3.都市ガス業界が考える水素社会の姿
~水素は大幅なCO2削減に貢献するための重要な選択肢~
3.都市ガス業界が考える水素社会の姿
○ガス業界では2030年ビジョン(2011年10月公表)に従い、ガスコージェネや
燃料電池の普及拡大、FCV普及を支える水素STの整備、天然ガスへの燃料
転換、スマートエネルギーネットワーク(NW)などにより低炭素化への貢献を目指し
ている。
○CO2フリー水素の供給は、将来の大幅なCO2削減(80%削減レベル)に対する
取組みとして、安定・安価な調達が可能となれば、ガス業界として貢献できる
重要な選択肢となる。
○本資料の「2050年に向けて」、「2050年頃」の絵姿は、ガス事業のノウハウを
生かした貢献が可能な水素エネルギー社会の姿を、発展ステップで表現した
ものである。
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① FCVと水素STの普及開始(2015年頃の姿)
 2015年のFCV普及開始に合わせ、4大都市圏を中心に水素STが整備される。
 都市ガスエリアにおいて、スマートハウスでのW発電や停電対応型燃料電池が普及して
いる。
水素ステーション
水素製造
装置
戸建住宅
臨海部
(LNG基地)
工場
家庭用FC
集合住宅
ガスコージェネ
ガスコ-ジェネ
LNGタンカー
ガスコ-ジェネ
店舗
業務用FC
オフィスビル
ガスコージェネ
スマートエネルギー
NW
天然ガスライン
熱融通ライン
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② CO2フリー水素の供給開始(2050年に向けて)
【社会の姿】
 天然ガスエリアでは2030年ビジョンが実現し、スマートエネルギーNW構築により再生可能・未利用エネルギーの普及拡大、
エネルギーセキュリティの向上、運輸部門でのエネルギー多様化、省エネ・低炭素エネルギーマネジメントが展開。
 国の施策などによる大幅なCO2削減の求めに対し、臨海部では、安定・安価なCO2フリー海外水素が輸入され、
水素基地から近隣の発電所や工場(原料として水素を利用)に対して、導管により水素が供給される。
 都市部では、エネルギー密度の高いエリアでローカル水素NWが構築され、オフィスビル、業務用店舗、集合住宅などへ
水素が供給される。なお、当初は水素基地から近い都市部から出現する。
【ガス業界の貢献】
 ガス業界として、安全な水素の導管供給、分散型の水素消費機器の開発・普及などの貢献が考えられる。
運輸部門でのエネルギー多様化
再生可能・未利用エネルギーの普及拡大
臨海部
(LNG基地)
太陽光
(電気・熱)
バイオマ
ス
発電
風力
発電
水素ステーション
LNGタンカー
燃料 電池(家庭用・業務用)
ガス
コージェネ
天然ガス
天然ガスライン
エネルギーセキュリティの向上
臨海部
(水素基地)
水素タンカー
災害時等における
重点施設・周辺地域
への電力・熱の供給
天然ガススタンド
天然ガス自動車
省エネ・低炭素エネルギー・マネジメント
系統電力の負荷軽減
+省エネ・低炭素化
ガス
空調
水素ライン
電力ライン
熱融通ライ
ン
分散型エネルギー
システムの
普及拡大
燃料電池自動車
ガス
コージェネ
ガス
コージェネ
熱供給ネットワーク
による熱の面的融通
水素ステーション
発電所
ローカル水素NW
FCV
ガス業界は、安全な
水素の導管供給等に貢献
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③ 大幅なCO2削減に貢献する社会(2050年頃の姿)
 各臨海部の水素NWは、パイプラインなどにより連結され、より大きな水素NWへと発展していく。
 水素NWは、都市部へも延伸し、さらに業務用分野から家庭用分野へと供給範囲が拡大していく。
 再生可能エネルギー由来の余剰電力は、水素に変換・貯蔵され、電力系統の安定にも貢献している。
 天然ガスエリアにおいても、スマートエネルギーNWの拡大発展の中で、高度に高効率化された機器やシステムの普
及により、低炭素化への貢献が継続されている。
再生可能・未利用エネルギーの普及拡大
臨海部
(LNG基地)
運輸部門でのエネルギー多様化
天然ガスエリアでの
さらなる発展
LNGタンカー
CCS
大規模
水素製造装置
天然ガスライン
水素ライン
エネルギーセキュリティの向上
純水素FC
発電所
省エネ・低炭素エネルギー・マネジメント
純水素FC
(集中供給)
電力ライン
純水素FC
(各戸分散)
ガス業界が貢献できる
水素エネルギー社会
水素タンカー
臨海部
(水素基地)
水素ステーション
水素ステーション
FCV
FCV
水素ステーション
電解水素
&
水素貯蔵
風力発電 太陽光発電
バイオマス
水素製造
水素コージェネ
FCV
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4.水素に関する技術調査事業
① 水素に関する技術調査事業の経緯・展開
 日本ガス協会は水素パイプライン供給に関する調査事業に平成17年度より取り組んでいる
 技術調査については、平成23~25年度の外管分野に引き続き、今年度より内管分野に取組んでいる
年度
(平成)
外
部
の
動
き
ガ
ス
協
会
受
託
国
プ
ロ
実
証
事
業
技
術
調
査
事
業
17
F
C
V
水
素
パ
イ
プ
ラ
イ
ン
