Adolescents`autonomyinsocialdomaintheory

総合政策研究第 15 巻第 1 号 (2012)
3
14
5
社会的領域理論からみた青年期の自律性
一一親の情報の求めと青年の開示による検討一一
A
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.
高橋彩*
要約
本研究では , 中学生 230名 (M=13.5 歳),高校生 363 名 (M=16.5 歳) ,大学生 281 名 (M=18.6
歳)を対象に,社会的領域理論に基づき,青年の活動についての親の'情報の求め・統制と青年
の 自 発的開示の 2 つの側面から自律性の発達を検討した
親の情報の求め・統制得点は,“自己
管理領域"では大学生が,“自己管理・学校領域"では中学生が最も高く,“慣習"と“多面"領
域の得点は女子の方カがτ大'
と親への信頼との問に,高校生では
のキ相目関があつた
青年の自発的開示得点は'“多面"と“道徳.慣習"領域で女子の方が高く仁'“多
面"領域ででユ高校生が最も高かつた
青年の自発的開示と親への信頼との間に 正 の相関があつた
親が子に尋ねる内容は青年の年齢と性別により変化しし,親への信頼との関連も変化すること,
親への信頼は青年の開示につながることが示唆されたた
e
キーワード
自律性,社会的領域理論,青年期,親の情報の求め,親への開示
理 (prudential) 領域や,複数の領域から判断さ
問題と目的
れることの多い多面的 (multifaceted) 領域の思考
自律性の獲得は青年期の重要な課題の l つであ
る (Steinberg, 1999).
青年期の自律性の獲得は,
社会的領域理論の観点からは,個人領域の拡大と
とらえられている
(Smetana & Turiel, 2
0
0
3;Smetana,
も区別する
(Smetana, 2
0
0
0
;S
m
e
t
a
n
ae
tal., 2
0
0
4
;
Smetana, Metzger, Ge伽an, & Campione-Baκ2006) .
T
a
b
l
e1 に先行研究で用いられた領域ごとに代表的
な問題を示した
領域は様々な事柄を分類するた
Campione-Barr, & Daddis , 2
0
0
4
) 社会的領域理論
めのカテゴリーではなく
では,判断や推論,意思決定に用いる 3 つの思考
る問題という意味である(首藤・ 二宮, 2003) . よっ
様式を区別する
(Smetana, Crean, & C
ampioneュ
その領域から判断され
て同じ問題を青年と親が異なる領域から判断する
0
0
5;首藤, 1992 ,首藤・二宮, 2
0
0
3
) 道
Barr, 2
ことも多く,青年は親に比べて個人的領域から判
徳 (moraJ)領域の思考は,他者の権利や福祉に
断する問題が多い (Smetana & Gaines , 1999) . 例
関する場面で働く.慣習(conventionaJ)領域は,
えば“青年がピアスをすること"や“青年がいつ
社会集団に参加している成員聞の関係を調整し
デートをし始めるか"を,親は慣習や自己管理領
秩序を維持する行為に関連する.個人 (personal)
域から判断するが,青年は 個 人領域から判断する
領域は,行為者だけに影響があり自 己 の統制下に
(Smetana, 1989).
あるとみなす問題である .
また近年では,自 己 の
領域の問題であると判断しでも,親が青年にその
安全や健康に関する問題として言及される自己管
行動的自律性を期待する年齢は,青年の期待より
また青年と親が同じように個人
*愛知学院大学政策科学研究所研究員
3
1
トJ
u叫
糊一一四
多而
個人
円己-'lì'理
"
n~
Sm,山田 (2叩0 )
きょ 7 だいをたたく
親にうそをつく
視との拘束を破る
親にっそをつく
視との拘束を倣る
クラブやアクテ ィピティ に事加する ことスポ
T町古で友達と{可を話すか
授業中にメモをまわす
どんな服を泊るか
性を好きになるか
誰のこ と ろに泊まり込むか
インターネットでサイトをみる
訟を恋人にするか
日記に何を書くか
自由な時聞をどう過ごすか
税が峨いな友だちと過ごす
友達とと こに 行くか
肱間後や夕食後に出かけること
却が好きではない友人とつきあっ
どれぐらい遅くまで外に,.るか
~や;,;にピアスをする
デ ー トを佑める
友だちの悲に泊まる
在理くまで帰宅しない
ビアス附の穴をたくさんあける
友だちのまに泊まる
デ ー ト L 拍める時間
家族と出かけるよりも友だちと会う
視が峨いな友だちと会う
誰とデートするか
きに友だちの家でた
多国 (W~")
ネットでアクセス L たウ エブ
うな友達
ヲレンドと過ごすこと
ジを使う
ル )フ レ/ドが設か
測が敏いな友だちと会う
友達と出かける
(ガ
ボーイ(ガール)
イノスタン トメッ セ
オ〆ラインでチャットした内経
R 指定の映耐を観 る
夜遅くまで外出する
サイト
インタ
フしノドと過ごす時間ボーイ
ル)ゥレントとどれくら
イ(プザ
ポ
性的問係
イ(ガール )
ポ
M~ 団で出かける
,N 性とダ/スに行〈
あるいは男女の
民性関係
異性に電話をかける
門限
回るピデオのタイプ
タイフ
R指定の映閣を制る
貌のしらないところで Ji. j主と過ごす
ケ ーブ ルテレビを見 る
削る映画 I R 指 定の映画)や聴く音楽の
寝主主を錦除する
寝三三を削除しない
女の子(男の子)に夢中 l なる
y や学校のクラフに参加する
在述が普段仰をしているか
おこづかいの使い方
電話で左だちと何を話すか
おこづかいの使い方
どんな苦味を聴くか
悶 由な時聞をどう過ごすか
友達が誰か
自由な時間をどう過ごすか
屯話している時間
宿題をどのようにやるか
学校 の成柿がどの税皮か
自分のお金をどのように使うか
メールや下級に何を書くか
宿題や課題を終えること
ストをあまりしっかりとや勺
;~,に朝起くまで寝ている
宿担をする
段業や芋位をさぼる
緒にすごしているか
事物を使用する
あるいは控出した
自 Itl な時聞の過ごし方
どんな服を詰るか
寝室 を締除するかとうか
何時に起 きるか
おこづかいの使い力
タトゥ
を,.れに L 、く
ジに何を書くか
特にどれくらい長い時間過ご
左 人と
イノスタノトメッヒ
すか
いつデトを始めるか
イ)フレンドがいるかどうか
デー トすることあるいはガール(ポ
枝どれ 〈 らい遅くまで師らないか
視が毘めていない友だちと出かける
夜起くまで外出する
R 指定(銭骨な性や暴力)の映両を回るどんなテレビを見るか
かどうか
出胞を終わらせた
世話で友還と何を訴すか
円記や維誌に何を書くか
スド -"1 や手校の クラゥに参加する
どの友達と
おこづかいの使い方
自由な時間をとう 過ごすか
避妊しないセックスをす る
出かける
出かける
J~~くに明 遅く まで日ている
パイトをする
とんな言葉を使うか
た 11 ょを iV.í.うか とうか
