2. 同値関係・類別・商集合・数の構成 問 2-17A. X を集合とする。 (1) X 上の関係とは何か。 (2) X 上の関係 ∼ が同値関係であることの定義を述べよ。 (3) X 上の同値関係 ∼ に関する x ∈ X の同値類とは何か。 (4) X 上の同値関係 ∼ によって定まる商集合 X/ ∼ とは何か。 問 2-18A. 実数全体の集合 R 上に次で定める関係 ∼ は同値関係であるか。 ← (1) a ∼ b ⇐⇒ b − a ∈ Z ← (2) a ∼ b ⇐⇒ a ≤ b ← (3) a ∼ b ⇐⇒ b − a = 1 ← (4) a ∼ b ⇐⇒ |b − a| ≤ 0.001 問 2-19B. m ∈ Z を 1 以上の整数とする。 (1) 整数全体の集合 Z 上に次で定める関係 ∼ が同値関係であることを示せ: ← • a, b ∈ Z に対し、a ∼ b ⇐⇒ ∃t ∈ Z : b − a = mt (a ∼ b を通常 a ≡ b (mod m) と書き、a が b と m を法として合同であるという。) (2) 整数 a ∈ Z の同値類 (剰余類) は何か。(通常 a, a + mZ, a mod mZ などと書く。) (3) この同値関係 ∼ によって定まる商集合 Z/ ∼ は何か。(通常 Z/mZ と書く。) 問 2-20B. 上問の Z/mZ には Z の加法から自然に加法が定まり、+ に関して可換 群を成す。即ち、 (1) a, b ∈ Z/mZ に対し、次で a + b ∈ Z/mZ を定めると well-defined である: • a + b := a + b (2) 上で定めた Z/mZ 上の加法 + は次の性質を満たす: (a) ∀a, b ∈ Z/mZ : a + b = b + a (b) ∀a, b, c ∈ Z/mZ : (a + b) + c = a + (b + c) (c) ∀a ∈ Z/mZ : 0 + a = a, a + 0 = a (d) ∀a ∈ Z/mZ : ∃x ∈ Z/mZ : a + x = 0, x + a = 0 問 2-21C. 乗法についても、Z/mZ には Z の乗法から自然に乗法が定まり、良い性 質を持つ。(Z/mZ は +, · に関して可換環を成す。) 上問に倣って論ぜよ。 問 2-22B. 整数全体の集合 Z から有理数全体の集合 Q は次のように構成できる。 (1) X := Z × (Z r {0}) 上に次で定める関係 ∼ は同値関係である: ← • (a1 , b1 ), (a2 , b2 ) ∈ X に対し、(a1 , b1 ) ∼ (a2 , b2 ) ⇐⇒ a1 b2 = b1 a2 (a, b) ∈ X の ∼ に関する同値類を a/b と書き、X の ∼ による商集合 X/ ∼ を Q と書く。 (2) ι : Z −→ Q を ι(a) := a/1 で定めると、ι は単射。(通常 a ∈ Z と ι(a) ∈ Q とを 同一視して Z ⊂ Q と見る。) 問 2-23B. 上問の Q には自然に加法が定まり、良い性質を持つ。即ち: (1) a1 /b1 , a2 /b2 ∈ Q に対し、次で a1 /b1 + a2 /b2 ∈ Q を定めると well-defined である: • a1 /b1 + a2 /b2 := (a1 b2 + b1 a2 )/b1 b2 (2) 上で定めた Q 上の加法 + は上問と同様の良い性質を満たす。(Q は + に関して 可換群を成す。) 問 2-24C. 乗法についても、Q には自然に乗法が定まり、良い性質を持つ。(Q は +, · に関して可換環を成す。) 上問に倣って論ぜよ。 問 2-25C. 上問の Z から Q への構成に倣って、自然数全体の集合 N = {0, 1, 2, . . .} から整数全体の集合 Z を構成し、色々な良い性質を示せ。 問 2-26D. 集合 X 上に関係 ∼ があるとき、a ∼ b =⇒ a ≈ b となるような最も強い 同値関係 ≈ はどう定めたら良いか。(ここに、同値関係 ∼1 , ∼2 に対し、∼1 が ∼2 より強 いとは、a ∼1 b =⇒ a ∼2 b が成り立つことをいう。) ← 問 2-27B. R 上の a ∼ b ⇐⇒ b − a = 1 で定まる関係 ∼ に対し、上問の ≈ はどんな 関係か。 —2014 年度 ゼミナール I・II (担当:角皆) 2—
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