PM と触媒試料のルースコンタクト活性評価の標準化 (産総研) 内澤

PM と触媒試料のルースコンタクト活性評価の標準化
(産総研) ○ 内澤 潤子 ・ 小渕 存
【ルースコンタクト混合条件の検討】

試料:標準触媒=Ag/CeO2(三井金属製)、模擬 PM=三菱化学#2600
(注: 模擬 PM は 2013 年配布のものを使用。今年度配布 Printex V は混合に難あり→状況報告予定)

活性試験使用機器・方法:常圧固定床流通反応装置を用いた昇温プログラム反応(TPR)

活性評価:6cc スクリュー管内で PM2mg と触媒 200mg を、①振とう、②スパチュラを用いた撹拌、③超音波洗
浄器を用いた手法、により混合した(PM 混合率=1wt%)。これに局所的な発熱を防ぐための石英砂(0.5g)を加
えて希釈した混合試料を石英ガラス製リアクタ(内寸 10mm)に設置し、乾燥空気 300ml/min を流通させ 110℃
で 1h 保持後 750 ℃まで 10 K/min で昇温。TPR プロファイルは、総面積が一定となるように縦軸を規格化した。

結果
PL ピーク
面積比
P
L
PL
PT
PT
図:振とう混合において振とう回数を 1∼1000 回としたサンプルの TPR プロファイル(左)およびピークの変化(右)
いずれの場合も 300 および 550℃付近の二つのピークをもつ TPR プロファイルを示した。前者がタイトコンタクト
(PT)、後者がルースコンタクト(PL)に由来するピークであると推察された。振とう回数が 50 回を超えると全体プロファ
イルに対する PL ピークの面積比は急激に減少した。このことからピーク温度が初期の比較的一定となる範囲に収ま
っている 50 回程度の振とう混合を標準的なルースコンタクト形成条件として提案したい。なお、スパチュラおよび超
音波による混合でも同様のプロファイルが観測された。
【ルースおよびタイトコンタクトの考え方】
Ag/CeO2 による PM 酸化の TPR プロファイルにおいて、PT は Ag やスピルオーバー酸素等の直接接触による酸
化、PL は CeO2 からの活性酸素による酸化に起因したものであると推察される。このことから、直接接触により酸化
PT
できる距離の接触をタイトコンタクト、触媒起源の気相(活性酸素など)を介して酸化できる距離(ミクロンオーダー程
度)の接触をルースコンタクトと定義したい。
昨年、我々は触媒本来の活性評価のためには、タイトコンタクトでも触媒粒子を粉砕せずに PM と混合する必要が
あると主張した。粉砕が伴う形で PM と混合すると、元々の触媒表面が破壊され活性成分の表面濃度や PM とのコ
ンタクト状況が現実と異なってしまうためである。このような問題を回避するため、①触媒を粉砕しない(ボールミル
の粉砕ボールを入れない)状況で、②触媒外表面に PM 全量が直接付着した状態になるように長時間(1 時間以上)
混合し、③さらにタイトコンタクトポイントの面積的な制約を受けないよう、PM 混合率を少なくする(1wt%以下)という
方法を提案した。特に Ag/CeO2 のような、PT および PL が混在する TPR プロファイルについて、ルースおよびタイト
コンタクト活性を整合性よく評価するためにも、触媒粒子を粉砕せずに PM と混合することが重要であると考える。