618. 146-006. 6: 6. 2. 313. 6 子宮 頸 癌 患 者 の唾 液P. H.及 び 蛋 白質 に 就 い て 岡山大学 医学部産科 婦人科学教室(主 任:八 木 日出雄教授) 河 田 全 編 謙 の 二 緒 言 子宮癌 の治療 に 当つ て極 め て 重 要 な 事 は,早 期 発 食 物 を湿 潤 に して嚥 下 を 容 易に し,又 消 化 酵 素 の作 見,早 期 治療 と云 う ことで あ る.此 の 事 は 治療 後 に 用 に よ り,澱 粉 を分 解 して糊 精 と し麦 芽 糖 まで 変化 再発を来 した 場 合で も同様 で あつ て,再 発 を 極 め て させ る消 化 液 で あ るが,各 種 局 所 的 及 び全 身 的疾 患 早期 に発見乃 至予 知 出来 れ ば,癌 に よ る死 亡 を未 然 に よつ てそ の性 状 に影 響 を受 け て い る ことは 幾 多 の に防 ぐ事 も不 可能 で は な い.此 の為 従 来 よ り子宮 癌 先 人 に よつ て報 告 され て い る.果 して子 宮 頸癌 は唾 に対 して多 くの研 究 が 行わ れ て い る が,現 在適 切 な 液 の性 状 に 影 響 を及 して い るで あ ろ うか.又 影響 あ りとす れ ば早 期診 断 又 は 予後 判 定 の補 助 診 断 法 と し 診断法 は見 当 らない. 子宮癌 が局 所疾 患 で あ りなが ら 同時 に 全 身 疾 患 で て価 値 あ る もので あろ うか.余 は 子宮 頸 癌 患者 及 び あ り,局 所症状 の進 行 と共 に全 身 状 態 に 著 明 な変 化 子 宮 頸 癌 治療 後 の 患者 の唾 液 に 就 い て, P. H.総 蛋 を招来す る ことは 今 日一般 に認 め られ て い る所 で あ 白質 量 及 び蛋 白質 分画 を研 究 し次 の 結 果 を得 た ので る,又 唾 液は 耳下 腺,顎 下 腺,舌 下 腺 及 び 口腔 粘 液 報 告 す る. 腺か らの分泌 物 の混 合 した液 体 で あつ て,口 腔 及 び 第1編 第1章 子 緒 宮 頸 癌 患 者 唾 液 cresol-greenに 言 のP. H. よつ て比 色 判 定 し た.比 色 表は そ の 中 央 部 の み 採 用 し た.又Wulff氏Folieukolorive 健 康 人唾 液P. 多 く見 られ,又 H.に 関 す る 業 績 は 従 来1) 2)3)-26)数 唾 液P. H.に terを 同 時 に 使 用 し 参 考 と し た. 及 ぼ す 各種 条件 に就 い 第3章 て も多 く の4)10)21)26)27)28)報 告 が 見 ら れ る .病 態 唾 液 のP. H.に 時唾 液P. 就 い て は, 疾病 H.は 健 康 人 に 比 し 酸 性 側 に 傾 い て い る 事 を 指 摘 し,前 (1942)は Bloomfield3)(1920)は 田20)(1931),山 崎29)(1938),藤 井25) 肺 結 核 患 者 に 就 い て, Sharp13)(1931)は 口腔 癌 患 者 に 就 い て,又 藤 代30)(1939)は 者 に 就 い て い つ れ も 唾 液P. H.が 食道癌患 酸 側移 動 してい る 余は子宮頸 癌 患者 及 び同 治療 後 患者 の唾 液 に 就 い H.を 第2章 測定 した . 実 験 た後,最 初 流 出 し た 唾 液 は 捨 て さ せ,次 に 流 出 し 最 高P. を 選 び 安 静 混 合 唾 液 のP. H.=7.4,最 低P. H.=6.4,平 測 定 し, 均 値P. 平 均 の 信 頼 限 界6.98≧m≧6.60,母 の 棄 部 限 界7.34≧X0≧6.35を 2)治 H.を H.=6.4以 得 た. 上 を安 静 混 合唾 液 の 正常 動 下 を 陽 性 値 と 定 め た. し た. 療 前 子 宮 頸 癌 患 者 の 唾 液P. H. 岡 山大 学 医学 部 産 科 婦 人科 教 室 へ 入 院 し た 合 併 症 を 有 し な い 治 療 前 の 子 宮 頸 癌 患 者189例 浄 した滅 菌 試 験 管 に 採 取 し た .採 類31)に 依 る進 行 期 別 に 分 類 し比 較 検 討 し た. 取 後5分 , Bromthymolblue及 以内に東 びBrom H.= 平 均 た も の を 予 め ク ロ ー ム 硫 酸 と蒸 溜 水 とで 充 分 に 清 洋 濾 紙methyl-red H. H. 尚推 計 学 信 頼 度 は す べ て95%と 唾 液 採 取 は 昼 食 前 空 腹 時 口腔 を 清 水 で 数 回 含 漱 し 績 と 診 断 され た 子 宮 膣 部 糜 爛 症 患 者 及 び 本 院 勤 務 の 看 護 婦37例 揺 範 囲 と し, P. H.=6.2以 法 成 治 療 前 子 宮 頸 癌 患 者 の 唾 液P. 康 婦 人 の 唾 液P. 従 つ てP. 方 験 健 康 非 妊 婦 と し て 試 験 掻 破 手 術 の 為 に 入 院 し非 癌 6.84,母 事 を 明 か に し て い る. て東 洋 濾 紙 でP. 第1節 1)健 実 第1表 を国 際分 に 示 す 如 く,平 均 値 で は 期 の 進 行 と共 に 低 3042 河 下 が 見 られ,健 田 康 非 妊 婦 とI期(t=4.197>2.000) 謙 二 認 め られ る. と の 間 に は 推 計 学 的 に 有 意 差 が 認 め ら れ る. I期, 第3表 II期 及 びIII期 の 各 期 相 互 間 に は 有 意 差 は 認 め ら れ な い が, I期 とIII期(t=2.433>2.000)と 赤 血 球 沈 降 速 度 と唾 液P. H. の 間 に は 有 意 差 が 認 め られ る. 第1表 治 療 前 頸 癌 患 者 の 唾 液P. H. 陽 性 率 に 於 て は, A)群 が 最 低 率 を 示 し, D)群 は 梢 々 低 率 を 示 す が, B)群, C)群, 次 高 率 を 示 す が, A)群 よ りD)群 性 値 を 示 す も の が 増 加 し,健 0.00039)以 の 進行 と共 に陽 康 非 妊 婦 とI期(p= 降 との 間 に 有 意 差 が 見 ら れ る .頸 癌 各 期 の 間 に 於 て は, I期 とIII期(X2=4.41)の や は り 有 意 差 が 認 め ら れ る が,各 期相 互 の 間 に は有 a)Mandelstamm六 c)血 血 色 素 量 と唾 液P. C)群 V VI型, IIIIV型, H.