PowerPoint プレゼンテーション

平成25年度 第1回人ロボット共生学シンポジウム
A02班 公募研究班
ロボットへの親近的興味の背後に
あるオキシトシン系の実験的検討
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(氏名)高橋英之 ,岡部祥太 ,永澤美保 ,菊水健史
(所属) 1) 大阪大学 工学研究科,2) 麻布大学
要旨
オキシトシンは養育行動,愛着形成など社会的相互作用における様々な行動を制御しているホルモンであることが示唆されている一方で,行動を制御する具
体的なメカニズムには未だわからない点が多い.その研究の難しさの一つ理由として,人と人の社会的相互作用は非常に様々な要因を含んでおり,その中でオ
キシトシンが影響を与える要因が特定しにくい点が挙げられる.本研究では,人とぬいぐるみロボットの間の擬似的な社会的相互作用において,オキシトシン
がロボットへの注意を制御する因子になり得るかどうかを検討した.具体的には,まず被験者の尿中のオキシトシン量を計測し,その後に,ぬいぐるみロボッ
ト,さらに雑誌や新聞などの暇をつぶせるアイテムが置かれた部屋で30分間自由に被験者に一人で過ごしてもらった.そして30分の中で被験者がロボットと
かかわっている時間(ロボットへの注意の量)を従属変数とした.ぬいぐるみロボットは生き物らしい動きや鳴き声をする自律型のものであり,その振る舞い
のパラメータ条件として,ぬいぐるみの動きがある程度被験者の動きと同調する条件(interactive条件)と同調しない条件(passive条件)を設定した.被験
者には日を開けて二日実験室に来て頂き,それぞれの条件のロボットとwithinでかかわってもらった.結果の解析では,まずクラスター解析を用いて被験者を
オキシトシンの基本量が高い被験者群(OT high)と低い被験者群(OT low)の二群に分けた.そしてそれぞれの被験者群で,それぞれのパラメータ条件
(interactive, passive)におけるロボットへの注意の量を比較したところ,OT high群においてのみ,interactive条件においてロボットへの注意が長時間維
持される傾向があった.さらにロボットに対する印象の質問紙の結果から,OT highの被験者は,interactive条件でロボットに対する親和的印象も向上する傾
向がみられた.今回の結果から,オキシトシンは自らと動きが同調するロボットへの興味や親和性を高める機能があることが分かった.今後,オキシトシンの
社会的相互作用における機能を考える上で,個体間の同調性(社会的随伴性)の知覚との関連に注目した研究を行うことは重要になるであろう.
オキシトシンはロボットとのコミュニケー
ションにも作用する?
実験の概要
被験者は日を開けて二回実験に参加
した(n=25).日ごとにクマのモー
ドを変更
二種類のロボットのモード
(interactiveとpassive)を用意,
カウンターバランスで被験者は交流
富士通研究所 開発
Interactive condition
オキシトシンは対ペットや養育行動に影響を与える
mimicking, eye contact, tactile response
Passive condition
(Nagasawa et al. 2010)
本研究のR.Q.
オキシトシンはロボットとのコミュニケーションにおけ
る被験者の親和的な行動(態度)対しても同様の影響を
与えるのか?
自由交流課題(30分間)
被験者はまず尿採取を行い,それからロボットとの30
分間の交流実験を行う.ロボットといくつかの雑誌が
置かれた部屋の中に被験者は一人にされロボットと接
する時間を計測する
尿中OT量に応じた興味の持続量
尿中オキシトシンの量をクラスター解析することで,
濃度が高い被験者(OT high)と濃度が低い被験者(OT
low)に分類し,それぞれのロボットのモードに対す
る興味の持続時間と印象を比較した
⇒ OT highの被験者はinteractiveモードへの興味の
持続が長くなる
本研究は,MEXT科研費24118708の助成を受けたものです