お酒が出される場所でのパーティーにお酒が山される場所でのパ ー ティ ー に性交をもっ
どんな服を弱るか
在人間係
与えられた家事をするかとうか
剖への口のきき方
マリファナや迎法ドラッグを使 IH したお酒を飲むかどうか
たばこを吸う
Daddis (
2004)
吉田決定自律性的測定項目
Smct叩 a,Cam】pionc.Barr,&
出かける
親 の期待
Smctana (
2
0
0
9
)
行動と開示の測定明日
YaU,Tlωopoulos-Chan,&
お謂が出される場所でのパーテ ィ ーに
10 代の子i.l (j選転する車に乗る
お湘を飲む
た li こを l岐弓
必 こ っかいの Í'l!:l.> 方
学校をさ"る
性交をもっ
お酒を飲む
薬物を使用する
お酒を飲む
マリファナなどドラッグを使用する
たばこを問う
クラスの先生に失礼な
Campione-Barr ( 2帥 9 )
行動と開示の澗定項目
G ,ttm岨,&
Smet叩 a ,Vi llalobos , T;ぉop山岡山胡,
門分の 1)日や!2; 型の選択
薬物を使用する
刻表味を言つ
ひどいことを言う
測定項目
貌の権威と青年の従うべき義務の
Darling ,Cumsille ,& M
a
r
t
i
n
e
z (却08 )
たば こを吸う
ことをする
口答えをする
うそをつく
うわさを広める
友だちをからかう
遭 1'lr.と慣習
2盟主旦E
問示の信念実際の開示
(2凹6 )
Smetana,Me包ger,Get卸lan, &Campic 田 B=
先行研究における領域別の刺激項目例
必こっかいの iι 、方
お i酉を飲む
ピルやワイ / を ii!:む
薬物を使用する
fff; !L~ をつく
たぱ」二を吸っ
よいテープルマナ ー
思い 曾 恭を使う
マナが悪い
たばこを肱う
手伝いをしない
年上の人に口答えをする
却に日替えをする
慣習と自己管理
許可なく親のお余を取る
き ょうだし 、をたたく
下白いをしない
(
2004)
税の構成の測定項目
Hぉebe ,Nuωi, &Nl凹ci
許可なく貌のお金を取る
一一一←~主互L目
親の権威世思決定自律性
Table 1
務内ザ同片油州輸
当相
味ロ
付株戦-叩
e (NC-N)
高橋彩
社会的領域理論からみた青年期の自律性
も遅い (Daddis & Smetana , 2005). 大学生におい
に関する研究がある.中学生は“親は私のことに
てさえ,友人の選択や異性との付き合い方,服装
は何でも口を出してくる"といった“親が子を抱
や髪型などの外見の管理を,青年が自分自身に決
え込む"関係や,“親は私の夜の外 出を許可して
定権があると考えるのに対し,親は親の権限に含
くれない"といった“子を危険や害から 守る "関
まれると考えることを示した研究(首藤・二宮,
係が多く,大学生は“親は子どものことを信じて
2000)
いるのであまり口うるさくない"といった“子が
もある
どの事柄を青年の個人領域とみなすかにおける
親から信頼・承認されている"関係が多いとされ,
親子聞の食い違いは,初期から中期青年期に増加
高校生の時期に親子関係の転換期があるという
する親子間葛藤の原因であるという
(Smetana,
社会的領域理論からみれば“子を危険や害から守
1
9
8
9
) 青年がある事柄について自分で決めても
る"ことは自己管理領域とみなすことができ,先
良いとする個人の権限の主張や自律性の要求は,
行研究と同様にこの領域は初期青年期には親が規
年齢とともに増大すること,また道徳,慣習,自
則を作ってい ることが示唆される .“何でも口を
己管理領域においては,親が規則をつくってもよ
出して くる"関係は,青年期後期には“親は私の
いとする一方,個人領域の事柄においてはそうし
考えを尊重し,自分の意見を押しつけることはな
た親の権威や従うべき義務を拒絶することが,
い"という青年の自律性を認めた関係へと変化す
様々な文化的背景をもっ青年を対象とした研究で
るとされたが,社会的領域理論から検討すれば,
確認されている(例えばアフリカ系アメリカ人青
どのような事柄をどの時期に親は口を出さなくな
年 Smetana, e
ta 1., 2005;フィリピン人青年
るのかを知ることが可能とな るだろう.
Darling , Cumsille , & Pena-A1ampay, 2005;チ 1) 人
本研究では,社会的領域理論に基づき,青年期
青年 Darling, Cumsille , & Martinez , 2008 など) .青
の自律性を具体的に以下の 2 つの側面からとらえ
年の自己決定権の求めや親の権威の正当性に対す
る.
る信念の変化は,青年期にわたり親が青年の自律
に対する親の口出しについてである目先行研究
性を許容する程度に影響を与えると考え られる.
(Ke汀& Stattin, 2
000;Sta仕in & Kerr, 2000) の親の
親が青年の個人の自由を過度に統制することは青
統制,親の情報の求め (solicitation) にあたり,“お
年の不安や怒りと関連する一方で (Hasebe, Nucci ,
こづかいを 何に使 ったのかきく "や “誰と会った
& Nucci , 2
0
0
4
),初期青年期に個人領域において
か話して,
青年の意思決定自律性を持たせるほど,青年期後
親がどの領域に関して知ろうとしているか,統制
期の抑うつに結びつくことが明らかになっている
しようとしているかを測定する.親権威概念につ
したがって,青年期の子
いての先行研究 (Sm巴tana, 2
0
0
0
;Smetanae
ta 1.,
どもをもっ親は,子どもの安全や保護を目的とし
2004) から,慣習と自己管理領域は親が青年の行
たモニタリングや子どもの行動の統制と,青年の
動を制限する規則を作っても良いと判断されるこ
自律性を促す試みとを,事柄に応じて適切な時期
とから,個人領域よりも,慣習領域や自己管理領
に行う必要性があると言える.
域において,親の情報の求めや統制が多いと予測
(Smetanae
ta1., 2
0
0
4
)
社会的領域理論にもとづいた数多くの研究が蓄
積される中,
1 つは親の子を知るための試みや青年の行動
される
と言う"などが代表的な項目である.
また外見や好みに関する事柄は比較的早
日本 人青年を対象にした研究
い時期から親も青年も個人の権限があるとみなす
(Hasebe , e
ta 1., 2004; 首藤・二宮, 2003) はまだ少
ことから,個人領域の事柄についての親の情報の
なく不十分であるといえる.
求めや統制は,初期青年期よりも中期,後期青年
日本において青年期
の自律性をめぐる親子関係の変化をとらえたもの
に,落合・佐藤( 1996) の心理的離乳のプロセス
期において少なくなると予測される.
2 つ目は,青年が自分に関する情報を親に自ら
3
3
総合政策研究第 15 巻第 l 号 (2012)
話すことについてである .