と の 比 較 を 第4表 及 びB)群 に 示 す. は 略 同 値 を 示 す が, は 著 明 に 低 値 を 示 し, B)群 7.547>1.980)と 段 法 との比 較 均 値 に 於 て は, 以 上(X2= 色 素 量 との 比 較 に 示 す 如 く,両 者 の 間 に 概 ね 平 行 関 係 が 認 め ら れ,平 とD)群 とD)群 の 間 に は や は り 有 意 差 が 認 め られ る. 平 均 値 で はA)群 癌 治療 前 値 と一般 臨 床 検 査成 績 との比 較 第2表 の 間 及 びE)群 E)群 間 には 意 差 は 見 られ な い. 3)頸 (X2=10.88)と 25.44)と と順 まで各期 の間 には 推 計 学 的 有 意 差 は 認 め られ な い. 陽 性 率 に 於 て も 平 均 値 と同 様,期 E)群 とC)群(t= の 間 に は 推 計学 的 有 意 差 を 示 す. 第4表 血 色 素 量 と 唾 液P. H. I II型 と順 次 低 値 を 示 し て い る が 推 計 学 的 に 有 意 差 は 認 め られ な い.陽 性 率 は, V VI型, IIIVI型, 次 増 加 し,各 型 相 互 間 に は 有 意 差 は 認 め ら れ な い が, I II型 とV VI型(X2=5.50)の I II型 と順 間 には 有 意 差 が 証 明 され る. 陽 性 率 に 於 て も, 第2表 Mandelstamm六 段 法 と唾 液P. す が, H. C)群 A)群 とB)群 は 著 明 に 高 率 を 示 し, (X2=7.36)と 正 常 唾 液 のP. H.に 按 Michaelis1)(1914), (1921)6.8∼7.72, 6.77∼6.92, 赤 血 球 沈 降 速 度 と唾 液P. 示 す.平 均 値 で は, 群 よ り, D)群 D)群 H.と Carlson5)(1924)6.66∼7.02, が 梢 高 値 を 示 す が, ま で 略 々 同 じ 値 を 示 し,各 は 推 計 学 的 に 有 意 差 は 認 め られ な い. 群 に 比 べ て 著,児 に 低 値 を 示 し, D)群 (t=3.472>2.021)と Smith7)(1925)7.25, Gans8)(1926)6.85∼7.1, の 関 係 を 第3表 に A) 群の間に E)群 と, は他 E)群 の 間 こは 推 計 学的 に有 意 差 が Rich9)(1927)6.82, nderaon10)(1927)6.5∼7.1, ∼7 .7, 6.7,斉 Me 藤14)(1931)6.8,今 河 野18)(1937)6.67,牛 (1938)7.06,種 He Reag11)(1928)5.7 Jonoff12)(1929)6.8∼7.6, 井16)(1935)6.3∼6.5,今 Ferris2) Bloomfield3)(1921)6.6∼7.1, Turkheiu(1925)6.85∼7.82, 血 球 沈 降 速 度 との比 較 とC)群 関 す る 業 績 の 主 な る もの を 挙 Starr4)(1922)6.60, b)赤 B)群 の 間 に は 推 計 学 的 に 有 意 差 を 示 す. 考 げ る と, は 略 同 率 を示 Sharpl3)(1931) 野15)(1934)6.8,水 川17)(1936)6.6∼7.4, 窪19)(193)7.19,前 村21)(1938)6.5∼6.9,二 田20) 宮22) 子 宮 頸 癌 患 者 の 唾 液P. (1941)6.55,馬23)(1941)6.96,須 7.07,藤 井25)(1942)7.1,土 び蛋 白 質 に就 い て 3043 癌 の 進 行 と共 に全 身 新陳 代 謝障碍 が 起 り,血 液 性 状 川24)(1942) の 変 化 が 影響 した もの と考 え られ る. 井26)(1949)6.97以 上の 如 く測 定 方 法 や 測 定 の 条 件 の 差 異 に よ り,測 値 が 著 者 に よ つ て 一 定 し て い な い が,大 H.及 定 体 中性 附 近 頸 癌 患者 の 陽性 率 に於 ては, I期 癌 に も25.6%の 値 が 健康 非 妊 婦 との間 に 有 意 差を 認 め るが,頸 癌に あつ ては 直 接 視 診 出来 る こ と及 び比 較 的試 験 切片 を を動 揺 す る も の とせ ら れ て い る. 余 の 実 験 で 得 た 健 康 非 妊 婦37例 の 平 均 値6.84は 野15)及 び斉 藤14)の 値 に 近 似 し,そ 今 の 動 揺 範 囲7.4 ∼6.4は 今 野 の 値 に 一 致 し て い る. 採 取 出来 る事 等 よ り,頸 癌 の 早 期 診 断法 と して唾 液 P. H.を 測 定 す る こ とは 不 充 分 と考 え られ る. 小 括 東 洋 濾 紙 に よつ て子 宮 頸 癌 患 者 の唾 液P. 子宮 頸 癌 治 療 前 患 者 に 就 い て 行 つ た 余 の 実 験 で は, 癌 の進 行 期 に 従 つ て 平 均 値 は 酸 側 移 動 し,陽 性率は 増 加 し た.一 般 諸 検 査 と の 比 較 で は, Maudelstamm 六段 法 と略 平 行 関 係 が 認 め られ,赤 血球沈降速度は 高 度 に速 進 し た も の に 酸 側 低 下 が 認 め ら れ る.血 素 量で は ザ ー リー 値59%以 色 下 の もの は 著 明 な酸 側 移 唾 液P. 定 した. 1)健 る. 2)頸 あ 癌患 者は 進 行 期 の進 むに従 つ て平 均 値 は酸 側 移 動 し,異 常低 値 の 出 現 率 は増 加 す る. 3)ザ H.と 血 液 と の 関 係 を 見 る に, Benetato32) 重 炭 酸 ソー ダ 及 び 塩 化 ア ン モ ニ ヤ 溶 液 の 静脈 注 射 に よ る 人 工alkalosis よつ て血 清P. 康非 妊 婦37例 の 平均 値はP. H.=6.84で ー リー値59%以 下 の者 は 同60%以 上の 者 に 比 べ 平均 値 は低 く,異 常 低 値 の 出現 率 は 高 率 を 示 す. 動 が 見 られ た. (1938)は H.を 測 H.と 唾 夜P. & Acidosisの H.が 実 験に 平 行 的 に変 動 す る こと を認 め,渡 辺33)34)35)36)(1940)は 唾 液P. H.と 第2節 治 療 後 患 者 の唾 液P. I〕 治 療 終 了時 の唾 液P. H. H. 第1節 に 於 て末 処 置頸 癌患 者 に唾 液P. H.