参照触媒 Ag/CeO2 による PM 燃焼特性と混合状態のキャラクタリゼーション (名大院工) ○圓尾俊博・大山順也・薩摩篤 参照触媒 Ag/CeO2 を用いて、Tight contact(TC)および 3 種類の Loose contact(LC)を調製し、 PM 燃焼挙動における 4 種類の CB-Ag/CeO2 混合試料の違いを TG-DTA により比較した。 【実験方法】 使用機器 : TG-TDA(島津 DTG-60H) 測定条件 : 20%O2/N2 混合ガス流通(30 cm3/min)下で、吸着水の除去を目的として 110 ºC, 1 h 前処理を行った後、同温度から 5 ºC /min で 600 ºC (TC)もしくは 800 ºC (LC)まで 昇温した。 測定試料 : 標準 Ag/CeO2 : Printex V = 10 : 1 となるように秤量した後、TC : めのう乳鉢内で 乳棒を用いて 10 分間混合。LC(1) : サンプル管に移し、手で激しく 10 分間振 とう。LC(2) : めのう乳鉢内でスパチュラを用いて 10 分間混合。LC(3) : サン プル管に移し、超音波洗浄機にて 10 分間混合。 【結果と考察】 上記 4 種類の混合試料の TG 測定結果を Fig. 1 に示す。 2 TC および LC(2)では仕込み CB 相当の重量減少が観察 込み CB 量よりも小さいことから、未燃焼の CB が存 在していることを示している。また、DTA 測定結果を Weight loss / % された。しかし、LC(1)および LC(3)では重量減少が仕 TC LC (1) LC (2) LC (3) 0 -2 -4 -6 -8 -10 -12 Fig. 2 に示す。TC では 300 ºC から 400 ºC の間に大 100 40 観察された。300 ºC 付近で小さな燃焼ピークが観察 30 ているが、LC では CB の表面一部のみが Ag/CeO2 と 接触していることが示唆される。混合した CB の 1% が燃焼する温度である燃焼開始温度(Tig)および DTA 曲線の最大点(Tmax)を Table 1 にまとめた。TC と LC を 400 700 800 TC LC (1) LC (2) LC (3) Heat flow / μV 25 20 15 10 5 0 -5 -10 100 200 300 400 500 600 700 800 Temperature / ゚C Fig. 2 DTA curves of CB-Ag/CeO2 mixed samples. Table 1 Performance parameters of CB-Ag/CeO2 mixed samples. Sample 調製法の異なる 3 種類の LC を比較すると、Tig は調製 Tight contact Loose contact (1) Loose contact (2) Loose contact (3) であった。よって、LC 内でも調製法によって CB と 600 35 比較すると、LC の方が Tig、Tmax ともに高温となった。 法により差が生じたが、Tmax は約 580 ºC とほぼ一定 500 Fig. 1 TG curves of CB-Ag/CeO2 mixed samples. 観察されなかった。一方 LC では 3 本の燃焼ピークが ことから、TC では CB が Ag/CeO2 に密着して存在し 300 Temperature / ゚C きな燃焼ピークが観察され、これ以外に燃焼ピークは され、主要な燃焼は 400 ºC 以上で観察された。この 200 Ag/CeO2 の接触状態が異なることが考えられる。同様 の測定を 3 回行った結果、LC(3)における Tig のバラつきが最も小さかった。 Tig / ゚C 273 317 347 374 Tmax / ゚C 353 572 587 583 Tight contact(TC)および Loose contact(LC)における CB の接触状態および燃焼過程を Raman 分光法により測定した。 【実験方法】 使用機器 : Raman 分光器(日本分光 Jasco RMP-330)、レーザー波長 : 532.29 nm 測定条件 : in-situ 測定は 20%O2/N2 混合ガス流通(30 cm3/min)下で、昇温速度 5 ºC /min で 25 ºC から 550 ºC まで昇温し測定を行った。 【結果と考察】 Printex V および CB-Ag/CeO2 混合試料の Raman ス ペクトルを Fig. 3 に示す。Fig. 3 より TC および LC ともに CB の D バンドおよび G バンドに帰属される バンドが 1350 cm-1 および 1570 cm-1 付近にそれぞれ 観察される[1]。さらに、LC では 1170 cm-1 付近にバ ンドが観察される。これは CeO2 格子の A1g, Eg およ び F2g 振動に帰属される[2]。TC では CeO2 格子由来 のバンドが観察されないことから、CB が Ag/CeO2 上に高分散かつ密着した状態で存在していることが 考えられる。一方で、LC では CeO2 格子由来のバン ドが観察されることから、LC では CB の表面一部の みが Ag/CeO2 接触している、つまり CB と Ag/CeO2 Fig. 3 Raman spectra of CB-Ag/CeO2 mixed samples. 550 ゚C 450 ゚C 350 ゚C 250 ゚C 150 ゚C 25 ゚C 間の接触が緩く Ag/CeO2 が露出していることが考え られる。この結果は DTA 測定の結果(Fig. 2)と一致し ている。Fig. 4 および Fig. 5 に TC および LC(2)の in-situ Raman スペクトルをそれぞれ示す。TC および LC(2)ともに温度が上昇するに従って CB 由来の 1350 cm-1 および 1570 cm-1 付近のバンドの強度が減 少していき、CeO2 格子由来の 1170 cm-1 付近のバン ドの強度が増大していく。LC(2)では、550 ºC まで昇 温した後も CB がわずかに残っていることが分かる。 Fig. 4 in-situ Raman spectra of TC in 20%O2 /N2 . 550 ゚C 450 ゚C 350 ゚C 250 ゚C 150 ゚C 25 ゚C Table 2 Peak position and assignment. ピーク位置 ピークの帰属 / cm-1 1350 D band of CB 1570 G band of CB 1170 mixed of A1g, Eg and F2g vibrational modes of the CeO2 lattice 1490, 1510 combination of Ce4+-O and O-O vibrations 1550 physisorbed molecular oxygen 【参考文献】 [1] N. Shimodaira et al., J. Appl. Phys. 92 (2002) 902 [2] V. Pushkarev et al., J. Phys. Chem. B 108 (2004) 5341 Fig. 5 in-situ Raman spectra of LC(2) in 20%O2 /N2 .
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