視 (monitoring)
従来の研究では親の監
の統制の弱さと関連する
(Darling, e
tal., 2005) こ
を“親が青年の活動についてど
とから,男女ともに親への信頼は青年の自発的開
の程度知っているか"という親の知識としてとら
示と正の相闘があると予測した.第 3 の目的とし
えていたが,むしろどの程度青年が自発的に親に
て,親の情報の求め ・ 統制と青年の自発的開示と
自分の情報を開示しているかによって親の知識量
の関連を検討することである.先述したように,
が決まるという指摘がある
親の知識が青年の自発的開示からもたらされてい
(Keη& Stattin, 2
000;
0
0
6
) 青年は年齢とともに親に開
Smetanae
tal., 2
るという指摘はあるが,親が青年の行動を統制し
示する義務はないと判断したが,領域によって実
たか確認しようとする試みによって,青年が自
際の開示の程度に年齢差や性差があった (Smetana
分から親に話す習慣が形成されることも考えられ
e
tal., 2
0
0
6
) 個人領域は多面領域よりも親に開示
るー青年が年齢とともに,親の権威を拒絶し,自
する義務はないと判断されるため (Smetama, e
t
分自身の行動について意思決定自律性をもっとみ
al., 2006) ,個人領域の事柄は他の領域に比べると
なすようになるため,親に自分の行動について話
開示しないと予想される .
また青年の意思決定自
すかどうかは親の統制とは関係がなくなるだろ
律性の獲得にともなって
自発的な開示は年齢と
う.そこで,親の情報の求め・統制と青年の自発
ともに少なくなると予測される
さらに初期青年
(
S
t
a
t
t
i
n& Ke叱 2000) ,中期青年 (Tasopou1os, Yau,
& Smetana, 2007) において男子よりも女子の方が
親に自発的に開示することから,女子の方が親へ
自発的に開示し,開示する事柄も多いと予測され
的開示との関連は,初期青年期の方が正の相闘が
あると予測した.
方法
調査対象者
愛知県内の公立中学校 1 校,愛知県内の公立高
る
本研究の第 l の目的は,以上のように社会的領
校 l 校,静岡県内の公立高校 l 校,愛知県内の私
域理論で定義される青年の日常の行動に関する親
立大学 l 校において質問紙調査を実施した中学
の情報の求め・統制と青年の自発的開示が,
どの
生は l 年生と 2 年生230名(男子 120名,女子 110名,
ような年齢的変化を示すのか,また性差があるか
平均年齢 13.5 歳) ,高校生は l 年生から 3 年生ま
どうかを明らかにすることである.第 2 の目的は,
での 363 名(男子 174 名,女子 189 名,平均年齢
親の情報の求め・統制と青年の自発的開示と自尊
16.5 歳),大学生は l 年生から 4 年生までの 281 名
感情及び親への信頼との関連を検討することであ
(男子 196名,女子 85 名,
18 . 6歳)の回答を得た.
る.それにより青年のために親が統制するべき事
柄の範囲や統制すべき時期について明らかに出来
ると考えられる . 個人的,多面的問題の意思決定
調査時期
中学校は 2007 年 3 月,高校は 2007 年 12 月から
自律性が青年期中期から後期にかけて増大するこ
2008 年の l 月に授業担当教員に実施を依頼した
とは ,
大学は 2007年 4 月の講義時間内に実施した.
よい自己価値や低い抑うつに結びつくこと
(Smetanae
tal., 2004) が明らかになっていること
から , 個人的領域と多面的領域の親の情報の求め ・
統制と自尊感情は,青年期後期においては負の関
連があると予測した
また親へ の信頼は青年の開
示の多さ (Smetana e
tal., 2006)
と関連し,親が
調査項目の作成
“親の情報の求め・統制"と“青年の自発的開示"
の 2 つの変数は,社会的領域理論の先行研究
(
T
a
b
1
e1)を参考に,道徳,慣習,個人,多面,
子どもを信頼することは,親の自分の子どもに関
自己管理の領域に対応する項目を作成した
する知識の多さ,個人領域と自己管理領域への親
ごとの項目作成にあたって引用,参考にした文献
34
領域
高橋彩.社会的領域理論からみた青年期の自律性
は以下の通りである.
ているのかをたずねる"など 14項目に対し,“よ
道徳領域.他の生徒をからかう
(Smetana & Bitz,
(4 点) "“ときどきある( 3 点)"“あまり
ない (2 点) "“全くない( 1 点) "の 4 段階評定
1
9
9
6
)
慣習領域:マナーが悪い (Sme蜘a, 2000). 悪い
言葉を使う
くある
で回答を求めた.
(Hasebe e
tal., 2
0
0
4
)
2.
青年の自発的開示:“自分の友達がどんな
個人領域:自分の服や髪型の選択 (Smet加a,
子なのかを自分から親に話す"など 13 項目に対し,
2
0
0
0
). どんな服を着るか (Hasebe e
tal., 2
0
0
4
).お
“あてはまる (4 点)"“ややあてはまる( 3 点)"“や
こづかいの使い方 (Sme刷a, 2
0
0
0
;Hasebee
tal., 2
0
0
4
;
やあてはまらない( 2 点) "“あてはまらない 1 点"
0
0
6
) ,自由な時聞をどう過ごすか
S
m
e
t
a
n
ae
tal., 2
の 4 段階評定で回答を求めた
3.
(
D
a
d
d
i
s& Smetana, 2
0
0
5
;Smetanae
tal., 2
0
0
6
)
親への信頼: I
n
v
e
n
t
o
r
yofP
a
r
e
n
tAttachment
多面領域・寝室を掃除する,デートをする
(Armsden& Greenberg, 1987) の親との信頼とコ
(Smetana, 2
0
0
0
;Hasebee
tal., 2004). 誰を友達にする
ミュニケーションを測る 28項目より,特に信頼感
か (Daddis & Smetana, 2
0
0
5
).インターネットでサイ
を代表した内容で表現が簡潔で、分かりやすい 5 項
トをみる (Smetana e
tal., 2
0
0
6
)
. R 指定の映画を観る
自己管理領域:お酒を飲む,タバコを吸う
目を選んだ
具体的に,“親は私の気持ちを尊重
してくれる"“親は私が決めることにまかせてく
(Smetana, 2
0
0
0
;Hasebee
ta l., 2
0
0
4
;Smetanae
tal.,
れる"“親は私をありのままに受け入れてくれる"
2
0
0
6
).インスタント食品やスナック菓子ばかり食
“私はもっと違った親をもっていたらよかったの
べる (Smetana &Asquitb , 1
9
9
4
;Smetana& Bi包, 1
9
9
6
)
にと思う(逆転項目)"“親は話し合うとき,私の
自己管理・学校領域:宿題やテストをあまりしっ
意見を大切にしてくれる"に対し“あてはまる (4
かりとやらないこと,宿題や課題を終えること
点)"から“あてはまらない( 1 点) "の 4 段階評
(Sme凶a e
tal., 2
0
0
6
)
.