が 酸 側 移 動 す る ものが 多い 事 を確 めた.頸 癌に対 す る根 治 手 術 及 び 放 射 療 法 の 影響 を治 療 終 了時 に検 査 し, 血液 「アル カ リ」 予 備 と の 間 に 密 接 な 相 関 関 係 が あ 治療 前 の成 績 と比 校 検 討 し,治 療 後の経 過 との間 に り,そ の 関 係 式 はVol%(Van 何 等 か の指 針 を 得 るの で は な いか と考 え た. Slyke-Culleu)= 12.5(P. H.-6.8+46.0±1.5)で は 血液Acidosisの 現 され,唾 液P. H. 極 めて 忠実 な 標 識 と云 う こ とが 出来 る と云 つ て い る.高 岡37)等(1950)はNaCO3 1)手 術療 法 群 当 科 に 於て 根 治手 術療 法 を完 了 した21例 の治 療 終 了時 の唾 液P. H.は 第5表 に 示す.退 院時 の 平 均 値 は唾 液 腺 細 胞 の機 能 性 透 過 性 に よ つ て 濾 過 さ れ る が, はP. H.=6.50で,同 血 中游 離CO2は P .H.=6.48と 自 由 に 唾 液 に 移 行 す る と云 つ て い る.子 宮 頸 産 患 者 に 於 け る唾 液P. H.の 第5表 酸 側 移 動 は, 2)放 第5表 に示 す .退 の 治 療 終 了 時 の 唾 液 院 時 の 平 均 値 はP. 6.33で ,同 例 の 治 療 前 に 於 け る平 均 値P. と略同 値 を 示 し て い る.陽 %)で,同 H. と も5年 間 は その経 過 を観 察 して,再 発 等に 万全 の H=6.38 .1%)よ 計 学 的 に は 有 意 差 は な い. 子宮 癌 治 療 に 当り 早期 診断,完 全 治 療 が 極 め て 大 切 な 事は 既 に 屡 々云 われ て い る.時 時 に 治療 後 少 く H,= 注 意 を 払 い,患 者を 永久治 癒 に導 く事は 前2者 性 率 に 於 ては12例(52.2 じ く治 療 前 に 於 け る9例(39 梢 々高率 を 示 す が,推 同率 で あ つ た. II〕 治 療 後 の経 過 と唾 液P. H. 放 射療 法 を 完 了 し た23例 P. H.は も共 に5例(23.8%)で 入 院 時 及 退 院 時 の 唾 液P. 射線療 法 群 列の治 療 開 始 前 に 於 け る 略 同 値 を示 してい る.陽 性 率 に 於 て り と同 様 極 め て肝 要 な 事で あ り,子 宮 頸 癌 治療 の一 環 と し て取 扱 わ れ るべ きで あ ろ う.此 の 為 当科 に於 ては 治 3044 河 田 謙 二 療 後 特 に 巌 密 な 定 期 検 診 を行 つ て お り,治 療 後1年 手 術 例 と同様 年 月の 経過 す るに従 い平 均 値 は上昇 し, 間 は2ケ 陽 性 率 は低 下 して い る. 月毎,次 の2年 間は3ケ 月 毎,其 の後 は半 年 毎に 検 診 を 行 い,同 時 に諸 種 の 臨 床検 査 法 を併 施 第7表 放 射後 経 過 良 好 例 の%唾 液P. H. して い る.治 療 後 不 幸 再 発を 来 す様 な場 合 に於 て も 其 の早 期 発 見 が 重要 な こ とは 云 う迄 もな い が,定 期 検 診 時 に 於 ては 試 験 切除 に よる病 理 組 織検 査,或 は 膣 内容 塗 抹 検査 等は,淋 巴 節 転 移 の場 合は 勿 論,局 所 の 再 発 の場 合に 於 て も組 織 の瘢 痕化 等 に よ り必 ず しも常 に施 行 出 来 る とは限 ら な い.従 つ て何 等 か の 方 法 に よ り癌 の 再 発 を早 期 に 発 見予 知 し得 るな らば, 頸 癌治 療 後 の経 過 追 及予 後改 善 に 重 要 な 役割 を 占め るで あろ う. 本 険査 は 操 作 は 簡単 で あ り材料 も得 易 く繰 返 し行 う事 が 出来 る も ので あ る.こ こに 予後 判 定 の補助 診 断 と して の 価値 を 検 討 した. 実 験 材料 は昭 和31年6月 過 良好 例(再 療 法 合計)と 健 康 非妊 婦値 手 術 及放 射両 療 法 後経 過良 好 例 の唾 液P. H.を 調 査 した が,両 者 を比 較 す る と第6表 第7表 か ら明 か よ り昭 和32年5月 1年 間 に定 期 検診 に 来 院 せる延666例 c)経 まで の に就 い て行 い, な如 く全 く有 意 の差 を 認 め な い.そ こで 両者 を 合計 し第8表 を掲 げ 健 黄非妊 婦 の値 と比 較 検 討す ると, 経 過良 好及 び 経過 不 良 の群 に就 い て 検 討 した.対 照 治 療 後1年 以 上を経 過 して 始 め て健 康 非 妊婦 との間 健 康非 妊 婦 値は 第1節 に 用 い た37例 に よ る. に 有 意 の 差 を示 さな くな る.即 治 療 後1年 以 内の も 1)経 過良好例 ので は 臨 床 的に 経 過 良好 と診 断 され て お り乍 らも, 治療 終 了後 経 過 良 好 な636例 に 就 い て治 療 後 の唾 液P. H.を 調 査 した. a)手 I, 満, なお 生 体 内 代 謝異 常 の 存 在 が 認 め られ る. 第8表 治 療 後経 過 良好 例 の唾 液P. H 術療法例 II及 びIII期を す べ て一 括 し,治 療 後4ケ 月 未 4ケ 月 以 上8ケ 月未 満, 8ケ 月以 上1年 未 満, 1年 以 上2年 未満, 2年 以 上3年 未 満, 3年 以 上4 年 未 満 及び4年 以 上5年 未満 に分 けて 第6表 に 示す. 平 均 値に 就 い ては,表 に 明 か な 如 く治 療 後 年 月 日の 経 過 す るに つ れ て 上 昇 し, 1年 未満 以 後5年 未満 ま で は略 同値 を示 して い る. 第6表 手 術後 経 過 良 好 例 の唾 液P. H. 2)経 過不良例 経 過不 良 再 発 と明 かに 診 断 され た54例 に 於 ては第 9表 に 示 す如 く,平 均 値 はP. H.=6.47で 健康 非 妊 婦, 5年 治 癒 例 及び経 過 良 好 例に比 べ て酸 側移動 を 示 す が,い づ れ に も推 計学 的 有 意差 は認 め られな い. 第9表 陽 性 率 に 於 て も,同 様 に陽 性 率 は低 下 し, 2年 未 満 以 後5年 未 満 は略 同 率 を 示 して い る. b)放 射療法例 放 射 例 に 於 て も同 様に して検 討 し第7表 に示 した. 