泌尿器科手術後に尿道留置カテーテルを使用する患者の傾向(PDF 29.7

泌尿器科手術後に尿道留置カテーテルを
使用する患者の傾向
∼経尿道的膀胱腫瘍切除術後
苦痛により処置を受ける患者の特徴∼
5西病棟 ○杉町直美 石松啓子 深川香寿美
山田直美 川崎徳子
はじめに
膀胱部痛 尿道痛
尿道留置カテーテルの刺激
苦 痛
尿漏れ
術後の患者の状況は?
患者の傾向は?
Ⅰ.研究目的
泌尿器科手術に際し、尿道留置カテーテルを使用する患
者の傾向を明らかにする。
Ⅱ.研究方法
1.研究対象
A病棟に入院し、泌尿器科手術術後にカテーテルを使
用する患者30名のうち、TUR-Btを受けた患者11名。
2.研究の種類
量的研究
3.データ収集方法
調査用紙「尿道留置カテーテル挿入者容態控え」を作
成し、使用要綱に沿って記入する。使用要綱は泌尿器
科担当チームの看護師に手渡し、記入を依頼する。記
入はその日の担当看護師が行う。
4.データの分析
共通事項
・カテーテルの種類:20Fr・3Way
・麻酔法:全身麻酔(TIVA)+腰椎麻酔
・持続膀胱洗浄:有り
カフ10ml以下
6例
比較
カフ11ml∼20ml
3例
5.倫理的配慮
院内の倫理委員会による審査を受け、規定を遵守し、研究を
まとめるにあたり個人が特定されないように配慮する。また本
研究で、収集したデータ類、記録は本研究のみに使用し、電
子媒体に保存したデータは病院内で保管し持ち出さない。収
集したデータは研究終了後シュレッダーにかけ破棄する。
Ⅲ.結果
• 泌尿器科手術術後にカテーテルを使用する患者30名
の平均年齢:71.6歳
• そのうち、TUR-Btを受けた患者9名の平均年齢:79.8歳
6
男性
女性
24
術後にカテーテルを使用する患者の男女比
n=30
・男性と女性を比較した場合、
男性が8割を占めた
・TUR-Btにおいては、男性が
9割を占めた
2
2
疼痛
テネスムス
痛・テネ
なし
2
3
TUR-Bt術後の処置理由 n=9
・TUR-Bt術後の7割以上が疼痛・テネスムスに対し処置を
受けていた
回
4.5
4
4
3.5
3
2.5
2
2
処置回数
1.5
1
0.5
0
∼10ml
11∼20ml
カ テーテル抜去までの平均処置回数 n=9
・カフ量の違いでカテーテル抜去までに行った
処置の回数に差があった
・カフ量の多い方に処置回数が多かった
分
45
分
80
41
40
70
35
60
30
50
25
24
手術時間
20
73.6
57.3
麻酔時間
40
30
15
20
10
10
5
0
0
∼10ml
11∼20ml
図9 平均手術時間 n=9
∼10ml
11∼20ml
図10 平均麻酔時間 n=9
・手術時間が24.0分を超えると処置が増えていた
・麻酔時間が57.3分を超えると処置が増えていた
Ⅳ.考察
苦痛
疼痛 テネスムス
カフ 11ml∼20ml
カフ 10ml以下
処置
(鎮痛消炎剤など)
カフ量の違いに着目
膀胱や尿道の粘膜に与える機械的な刺激の違い
カフ量の違いは処置を行うかどうかの判断基準になり得る
手術時間・麻酔時間の延長
切除部位が切除の難易度の高い部位や、複数の場合・進達度が深い場合
閉鎖神経ブロックを追加する場合など
苦痛
処置
(鎮痛消炎剤など)
手術時間・麻酔時間の違いに着目
手術による損傷の範囲の広さ・切除の深さ
術中の同一体位時間の長さなどの影響
処置回数が増える手術時間・麻酔時間が分ったことは、
患者の苦痛に早期から対応できることに繋がる
Ⅴ.結論
1.TUR-Btにおいては、カテーテルのカフ量で比較し
た場合、手術時間・麻酔時間の違いでカテーテル
抜去までに行った処置の回数に差があった。
2.カテーテルのカフ量が増えると処置回数が増える
傾向がある。
3.TUR-Bt術後は手術時間が24.0分を超え、また麻
酔時間が57.3分を超えると処置が増える傾向が
ある。