医師以外の理事長選出「門前払いはNG」 厚労省

■医師以外の理事長選出「門前払いはNG」
厚労省・指導課長通知
厚生労働省医政局指導課は5日付で都道府県宛てに課長通知を出し、医師・歯科医師では
ない人が医療法人の理事長になる際の認可に当たり、本来は不必要な要件を設定して候補
者を「門前払い」しないよう求めた。政府の規制改革会議が設置した「健康・医療ワーキング
グループ(WG)」で議論になっていた.
医療法人の理事長は医師か歯科医師の理事から選出するのが原則だが、都道府県知事が
認めれば、それ以外の人でも就くことができる。候補者の経歴や理事会構成などを勘案し、
適切で安定的な法人運営を損なうことがないと認められる場合に、都道府県医療審議会の
意見を聞いた上で知事の認可が行われる。
しかし一部の都道府県では、理事としての経験年数や、財務状況が黒字であることなどの
要件を定め、候補者を総合的に判断せずに入り口で締め出す例があると指摘されていた。
この間題は規制改革会議の健康・医療WGのテーマになっており、2月の会合では委員から
「赤字のときほど経営感覚のある人が必要だ」などの意見が上がった。同WGは、医師・歯科医
師ではない人が理事長になる際の認可を不要とし、届け出制にする考えも打ち出したが、厚
労省は迅速にできる対応として通知を発出。不要な要件を設定して門前払いするのではな
く、候補者を総合的に判断するよう求めた。
来年度中に、詠可の取り扱いに関する調査を再度行うことも明記した。
株式会社じほう「MEDIFAX」3月10日発行6793号掲載
■新基金、公私の配分割合で説明求める方針
都道府県に対し厚労省
厚生労働省は、各都道府県に基金を創設する新たな財政支援制度(新たな基金)の公平性
を担保するため、公的・民間機関への配分割合などについて都道府県に説明を求める方針だ。
3日に開いた全国医政関係主管課長会議で明らかにした。
具体的には、公的・民間機関への配分割合と金額の提示を求め、配分割合については決定
までの経線とその理由なども示すよう求める方針。新たな基金の使途について、都道府県は
医療・介護サービスの提供体制改革に向けて作成する整備計画の中に盛り込むこととする。
新基金の配分をめぐり、新基金の前身とも言える「地域医療再生基金」が公的医療機関に
比較的多く配分されたことを問題視する意見が医療関係者から上がっていることも踏まえ、
社会保障審議会・医療部会などで官民への公平な配分を求める意見が出ていた。厚労省も都
道府県に対し、公平に配分するよう求める方針を示していたが、公平性をどのように担保す
るかなどの具体的な措置についてはこれまで明らかにしていなかった。
● 「医師会と調整を」梶尾指導課長
同日の会議では、医政局指導課の梶尾雅宏貢果長が新基金について今後の予定を報告し
た。新基金で助成対象とする事業例は、今月20日にあらためて担当者会議を開いて提示する。
その後、各都道府県が新基金の対象に検討している事業の内容や全体的な規模などを確認
するため、4月に1回、5月または6月に1回の計2回、ヒアリングを実施する。梶尾課長は「計画
づくりについては、時間も限られるので、都道府県の医師会などとも調整していただければ
と思う」と述べ、地域関係者らとの協議を早急に進めるよう要請した。
■「歯科医師」記載の方向、一部に懸念も
自民・尊厳死PT幹部会
自民党の「尊厳死に関する検討プロジェクトチーム」(山口俊一座長)は4日の幹部会で、前
回2月27日の会合で日本歯科医師会などが提案した事項について意見を交わした。幹部会は
非公開のため、詳細は不明だが、検討中の「終末期医療法案」に「歯科医師」の記載を加えるこ
とを認める方向だ。
ただ、日歯の提案の一部に対しては異論が出ている可能性がある。前回の会合では日歯な
どが、2人以上の医師で終末期判定を行うことを定めた条文案に「歯科口腔領域の疾患の場
合、1人は担当医である歯科医師とする」という記述を加えるよう提案していた。幹部会終了
後、山口座長は記者団に対し「あまり条文でガチガチにするのはどうかという意見があっ
た」とコメントした。
自民PTは早ければ来週にも会合を開き、法案そのものの審議に入る予定。他の政党の検討
状況を横にらみしながら、議論を進めていく構えだ。
株式会社じほう「MEDIFAX」3月5日発行6790号掲載
■ 医師事務補助者や院内保育も助成へ