治 療 後経 過 不 良 例 の唾 液P. H. 子 宮頸 癌 患 者 の唾 液P. 陽 性 率 は33.3%を 0.000087), 示 し,健 康 非 妊 婦(P= 5年 治 癒 例(P=0.0041)及 好例(x2=24.86)の び経 過 良 い づ れ に 対 して も推 計 学 的 に 有 意 差 が 認 め られ る. 3)盲 不 良 の者 て は66.6%が 過 ぎな い.然 るに経 過 連 続 陽 性 群 に属 し可 者 の間 は 推 計 学 的有 意 差 が あ る. 従 つ て毎 回検 診 時 に 常 に陽 性 出現 が認 あ られ る所 謂 連 続 陽 性者 に あつ て は,其 の 経過 に対 し巌重 な警 経過 良好 の もの 戒 を 要 す る.此 の事 は 治療 後 引続 き陽 性 出現 を見 る し乍 ら判 定 陽 性 で あ つ て も其 の 場合 は 勿 論,一 旦 陰 性化 を 見 た ものが 陽 性 に 転化 し に 属 して い る.然 経 過 良 好 群 が 占 め,経 過 不 良 の もの は 陽 性 占 め る に 過 ぎ な い.従 の もの の93.6%は ら連 続 陽 性 を示 す 著 は8%に を一 括 表 示 す る と 第10表 の 如 く,判 定 陰 性 の93.6%は 群 の24.3%を 3045 連 続 陰 性乃 至 反 応不 定 群 に属 し,経 過 良 好 で あ り乍 (x2=14.65)に 目試 験 成 績 に 就 い て 上 記 の 経 過 良 好 及 び 不 良 の2群 75.7%は H .及 び蛋 白質 に就 いて て 後陽 性 を持 続 す る場 合 も同様 の事 が 言 え る. つ て本 反 応 陰 性 経 過 良 好 と云 え る が,反 考 応陽 性 で あっ て も直 ち に 其 の 経 過 を 不 良 と 断 定 す る こ とは 出 来 な い. 按 子 宮 癌 の 予後 は 再 発 の有 無 に よる所 が大 き く,治 療 後 の経過 を確 実 に判 定 し癌 の再 発 を 未然 に防 ぐ事 第10表 盲 目 試 験 成 績 に種 々 の 努力 が 払 わ れ てい る.併 し乍 ら未 だ 満 足 す べ きも のが な い.癌 が 局所 の疾 患で あ り乍 ら全 身 的 な 代 謝異 常 を 来 し,又 血 液 予備 「ア ル カ リ」 と唾 液 P. H.と の 間 に密 接 な関 係 が あ る33)34)35)36)こ とか ら,唾 液P. H.を 見 る こ と は 予 後 判定 の上 に重 要 な 意 義 を持 つ と考 え られ る.前 唾 液P. 4)治 療 後経過 の個 人追 及 上述 の盲 目試 験成 績 か ら見 て1回 の反 応 成績 に よ H.を 田20)は 結 核 患者 の 測 定 し,健 康 人 よ り非開 放性 結 核 患 者 が低 値 を 示 し,更 に 開放 性 結 核 患者 更 に 重篤 喉 頭 結 核 患者 と順次 低 値 を 示す と云 つ て い る.又 山 崎29) り其 の 経 過 を 決 定 す る こ とは 困難 で あ る.然 らば は 結核 症 て は唾 液P. 本反応 に よ り治 療 後 の経 過 を 個 人 的 に追 及 し,其 の て い る. P. H.が 出現態 度 を観察 し臨 床 経過 との 間 に 関連 を有 す るや 或 は治 癒 の 変化 の過 程 に あ る と云 つ て い る.藤 代30) 否やを,少 く とも3回 以 上 本反 応 を実 施 した もの に は食 道 癌 患者 〓 液P. H.平 就 いて検討 した.比 の為 に 毎 回検 診 時 に常 に 反応 陰 を 認 め る と発表 し,唾 液P. H.と 性を示 す もの を連 続 陰性, く並行 関 係 に あ るこ とが述 べ られ て い る. 2回 以 上連 続 して陽 性 を 示す もの を連続 陽 性 と し,検 診 の 度 に或 は陽 性 に 或 H.の 数値 が 恒 常 的 に 低 下 し 日に よ り上下 す る のは 疾 患が 亢 進 治 療 終了 時の唾 液P. 均値 は軽 度 の酸 側 移 動 H.に 臨 床所 見 とが よ 就 い て 行 な つ た本 実 は陰性 を示 し出没不 定 の もの を 反応 不 定 と して3群 験 の成 績 で は其 の予 後 を推 定 す る事 は殆 ど不 可 能 で に分 ち,各 群 を経過 良 好 及 び不 良 の2種 に区 分 して は ない か と考 え られ る. 第11表に示 した. 治 療 後 の 経過 と唾 液P. H.の 関係 に就 い て行 な つ た 実 験 に よる と,予 後 良 好例 に 於 て も治 療 後1年 第11表 個 人 追 及 成 績 を 経過 して初 め て健 康 非 妊 婦 と有 意 の 差 を見 な くな る.又 手 術 と放 射 相 互 の 間 に有 意 の 差を 見 な い点 か ら両 療 法 の 区別 を付 け る事 な く利 用 出来 る. 次 に 盲 目試 験 の成績 に 見 られ る様 に,経 過 良好 例 に9.6%,不 良 例 に33.3%の 陽 性率 を認 め,経 過 良 好 群 と不 良 群 の もの との 間 に有 意 差 を示 す とは 云 え, 即連続陰性 群 の95.0%は 経過 良好 の もので あ り経 過不良の者は5.0%に 本 反 応陽 性 出現 を以 て直 ち に其 の経 過 を不 良 と判 定 過 ぎな い .反 応 不 定 群 に 於 て は88.9%は 経過 良 好 で あ る.之 に反 し連 続 陽 性 群 の 60.0%は 経過 不 良 の者 に属 して お り,連 続 陽 性 群 に 出来 な い.即 反応 陰性 群 の93.6%は 明 らか に経過不 良 の者 が多 い . 特 異 性反 応 を健 康 者 の 多 い検 診 に用 いた 場 合 に 当然 之を経過 に よつ て 見 る と経 過 良 好 例50例 中92%は 経過 良 好 で あ る と云 え るが,反 応 陽 性 群 に あつ て も75.7%は 経 過 良 好 の もの で あ つた.此 の様 な結 果 は本 反 応 の 如 き非 起 る現 象 で,本 反 応 を予 後 判定 に用 い るに 当つ て唯 3046 河 田 謙 二 一 回 の検 査 に よ り其 の経 過 を推 定 す る こ とは多 くの 応陽 性 で も75.7%は 経過 良 好 者 で あ る.連 続陰性 中 過 誤 を来 す もの と考 え られ,必 ず 臨 床 所 見 を主 体 と 95.0%は しで 其 の 判 断 の一 助 とす る事 が望 ま しい. 