定で回答を求めた.主成分分析の結果,第 l 主成
本来,社会的領域は出来事の判断に用いる思考
様式であるため,出来事の分類カテゴリーとして
は使用できない.
分にすべて .52 以上の負荷量を示したため. 5 項
目の合計を親への信頼得点とした (α=.83)
しかし 10年以上にわたる多くの
4 自尊感情:自尊感情尺度(山本・松井・山
先行研究から,出来事によっては繰り返し特定の
成.
領域で判断されるという妥当性が得られている.
価値のある人間である"など 10項目に対し,“あ
そこで本調査では出来る限 j
てはまる
複数の研究で妥当
1982) を使用した
“少なくとも人並みには,
(4 点)"から“あてはまらない( 1 点)"
性が確認されていて社会的領域を代表するような
の 4 段階評定で回答を求めた.調査に使用した他
項目を選定した道徳と慣習領域は,比較的青年
の変数の項目はすべて中間点のない 4 段階評定で
期を通して判断の変化が少なく,親子間の判断の
あったため. 5 段階評定を 4 段階評定に変更した
ずれも少ない.青年の自律性をとらえる上では個
人領域や多面領域に親子関係の発達的変化が顕著
に現れると考えられ,道徳と慣習領域項目は 1 項
目に限定した.
結果
1.親の情報の求め・統制の因子構造
親の情報の求め・統制の 14項目について,各項
目の社会的領域を決定するため,因子分析(主因
調査内容
l.親の情報の求め・統制:親が青年の行動を
子法,プロマックス回転)を行った
複数の因子
に負荷量が高かった 3 項目を削除し再度因子分
知ろうとしたり,行動を管理しようとする程度を
析を行ったところ,回転前の固有値の減衰状況は,
測るために作成した.“どんな友だちとつきあっ
3.10 , l. 61 , l.l 0 , l. 00 であり,解釈可能性から 4 因
3
5
総合政策研究第 15 巻第 l 号 (2012)
子を抽出した (Table 2
).T
a
b
l
e2 には因子負荷量,
2. 親の情報の求め・統制における性差および
因子間相関,信頼性係数と,各項目の先行研究に
おける領域 (Table 1 ,調査項目の作成参照)を示
学校段階差
親の情報の求め ・ 統制について,自己管理,慣
習,多面,自己管理・学校領域の得点について,
した.
第 1 因子は,“タバコをすっていないかどうか
学校段階 (3)
x 性 (2) の 2 要因分散分析を行っ
を確認する"“お酒を飲んでいないかどうかを確
た.学校段階の主効果が有意で、あった項目につい
認する"という 2 項目からなっていた目また第 4
ては多重比較を行った Table 3 には領域得点の分
因子は,“学校の宿題をちゃんと出しているかど
散分析結果を示した
うかとたずねる"“学校のテストの結果がどうだっ
学校段階差
自己管理領域 (F(2 , 868) =8.05,
たのかをたずねる"という 2 項目からなっていた.
pく.01)
いずれも先行研究で使用された領域を代表する項
pく.0 1)において,学校段階の主効果が有意であっ
目であったため, 2 項目ではあるが,第 l 因子を
た多重比較の結果,親の情報の求め・統制の自
“自己管理領域第 4 因子を“自己管理・学校領域"
己管理領域得点は,高校生や中学生よりも大学生
とした第 2 因子は,“言葉づかいや行儀が悪い
において高かった
と注意する"という慣習領域を代表する項目が最
自己管理・学校領域得点は,高校生や大学生より
も高い負荷を示していた他の 3 項目は“服装や
も中学生において高かった.
髪型について,そんなのはやめたら,などと注意
と自己管理・学校領域 (F(2 , 868) =27.69,
また親の情報の求め・統制の
性差慣習領域 (F(1 , 868)=26.70 , Pく.0 1)と多
する"“インスタント食品やお菓子ばかり食べな
面領域 (F(1 , 868)=28 . 67, Pく.0 1)において ,
いでと言う"“部屋の掃除をしなさいと言う"で
の主効果が有意であった
あった.“服装や髪型"は先行研究では個人領域
子において親の情報の求め・統制の得点が高かっ
の代表的な項目であった
た.
しかし第 2 因子の 4
項目の内容を総合すると,親が行儀や礼儀,秩序
性別
いずれも男子よりも女
なおすべての領域で交互作 用は有意ではな
かった
といった観点から判断し青年の行動を統制して
いる項目からなっていると解釈できる.よつて第
3. 青年の自発的開示の因子構造
青年の自発的開示の 13 項目について,各項目の
2 因子を
研究で多面領域の項目であつた“どんな友だちと
社会的領域を決定するため,因子分析(主因子法,
つきあつているのカかミをたずず、ねる"“つきあつてい
プ ロ マックス回転)を行った
る人(恋人)がいるのカか、どうカか、をきくぐ"と,
個人
量が高かった 2 項目を削除し再度 因 子分析を
領域項目の“今日は 1 日どんなことがあったのか
行ったところ,回転前の固有値の減衰状況は, 5 .1 9,
ときく"からなっていた.青年の友人関係や自由
1. 57 , 0.86 , 0.76 であり,固有値 1. 00以上を基準に 2
時間の過ごし方は,個人の自由といった側面と,
因子を抽出した (Table 4
)
.T
a
b
l
e4 には因子負荷量,
誰とどこにいるのかを確認するという安全面と
因子問相関 , 信頼性係数と,各項目の先行研究に
複数の領域から判断される事柄であると言える.
おける領域を示した
よって第 3 因子は“多面領域"とした.
複数の因子に負荷
第 l 因子は,先行研究において個人領域だ、った
因子ごとに項目数が異なるため,項目合計得点
3 項目,多面領域だった 2 項目,自己管理・学校
を項目数で除し領域得点として以下の分析で用
だ、った 1 項目からなっていた,親の情報の求め・
いた
統制の因子分析で“多面領域"とした項目である
“今日は 1 日どんなことがあったのか"“自分の友
達がどんな子なのか"“つきあっている人 (恋人)
36
、、通
'
"
多面
部屋の掃除をしなさいと言う
多面
個人
今日は 1 日どんなことがあったのかときく
3
.
0
3 (
1
.
54
)
自己管理・学校
*
*
p
<
.
O
I
2.
21 (
2
.
2
5
)
多面
2 河(1.5 5)
2
.
5
1 (
2
.
2
1
)
2.
46 (
2
.
7
7
)
2
.
2
9 (
2
.
7
3
)
(SD)
慣習
M
(SD)
M
n=110
1
.22 (
1
.
18
)
女子
中学生
n=120
男子
2.
45 (
1
.
74
)
2
.
2
2 (
2
.
2
6
)
1
.20
(2.17)
2.
33 (
1
.6
5
)
2泊
2
.
6
0(
2
.
8
7
)
(SD)
2.
7
1
)
2
.
2
7 (
M
n=189
.
8
9
)
1
.
