解決策の検討 まず、3P における、それぞれの解決策を検討した。People における解決策は、属 人性が高く、効果がバラつきがちであり、効果の測定も非常に難しい。また、Product、 Process においては、継続サービス改善(CSI)における、CSI モデルや CSI ステップ (デミングサイクル、PDCA)を使用し、Product や Process を改善しても、People が 解決していなければ、画竜点睛を欠く、猫に小判にもなりかねない。また PDCA がう まくいかない要因としても People に依るところが大きいのではないか。 (4) マネジメントコントロールシステム(MCS)の活用 そこで、経営手法として、マネジメントコントロールシステム(MCS)では、経営目 的を達成するために、組織の人員にベストな行動を行ってもらう方法にたどり着いた。 People に関するサービスデスクの課題に関して、MCS という経営の手法は有効であるの ではないかという仮説を立てた。 MCS の課題解決コントロールである、 「行動コントロール」、 「結果コントロール」、 「環 境コントロール」をサービスデスクの各課題にあてはめ、効率化を実現すべく課題解決 するために有効なコントロールを検討した。 (5) 効果の検証 サービスデスクの管理にマネジメントコントロールシステム(MCS)を採用すると、 どのような効果(効率化)が得られるかを検証した。 4. 研究考察 サービスデスクにおける People に起因するような課題について、サービスデスクリー ダーは、メンバごとに異なる課題とモチベーション源泉を見極め、適切な MCS の解決コン トロールを実施することで、メンバの行動を変化させ、 “効率よく仕事ができる仕組み作り” となる。また、CSI に、MCS を補完することで、People に関する課題の分析、施策立案に効 果がある。 そして、メンバの成長と「お客様満足度の高い」 「価値をうむ」 「ビジネスに貢献できる」 サービスデスクが実現可能である。 2014 Beacon Users' Group
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