過 不 良者 が 占め で い る. 経過 良 好 者 で あ り,連 続陽 性 中60.0%は 経 然 しな が ら個 人追 及 成績 か ら見 る と,連 続陽 性 者 の60.0%は 経 過 不 良 で あ り,経過 良 好群 の 中,陽 性 者 は8.0%に 過 ぎな い 事 よ り,毎 回 検 診 時常 に陽 性 を 示 す もの に あ つ て は臨 床 所 見 の 如何 に かか わ らず 其 の経 過 に 巌重 な警 戒 を 要 し,或 は予 防 的 処 置 を行 つ 総 括 頸 癌 に対 す る補 助 診 断 法 と しで,唾 液P. H.測 定 の価 値 を検 討 した. 1)子 宮頸 癌 居 者 の唾 液P. H.値 は 健 康 非妊 婦 て癌 再 発 を未 然 に 防 ぐ事 も可 能 と考 え られ る.従 つ に比 し酸 側 移 動 を 認 め,期 の進 行 に従 い著明 とな る. て毎 検 診 時 に 反復 しで唾 液P. 早 期 診 断法 と しで は,第1期25.6%の H.を 測定 す る こ と 異常 低値 例を は経 週 判 定 の 上 に 重 要 な指 針 を与 え,頸 癌 治 療 後 の 認 め健 康 非 妊 婦 と有 意 差 を持 つ とは云 え,其 の応 用 検 診 に補 助 診 断 法 と して の価 値 を 有 す る もの と考 え 価 値 は乏 しい. られ る. 2)治 小 括 測定 し 次 の 結 果 を 得 た. 妊 婦 と有成 差 が な くな る.経 過 不 良 の者 には33.3% の 異 常低 値 例 を認 め,異 常 低 値 例は 経過 不 良の者に 療 終 了 時 の唾 液P. H.は 治 療 開 始 前 の値 と変 らな い. 2)治 異 常低 値 例 を認 め, 1年 以 上 を 経過 しで初 め て健 康非 頸 癌 治療 後 の患 者 の唾 液P. H.を 1)治 療 後定 期 検 診 時経 過 良 好 の者 に9.6%の 多 い. 個 入 追 及成 績 に よ る と経 過 良 好群 に8.0%,不 良 療 経過 良好 者 は 手 術 及 び放 射 両 療 に 区別 な 群 に66.6%の 連 続 異常 低 値 例 を認 め,連 続異常低値 く,治 療 後1年 以 上 を経 過 しで 始 め て健 康 非 妊婦 と 例 の60.0%は 経過 不 良 の者 で あつ た. の間 に 有 意差 が 無 くな る 3)経 以 上 の事 か ら頸 癌 の治 療 後 再 発 の早期 発 見の為に 過 不 良者 は 平 均値P. 陽 性 率 は33.3%を H.=6.47を 占 め健 康 非妊 婦, 示す. 5年 治 癒 及 び経 過 良 好 者 との 間 に 有 意差 を 認 め る. 4)反 応 陰 性 中93.6%は 緒 に よ り癌 の再 発 を 予知 或 は 未然 に予 防す る事 が考 え と考 え る. 子 宮 頸 癌 患 者 の 唾 液 蛋 白 質 子 宮頸 癌 患 者 の唾 液総 蛋 白質 量及 び 蛋 白質 分画 を測 言 定 した の で,こ 唾 液 蛋 白 質 の 定 量 は1933年Krasnow38)に リー ン ペ ル グ法 を 用 い 試 み ら れ た.二 方40)(1943)は 定 量 し,肺 測 定 す る事 られ,治 療 後 経過 判定 に 重 要 な指 針 を提 供す る もの 経過 良好 者 で あ るが,反 第2編 行 う定期 検 診 時 恒 常 的 に唾 液P. H.を よ りグ 宮39)及 実 び緒 各 種 疾 患 に 於 け る唾 液 グ ロ ブ リン を 結 核 患 者 に 増 量 し,癌 ゝに其 の成 績 を 発表 す る. 性疾 患 に 減 量 して 験 方 法 唾 液採 取 は 昼 食 前 空腹 時 の 間 に行 い,清 水に で含 漱 した 後無 刺 戟 に 試 験 管 内に 流 出せ しめ,最 初 に出 エスパ た もの は 之 を 捨 で た.こ れ を遠 心 沈 澱管 に と り1分 ッハ 試 薬 に よ る総 蛋 白 質 量 の 定 量 が 肺 結 核 の 補 助 診 間3000回 転 で30分遠 沈 し,そ の上 澄部 分 を とり測定 い ろ こ と を 指 摘 し た.二 宮41)42)49)(1944)は 断 と し て 利 用 出 来 る と 発 表 し,加 (1955)は 藤 及 び 成 田44) 同 法 に よ り子宮 癌 患 者 の 総 蛋 白質 量が 減 少 し て い る と報 告 し た.又 貝 塚45)46)(1943)は プル した. 総 蛋 白質 量 の 測定 には ツ ァイス製 プル フ リ ッヒ屈 折 計 を 用 い, NaD線 に対 す る屈 折 率 を測定 した. フ リ ッヒ 屈 折 計 に よ り唾 液 総 蛋 白 質 を 知 る 関 係 式 屈折 率 の変 化 は 温 度 に よ り著 し く影 響 を受 け るので, を 発 表 し た.一 この際 温 度 を0.1℃ 方 唾 液 蛋 白 質 分 画 に就 い で は Kinersly47)(1953)は 濾紙 泳 動 法 に よ り充分 測 定 が 出 来 る と 云 つ て い る. 余 は プ ル フ リ ッヒ屈 折 計 及 び 濾 紙 泳 動 法 を 用 い て まで 測定 し,総 て17.5℃ で 測 定 した. 唾 液総 白質 量 は,貝 塚42)48)の 発表 した 唾 液 屈折 率 よ り蛋 白質 量を 知 る次 の実 験 式 よ り算 出 した. 子 宮 頸 癌 患 者 の唾 液P. H.及 び蛋 白質 に就 い て 3047 却 検 定 法 に よ り異 常 値 と 見 な し,こ 例 よ り 平 均 値=1.33404で X:唾 nD: 液 蛋 自 質 量mg/dl 17.5℃ で あ る.母 に 於け る合混 唾 液 のNaD線 に対 す る屈折 率 づ 上 澄 部 分 を 冷 凍 乾燥 器 に て 原 未 と し て 保 存 し,要 に 応 し 原 唾 液 量 の1/5 量 の生 理 的 食 塩 水 で 溶 解 し た.泳 動装置はグラスマ ン氏48)49)50)51)52)53)54)55)改 良 装 置 を 用 い ,緩 Veronal-Na Shleichen Veronal液(P. 2043号 泳動 した.蛋 H.=8.6),濾 衝液は 紙 はCarl 濾 紙 を 使 用 し, 0.02ccを8時 白 質 の 確 認 はBrom-phensl blue液 間 で 染 色 し,加 熱 熔 融 し た パ ラ フ ィ ン 中 を 通 して 半 透 明 に した濾 紙 片 を 光 度 計 で 定 量 した . 