「新たな基金」で厚労省案
医療・介護一括法案に盛り込んだ「新たな財政支援制度」(新たな基金)の助成事業として、
医師事務補助者の導入費用や院内保育所の設置・運営費を対象とする方向で厚生労働省が
調整を進めていることが分かった。厚労省は助成対象の大枠の一つとして、これまでに「勤
務環境改善に向けた取り組み」を挙げていたが、具体的な事業は明示していなかった。
新たな基金の使途については、まず国が基本方針や助成対象事業を明確化する交付要綱
を定め、都道府県は、医療・介護サービスの提供体制改革に向けた整備計画を策定し、具体的
な財源の配分を国に求める。
厚労省は新たな基金の交付要綱策定に向け、助成対象事業の選定を進めている。助成対象
の大枠としては、これまでに▽病床機能分化・連携に必要な医療施設や設備の整備▽在宅医
療・介護サービス充実のための事業▽医療・介護従事者の確保・養成・勤務環境改善のための
事業-の3本柱を示していた。
3本柱のうち「勤務環境改善のための事業」として、現時点で助成対象の候補に挙がってい
るのが▽医師事務・看護業務補助者の導入や関連研修▽院内保育所や休憩スペースの設置
費・運営費▽救急医や産科医などの処遇改善を図る医療機関への財政支援一などだ。
一方、新たな基金の対象事業として厚労省は、自民党に対して、認知症対策やがん拠点病
院の充実、地域包括ケアを担う病院・診療所への配分を検討する意向も示している。
■14年度政府予算案を可決、年度内成立が確定
衆院本会議
衆院は2月28日の本会議で、2014年度政府予算案を自民・公明の与党賛成多数で可決した。
投票総数465票のうち、賛成は325票、反対は140票だった。これにより憲法の規定で、今年度
中に政府予算案が成立することが確定した。政府予算案は近く参院に送られる。
また衆院本会議では、徳洲会グループの選挙違反事件にからんだ徳田毅衆院議員の辞職
も許可した
■埼玉の医師会を処分
インフル接種で料金制限
埼玉県吉川市と松伏町の医師でつくる吉川松伏医師会(会員74人、平井真実会長)が、イン
フルエンザ予防接種の料金設定を制限していたとして、公正取引委員会は2月27日、独禁法
違反(事業者団体の禁止行為)で再発防止を命じる行政処分をした。
課徴金は、対象となった医療機関全てで基準額に満たなかったため、なかった。同医師会
は「命令に従い適切な措置を取りたい」とのコメントを出した。
公取委によると、吉川松伏医師会は2011、12年、インフルエンザの予防接種料金で、13歳以
上は4450円などとする「推奨価格」を理事会で決定。会員にファクスで伝えていた。
同医師会は公取委の調査に「会員から『目安を示してほしい』と要望された」と説明。所属
する37施設のうち、約9割が推奨価格を順守していた。周りの自治体の大半が3000円台だっ
たのに比べて割高になっていた。
厚生労働省によると、65歳未満のインフルエンザ予防接種の料金は、医療機関が自由に決め
ることができ
株式会社じほう「MEDIFAX」3月3日発行6788号掲載
■ 在宅医療、「同一建物」の解釈が鍵
全国在支診連・新田会長
全国在宅療養支援診療所連絡会の新田國夫会長は、本紙の取材に対し、2014年度診療報酬
改定で同一建物での在宅医療が適正化されることについて「地域で真面目に在宅医療を展
開していく上で、同一建物をめぐる基準をどうするかが重要な視点だ。点数の問題ではなく、
倫理的な基準をどう設定するかが大きい。現場が動きやすい方向で基準を明示してもらう
ことが、より本質的な課題だ」とし、今後、厚生労働省が発出する通知の内容が鍵になるとし
た。「在宅医療は、これから増えていくことが予想され、ここで在宅医療の在り方を明確にし
ておくことが必要だ」とも話し、地域の在宅医療を促進させるための改定にしていきたいと
した。
14年度改定では「在宅不適切事例の適正化」の名目で、訪問診療料や在宅時医学総合管理
料、特定施設入居時等医学総合管理料について、同一建物での同一日の複数訪問時の点数を
通常の点数から大幅に引き下げる。新田会長は「“同一建物”の基準を新たに見直すことを
併せて進めることが必要だ。一つはグループホームや団地での“同一建物”をめぐる条件に
ついて、きちんとした解釈通知を出してほしい」と述べた。
その上で「今後、問題となってくるのは、要介護状態の老老介護の場合で、双方が医療を必
