ヘパリンNa透析用のpH変動試験

平成24年4月社名変更(平成18年12月作成)
テバ製薬株式会社
研究開発本部
ヘパリンNa透析用のpH変動試験
試験目的
ヘパリンNa透析用150単位/mLシリンジ20mL「AT」,ヘパリンNa透析用200単位/mLシリンジ
20mL「AT」,ヘパリンNa透析用250単位/mLシリンジ20mL「AT」は,ヘパリンナトリウムを有効
成分とする血液凝固阻止剤である.今回,本製剤のpH依存性の配合変化を予測するためにpH
変動試験を実施したので報告する.
試験材料
ヘパリンNa透析用150単位/mLシリンジ20mL「AT」
Lot.6WWS1 テバ製薬株式会社(旧 大洋薬品工業株式会社)
ヘパリンNa透析用200単位/mLシリンジ20mL「AT」
Lot.6WWS2 テバ製薬株式会社(旧 大洋薬品工業株式会社)
ヘパリンNa透析用250単位/mLシリンジ20mL「AT」
Lot.7WWS1 テバ製薬株式会社(旧 大洋薬品工業株式会社)
測定方法
pH変動試験は,幸保の方法1)に基づいて行った.すなわち,本製剤1シリンジ(20mL)全量を
試験管に移し,撹拌しながら0.1mol/L塩酸または0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を滴加し,持
続的な外観変化が認められるpH(変化点pH)を測定した.なお,外観変化が認められない場合
は,10mLの滴加時のpH(最終pH)を測定した.
試験結果
ヘパリンNa透析用のpH変動試験結果
試験材料
規格
pH
ヘパリンNa透析用
150単位/mLシリンジ
20mL「AT」
5.7~7.1
ヘパリンNa透析用
200単位/mLシリンジ
20mL「AT」
5.7~7.1
ヘパリンNa透析用
250単位/mLシリンジ
20mL「AT」
5.7~7.1
試料
pH
(A)0.1mol/L HCl
(B)0.1mol/L NaOH
(mL)
最終pH
または
変化点pH
移動
指数
変化
所見
6.47
(A) 10mL
1.56
4.91
なし
6.42
(B) 10mL
12.30
5.88
なし
6.40
(A) 10mL
1.55
4.85
なし
6.47
(B) 10mL
12.30
5.83
なし
6.50
(A) 10mL
1.56
4.94
なし
6.52
(B) 10mL
12.30
5.78
なし
結論
ヘパリンNa透析用について,注射剤配合変化の予測法の一環としてpH変動試験を実施した.
その結果,本製剤は,0.1mol/L 塩酸または 0.1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液の滴加によって外
観上変化は生じなかった.
従って,本製剤に対するpH依存性の配合変化については特に問題ないと考えられた.
参考文献
1) 幸保 文治,注射薬便覧-注射薬配合変化の基礎- p32(1976), 南山堂