実 験 成 同 棄 却 限 界 は1.33374≧x0≧1.33435を 従 つ て1.33435蛋 有 しな い 治 療 前 の 子 宮 野 癌 患 者68例 第1表 に 示 す 如 く, I, 1例 はSmirnoffの 棄 的 有 意 差 は 認 め ら れ な い. IV期 で は 著 明 な 増 加 が 見 康 非 妊 婦(t=3.072>2.074)と 2.964>2.052) 均 値 で は, に 比 し 低 い が 推 計 学 的 有 意 差は 認 め , 期 と も健 康 非 妊 婦 に 比 べ 高 率 健 康 非 妊 婦 とI期 A)群(t= B)群(t=2.881>2.042)及 第2表 の 間 に は 有 意 差 が 認 め ら れ,又 健 康 非 妊 婦 と癌 全 体 (P=0.023)と の 間 に も有 意 差 が 認 め られ る. づれ の 群 と の 間 に も有 意 差 が 認 め られ る. 陽 性 率 に 於 て も, C)群 +B)群(P=0.08)と び は 高 率 を 示 す が, A)群 の間 に は 有意 差 は 認 め られ な い. 血 色 素 量 と唾 液 総 蛋 白 質 量 第2節 子 宮頸 癌 患者 の唾 液 蛋 白質 分 画 1〕 健康 非妊 婦 の唾 液蛋 白質 分 画 との間 に は有 意 差 は認 康 非 妊 婦 とII期(P=0.021)と A)群+B)群(t=2.170>2.021)い に 示 す .平 は 増 量 が 見 ら れ, の間 に推 子 宮 頸 癌 患 者 の 唾 液 総 蛋 白 質 量 3〕 血 色 素 量 と の 比 較 られ な い . C)群 II及 びIII期 は い づ れ も僅 か に 増 量 が 見 ら れ る が 健 康 非 妊 婦 との 間 に は 推 計 学 め ら れ な い が,健 健 康 非 妊 婦 と し て 本 院 勤 務 の 看 護 婦 及 び 附 添 婦21 はA)群 を 国 際 分 類31) に よ る進 行 期 別 に 分 類 し比 較 検 討 し た . を 示 す,健 1〕 健 康 非 妊 婦 の 唾 液 総 蛋 白 質 量 血 色 素 量 と の 比 較 を 第2表 し た. 治 療 前子 宮 頸 癌患 者 の唾 液 総 蛋 白質 量 陽 性 率 に 於 て は,各 B)群 上 を 陽 性 値 と定 め た. 計 学 的 有 意 差 が 認 め ら れ る. 績 第1表 下を正 岡 山 大 学 医 学部 産 婦 人科 教 室へ 入 院 した 合併 症 を ら れ,健 第 一 節 子 宮 頸 癌 患 者 の 唾 液 総 蛋 白 質 量 例 の 唾 液 屈 折 率 を 測 定 した . 得 た. 白 質 量72.26mg/dl以 な お 推 計 学 的 信 頼 度 は 総 て95%と 2〕 を 除 く20 平 均 の 信 頼 限 界 は1.33396≧m≧1.33413, 常 動 揺 範 囲 と し, 1.33436以 蛋 白質 分 画 の 測 定 に は,先 の1例 蛋 白 質 量 は46.2mg/dl 健 康 非 妊 婦 と して非癌 と診 断 され た 子宮 膣 郊糜 爛 症 患者 及び附 添 婦8例 の唾 液 蛋 白質 分画 を測 定 した. 3048 河 第3表 に 示 す 如 く,ア 0.0%,平 均5.8%を 100.0%,最 田 ル ブ ミン は 最 高20.0%,最 占 め た .グ 低80.0%,平 ロ ブ リン は 最 高 均94.2%を ブ リ ン に 最 大 の 山 を 示 し, 低 占 め, γグロ α及 び βグ ロブ リンは著 明 な 山 を 示 さ な か つ た. 2〕 第3表 当 教 室 に 於 て 治 療 し,再 に 示 す 如 く,ア 均3.8%を 低84.2%,平 発 と診 断 さ れ た 居 者6例 均5.6%を 低0.0%,平 に 示 す 如 く,総 占 あ,グ 均94.4%を ロブ リ 占 めた, 進行期 健 康 非 妊婦 に比較 し 特 異 な 相 を 示 さ な い. 4〕 血 色 素 量 と唾 蛋 白 質 分 画 に 示 す 如 く,ザ ー リー 値60%以 ブ ミン は4.8%を 占 め,グ る が,推 ロ ブ リンは 最 高 均96.2%を 占 め,健 占 め,同59%以 上 では アル 下 で は8.0%を 占め 計 学 的 有 意 差 は 認 め られ な い. 康非 血 色 素 量 と唾 液 蛋 白 質 分 画 的 有 意 差 は認 め られ な い. 蛋 白 質 量72.25mg/dl以 上 で は ア ル ブ ミン は3.5%を 占 め,稍 別 に も一 定 の 傾 向 を 示 さず,又 ル ブ ミン は 最 高15.8%,最 5〕 唾 液 総 蛋 白 質 量 と唾 液 蛋 白 質 分 画 以 上 で は9.7%を 癌 全 体 で は ア ル ブ ミンは 最 低0.0%,平 ン は 最 高100.0%,最 第4表 第4表 第5表 直23.1%,最 に 示 す 如 く,頸 妊 婦 に 比 較 し 特 異 の 相 を 示 さ な い. の 唾 液 蛋 白 質 分 画 を 検 討 し た. 100.0%,最 第3表 子 宮 頸 癌 患 者 の唾 液 蛋 白 質 分 画 治 療 後 経過 不 良 患者 の唾 液 蛋 白質分 画 低0.0%,平 分 画 を 検 討 し た. β グ ロ ブ リン は 著 明 な 山 を 示 さ な か つ た.癌 を 有 し な い 治 療 前 の 子 宮 頸 癌 冠 者18例 の 唾 液 蛋 白 質 第3表 二 グ ロ ブ リ ン は γ グ ロ ブ リン に 最 高 の 山 を 示 し,a及 治 療 前 子宮 頸 癌 患 者 の唾 液 蛋 白質分 画 岡 山 大 学 医 学 部 産 科 婦 人 科 教 室 に 入 院 した 合 併 症 3〕 謙 考 占 め,同72.26mg/dl 高 率 を 占 め る が,推 第5表 計学 按 唾 液 総腱 白質 量 に関 す る先 人 の業 蹟を 見 るに,グ 唾 液 総 蛋 白質 量 と蛋 白 質分 画 子宮 頸 癌 患者 の唾 液P. H.及 び蛋 白質 に就 い て 藤7)等 は 子 宮 癌 に 於け る減 量を貧 血 と推 論 して い る. リー ンペル グ法 に よ るKrasnow38)の286mg%, 同 法 に よ るGorlin56)の280.4mg%,又 プル フ リ ッヒ屈 折 計 に よ る 貝 塚45)46)57)の53.04mg/dlが あ 余 の 子 宮癌 に 於け る実験 では ザ ー リー値59%以 唾 液 蛋 白質分 画 に関 す る文 献 は 少 く,僅 か にKi びGorlin nersly47)は 濾 紙 泳動 法 が唾 液 蛋 白 質 分画 に優 れ て は 余及 び貝 い る と発 表 して い るが,詳 細 な結 果 は 見 られ な か つ Krasnow及 の値に 比 べ 著 明 に 低 値 を 示 し て い る.