15 (
(SD)
女子
(
.
9
6
)
M
n=174
高校生
20
.
1
8
.
2
2
ー .07
09
ー 10
.
0
1
1
7
.
0
6
1
0
.
11
.
1
0
.
8
3
.
8
2
F
1
.
5
5
5
1
.
0
1
.
0
3
.
0
6
.04
.
1
8
.
6
6
.
6
3
.
40
.
40
.
0
9
.
1
1
F2
(SD)
n=196
2
.
5
3 (
1
.
75
)
2
.
1
5 (
2
.
1
2
)
2
.
2
2 (
2
.
8
9
)
(SD)
n=85
2.
42 (
1
.6
3
)
2.
48 (
2.
32
)
2.
49 (2 万)
.
9
4
)
1
.
30 (
M
女子
大学生
8
.
0
0*
*
*
2
7
.
6
9*
n
.
s
.
n
.
s.
*
2
8
.
6
7*
n
.
S
.
n
.
s
.
交互作用
n
.
s.
n
.
S
性別
F値
26.70 ホキ
n
.
S
.
8
.
0
5*
*
学校段階
性別平均値 (80) と 2 要因分散分析の結果
l 泊( 1
.
30
)
M
男子
親の情報の求め-統制の学校段階別
男子
Table3
F2
F3
F4
自己管理・学校
学校のテストの結果がどうだったのかをたずねる
因子間相関
自己管理・学校
学校の宿題をちゃんと出しているかどうかとたずねる
F4 自己管理・学校領域
多面
どんな友だちとつきあっているのかをたずねる
つきあっている人(恋人)がいるのかどうかをきく
.
5
8
自己管理
インスタント食品やお菓子ばかり食べないでと言う
日=
個人
F3 多面領域
慣習
服装や髪型について,そんなのはやめたら,などと注意する
1
.2
5 (
1
.
35
)
*pく.05 ,
.
6
2
言葉づかいや行儀が悪いと注意する
自己管理
領域
α=
自己管理
F2 慣習領域
自己管理
タバコをすっていないかどうか確認する
おける領域
先行研究に
親の情報の求め-統制の因子分析結果
お酒を飲んでいないかどうか確認する
F
1 自己管理領域
項目
Table2
多重比較
.
7
1
.
5
2
06
0
9
ー . 03
.
1
2
1
1
.
1
9
ー .01
06
.
0
5
F4
男子く女子
男子〈女子
高校=大学<中学女子く男子
高校=中学〈大学
.
47
.
1
3
ー .05
.
8
1
.
40
.
40
.0
1
ー 10
.
0
4
.
1
1
.
0
2
0
1
F3
ËJD十
-
司fiーや容
E
3
持
主主
温和
,下
ト
、S"
ミ〆ト
5錨善事宰
Eか'
洋
古車
宅投
総合政策研究第 15 巻第 I 号 (2012)
がいること"が全て含まれていた
そこで第 l 因
校生女子,大学生男子,大学生女子において有意
子の 6 項目を“多面領域"と解釈した第 2 因子は,
な負の相聞があった(順に r=-.25 , r
=
.
2
2r=ー .29 ,
先行研究で自己管理領域,道徳領域,慣習領域,
pく 0 1).自己管理・学校領域得点と親への信頼と
多面領域とされた項目からなっていた.“タバコ
の聞に,高校生男子と高校生女子で有意な負の相
をすったこと"“お酒を飲んだこと"“成人向けの
闘があった (r=-.33 , r=ー .23 , pく.0 1) .
情報をみたこと"という項目は,中学生や高校生
生男子のみ自己管理領域得点との聞に,有意な負
において法律や規則から違反行為と見なされるの
の相関 (r=ー .29 , p<.01) があった.
で,第 2 因子の 5 項目は“道徳・慣習領域"と解
青年の自発的開示との関連
また,大学
自発的開示の多面
釈した.因子ごとに項目合計得点を項目数で除し
領域得点と親への信頼との聞には,全ての学校段
たものを,領域得点とした
階において有意な正の相聞があった (r=.20~
r= .48, pく.0 1) • 自発的開示の道徳・慣習領域得点
4. 青年の自発的開示における性差および学校
段階差
高校生女子において有意な正の相関があった (}II頁
青年の自発的開示について,多面領域得点,道
徳慣習領域得点について,学校段階 (3)
分散分析結果を示した
6. 自尊感情との関連
親の情報の求め・統制,青年の自発的開示の各
多 面領域において,学校段階の主
効果が有意であった (F(2 , 868) =4.32 , Pく 05) .多
重比較の結果,大学生や中学生よりも,高校生の
自発的開示の多面領域の得点が高かった.
性差性別の主効果は,多面領域 (F( 1,868)
=147.84, pく.01)
に r=. 38 , r=
.
29r=.30 , p<. 0l)
x 性 (2)
の 2 要因分散分析を行った Table 5 に領域得点の
学校段階差
と親への信頼との聞に,中学生男子,中学生女子,
と道徳・慣習領域 (F(I , 868)
=3 1. 64 , Pく .01) ともに有意であり,男子よりも女
領域得点と ,
自尊感情 10項目の合計得点との相関
係数を算出した.
親の情報の求め・統制との関連
高校生女子に
おいて,慣習領域得点と自尊感情との聞に有意な
負の相聞があった (r =へ 16, Pく.05) 以外,有意な
相関はなかった.
青年の自発的開示との関連
中学生の男子,女
子と高校生男子において有意な相関はなかった
子の自発的開示得点が高かった
高校生女子と大学生女子において,青年の自発的
開示の多面領域と自尊感情との聞に有意な正の相
5. 親への信頼との関連
親の情報の求め・統制,青年の自発的開示の各
関があった(それぞれ r= . 17 , pく.05 , r=.31 , p<
.
o1
)
領域得点と,親への信頼 5 項目の合計得点との相
大学生男子において,青年の自発的開示の道徳・
T
a
b
l
e6 に,有意な相関のみ示
慣習領域と自尊感情との聞に有意な正の相闘が
関係数を算出した.
あった (r=.21 , pく.0 1) •
した.
親の情報の求め・統制との関連
中学生男子に
おいて,慣習領域,多面領域得点と,親への信頼
感との聞に有意な正の相闘があった(それぞれ
r=.22 , r =.21 , pく .05)
中 学生ではこの 2 項目以外
7. 親の情報の求め・統制と青年の自発的開示
との関連
親が青年の行動を確認することと,青年が親に
に親への信頼との有意な相関は見られなかった.
きかれなくても自分から親に話すこととの関連を
一方,高校生と大学生で見られた親の情報の求め・
調べるため,親の情報の求め・統制と青年の自発
統制と親への信頼との相関はすべて負の相関で
的開示で使用した同じ事柄の項目同士の相関係数
あった
を算出した (Table
3
8
慣習領域得点と親への信頼との聞に,高
7
)
両変数で使用した表現が
、G
'
"
*p<.05 , キ *p<.OI
道徳・慣習
多面
領域
自己管理・学校
多面
学校のテストの結果がどうだったのかについて,自分から親に言う
つきあっている人(恋人)がいることを,自分から親に話す
(
S
D
)
1
.4
5 (
3
.
