KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL The leukemic oncogene tal-2 is expressed in the developing mouse brain( Abstract_要旨 ) Mori, Seiichi Kyoto University (京都大学) 2000-03-23 http://hdl.handle.net/2433/180882 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 氏 名 もり せい 森 誠 ( 医 いち 学位 ( 専攻分野) 博 士 学) 学 位 記 番 号 医 博 学位授与の日付 2年 3 月 2 3日 平 成 1 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 医 学 研 究 科 分 子 医 学 系 専 攻 学位論文題 目 Thel e uke mi conc oge net at 2i se xpr e s s e di nt hede ve l opi ngmous ebr a i n 第 2 2 4 8号 ( 発生過程のマウス脳における白血病癌遺伝子 t al r 2の発現 に関す る研究) 論文調査委良 貨 ㌔ ) 影山龍-郎 論 t-1( a Z T - c e LZ 教 授 笹井芳樹 文 内 容 の 要 教 授 西川 伸一 旨 ac ut el e uke mi a-1;別 名S CL)とt aL -2は ヒトT細胞性白血病におけ る染色体転座部位か ら単離された塩 b HLH)型転写因子である。TALl,TAL2は,LYLl,NS CLl,NS CL2とア 基性へ リックス ・ループ ・ヘ リックス ( HLH型転写因子群の中で一つのサブファミリーを形成 している。 この うち t a 1 ミノ酸 レベルにおいて高い相同軽を示 し,b 7は血球系や血管内皮細胞に発現 し,特に血球の発生に必須であることが遺伝子欠損マウスの解析により示 されている. ま たこれ らの遺伝子が血球系や神経系で発現することが報告 されているが,t at -2の正常組織での機能 と発現部位 はこれまで 不明であった。 我々はマウス初期膝に発現する b HLH因子を探索する過程において,マウス 7 . 5日膝c DNAライブラリーよりマウス t al - 2c DNAをタロ-ニングし,その構造決定 と発現分布の解析を行 った。 単離 した 2 種類の c DNA( 1 3 0 7b pの t a l -2aおよび 1 1 3 9b pの t a ト2 β)はその5 ′側の非翻訳領域の塩基配列が異なって いたが,翻訳領域 は共通であった。それか ら推測 される TAL2蛋白質は,1 0 8個のア ミノ酸か らなり,b HLH領域 において 他の TAL / S CLファミリーと高い相同性を示 したが,b HLH領域よりも N末側が きわめて短いという特徴を認めた。 ノザ ンプロット解析において t al -2の発現 は成体 と胎仔休部ではほとんど検出できなか ったが,マウス腫頭部では胎生 1 0 日目か ら 1 4日目にかけて認められ,その ピークは胎生 1 2日目であった。 ns i t u-イブリダイゼーション法を用いて, 中枢神経系における t al -2の発現分布を t a卜1と比較 しなが ら検討 し 次に i 1 0日目の前視蓋および視蓋,被蓋 に t a l -2の発現を認めたが,t at -1の発現 は中枢神経系ではほとんど認めなか っ たO 胎生 1 2日目には i a ト1と tal-2の mRNAは, 間脳, 中脳, 後脳において一部では重複 しているものの固有の発現パ o n al i it m a n si nt r a t h la a mi c a( ZLI )に,中脳では視蓋 と被蓋に発現 して ターンを示 した0両遺伝子 とも間脳では前視蓋 と z た。胎生 いたが,t al -1よりもt a卜2の発現量が高か った。神経芽細胞 は脳室帯で分裂 し,中間帯か ら辺縁帯に移行 しなが ら最終分化 を行 うことが知 られているが,i al -2は視蓋の脳室帯か ら中間帯で,t aト1は辺縁帯において発現が認め られたo また被蓋で は前部で同等に発現 していたが,後部では t al -1の発現量のほうが高か ったO後脳では t ai -1と t al -2の転写産物 は峡およ a l 11のみ発現 していた.胎生 1 4日目では t al -1は検出されず,t at -2の発現 も減弱 び前橋に発現 し,後橋よりも尾側では t しなが ら前視蓋,視藍 zLIに限局 して認め られた. また視蓋 と被蓋の極めて限局 した領域に ぬか 2の強いシグナルが新 た に出現 した。 神経細胞 の分化 は種 々の転写因子の制御下 に段階的におこる複雑 な過程である。 この過程で bHLH因子 は重要 な役割を 果た している。 t a t -1相同遺伝子は嘱乳動物以外で も神経系に発現 していること,および TAL/ S CLファミリーに属する遺 at -1と t a卜2が神経発生 において重要な役割を担 って 伝子はマウスにおいて も発生過程の神経組織で発現することか ら,t いることが示唆される。赤血球系の細胞 において TALは z i n cf i ng e r型転写因子の GATAと複合体を形成 し, この複合体 は TALと GATAのそれぞれが認識する DNA配列に結合 して協調的に転写活性を誘導することが示 されているO いずれの -6 8 7- 因子の欠損マウスで も血球形成が障害 されることは TAL/ GATA 複合体が血球形成 に必須であることを示唆 しているo興 al -1と t al -2の神経系での発現部位 は GATA3と重複 しているO これは TAL/ GATA複合体が血球形成に 味深いことに t 必須であるだけでな く,特定の部位の神経細胞の分化にも関わ っている可能性を示唆する。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 申請者はマウス 7 . 5日旺 c DNA ライブラリーより t al -2c DNA をクローニングし,その構造決定 と発現分布の解析を行 っ た。推測 される TAL2蛋白質は,bHLH領域で池の TALファミリーと高い相同性を示 した。 ノザ ンプロット解析で t a ト2の発現 は胎生 1 0か ら 1 4日目の陸頭部に認め られ, ピークは胎生 1 2日目であった.i ns i t u ハイブリダイゼーション法を用いて, 中枢神経系における t a卜2の発現分布を検討 したところ, 胎生 1 0日目の前祝意, 祝 義,被蓋 に,1 2日目の前祝意,z onal i mi t ansi nt r at hal ami c a,視蓋,被蓋, 峡および前橋に認められ,1 4日目ではその発 現 は減弱 したot at -1と t a卜2は,一部では重複 しているものの固有の発現パ ターンを示 していた. at -1相同遺伝子は桶乳動物以外で も神経系に発現 し,TAL 神経分化において bHLH因子 は重要な役割を果た している。t ファミリ-の遺伝子 は発生過程の神経で発現することか ら,t at -2が神経発生において重要な役割を担 っていることが示唆 される。赤血球分化において TALは z i ncf i nge r型転写因子の GATA と複合体を形成 し,協調的に転写活性を祈導するこ とが示 されている。t at -2の神経系での発現部位 は GATA3と重複 しており,TAL/ GATA複合体が血球形成に必須である だけでな く,特定の部位の神経細胞の分化に関与する可能性を示唆する。 以上の研究は白血病癌遺伝子 t al -2の正常組織での発現部位を明 らかに し,神経発生の分子機構の解明に寄与するところ が多い。 したが って,本論文は博士 ( 医学)の学位論文 として価値あるものと認める。 2年 2月 1 4E ]実施の論文内容 とそれに関連 した試問を受け,合格 と認め られたもので なお,本学位授与申請者は,平成 1 ある。 -6 8 8-
© Copyright 2025 ExpyDoc