之 た. 塚 のそ れ は 安 静 無 刺 戟 唾 液 で あ るに 反 しKrasnow 及 びGorlinの 下の 貧 血 患者 に は総 蛋 白質 量 の増 加 が 認 め られ た. る.余 の健 康 非 妊 婦 に 於 け る実 験 値46.2mg/dlは, 貝塚 の値 に 近 似 し て い るが, 3049 余 の実 験 成績 では 唾 液 蛋 白質 分 画 は健 康非 妊 婦 と それ はバ ラ フ インを咀 嚼 せ しめ た 為 子 宮頸 癌 患者 の 間 に相違 は認 め られ な い. と考 えれ る. 癌疾 患 に 於 け る唾 液 総 蛋 白 質 量 に 関 し て は,貝 総 塚45)46)58)は 胃 癌 患 者 に 就 い て 屈 折 計 に よ り平 均 106.2mg/dlで 健 康 人 に 比 し て 著 明 に 増 加 して い る と指摘 した.之 に 反 し 加 藤44)等 より子 宮 癌 患 者 は唾 液1cc中 で健康 人 の0.038ccに は エ ス パ ッハ 法 に 子宮 頸 癌 に 対 す る補 助 診 断 法 と して,唾 液 総 蛋 白 質 量 及び 蛋 白質 分画 を測 定 し検 討 した. 1)子 総 蛋 白 質 量 は0.024cc 比 べ低 下 して い る と 報 告 し 括 宮頸 癌 患者 の唾 液 総 蛋 白質 量は 健 康 非 妊 婦 に 比ベ 僅 か に 増 量を 認 め, IV期 に於 て の み推 計 学 的 有 意 差が 認 め られ る. 72.26mg/dl以 てい る. 子宮 癌 に 関 す る余 の成 績 で は,各 婦に比 べ 増 量 が 見 ら れ, 期 と も健 康非 妊 IV期 で は79.0mg/dlで 健 康非妊 婦 との 間 に 推 計 学 的 有 意 差 が 認 め ら れ,加 等の成 績 に 反 す る結 果 を 示 し た.陽 期に28.9%で 上の異 常 高 値 例 の 出現 率 で はII期 に 於 て28.9%で 健 康非 妊 婦 と の 間 に有 意 差 を持 つ が,診 断 的 価値 は 乏 しい. 2)ザ 藤 ー リー 値59%以 下 の貧 血 患者 には 総 蛋白 質 量 の 増 加が 認 め られ る. 性 率 に 於 て はII 3)子 健 康 非 妊 婦 と の 間 に 有 意 差 は 認 め られ るが補 助 的 診 断 法 と し て の 価 値 は 乏 し い と 考 え られ 宮頸 癌 患者 の唾 液 蛋 白質 分 画 は 健 康非 妊 婦 との 間 に差 異 を認 めな い. る. 唾液 総 蛋 白 質 量 に 増 減 に 就 い て は, Faber59)は 悪 性 貧血 に 多 い と云 わ れ る 口腔 乾 燥 症 患 者 に 総 蛋 白 質 量の増 加 を 認 め,二 宮41)42)43)及 び 貝 塚45) 46)57)58)は結 核患者 の増 量 を 交 感 神 経 刺 戟 状 態 に よ る と し,又 加 参 1) Michaelis L. Biochem 2) Ferris H. C. Z., 59, Dent . Cosmos 78, Phila., 考 稿 を 終 るに 臨 み 御 指導 御 校閲 を 戴 い た 恩師 八木 教 授 に 深 謝す る と共に 橋 本助 教授 の 御指 導 御鞭 撻 を感 謝 す る. 交 1914. 63, 1927. 10, 11) Mc Reag R. H. 93, 1921. 31, Bull Johns Hopk. Hosp. J . Biol. & 155, 1922 . 5) Carlson V. R.. Dent. Chem. Bait., Cosmos 54, 43. Phia., 66, H. Deutsche Monat. zahnh. Berl., 43, 44, 1925. 7) Smith H . C.. J. Dent. Res. Bait., 4, 5, 1922. 53, 1927 . 10) Henderson Dent. J., 49, 346, Quart. M.: J. Jonoff M.: Jahrb. f. Kinderh., 123, 339, 1929. 840, 1924. 9) Rich G. J.. 12) 118, 1920. 4) Starr H. C. 6) Turkheim Brit. 1928. 3) Bloomfield A. L. Bait., 献 J. Biol. Exp. Physiol., chem., 75, 17. 559, 13) Sharp G. Am. J. 医 事 公 論, Roent., 斉 藤悦 郎 15) 今 野 清 一:東 16) 永 井 豊 太 郎:臨 17) 今 川 与曹:口 腔 病 学 誌, 10, 4, 550,昭11 18) 河 野 康 雄:口 腔 病 学 誌, 11, 4, 374,昭12. 19) 牛 窪 武 男:日 歯 口 腔 学 誌, 19, 1, 歯 口 腔 学 誌, 64, 15,昭13. 北 医 師, 1001, 25, 226, 14) 17, 床 歯 科, 20) 前 田 次 郎:日 21) 種 村 龍 夫 耳 鼻 咽 喉 科, 22) 二 宮 千代 皇 紀2600年 23) 馬 朝 茂:皇 紀2600年 1931. 5,昭6. 177,昭9. 7, 7, 11, 9, 72,昭10 . 10,昭12. 876,昭13. 記 念 歯 学 誌. 記 念 歯 学 誌. . 128,昭16 126,昭16. . 3050 河 24) 須 川 豊:朝 25) 藤 井 秀 英:歯 26) 土 井 清:東 27) Mc 2, 科 学 報, 北 医 学, Celland 127, 28) 鮮 医 学 誌, 3, 47, 謙 173,昭17. 9,昭17. 41, J. R. 田 31,昭24. Am. J. Phyaiol., 63, 1922. 山 崎 春 三:大 阪 高 等 專 門 学 誌. 4, 3, 二 42) 二 宮 秀 夫:医 学, 43) 二 宮 秀 夫:日 消 化 器 学 誌, 44) 加 藤 正 成 及成 田 豊 北 海 道 婦 誌, 45) 貝 塚 〓:耳 咽 臨 床, 41, 30.昭30. 46) 貝 塚 〓:耳 咽 臨 床, 42, 147.昭24. 47) Kinersly 369.昭 T. 29) 山 崎 春 三:治 30) 藤 代 善 次 郎:耳 31) 八 木 日出 雄 32) Benetato 47, 7.