0
8
)
1
.8
9 (
4
.
0
3
)
M
(
S
D
)
(
S
D
)
M
1
.9
2(
4.
41
)
2
.
7
8 (
4
.
91
)
n=189
女子
高校生
n=174
1
.6
4 (
4
.
0
4
)
乱4
男子
n=110
52 (
4.
32) 2
.
1
1 (
4
.
6
1
)
2.
(
S
D
)
女子
中学生
n=120
M
1
.5
4 (
2
.
9
3
)
(
S
D
)
n=85
1
.7
1 (
3
.
8
1
)
2
.
7
2 (
4
.
5
3
)
(
S
D
)
M
1
.9
7 (
4.
32
)
女子
n=196
男子
大学生
n
.
s
n
.
s
31
.6
4*本
n
.
s
.
7
0
.
6
7
.
7
1
.
8
2
.
7
3
.
1
1
.
0
5
.
1
3
.
1
4
.
2
5
ー .08
F2
男子く女子
大学=中学<高校男子〈女子
交互作用多重比較
.
5
6
.
0
8
ー .06
.
0
7
.
0
6
ー .04
.
9
3
.
9
3
.
7
7
.
5
6
.
42
.
41
F
1
4
7
.
8
4*ホ
4
.
3
2* 1
学校段階性別
F1i直
青年の自発的開示の学校段階別・性別平均値 (8 0 ) と 2 要因分散分析の結果
2
.
0
0 (
4
.
2
9
)
M
男子
Tabl
e5
慣習
先生や近所の人に会つでもあいさつをしていないことを,自分から親に言う
因子間相関
自己管理
多面
お酒を飲んだことを,自分から親に言う
クラスメートをからかったり,いじわるをしたことを,自分から親に言う
パソコンなどで成人向けの情報をみたことがあることを,自分から親に言う
自己管理
道徳
タバコをすったことを,自分から親に言う
F2
個人
おこづかいやお年玉で何を買ったのかを,自分から親に話す
.
8
5
多面
自分の友だちがどんな子なのかを,自分から親に話す
α=
個人
F2 道徳・慣習領域
個人
.
8
6
おける領域
先行研究に
友達とどんなことを話しているのかを,自分から親に話す
α=
青年の自発的開示の因子分析結果
今日は 1 日どんなことがあったのかについて自分から親に話す
F
1 多面領域
項目
Tabl
e4
刑制蒜掛川洋品押$市剤耐沖r
縄i野
晶
p
げ
時相抽出quE
帯、
一
昨
総合政策研究第 15 巻第 l 号 (2012)
Table6
親への信頼との相関
親への信頼
領域
高校生
中 学生
M
(
S
D
)
男子
女子
1
3
.
7
7
(
3
.
61
)
1
4
.
2
6
(
3.
30
)
男子
24
1
5.
(
3
.
2
8
)
大学生
女子
男子
女子
1
5.
8
1
(
3
.
3
0
)
1
4
.
9
0
(
3
.
2
1)
1
5
.
7
3
(
3
.
5
8
)
親の情報の求め・統制
.
2
9*
*
自己管理
慣習
.2 2 ネ
多面
.
2
1*
一 .25
*
*
*
.
3
3*
*
.
2
3*
*
24*
*
.
48*
*
.
2
2*
*
ー .29
*
*
ー 16
自己管理・学校
青年の自発的開示
多面
道徳 ・ 慣習
.
41*
*
32*
*
.3 8 キ*
29*
*
20 本*
32 キキ
.30 キ*
注有意な相関係数のみ示す。
キpく .05 , **pく 01
Tab l e フ
親の情報の求め-統信IJ と青年の自発的開示との相関
中学生
女子
男子
項目
高校生
男子
.
37*
*
クラスメートのいじめ/からかい
大学生
女子
ー 15 キ
言葉づかいや行儀/あいさつ
男子
女子
.
17*
.1 7 本
今日は l 日どんなことがあったのか
36*
*
20*
24*
*
おこづかいやお年玉などのお金の使い道
.
37*本
.
2
8*
*
28*
*
どんな友だちとつきあっているか
.
2
7*
*
48*
*
2
1*
つきあっている人(恋人)がいること
お酒を飲んだこと
.
2
7*
*
.
2
6*
*
.
2
2*
.
1
7*
26*
*
.
2
6*
*
.
5
6*キ
.1 5 キ
25*
*
タバコをすったこと
.
1
8*
学校の宿題をちゃんと出しているか/出さなかったこと
2
1*
学校のテストの結果がどうだったのか
23*
.
22*本
注有意な相関係数のみ示す。
*pく 05 , **pく 01
異なる多面領域の“パソコン"と自己管理領域の
ど関連がなかった.“つき合っている人(恋人)
“食事"の項目は分析から除外した.
がいること"は女子では中学生 (r=.21 , pく .05) ,
親の情報の求め・統制と青年の自発的開示の因
高校生 (r=.26 , pく.0 1)大学生 (r=.56 , pく. 0 1)で
子分析で多面領域となった“今日 1 日どんなこと
有意な正の相闘があったが,男子は高校生のみ有
があったのか"は,男女とも中学生から大学生ま
意な正の相関 (r = .26 , pく.01)があった
で有意な正の相関があった (r=.20~.36) .
“どん
また因子分析の結果,青年の自発的開示では多
な友だちとつきあっているか"は中学生では有意
面領域となったが,親の情報の求め・統制では除
な正の相関(男子 r = .27 , pく .01 ,女子 r=.4 8 ,
外項目となった“おこづかいやお年玉などのお金
pく .0 1)があったが,高校生や大学生ではほとん
の使い道"は,中学生男子,中学生女子,高校生
40
高橋彩
社会的領域理論からみた青年期の自律性
男子で有意な正の相闘があった( }II買に r=.37 ,
2000) ため , 個人領域よりも親の情報の求め・統
r=
.
2
8r=.28 , pくβ 1)
親の情報の求め ・ 統制では
制が多いと予測した本研究では個人領域がまと
自己管理・学校領域となったが,青年の自発的開
まらず,その代表的な項目である“服装や髪型"
示では多面領域となった“テストの結果がどう
の項目も慣習領域に含まれたため,この仮説を直
だ、ったのか"は,中学生男子,中学生女子,高校
接検討することは出来なかったしかし平均値は,
生女子で有意な正の相聞があった( }II買に r=.21 ,
自己管理領域が他の領域よりも低く ,
r=.23 , p<.05 , r=.22 , p<.0 1) .
