No.2


B
電磁気学第二演習 No.2 解答
y
1.

B  (0,0, Bz ) と設定する.

 
F  dLI  B から,微小の弧の長さ dr とする. dr  Rdθ.
dr と弧は垂直なので,角度θにおける微小の弧の長さにかかる力は,

dF  IBz Rdθ(Cosθ, Sinθ,0) である.
θ
x
周回積分を行うと,



2π
F   dF   dθIBz R(Cosθ, Sinθ,0)  (0,0,0)  0
0

∴このコイルに働く力は 0 である.
(別解)


 
このコイルに働く力は 0 である.
(∵ F  dLI  B と対称性)
2.


荷電粒子の質量を m とする.この粒子は電場 E と磁場 B の両方から力を受ける.



クーロン力は qE ,ローレンツ力は q(v  B) と書けるので,粒子の運動方程式は
m


 
dv
 qE  q v  B
dt


となる.外積を計算して成分別に書くと,
dv x

x
:
m
 qv y B0 ①

dt

dv y
 qv x B0 ②
 y : m
dt

 z : m dv z  qE0 ③

dt
まず z 成分について解く.③式の両辺を t で積分して,
qE0
t  C z ④
m

ただし C z は定数である.初速が v  (v0 ,0,0) なので,t  0 で v z (0)  0 である.これらを④
v z (t ) 
に代入して C z  0 .よって速度の z 成分について
v z (t ) 
qE0
t ⑤
m
さらに⑤式を t で積分して,位置の z 成分は次のようになる.
qE0 2
t  C z ⑥
2m

初期位置 r  (0,0,0) の条件より z (0)  0 であり,これを⑥に代入して C z  0 .よって
qE
z (t )  0 t 2 ⑦ 2m
z (t ) 
次に x , y 成分の連立微分方程式について考える.①式を t で微分して整理すると
m d 2vx

⑧
dt
qB0 dt 2
dv y
⑧を②に代入することで,次式を得る.
2
d 2vx
q 2 B0
2

v x  0 v x ⑨
2
2
dt
m
ただし,
qB0
 0 とおいた.(この  0 をサイクロトロン角振動数という.)
m
⑨式は単振動の運動方程式と同じ形をしている.一般解を sin と cos の重ね合わせの形で書
くと,
vx (t )  Cx sin(0t )  Cx cos(0t ) ⑩
ただし, C x と C x は定数.初速の条件より v x (0)  v0 であるから, C x  v0 と求められる.
⑩式を t で積分して, x 方向の位置について,
x(t )  
Cx
0
cos(0t ) 
v0
0
sin(0t ) ⑪
初期位置の条件 x(0)  0 および t  0 を⑪式に代入して, C x  0 とわかる.したがって
v
 qB 
 qB 
v x (t )  v0 cos(0 t )  v0 cos 0 t  ⑫ , x(t )  0 sin 0 t  ⑬
0  m 
 m 
y 成分については,⑫式を②式に代入して,x 成分と同様に積分して解を求めると(省略),
v
 qB 
v y (t )   v0 sin 0 t  ⑭ , y (t )  0
0
 m 
●
  qB0  
⑮
cos m t   1  
 
粒子の描く軌道について考える.位置に関する⑬,⑮式を sin,cos について解いて
cos 2 (0t )  sin 2 (0t )  1 を用いると,
2
2

v 
v
x (t )   y (t )  0   0 2
0 
0

2
(円)
したがって, x , y 面内で粒子は中心が (0,v0 / 0 ) ,半径 v0 / 0 の(等速)円運動をすること
がわかる.この円運動の角速度が  0 で, 0  B0 より磁場が強いほど速く,小さい半径で
粒子は回る.この問題で粒子は, z 方向に等加速度運動をするため, x , y 面内の円運動と
合わせて粒子は  z 方向への「らせん運動」をすることがわかる.
y
x
(0,v0 / 0 )
図:粒子の x , y 面内の軌跡
3.
問 2 と同様に計算して,解くべき微分方程式は以下のようになる.
dv x

①
 x : m dt  qE0  qv y B0 
dv y

y : m
 qv x B0 ②

dt

dv

z : m z  0 ③

dt
③式と初期条件より,明らかに v z (t )  0 , z (t )  0 .よって荷電粒子は z 方向に運動し
ない. y 成分について,
v y’
 vy 
E0
④
B0
とおくと,①、②式はそれぞれ
dv x
 0 v y ’
⑤
dt
dv y '
 0 v x ⑥
dt
となる.ここで、 0  qB0 / m
をサイクロトロン角振動数という.
⑤式をもういちど時間 t で微分して⑥式に代入すると,
d 2vx
2
 0 v x ⑦
2
dt
となる.この微分方程式は単振動の方程式と同じ形であるから,その一般解は
v x (t )  C1 cos(0t )  C2 sin(0t ) (C1 , C2は定数) ⑧

で与えられる.初期条件 v (0)  (v0 ,0,0) より, v x (0)  v0  C1 となる.すなわち⑧式は
v x (t )  v0 cos(0t )  C2 sin(0t ) ⑨
である.
⑨式を⑤式の右辺に代入すると
v y ’
(t )  v0 sin(0t )  C2 cos(0t ) ⑩

を得る.ここで初期条件 v (0)  (v0 ,0,0) より, v y ’
(0) 
E0
 C2 .よって
B0
 qB  E
 qB 
v x (t )  v0 cos 0 t   0 sin 0 t  ⑪
 m  B0
 m 
E   qB  
 qB 
v y (t )  0 cos 0 t   1  v0 sin 0 t  ⑫
B0   m  
 m 
が得られる.

次に,電荷の軌道は⑪式,
⑫式を積分し,初期条件 r (0)  (0,0,0) を利用することにより,
x(t ) 
y(t ) 
v0
0
sin 0 t  
E0
1  cos0t  ⑬
0 B0
E0
v
sin0t   0t   0 cos0 t   1 ⑭
0 B0
0
<採点者のコメント>
■ 全体的に,文章での説明が前回よりもしっかりしていました.
■ 微分方程式を導出した後,
「単振動の方程式と同じであるから,一般解は…」
という記述なしに A cos(t   ) を書いている答案がとても多かったです.理
由を説明してから A cos(t   ) を使うようにしてください.
■ 「初期条件より」とだけ書いて,なぜ積分定数がその値になるのか導出して
い な い 答 案 が 見 ら れ ま し た . ( 例 :「 A cos(t   ) な の で 初 期 条 件 よ り
v0 cos(t ) 」と書くだけ.) どの初期条件を用いたのか,どのように導かれ
るのかをわかるようにしてください.
■ 答案の作成はしっかりできているのに,最後の答えまでたどり着いていない
方が多かったように思います.
■ ベクトルとスカラーの違いが分からない人がいます.
■ 出した答えの確かめを行いましょう.