昭25. 6, 2,昭30. Yale J. Biol. med., 療 学 誌, 8, 4, 鼻 咽 喉 科. 48) Grassmann W. 468.昭13. 26, 211, 10, 1, 77,昭14. 八 木 産 婦 人 科 学 婦 人 科 編 . 237. G. Biol. 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Proteins in the Saliva of Patients with Cervical Carcinoma By Kenji Kawada Department of Obstetrics and Gynecology Okayama University (Director: Prof. Hideo Yagi) As the auxiliary diagnosis for carcinoma of the cervix the Medical School author evaluated the pH, whole proteins. and protein fractions in the saliva; and obtained the following results: 1) The pH of the saliva in patients with cervical carcinoma is lower than that in the case of normal non-pregnant women, and it becomes more marked with the lapse of time. In 25.6 per cent of the patients in Stage I an abnormally low pH of under 6.2 can be observed, showing a significant difference as compared with the normal non-pregnant women; but as the percentage is low, it can not be so useful for an early diagnosis. 2) In 9.6 per cent of those whose improvement is good at follow-up treatment such an abnormally low pH can be found, level only after one year. In 33.3 per cent of those low pH value can be recognized. pH can be found In the follow-up examinations after and in them pH returns to the normal whose prognosis is poor, an abnormally examinations sur e;sively in 8.0 per cent of those with a good improvement, abnormally low and in 66.6 per cent of 子 宮 頸 癌 患 者 の唾 液P. H.及 び 蛋 白質 に就 い て 3051 those with a poor improvement. Sixty per cent of those showing abnormally low pH succes sively are those with a poor prognosis. 3) The amount of whole protein in the saliva of patient with cervical carcinoma shows a slight increase over 46.2mg/dl in the case of normal non-pregnant women. Statistically a significant difference at 79.0mg/dl can only be recognized in those at Stage IV. As for the percentage of those showing as abnormally high as 72.26mg/dl, 28.9 per cent of those in Stage II show abnormally high value as compared with normal non-pregnant women, but it has little value for diagnosis. 4) An increase in whole protein can be recognized in the anemic patient showing sahli value of under 59 per cent. 5) No significant difference can be recognized in the protein fractions of the saliva in the patients with cervical carcinoma as compared with normal non-pregnant women. From these data it is assumed that the evaluations of the whole protein content and protein fractions in the saliva are not so useful as an auxiliary diagnosis of cervical carcinoma, but the continuous follow-up estimations of pH of the saliva for the purpose of discovering the recurrence of cervical carcinoma at an early stage enable us to foresee it, and such follow up examinations will offer us an important criterion for the judging of the conditions after treatment.
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