域の親の情報の求め ・ 統制が多いとは言えなかっ
自己管理領
たさらに自己管理領域で学校段階差が有意であ
考察
り,中学生や高校生よりも,大学生の得点が最も
本研究では社会的領域理論の先行研究にもとづ
いて,中学生 ,
高校生,大学生を対象に , 青年期
高かった親は , 青年がすでに問題行動に関わっ
ているほど,
青年の行動を監視しようとする
の自律性の獲得古親の情報の求め ・ 統制と青年
(
T
i
l
t
o
n
W
e
a
v
e
r&Galambos , 2003) . おそらく本サ
の自発的開示の 2 つの側面からとらえることを試
ンプルの青年に非行や問題行動が少なく,そうし
みた従来の心理的離乳の研究においてはいつど
た青年に対しては,お酒やタバコに関して親が統
のような事柄について , 親が口を出さなくなるの
制をする必要がなかったため (Ke町&
か,
2000)
青年の判断にまかせるのかは明らかになって
と考えられる .
Stattin,
そのため実際に接する機会
いなかったため,本研究では事柄の違いを社会的
が多くなる大学生の得点のみ高くなったのだろ
領域理論の概念的枠組みを用いて分類することを
っ
試みた .
さらに先行研究に従って,親の情報の求
一方,自己管理・学校領域は ,
中学生が最も高
め・統制および青年の自発的開示と,青年の自尊
く,中学生の親にとっては将来のリスクに関連す
感情や親への信頼との関係を検討した
る問題として判断されたため,親の情報の求め ・
統制の得点が高くなったと考えられる.親の情報
1.親の情報の求め・統制の領域について
の求め・統制の得点は,自己管理領域では大学生
親の情報の求め・統制についての因子分析結果
が最も高 く ,自 己管理・学校領域では中学生が最
から,慣習領域には,先行研究の“言葉づかいや
も高いという学校段階差があったが,他の領域で
行儀"以外に, "~ß.装や髪型"“インスタント食品
は有意な学校段階差はなかった青年の年齢とと
やお菓子 " “部屋の掃除"といった項目がまとまっ
もに親の監視は減少する
た
2002)
これらの事柄を日本の親がマナーの問題とと
(Smetana & Daddis ,
ことから,中学生の得点が最も高く,大学
らえて,青年の行動を統制していることが示唆さ
生が最も低いと予測したが,以上の結果から,親
れる.慣習領域の親の情報の求め・統制には性別
の情報の求め・統制は,青年の年齢とともに減少
の主効果があり , 女子の得点が高かった
するというよりも,青年がその時期に実際に行う
これは
“言葉づかいや行儀"“部屋の掃除"に対する女子
活動で,
への親の性役割期待が反映されたものと考えられ
に対して行われることが示唆された .
る.
己管理・学校領域の得点は性別の主効果があり
自己管理領域と自己管理・学校領域は先行研究
と同じ項目で構成された
年の健康や安全,
自己管理領域とは,青
リスクから判断される問題であ
さらに,自
男子の得点が高かった学業の達成は伝統的に男
子の方が期待されており
慣習領域の女子の得点
が高かったことと同様に ,
親の情報の求め・統制
る.自己管理領域は,親が青年の行動を制限する
には ,
規則を作っても良いと判断される
唆される.
(Smetana,
しかも青年のリスクや健康に関わる行動
親の性役割期待が反映されていることが示
4
1
総合政策研究第 15 巻第 l 号 (2012)
因子分析の結果,多面領域の 2 項目は先行研究
学校領域得点との聞に ,
高校生では男女ともに有
どおりまとまった.“どんな友達とつきあってい
意な負の相闘があった
これは高校生になれば,
るのか"という多面領域の項目は,
宿題や成績に関する親の確認を,すでに自分が統
自己管理領域
とさ
制できていることに対する干渉と受け取ったのか
青年の友人関係,恋人関係といった事
もしれない.この領域の親の情報の求め・統制が
柄は個人の自由や好みの問題であると判断できる
最も高い中学生ではそうした関連は無く,親の同
一方,悪い友人とのつきあいは,青年のリスクと
じ行動が青年の発達,意識の変化にともなって異
関連する可能性もある.多面領域の親の情報の求
なって受け取られることが示唆される.
と個人領域との重複 (Smetana e
tal., 2005)
れている
め・統制は,男子よりも女子において得点が高かっ
自尊感情と親の情報の求め・統制との関連は明
た本結果の多面領域には,“今日は l 日どんな
確にならなかった.過剰な親の統制が青年に及ぼ
ことがあったのかきく"も含まれており,本研究
す影響を知るために,今後は先行研究 (Hasebe e
t
の結果は,自由時間の過ごし方について親が情報
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tal., 2004) で使用された他の
を求めることは女子に多く
変数(怒り,不安,抑うつなど)も加えて検討す
(Stattin & Kerr,
2
0
0
0
).親は男子よりも女子を監視する (Smetana
& Daddis , 2002)
た
る必要がある
という先行研究の結果と一致し
親にとって保護の観点から息子よりも娘の行
動を把握する方が重要であるのかもしれない.
3. 青年の自発的開示の領域について
因子分析結果は,先行研究の領域とも,本研究
の親の情報の求め・統制との領域とも 一 致せず,
2. 親の情報の求め・統制と親への信頼,自尊
感情との関連
2 因子になった
因子名は,多面領域と道徳・慣
習領域としたが,内容を大きく分けると,道徳・
個人領域と多面領域は年齢とともに親の権威の
(Smetana, e
tal., 2005)
慣習領域は中学生と高校生にとっては規範からの
と
逸脱行為を含み,多面領域はそれ以外の自分に関
青年期後期に親の情報の求め・統制
する情報からなっていた.青年は年齢とともに親
が高いことは,青年が自己決定の権利を侵害され
の権威を認めなくなり,個人の自由であると 判 断
た,あるいは親が自分を尊重していないと感じ,
する事柄の範囲が拡大することから,自発的な開
親に対する信頼感を低下させると予想したが,慣
示は年齢とともに少なくなると予測したが,多面
習領域においてそのような関連がみられた
領域は高校生の得点が最も高かった
正当性を認めなくなる
されている
高校
高校生は高
生女子と大学生の男子と女子では,慣習領域にお
校生の時期に親子関係の転換期があるとの指摘
いて,親への信頼との聞に有意な負の相闘があっ
(落合・佐藤.
た.
ら親に自分の情報を開示するのかについては,今
ところが中学生女子ではすべての領域と関連
1996) があるが,なぜ、高校生が自
がなく,中学生男子では慣習領域と多面領域にお
後の検討が必要である
いて,親への信頼との聞に逆に有意な正の相聞が
階による差がなかったが
あった
よって慣習領域は中学生までは親が口を
柄については親からの罰や不承認を避けるために
出しでも問題ないが,男子よりも親が情報の求め
年齢にかかわらず自分からはあえて開示しないの
や統制を行いがちな女子に対しては,高校生の時
だろう.
道徳・慣習領域は学校段
この領域に含まれる事
期に親がそうした行動をやめないと,親への信頼
青年の自発的開示得点は,女子の得点が高いと
感だけでなく,自尊心も低下することが示唆され
いう予測は支持された.しかし先行研究 (Smetana,
る.