18
19
20
21
22
23
JHFC-2
技術実証
JHFC
水素漏えい検知
技術調査事業
25
26
27
28~
地域水素供給インフラ技術・社会実証
(NEDOプロ)
水素利用社会
システム構築
実証事業
水素供給システム
安全性技術調査事業
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県事業として継続
水素ネットワ
ーク構築導管
保安技術調査
事業【外管】
FCV普及開始
商用ST運用開始
水素ネットワ
ーク構築導管
保安技術調査
事業【内管】
外管:顧客敷地外に設置される導管 (事業者資産)
内管:顧客敷地内に設置される導管 (顧客資産)
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② 水素に関する技術調査事業のまとめ
事業名
目的と成果
水素供給システム安全性
技術調査事業
(平成17~19年度)
《目的》 現行の中低圧導管材料を水素輸送に供する場合の基本的な材料特性調査
を行う。
《成果》 現行の主な導管材料(炭素鋼鋼管およびポリエチレン管等)の水素脆性や気
密性の面について適用性を確認。
(評価した導管材料等の水素脆化は認められず、基本的な継手類
の気密性低下もないことから、中低圧の水素供給に適用できる。)
水素漏えい検知技術調
査事業
(平成18~20年度)
《目的》 水素が漏えいした場合、需要家がすぐに分かるための付臭等について調査
を行う。
《成果》 水素付臭剤としてのシクロヘキセンの適用性(土壌透過性)およびガス
同等の方法(検知器と臭気感知)で水素漏えいが検知可能であることを確認。
水素ネットワーク構築導
管保安技術調査事業
(平成23~25年度)
《目的》 将来の水素パイプラインネットワークの構築に向け、保安確保のために、現時
点で不可欠と考えられる検証データを取得する。【外管を対象】
《成果》 水素付臭剤の炭素鋼鋼管への影響、施工法の安全性評価、水素拡散・置換
挙動確認、水素導管圧力解析を実施し、成果・課題を整理。
水素ネットワーク構築導
管保安技術調査事業
(平成26~27年度予定)
《目的》 将来の水素パイプライン供給に向け、建物内とその周辺の水素配管に関す
る保安確保のために、現時点で不可欠と考えられる検証データを取得する。
【内管を対象】
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5.水素ネットワーク構築導管保安技術調査事業
(H25年度)
① 事業目的
 研究開発、技術基準等の見地から、将来的に水素パイプラインネットワーク構築の保安
確保に必要なデータを蓄積する
一般需要家向けの水素パイプライン供給に際して、保安確保のために必要となる
導管等のガス工作物について、そのネットワークとしての運用に係る安全基準や
工法等の具体的措置を明確化するため、これに有用な基盤技術、知見を整理し、
当該調査の成果を将来的にガス事業法の技術基準等の見直しに反映させることで、
水素ネットワーク社会構築における保安確保を図ることを目的とする。
技術基準的見地
水素パイプライン
供給の保安確保
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② 調査対象
 平成23~25年度は、都市ガス事業における外管部分(中・低圧)を対象に調査を実施
(下図、赤枠囲い部分)
集合用需要
工業用需要
水素ステーション需要
消
費
分
野
家庭用需要
FC
(H2)
FCV
産業用需要
FC
(H2 )
導管輸送
ローリー輸送 等
FC
(H2)
M
供
給
分
野
M
天然ガス
M
M
水素ガバナ
水素ガバナ
水素送
出起点
天然ガス
改質水素
製
造
分
野
FC
(H2 )
海外輸入水素
(太陽光・風力水電解・褐炭
等)
H2 船
LNG貯槽
LNG船
高圧
中圧
低圧
(1MPa以上or未定)
(1MPa未満)
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【参考】実施体制図
経済産業省 商務流通保安グループ ガス安全室殿
推進WG
総合調査
/日本ガス協会
特別専門委員会※
(調査内容) ・委員会の設置、運営
・下記他調査の実施者に対する助言
・水素導管供給等に係わる事例調査
委
託
水素導管圧力解析調査
/JFEエンジニアリング
水素置換挙動調査
/産業技術総合研究所
審議
報告
施工方法の安全性評価調査
/日立金属
付臭剤添加による金属系材料の水素脆化影響調査
/日鉄住金P&E
※有識者により構成
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③ 平成23~25年度調査テーマ
 平成23年度~平成25年度において、下記内容のテーマについて調査を実施
平成23年度
平成24年度
平成25年度
水素漏えい拡散挙動調査
水素着火挙動調査
水素置換挙動調査
水素導管圧力解析調査
施工方法の安全性評価調査(分岐工法)
供給設備の安全性評価調査(整圧器)
施工方法の安全性評価調査(応急処置)
付臭剤添加による金属系材料の水素脆化影響調査
海外事例調査
調査結果のとりまとめ
水素導管供給に関する知見
本日は、平成25年度
成果を中心にご紹介
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