要としている場合、片方だけ4分の1の評価ということは理解しにくい。解釈通知によって、
必要な患者に対して必要な在宅医療が提供できる体制がより確固たるものになると期待し
ている」と述べた。
さらに新田会長は「介護者なしで通院可能な人に対して、往診は不要なはずだ。それはや
はり是正すべきであり、今回の改定はめりはりを付けたと認織している」と述べた。「在宅医
療は過渡期であり、在宅医療の適応患者が増えてきたことは事実。これからは、当たり前の
ように地域で在宅患者も増えてくることから、本当の意味での在宅患者を守っていかなけ
ればならない。そのワンステップだと思う」とも述べ、地域のかかりつけ医が在宅医療を進
めやすくなるような通知を期待したいとした。
● 実績ない連携機関でもチームに参加
一方、新田会長は「14年度改定の課題は、在宅医療に関する不適切事例を見直すという点
と、かかりつけ医の在宅医療を促進する点だと受け止めている」とし、「特に、実績のある在
支診や在支病に加算が付くなど、かかりつけ医による在宅医療を促進するという方向性を
持っている」と説明した。
その上で「機能強化型在支診については、連携医療機関にも緊急往診・看取りで一定の実
績が求められる。しかし、やっているところが少ないのが実態。地方にいくと看取りの実績
がなくても、在宅医療を行っている医療機関がある」と指摘した。このため、当初は診療報酬
上のメリットはなくても、実績のない医師らに地域包括ケアのグループに参加してもらい、
実績を積み上げる方向で新たなチームづくりを始めたいと説明。「今回の改定で在宅医療の
裾野を狭めることにはならず、地域で在宅医療を展開していく基盤にしていく」と語った。
■在宅医療「社会的倫理の確保は重要」
健保連・白川専務理事
2014年度診療報酬改定で訪問診療科や在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総
合管理料について、同一建物での同一日の複数訪問時の点数を通常の点数から大幅に引き
下げることについて、健保連の白川修二専務理事(中医協・支払い側委員)は、本紙の取材に
「在宅不適切事例については、医療と介護の連携がうまくいっていないことに起因している
と思う。例えば、サービス付き高齢者住宅が、医師と契約することをセールスポイントにし
た販売促進は、本当に実体が伴ったものであればよいが、社会的倫理から逸脱したものでは
困る」と述べた。
その上で「保険者としては公的保険制度を利用した不適切な事例に対しては、厳然と対応
したい。日本の健康保険制度に対する蟻の一穴にならないようにしたい。われわれとしては、
紹介料を支払っても利益が出るということであれば、診療報酬を下げることは当然といえ
る」と述べた。
■2歯科の保険指定取り消し
北海道厚生局は26日、診療報酬を不正に請求したとして、札幌市中央区の「ライオンズ歯
科」の坂本洋介歯科医師(55)と北海道旭川市の「レオ歯科」の川島照幸歯科医師(49)の保険
医登録を取り消すと発表した。両歯科の保険医療機関指定も取り消す。処分はいずれも3月3
日付。
北海道厚生局によると、坂本歯科医師は2008年7月から13年4月、実際には行っていない診
療の報酬を請求するなどし、患者延べ145人分、約557万円を請求した。
川島歯科医師は08年11月から13年8月、実際の診療より高額な別の診療をしたなどとして
患者延べ87人分、約289万円を請求した上、監査前に診療記録の一部を廃棄していた
株式会社じほう「MEDIFAX」2月28日発行6787号掲載
■介護の処遇改善「財政的制約あるが検討したい」
田村厚労相
田村憲久厚生労働相は25日の開放後に会見し、介護従事者の処遇改善について、財政的な
制約はあるとした上で、2015年度の介護報酬改定に合わせて検討するとの方針を示した。賃
金が低いといわれる介護従事者の処遇を改善する必要性などについて考えを聞かれ、答え
た。
田村厚労相は、09年度の介護報酬改定と09年度補正予算で設けた処遇改善交付金、さらに
12年度の介護報酬改定により、介護従事者の貸金は月平均で3万円程度上がっているとの認
識を示した。その上で「次(2015年度)の介護報酬改定に向かって、財政的にいろいろな制約
はあるが、検討していきたい」と述べた。
株式会社じほう「MEDIFAX」2月26日発行6785号掲載