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tal., 2006;T
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tal., 2007) でみられたよ
親への信頼と親の情報の求め・統制の自己管理・
42
うな領域による差は無く,多面領域と道徳・慣習
高橋彩:社会的領域理論からみた青年期の自律性
領域のどちらも女子の自発的開示得点が高かっ
田・大竹・落合 (2006) は子の親に対するかかわ
た一般に青年期の女子は男子よりも親への情緒
り方が,一方的に親を頼りにするかかわり方から,
的依存を示す.青年が自分の親との関係を良いと
親を一人の人間として理解する関わり方を経て,
評定することと,親への開示の程度との聞に正の
親を頼りにすると同時に親の頼りになるかかわり
相関も示されており
方に至り,心理的離乳が遂げられるという 9 段階
(Smetana, Villalobos ,
Campione 噌 Barr,
の仮説を提起した青年後期には,“子が親を思
2
0
0
9
),親の受容や温かさは青年に,親がたずね
いやるかかわり方"が可能となるため,自尊感情
なくとも自らの情報を開示することを促すことが
の高い後期青年は親を心配させないために自らの
示唆される.
活動について開示するのかもしれない
Tasopoulos-Chan , Gettman , &
4. 青年の自発的開示と親への信頼,自尊感情
5. 親の情報の求め・統制と青年の自発的開示
との関連
との関連
予想した通り,親への信頼得点と多面領域の青
親の情報の求め・統制と青年の自発的開示に共
年の自発的開示との聞に,中学生,高校生,大学
通する項目どうしの相聞を検討したところ,本研
生すべてで男女ともに有意な正の相聞があり,先
究で得られた親の情報の求め・統制と青年の自発
行研究 (Smetana e
ta l., 2006) の結果と一致した
的開示との有意な相関は,すべて正であった
青年に対する親の受容や尊重が,青年の開示を促
の結果は,親の行動も青年の自発的開示に関連す
す側面と,青年が開示することで親が子どもを信
るという予測を支持し青年の自発的開示におい
じて青年の判断にまかせようとする側面とがある
て,親への信頼とともに,親の情報の求めや統制,
だろうー道徳・慣習領域の自発的開示と信頼感と
監視,追跡も一定の役割を果たすことを示唆する.
の有意な正の相関は,中学生の男子と女子,高校
相関係数の大きさや有意な相関のある項目の数か
生の女子においてみられた .
道徳・慣習領域は,
ら,初期青年の方が親の情報の求め・統制と青年
お酒やたばこを経験したこと,成人向けの情報を
の自発的開示との問に正の関連があるという仮説
みたことなど逸脱行為を含み,親から注意や叱責
は,“お金"や“友だち"など部分的には支持され
を受ける可能性のある情報である.にもかかわら
た.
ず,親から信頼されていると感じる初期青年は,
こ
先行研究 (Smetana, e
tal., 2009) では,親の行
自ら親へ開示することを示している.このことは,
動的統制(青年の行動をチェックしようとする,
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n (2000) が主張するように,親が把
規則を作るなど)と,多面領域 (R 指定のインター
握する子どもに関する情報が,主に青年の自発的
ネット,夜遅くの外出)と自己管理領域(お酒,
開示によりもたらされていること,特に逸脱行為
タバコ)の十分な開示との聞に正の相聞があった
についても自分から話すような青年の親は,早期
本研究のこれらに該当する項目において,親の情
に青年の問題行動に介入でき,結果として問題行
報の求め・統制と青年の自発的開示との関連はあ
動の少なさに結びつく可能性が示唆される
まりなく,むしろ友人や恋人,
自尊感情と青年の自発的開示の関連について ,
1 日どんなことが
あったかなどに関連があり, Smetana, e
ta
.
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0
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)
多面領域に関 しては ,女子は 中学生では関連がな
と異なる結果となっていた.特に“今日は 1 日ど
いが,高校生と大学生と年齢が高い方が自尊感情
んなことがあったのか"についての親の情報の求
と関連がある結果であった同じく男子も道徳・
め・統制と青年の自発的開示との聞には,中学生
慣習領域に関しては,中学生と高校生には関連が
から大学生まで,男女ともに正の相関があった
ないが,大学生のみ自尊感情と関連があった.池
この相関は,所在の確認や話題の提供といった日
4
3
総合政策研究第 15 巻第 l 号 (2012)
常の会話習慣や親しさの反映かもしれない.さら
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Smetana
求め・統制と親への信頼とに正の相聞があったこ
とを考慮すると,親が青年の友人関係についてた
ずねることは,自分への興味,関心の高さと感じ
られ,青年自らも進んで親に自分の情報を開示し
ようとする可能性もある .
(Ed.) ,
Ch仰ging
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dDevelopment, 75 , 815-828.
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池田幸恭・大竹裕子・落合良行(2006)
I 子の親に対す
るかかわり方」からみた心理的離乳への過程仮説
筑
波大 学心理学研究. 31 , 45-57
6. まとめと今後の課題
落合良行・佐藤有耕 (1996)
本研究では,親の情報の求め・統制と 青年の
自発的開示について,その内容を社会的領域理論
に基づき分類した自己管理領域など先行研究と
一致する領域がある一方で,個人領域など一致し
ない領域もあった,青年の自分の活動についての
親への開示は,様々な民族的背景の青年において
検討されてきている.本研究の領域の違いが,
日
本の青年の概念化の特徴なのか,今回のサンプル
の特徴なのかを確認する必要がある.また本結果
で親子関係の転換期とされる高校生で自発的開示
理的離乳への過程の分析
親子関係の変化からみた心
教育心理学研究.
44 , 1
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Kerr,M. , & Stattin ,H. (
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しているのか ,その概念化のあり方は,中学生,
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ることで,青年期の自律性の変化を検討すること
が課題である.
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社会的領域理論からみた青年期の自律性
研究成果報告書
Tasopoulos ,M. , Yau ,J., & Smetana ,J.G. (
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豊・山成由紀子 (1982)
認知された
自己の諸側面の構造教育心理学研究, 30 , 64-68.
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首藤敏元(1 992)
チュリエル日本道徳性心理学研究会
(編),道徳性心理学
付記
本論文の作成にあたりご指導をいただきました愛知学
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McGraw-Hil.
道徳教育のための心理学北大路
書房 pp.133-144.
院大学大学院総合政策研究科の二宮克美教授に心より感
謝申し上げます
調査実施の手続きをして下さった杉山
佳菜子さん(愛知学院大学)
首藤敏元・二宮克美 (2003)
子どもの道徳的自律の発達
風間書房 ppl-22.
調査にご協力いただきまし
た中学校,高等学校の先生方,並びに調査協力者の皆様
に心よりお礼申し上げます
首藤敏元・二宮克美 (2000)
子どもの社会道徳的判断に
おける大人の権威の受容,拒否と自己決定
平成 9 年
本研究の一部は,
日本青年心理学会第 15 回大会 (2007)
で発表された
度~平成 II 年度科学研究費補助金(基盤研究 (C) (
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